ファクタリングとは資金調達方法の1つです。銀行からの借入(デット・ファイナンス)融資や増資(エクイティ・ファイナンス)、クラウドファンディングなどと比べると一般には知られていません。
しかし、ファクタリングの仕組みは簡単で、資金繰りを早期に改善したい、融資の審査に落ちてしまったという経営者にとって、簡単にお申し込みしたり、利用したりできる、おすすめの資金調達方法です。
今回はファクタリングの基本や売買手数料、メリット、デメリットなどについて簡単に分かりやすく解説します。
目次
ファクタリングとは
「ファクタリング」とは、企業などが保有している「売掛金」をファクタリング会社(ファクターとも言います)に売却し、現金化する資金調達のサービスです。請求書の先払いとも言えます。
法人向けの取引においては、売上代金を後日請求書を発行し口座に入金してもらう掛取引が一般的です。
◆売掛金の一例
- 1月に取引先へ納品。
- 1月末締で請求書を発行。支払い期日は翌月末。
- 2月末に取引先から入金される。
※納品から支払いまで、1か月以上かかる。
掛取引の場合、請求書は月末などにまとめてでの発行でよく、取引ごとの請求・支払いのやり取りが不要というメリットがあります。
しかし売掛金は商品やサービスの提供の翌月や翌々月に振り込み入金されることが多く、現金化するまでに時間がかかるため、資金繰りが苦しい企業にとっては負担にもなります。
ファクタリングの目的は、簡単に言うとその売掛金の入金を待たずに、手元の資金不足を解決することです。
◆ファクタリングを利用した場合の一例
- 1月に取引先へ納品。
- 1月末締で請求書を発行。支払い期日は翌月末。
- 急遽資金が必要となったためファクタリング会社と契約
- 2日後にファクタリング会社から振り込み
※予定していた支払い日よりも早いタイミングで現金化できる。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングの種類のうち、資金調達を目的に事業者に利用されているのが「買取ファクタリング」です。
「買取ファクタリング」はまだ入金期日がきていない請求書に相当する売掛債権をファクタリング会社に売却し、その買取代金を受け取れる金融サービスです。
売掛金の支払期日を待たずスピーディーに現金化することで、急に資金が必要になっても対応できる点が特徴です。
買取ファクタリングは次の2種類に分けることができます。
- 2社間ファクタリング
- 3社間ファクタリング
それぞれの仕組みと、どのような流れで資金調達できるのか、分かりやすく説明していきます。
ファクタリングとは?仕組み・手数料の目安や注意点について簡単に解説
2社間ファクタリング
「2社間ファクタリング」は、債権者である利用者とファクタリング会社だけで契約を結ぶことが特徴です。売買契約が成立しても売掛先に対する通知は行われず、第三者の承諾を得る必要もありません。
売掛金の現金化が早いという特徴があるため、資金繰りを早期に改善したい場合に利用されることが多いファクタリングです。
2社間ファクタリングでは、次のような流れで取引が行われます。
- 利用者とファクタリング会社で契約を結ぶ
- ファクタリング会社から利用者に対し買取金額から売買手数料を差し引いた額が支払われる
- 売掛先から利用者に対し売掛金が支払われる
- 利用者からファクタリング会社に回収した売掛金を入金
売掛金の回収業務を利用者に委ねているため、ファクタリング会社にとってはリスクの高い取引となります。その分売買手数料が高く設定されやすいので注意しましょう。
他にも以下のような注意点があります。
- 回収した売掛金は一括でファクタリング会社に送金しなければならない
- 債権譲渡登記の費用が必要な場合がある
2社間ファクタリングについては以下の記事でも詳しく解説していますのでご覧ください。
2社間ファクタリングとは?手数料・メリット・違法性について徹底解説
3社間ファクタリング
「3社間ファクタリング」は、債権者である利用者とファクタリング会社だけでなく、売掛先も契約に加わります。
3社間ファクタリングでは、次のような流れで取引が行われます。
- 売掛債権の譲渡について売掛先から承諾を得る
- 利用者とファクタリング会社、売掛先で契約を結ぶ
- ファクタリング会社から利用者に対し買取金額から売買手数料を差し引いた額が支払われる
- 売掛先からファクタリング会社に売掛金が直接支払われる
債権譲渡の事実を売掛先に通知し、承諾を得る必要があります。
売掛金の回収期日には、売掛先からファクタリング会社に対して売掛金の支払いが行われます。
