ファクタリングで資金調達したくても、審査に通らないと売掛金を現金化することはできません。
そもそも審査が通らないのではないかといった不安があると、積極的にファクタリングを資金調達の方法として選ぶことは難しくなります。
そこで、ファクタリング審査に通らない理由とは何なのか、通過するためにはどうすればよいかそのコツについて解説していきます。
目次
ファクタリング審査に通らない売掛金の特徴
ファクタリングの審査はファクタリング会社独自の基準により行われますが、通らない理由は売却しようとする「売掛金」に問題があると考えられます。
ファクタリング審査に通らない売掛金の特徴として挙げられるのは次の8つです。
- 存在が怪しい売掛金
- 不良債権化している売掛金
- 未回収リスクの高い売掛金
- 継続性の低い売掛金
- 回収サイトまで長すぎる売掛金
- 売掛先が個人の売掛金
- 二重譲渡の疑いがある売掛金
- 債権譲渡特約が禁止された売掛金
それぞれどのような売掛金か説明していきます。
存在が怪しい売掛金
ファクタリング審査に通らない理由として、売掛金の存在そのものが怪しいことが挙げられます。
利用者と売掛先が結託し、商取引の存在しない請求書を発行するケースや、休眠状態やペーパーカンパニーなどを使った売掛金などでファクタリング会社に買い取らせようとするといった犯罪行為などもゼロではありません。
架空の請求書ではないかといった疑いが高い場合、ファクタリング会社の審査には通らないと考えられます。
不良債権化している売掛金
不良債権とは既に財産的価値のない売掛金ですが、回収見込みがゼロであることを認識しているのにもかかわらず、売却しようとするケースも中には存在します。
ファクタリング会社は不良債権の買い取りで損失を被ることを避けようとするため、売掛先の事情で財産価値のない売掛金と判断できる場合、不良債権とみなされ買い取りを拒否されることになるでしょう。
未回収リスクの高い売掛金
売掛先に問題のある売掛金は、未回収リスクが高いと判断され審査に通らない可能性が高いといえます。
ファクタリングでは、売掛金が無事に回収できるかを重視しますが、売掛先が安定した経営を続けていることが必要です。
赤字続きや民事再生中、事業譲渡計画が進んでいるような売掛先の売掛金は、回収見込みが高いとはいえず、審査に通らないといえるでしょう。
また、帝国データバンクや東京商工リサーチなど調査会社の評価が著しく低いケースも、審査には通りにくくなります。
継続性の低い売掛金
ファクタリング会社に売却する売掛金が、一過性のもので継続性のないものの場合、審査に通らなくなることもあります。
特に新規契約したばかりの初回取引による売掛金の場合は、期日に売掛先から支払いが行われた実績がないため、ファクタリング会社が安心して買い取りできる売掛金とはいえません。
1回限りの売掛金や、対象となる売掛先と継続した取引がない場合などは、審査で不利になると留意しておきましょう。
反対に取引実績が高ければ、信頼度が高いと見なされ、売掛金が実在していることを証明することにもつながります。
回収サイトまで長すぎる売掛金
売却しようとする売掛金の回収サイトが長すぎる場合、ファクタリング会社にとってはリスクの高い取引となるため、審査に通らない理由になりがちです。
回収サイトの長い売掛金の場合、期日までの間に売掛先が倒産してしまうリスクも高いからといえます。
そのため売掛金の回収サイトは、長くても2か月程度を目安としましょう。
売掛先が個人の売掛金
ファクタリング会社が買い取る売掛金は、売掛先が法人のものであり、個人の場合は買い取りを断られます。
会社を立ち上げ経営している法人よりも、事業規模や従業員数などで劣る個人事業主は、社会的な信用力も十分とはいえないからです。
二重譲渡の疑いがある売掛金
すでに別のファクタリング会社に売却済の売掛金を、新たなファクタリング会社に持ち込み買い取ってもらおうとする「二重譲渡」は違法行為です。
ファクタリング審査で、すでに別のファクタリング会社に譲渡されている売掛金という疑いが見られれば、審査には絶対に通りません。
二重譲渡は、故意に行った場合だけでなく、他業者に譲渡済であることを忘れていた場合も犯罪となるため十分に注意しましょう。
債権譲渡特約が禁止された売掛金
売掛先との契約で、「債権譲渡禁止特約」が付されているときには、ファクタリング会社に売掛金の買い取りを断られることが多いといえます。
