ファクタリングは、2024年も中小企業にとっておすすめの資金調達の方法です。
売掛金をファクタリング会社が買い取ることで現金化が可能なサービスですが、銀行融資とはいろいろな違いがあります。
たとえばファクタリングなら、最短で即日入金されることや、審査の難易度が低いことがおすすめの理由です。
他にもファクタリングがおすすめの理由はいろいろあるため、具体的にどのようなサービスの種類があるのか、信頼できる業者の選び方もあわせて徹底解説していきます。
目次
ファクタリングとは
「ファクタリング」とは、売掛金をファクタリング会社に売却することで、現金化できる金融サービスです。
商品やサービスを販売したとき、その代金はすぐ支払われるわけではなく、後日請求書を発行して1~2か月先に入金されます。
商取引においては、この掛けによる信用取引が一般的であるため、入金までの間は会計処理において売掛金が発生します。
ファクタリングを利用すれば、先に売上計上された未入金の売掛金を現金化し、前倒しで受け取ることができます。
売掛金が入金されるまでの間に先行する固定費や仕入れ代金の支払い、借入金の返済に充てる資金を準備できる方法であり、資金ショートを防ぐことが可能です。
そしてファクタリングは、売掛債権の種類により以下の4つに分類されます。
- 買取ファクタリング
- 保証ファクタリング
- 国際ファクタリング
- 医療ファクタリング
中小企業が資金調達に活用するのは上記のうち「買取ファクタリング」といえますが、その他のファクタリングについてもそれぞれ簡単に説明します。
買取ファクタリング
「買取ファクタリング」とは、一般的に個人事業主や中小企業などが資金を調達するために利用するファクタリングで、売掛債権を現金化する金融サービスです。
最短で即日現金化できることや、審査では売掛先の信用力が重視されるため、財務状況や経営状態が悪化していても申し込みできます。
ただし契約形態や売掛債権の債権額、貸倒れリスクなどで売買手数料は変動します。
保証ファクタリング
「保証ファクタリング」とは、売掛債権の一定割合を保証料として支払い、売掛金回収を保証してもらうサービスです。
売掛金が未回収となる貸倒れリスクを回避でき、売掛先の与信管理にも活用できます。
ただし保証対象となるのは、売掛先倒産などで支払不能状態が確定したときのみであり、単なる債務不履行では保証されません。
倒産することがほぼ明確な売掛先の債権では利用できず、少額債権では経費倒れになる恐れもあることは留意しておきましょう。
保証ファクタリングとは?仕組みから手数料までわかりやすく徹底解説
国際ファクタリング
「国際ファクタリング」とは、海外輸入業者が倒産したり債務不履行となったりしたことで、売掛債権が回収不能とならないように備えることができるサービスです。
リスク回避した貿易取引ができることや、売掛債権が全額保証されるなど輸出代金が未回収にならないことがメリットといえます。
ただし国際ファクタリングでは、以下の3者、または海外ファクタリング会社を加えた4者で取引を行います。
- 国内輸出業者(利用者)
- 海外輸入業者(売掛先)
- 国内ファクタリング会社
- 海外ファクタリング会社
コストが割高になることや国際ファクタリングサービスを提供する業者がそもそも少ないこと、仕組みが複雑でカントリーリスクや時価下落などによる未払いは対象外となるなどのデメリットは理解しておく必要があります。
医療ファクタリング
「医療報酬ファクタリング」とは、診療報酬請求(レセプト請求)分を現金化できるファクタリングです。
診療報酬は、請求して入金されるまで2か月程度かかりますが、前倒しで受け取りできるため資金繰り改善につながります。
また3社間ファクタリングによる取引となるものの、売掛先は国や地方公共団体のため、気兼ねなく利用できることや売買手数料を安く抑えられるなどがメリットです。
ただし依存しすぎると入金額が目減りすることには注意してください。
ファクタリングがおすすめの理由
ファクタリングは中小企業の資金調達におすすめの方法といえますが、その「理由」として以下の8つが挙げられます。
- 資金調達まで時間がかからない
- 審査のハードルが低い
- 手続が簡素化されている
- 担保や保証人は必要ない
- 売掛金の未回収リスクを回避できる
- オフバランス化できる
- 借金が増えない
- 信用情報に影響しない