ファクタリング会社は利用者を通さず売掛金を回収でき、未回収リスクを回避しやすいという観点から、売買手数料も安く設定されるというメリットがあります。
ただし、ファクタリングを利用していることを知られる点で売掛先から経営状態に不信感を持たれて、今後の取引に影響する可能性もあります。
3社間ファクタリングについてはこちらの記事でも詳しく解説していますのでご覧ください。
3社間ファクタリングとは?賃金業なの?流れや手数料について解説
ファクタリングの種類
中小企業にとって大変便利な資金調達方法であるファクタリングは、次の5種類に分けることができます。
- 買取ファクタリング
- 保証ファクタリング
- 一括ファクタリング
- 診療報酬ファクタリング
- 国際ファクタリング
これら5つのファクタリングは、利用目的や債権の種類、決済の手段などがそれぞれ異なります。
それぞれの違いを簡単に説明していきます。
ファクタリングの種類と特徴|違法性の高いサービスについても徹底解説
買取ファクタリング
「買取ファクタリング」は、企業などが保有する売掛金をファクタリング会社に売却し、現金化することで資金を調達できるサービスです。
ファクタリング会社が利用者から売掛金を買い取り、その売掛金額から売買手数料を差し引いた額がファクタリング会社から支払われます。
利用者ではなく売掛先の信用度を基準に審査が進むため、財務の状況が悪化していて自社の信用力に不安がある企業でも、申し込みやすい方法です。なお、支払いが遅延していたり、すでに回収不能となっていたりする売掛金は買取されません。
買取型ファクタリングとは?仕組みやメリット・注意点を徹底解説
保証ファクタリング
「保証ファクタリング」は、保有する売掛金が万一回収できなかったときに備え、保証をかけることを目的としたファクタリングです。
保証料を支払っておくことで、もしも売掛先が倒産し、売掛債権の回収ができなくなったとき、利用者が責任を負う必要はなく、保証会社がリスクを負います。
なお、与信情報に不安のある取引先の未回収リスクに備えることはできますが、債権自体を買い取ってもらうわけではないため、資金調達目的には使用できません。
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一括ファクタリング
「一括ファクタリング」とは「でんさい」を利用したファクタリングサービスです。「でんさい」は正式名称を「電子記録債権」といい、手形や振込に代わる決済手段です。
一括ファクタリングを簡単に説明すると、銀行・利用者・売掛先の3社であらかじめ契約を締結し、保有する「でんさい」を現金化するシステムとなっています。
一括ファクタリングの利用には以下の条件があります。
- 利用者と売掛先がでんさいを利用している
- 事前に債権譲渡の承諾が必要
- 一括ファクタリング基本契約の締結が必要
売掛先の信用調査で保証金の範囲が決まるため、早期に資金を調達したいときには向かないサービスです。売掛金の未回収リスクを抑えたい場合には利用を検討する価値があります。
一括ファクタリングとは?でんさいとの違いやメリット・デメリットを解説
診療報酬ファクタリング
「診療報酬ファクタリング」とは「診療報酬債権」を現金化する医療機関特化型のファクタリングです。
「診療報酬債権」とは、医療機関が審査支払機関に対し請求する診療報酬のことです。
診療報酬の振込完了までに通常2~3ヶ月程度かかりますが、ファクタリングを利用することで短い期間で現金化できます。
診療報酬ファクタリングとは?メリット・デメリットから会社選びのポイントを解説
国際ファクタリング
「国際ファクタリング」は、海外との貿易で発生する売掛金を保証するサービスです。安全に海外との取引を進めたいときに利用されます。
国際ファクタリングではファクタリング会社が信用調査等をしたうえで保証してくれるので、海外企業と安心して取引を進めることができます。
ただし日本国内のファクタリング会社・利用者・海外企業・海外ファクタリング会社の4社で契約を進める必要があるなど、複雑な手続きが必要です。
ファクタリング売買手数料の決まり方
ファクタリングの売買手数料はファクタリング会社ごとの審査により決まりますが、基本的に次の6つを総合的に判断した上で決定されます。
- 契約の種類
- 売掛債権の金額
- 支払期日までの期間
- 売掛先の信用力
- 利用者の信用力
- 債権譲渡登記の有無
それぞれ分かりやすく説明します。
①契約の種類
2社間と3社間契約を比較すると、2社間ファクタリングのほうが売買手数料は高く設定されます。