民法改正により、債権譲渡禁止特約が付されている契約上の売掛債権でも、流動化することは可能となりました。
しかし、そもそも債権譲渡禁止特約は売掛先が付す特約であり、売掛金を第三者に譲渡してはいけないというものです。
特約が付されている売掛金を買い取った後、何らかのトラブルが発生しないとも限らないため、ファクタリング会社も好んで買い取ろうとはしないと留意しておきましょう。
ファクタリング審査に通らない利用者側の理由
ファクタリング会社が行う審査に通らない理由は、売掛金に問題がある以外にも、利用者側にも買い取りを拒否される理由があると考えられます。
ファクタリング審査に通らない利用者側の理由として挙げられるのは、主に次の7つです。
- 利用者の身元・人柄に問題がある
- 利用者のモラルが低い
- 利用者の信用度が低い
- 必要書類を揃えることができない
- 売掛先から同意を得ることができない
- 個人事業主である
- ファクタリング会社との相性が悪い
それぞれの理由について説明していきます。
利用者の身元・人柄に問題がある
売掛先や売掛金に何も問題がなかったとしても、利用者の身元や人柄に問題があると判断された場合には、ファクタリング審査に通らない可能性が高くなります。
不確かな身分証明や過去に大きな過失などがある場合、または面談の際に人柄がよいといえない状況では、審査に通らなくなると留意しておいたほうがよいでしょう。
利用者のモラルが低い
利用者の人柄に共通する部分ですが、モラルが低いと判断される場合も審査に通らない可能性が高いといえるでしょう。
たとえば面談で次のような態度が見られる場合、利用者のモラルが低いと判断されがちです。
- 態度が横柄
- 人の意見に耳を傾けない
- 悪いうわさが多い
- ギャンブル依存症
- 公私混同が甚だしい
特に2社間ファクタリングでは、利用者が売掛金を回収しなければならないため、回収後の資金を他の目的に流用されるリスクを懸念され審査に通らなくなります。
利用者の信用力が低い
ファクタリングの審査は、利用者ではなく売掛先の信用度を重視します。
そのため利用者が赤字決算や債務超過などで悩んでいても利用できますが、あまりに経営状態が悪く財務状況も悪化していれば、審査に通らない可能性もあるといえます。
その背景には、2社間ファクタリングではファクタリング会社に代わって利用者が売掛金を回収しなければならないことが関係しています。
回収した売掛金は、すみやかにファクタリング会社に渡すという流れが重要ですが、仮に利用者の財務状況が悪化していれば、回収代金を使い込む可能性も出てくるでしょう。
そのため利用者の信用力があまりに低いと、ファクタリング会社の審査に通らない可能性も高くなるといえます。
必要書類を揃えることができない
ファクタリングの申し込みや契約の際には、ファクタリング会社から求められた必要書類を揃えなければなりません。
しかしいつまでも準備できない場合、審査には通らなくなるでしょう。
ファクタリングの必要書類として挙げられるのは、主に次の4つです。
- 身分証明書
- 売掛金の存在を証明する請求書・発注書・納品書など
- 取引履歴の確認できる銀行口座通帳
- 2~3期分の決算書(確定申告書)
他にも次のような書類を求められることがあります。
- 商業登記簿謄本
- 印鑑証明書
- 売掛先との基本契約書
- 納税関連の書類
提出した書類の中で疑わしいものがあったときには、慎重な審査の結果、断られることもあるといえるので、提出すれば必ず通るわけではないことも留意しておきましょう。
売掛先から同意を得ることができない
3社間ファクタリングでは、売掛先に対し債権譲渡の事実を通知し、承諾を得ることが必要となります。
しかし、ファクタリング会社に売掛債権を譲渡することについて、売掛先から同意を得ることができなければ審査を中止するしかなくなります。
そもそも3社間ファクタリングにより、売掛先にファクタリング利用を知られることは、利用者にとってリスクの高い契約です。
「なぜお金が必要なら銀行から借りないのか」
「銀行融資の審査に通らないからファクタリングを利用するのではないか」
といった不信を抱かれることもあり、その後の取引が停止されることや制限をかけられるといったこともゼロではありません。
これらのリスクを回避するため、多くの中小企業は3社間ファクタリングではなく、2社間ファクタリングによる契約を選んでいます。