それぞれ説明します。
買取型ファクタリングとは?仕組みやメリット・注意点を徹底解説
資金調達まで時間がかからない
ファクタリングがおすすめの理由として、資金調達まで時間がかからないことが挙げられます。
入金期日まで時間がかかる売掛金も、ファクタリングを使えば最短で即日現金化できます。
急な出費で支払いに充てる資金がないときなどに、活用したい資金調達の方法です。
審査のハードルが低い
ファクタリングがおすすめの理由として、審査のハードルが低いことが挙げられます。
ファクタリングでは、売掛先の信用情報を重視した審査を行います。
そのため利用者が赤字決算や税金滞納、債務超過の状況にあったとしても申し込みができ、審査に通れば資金調達に活用できます。
手続が簡素化されている
ファクタリングがおすすめの理由として、手続が簡素化されていることが挙げられます。
売掛金を期日に回収できるかを重視した審査となるため、利用者の経営状態や保有する資産などを詳しく審査されるわけではありません。
そのため通常、準備が必要な書類は以下のとおり簡素化されています。
- 直近2~3期分の決算書
- 基本契約書・取引契約書
- 取引履歴の確認できる預金口座の通帳
- 請求書(注文書・納品書など)
担保や保証人は必要ない
ファクタリングがおすすめの理由として、担保や保証人は必要ないことが挙げられます。
売掛金を現金化するため、売掛債権の譲渡契約をファクタリング会社と結びます。
融資を受けるわけではないため、担保や保証人を求められることはありません。
売掛金の未回収リスクを回避できる
ファクタリングがおすすめの理由として、売掛金の未回収リスクを回避できることが挙げられます。
ファクタリングを利用すれば、売掛金をファクタリング会社に譲渡すると同時に、未回収リスクも移転されることになります。
売掛金を売却し、回収前に売掛先が倒産した場合でも、利用者はその責任を負担する必要はありません。
オフバランス化できる
ファクタリングがおすすめの理由として、オフバランス化できることが挙げられます。
オフバランス化とは、貸借対照表から資産や負債を減少させることです。
資産効率の改善などが期待できることや、金融機関からの評価が上がるといったメリットがあります。
ファクタリングによるオフバランス化の要件やメリットについて解説
借金が増えない
ファクタリングがおすすめの理由として、借金が増えないことが挙げられます。
貸借対照表の負債を増加させる方法ではないため、借金が増えることはなく、決算書の見た目も悪化させることはありません。
信用情報に影響しない
ファクタリングがおすすめの理由として、信用情報に影響しないことが挙げられます。
信用情報とは、ローンやクレジットカードへの申し込み・契約・取引に関する情報です。
ローンを申し込んで審査に落ちた場合、その事実が半年間、信用情報に記録されます。
しかしファクタリングはローンなどお金を借りる方法とは異なるため、審査に落ちた場合でもその事実は信用情報に記録されません。
ファクタリングの注意点
ファクタリングは中小企業の資金調達におすすめの方法といえますが、次の3つについては注意が必要です。
- 調達コストが高め
- 調達額が売掛債権額面までに留まる
- 違法業者に騙される恐れがある
それぞれの注意点を説明します。
調達コストが高め
ファクタリングの注意点は、調達コストが高めであることです。
ファクタリング会社に支払う売買手数料は、特に2社間ファクタリングで高くなりやすいため、十分な資金調達につながらない場合もあると留意してください。
調達額が売掛債権額面までに留まる
ファクタリングの注意点は、調達額が売掛債権額面までに留まることです。
売掛金を現金化する方法のため、売買手数料を差し引かれれば売掛債権額面以上の資金調達はできません。
違法業者に騙される恐れがある
ファクタリングの注意点は、違法業者に騙される恐れがあることです。
業界自体の法整備が不十分なことや、新規参入しやすい業界であることで、違法業者やるヤミ金融業者などが横行しやすい環境であるといえます。
信頼できるファクタリング会社選びが重要といえるため、次の章で詳しくおすすめのファクタリング会社の特徴や選び方を説明します。
おすすめのファクタリング会社の特徴と選び方
おすすめのファクタリング会社は、以下のポイントを満たす業者です。
- 入金スピードがはやい
- 2社間と3社間に対応できる