2社間ファクタリングの場合は、売掛先から利用者に支払いが入ったあとで、利用者からファクタリング会社に支払いが行われます。しかし3社間ファクタリングでは期日に売掛先からファクタリング会社に支払いが行われます。
◆売掛金の入金の流れ
- 2社間ファクタリング:売掛先→利用者→ファクタリング会社
- 3社間ファクタリング:売掛先→ファクタリング会社
3社間ファクタリングでは利用者によって使い込みされるというリスクを避けられるため、売買手数料を低く抑えることができます。
②売掛債権の金額
ファクタリング取引でファクタリング会社が支払うコストや手間は、売掛債権の額では変わりません。
額が小さくても大きくても、ファクタリング会社のコストや手間は変わらないため、売掛債権額が大きいほうがファクタリング会社も売買手数料を下げやすいといえます。
③支払期日までの期間
売掛金の期日が近いほどリスクを軽減できると判断されるため手数料は低くなります。売掛金の支払いまでの期間が長いと、売掛先が倒産するなど回収不能になるリスクが高まるためです。
④売掛先の信用力
売掛先の信用力が高ければ、倒産などで売掛金が未回収となるリスクを抑えることができるため、売買手数料は低く設定されます。
⑤利用者の信用力
ファクタリング審査では売掛先の信用力が重視されるものの、利用者の信用力も重要です。
特に2社間ファクタリングでは、利用者が回収した売掛金をファクタリング会社に支払う前に使い込んでしまうリスクも高くなるからです。
⑥債権譲渡登記の有無
ファクタリング会社から利用者へ債権譲渡登記を求めてくることがあります。債権譲渡登記は、債権の譲渡があった事実を登記するための手続きです。第三者に対して権利を示すために使われます。
なぜ債権譲渡登記が求められるかというと、二重譲渡リスクを回避するためです。2社間ファクタリングの場合、債権がファクタリング会社に譲渡された事実はファクタリング会社と利用者のみしか知り得ません。
そのため、ファクタリング会社にとって、他のファクタリング会社へ二重譲渡されるリスクはゼロではありません。債権譲渡登記をすれば、ファクタリング会社はその債権に関する権利を主張できるようになります。なお、登記にかかる費用は利用者が負うことになります。
ファクタリング申込時に必要な書類
ファクタリングを申し込む時には、以下のような書類が必要です。
- 登記簿謄本(法人の場合)
- 身分証明書
- 印鑑証明書
- 決算書(個人事業主の場合は確定申告書)
- 入金確認ができる通帳
- 請求書など売掛債権を証明できるもの
- 取引先との基本契約書
利用するファクタリング会社によって必要な書類は異なります。その他の書類の提示を求められる場合もあるため、確認しながら不足なく提出できるようにしましょう。
ファクタリングのメリット
近年、資金調達の手段としてファクタリングが注目されるようになってきました。それは、銀行からの借入と比べて次の6つのメリットがあるからです。
- 最短即日で現金化できる
- 赤字や債務超過でも利用できる
- 担保や保証人は不要
- 売掛金未回収リスクを回避できる
- 個人事業主でも利用可能
- オンラインで完結できる場合がある
それぞれのメリットについて説明していきます。
ファクタリングの9つのメリット|利用すべきケースやデメリットも解説
①最短即日で現金化できる
ファクタリングは資金調達までのスピードが速いことがメリットです。
銀行などから借入れるときには、金融機関が求める様々な書類を提出し、厳しい審査を通過しなければなりません。試算表や納税証明書など複数の書類の提出が必要となり、特に初回取引には時間がかかります。
しかしファクタリングは売掛先の信用力を重視した審査が行われるため、求められる書類は多くありません。そのため圧倒的にスピーディーに事業資金を調達できます。
②赤字や債務超過でも利用できる
銀行から融資を受けて資金調達すれば、資産を担保に必要な資金を手にすることができます。
しかし決算書上で赤字が続いているときや、税金の滞納、債務超過があると、審査に通りません。中小企業の6~7割は赤字といわれているため、銀行から融資をスムーズに受けることができる企業はそれほど多くはありません。仮に借入できても返済期日等の返済条件など、融通がきかない部分があります。
資金が不足し、取引先への買掛金支払いや、給与などの支払いに困ってしまうような状況でも、ファクタリングならつなぎ資金の調達が可能です。また、ファクタリングの利用実績は負債ではないため信用情報に記録が残らない点もメリットです。
③担保や保証人は不要
ファクタリングは借入をして資金を調達するわけではないため、担保や保証人を求められることはありません。