個人事業主である
ファクタリングで資金調達しようとする事業者が個人事業主の場合、ファクタリング会社によっては申し込み自体断られることがあります。
ファクタリング契約のほとんどは2社間ファクタリングですが、先に述べた二重譲渡を防ぐために「債権譲渡登記」を求めてくるファクタリング会社もあります。
登記により、誰が債権の権利者か証明する手続が債権譲渡登記ですが、この制度は法人でなければ利用できません。
そのため債権譲渡登記が必須であるファクタリング会社では、個人事業主からの申し込みは受け付けていないといえます。
ただ、ファクタリング会社によっては債権譲渡登記を行わず、「留保」という形で2社間ファクタリング契約ができる業者もあります。
この場合であれば個人事業主でもファクタリング利用が可能となりますが、そもそも事業規模が小さく経営体力が十分でないと判断されるため、消極的な対応であるファクタリング会社も少なくないといえます。
個人事業主がファクタリングで資金調達するのなら、法人以外にも積極的に対応し、少額債権でも買い取り可能とするファクタリング会社を選ぶことが必要です。
ファクタリング会社との相性が悪い
ファクタリング審査に通らない理由として、そもそもファクタリング会社と相性が悪いことも関係しています。
ファクタリングは互いの信頼感が重要であり、丁寧に対応してもらえないときや質問にこたえてもらえない場合など、相性以前の問題といえるでしょう。
対応に不満があるときには別のファクタリング会社と契約すること検討したほうが安心です。
また、契約後でも他社に乗り換えることはできるため、信頼できるファクタリング会社を見極めていくようにしてください。
ファクタリング審査通過率を高めるためのコツ
ファクタリングで資金調達するためには、ファクタリング会社の審査を通過することが必要です。
そこで、ファクタリング審査に通過する確率を上げるコツとして、次の3つを押さえておきましょう。
- ファクタリング会社に好まれやすい売掛金を選ぶ
- 売掛債権の存在を証明する資料を揃える
- 面談では服装や話し方に気をつける
それぞれのコツについて説明していきます。。
①ファクタリング会社に好まれやすい売掛金を選ぶ
ファクタリング審査では、利用者ではなく売掛先の信用度を重視します。
そして、売掛先との取引実績が長く、売掛債権額も大きな売掛金のほうがファクタリング会社には好まれます。
ファクタリングによる資金調達を成功させたいなら、ファクタリング会社が買い取りたいと感じることのできる売掛金を選んで申し込むようにしましょう。
大手企業や公共機関などが売掛先なら、安心してファクタリング会社も買い取りしやすくなります。
大手でなくても、良好な経営状況で財務状態も安定している企業の売掛金なら、審査に通りやすくなるはずです。
②売掛債権の存在を証明する資料を揃える
本来は優良といえる売掛債権のはずが、様々な理由で審査に通らないといったケースは、多くが資料不足です。
しっかりと売掛債権の存在を証明できるように、複数の成因資料を準備するようにしましょう。
請求書だけでなく、契約書・発注書・受注書・納品書などがその例ですが、不備なく徹底して資料を充実させることにより、審査には通りやすくなります。
③面談では服装や話し方に気をつける
ファクタリング会社と行う面談では、服装や話し方にも注意し、好印象を抱いてもらえる対応を心掛けましょう。
また、連絡もスムーズにとれる状態のほうが、安心して契約できる利用者と認められやすくなります。
利用者の人柄はそれほど重視されないと思われがちですが、ファクタリングは目に見えない売掛債権という資産を扱う契約のため、利用者が安心できる相手であることも審査で重視されます。
できるだけ良い印象を与えることができるように、ファクタリング会社には嘘をつかず、不安に思っていることや心配なことを打ち明けると同時に、誠実に対応するように心がけるとよいでしょう。
まとめ
ファクタリングで売掛金を現金化したくても、ファクタリング会社の審査に通らないと、必要な資金を調達できず手元のお金を増やすことはできません。
ファクタリング会社独自の基準で審査が行われますが、通過するためのコツなどを事前に押さえておくと申し込みのときにも安心です。
もしファクタリングで資金を調達したいけれど、他の業者の審査に通らなかったときや、審査に通るか心配という場合には、一度当社に気軽にご相談いただければと思います。