- 売買手数料が安い
- 買取可能額の幅が広い
- 信頼性の高い
- 債権譲渡登記は必須でない
- 償還請求権なしの契約である
上記を満たす業者を選ぶことをおすすめするため、それぞれの特徴を説明します。
入金スピードがはやい
おすすめのファクタリング会社は、入金スピードがはやい業者です。
ファクタリング会社によるものの、最短即日で入金されることがファクタリングのメリットといえます。
スピーディな資金調達を実現させるためにも、おすすめできるのは入金スピードのはやいファクタリング会社といえるでしょう。
2社間と3社間に対応できる
おすすめのファクタリング会社は、2社間と3社間に対応できる業者です。
ファクタリングは、以下の2種類の契約形態があります。
- 2社間ファクタリング
- 3社間ファクタリング
「2社間ファクタリング」は、利用者とファクタリング会社のみで完結するため、売掛先への通知や承諾は不要です。
しかし「3社間ファクタリング」は、売掛先も契約に関与するため、ファクタリング利用を知られてしまいます。
売掛先に資金状況に関して不安を抱かせる恐れがあり、その後の取引や関係性に影響を及ぼすリスクもあるため、2社間ファクタリングも選べるファクタリング会社のほうがおすすめです。
2社間ファクタリングとは?手数料・メリット・違法性について徹底解説
売買手数料が安い
おすすめのファクタリング会社は、売買手数料が安い業者です。
ファクタリング会社に支払う売買手数料は、以下の割合が相場となっています。
- 2社間ファクタリング 10~20%
- 3社間ファクタリング 1~9%
売掛先の信用力や入金期日までの長さ、売掛債権額などで割合は異なるものの、相場から大きくかけ離れている場合は注意が必要です。
違法な悪徳業者である恐れもあるため、安心して取引するためにも複数のファクタリング会社から見積もりを取得することをおすすめします。
それにより、売却予定の売掛債権の相場を確認することができます。
買取可能額の幅が広い
おすすめのファクタリング会社は、買取可能額の幅が広い業者です。
買い取りできる売掛債権について、下限や上限を設けているファクタリング会社は少なくありません。
個人事業主などの場合、少額債権のみの保有であるケースも多いため、下限が大きければ買い取りしてもらえないと理解しておきましょう。
信頼性が高い
おすすめのファクタリング会社は、信頼性が高い業者です。
公式ホームページなどを確認し、過去の実績や事業実態などは必ず確認しましょう。
また、ファクタリングを専門とする独立系の大手ファクタリング会社なら、柔軟に対応してもらいやすいといえます。
少額債権や個人事業主でも利用できるのは、独立系のファクタリング会社ならではのサービスといえます。
債権譲渡登記は必須でない
おすすめのファクタリング会社は、債権譲渡登記が必須ではない業者です。
債権譲渡登記は、主に債権の二重譲渡などを防ぐために求められる手続といえますが、法人のみを対象とした登記制度であるため個人事業主は利用できません。
そのため債権譲渡登記が必須のファクタリング会社とは、個人事業主では契約できないといえます。
また、法人においても登記必須となった場合、費用は利用者負担となるため余計な調達コストが発生します。
個人事業主にファクタリングはおすすめ?メリットや業者の選び方を解説
償還請求権なしの契約である
おすすめのファクタリング会社は、償還請求権なしで契約できる業者です。
契約に「買戻請求権」や「償還請求権」の行使に関する記載がある場合、売掛先の倒産などで売掛金が回収できなくなった場合、その責任は利用者が負担しなければなりません。
安心して資金調達できないため、ファクタリングで資金調達するときは、償還請求権なしのノンリコース契約を選ぶことをおすすめします。
まとめ
ファクタリングは中小企業の資金調達におすすめの方法です。
手続も簡素化されているため資金調達まで時間がかからず、審査のハードルが低いことが主なメリットです。
ただし調達コストが高めであることや、調達額が売掛債権額面までに留まることは留意しておきましょう。
ファクタリングで資金調達する目的や、売掛債権の特徴や債権額などによって、選ぶファクタリングの種類は異なります。
一般的に資金調達目的で活用されているのは買取ファクタリングですが、おすすめのファクタリング会社の特徴などを参考に業者選びをするとよいでしょう。