担保や保証人が必要だと言われたら注意が必要です。売掛債権の買い取りではなく貸付の可能性があるためです。
④売掛金未回収リスクを回避できる
ファクタリングは売掛金を売却することで現金化し、資金を調達するサービスです。
売掛金の回収期日よりも前に代金を受け取ることが可能となり、万一売掛先が倒産してしまった場合も貸倒れのリスクを回避することができ、安心感があります。
⑤個人事業主でも利用可能
ファクタリングは中小企業だけでなく、個人事業主でも利用可能です。
個人事業主の場合、少額の債権を保有していることが多いですが、ファクタリング会社によっては少額債権も買い取っているため、資金調達に活用できます。
⑥オンラインで完結できる場合がある
ファクタリングでは対面や郵送での書類のやり取りが必要な場合もありますが、オンライン契約を可能とするファクタリング会社も増えてきました。申し込みから審査結果の通知、振り込みまでオンラインで完結するため、対面による手続きが面倒な方や時間がない方でも利用しやすいこともメリットです。
オンラインファクタリングとは?WEB完結型のメリット・デメリットを解説
ファクタリングのデメリット
ファクタリングは銀行からの借入金よりも利用しやすい資金調達の方法ですが、次の4つのデメリットは理解しておくことが必要です。
- 調達額は売掛債権額未満
- 売買手数料が高い
- 債権譲渡登記を求められることがある
- 違法業者が存在する
それぞれのデメリットについて説明していきます。
①調達額は売掛債権額未満
ファクタリングは売掛金を現金化する資金調達の方法であるため、調達できる金額は売掛金より多くはなりません。さらに別途売買手数料も必要です。また、査定結果によっては売掛金の全額ではなく、一部のみ買い取りになる場合もあります。
銀行など金融機関から融資を受けるときと比べれば、資金調達できる金額には限りがあります。
②売買手数料が高い
ファクタリング利用において発生する売買手数料は、銀行融資で負担する利息よりも高く設定されます。
資金調達コストが多くかかることになるため、繰り返し利用すれば資金繰りは悪化してしまいます。ファクタリングと融資を必要に応じて使い分けることが大切です。
③債権譲渡登記を求められることがある
2社間ファクタリングで契約する場合、ファクタリング会社によっては「債権譲渡登記」を求められることがあります。
債権譲渡登記後は登記簿に債権が譲渡された情報が記載されます。
登記簿は第三者でも請求できるため、債権譲渡の事実を売掛先や銀行に知られる可能性があります。
ファクタリング会社よっては、登記にかかる費用も利用者が負担する場合があり、コストを増やすことになるでしょう。
なお、債権譲渡登記は個人事業主は利用できません。
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④違法業者が存在する
ファクタリング会社の中には違法業者も存在しています。法外な売買手数料を請求したり、ファクタリングを装い貸付を行ったりする違法業者は少なくありませんので注意しましょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ファクタリング利用の注意点
2024年現在、ファクタリング業には登録なども必要ないため、一部悪徳業者が存在しています。そのため、悪いイメージを持つ方がいることも事実です。
しかし、ファクタリングは正しく利用すればメリットの大きい資金調達方法であり、経済産業省も推奨しています。
優良なファクタリング会社を見極めるために、次の6つのポイントを押さえておきましょう。
- 売買手数料が相場の範囲か確認する
- 提出書類の量を確認する
- 担保や保証人の有無を確認する
- 債権譲渡契約か確認する
- 契約書の控えを渡してもらえないときは契約を避ける
- 給与ファクタリングは利用を避ける
それぞれのポイントについて分かりやすく説明していきます。
①売買手数料が相場の範囲か確認する
ファクタリングの売買手数料はファクタリング会社独自の審査で決まります。
相場は以下の通りです。
- 2社間ファクタリング:10~20%
- 3社間ファクタリング:1~9%
相場より高い売買手数料設定のときには、なぜその売買手数料になるのかを確認し、場合によっては利用を避ける判断も必要です。
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②提出書類の量を確認する
提出書類もほとんど必要なしで、面談もなく、すぐに審査に通り契約可能になるケースは悪徳業者の可能性が高いでしょう。
ファクタリング契約をする際には通常、売掛金を買い取った後の貸し倒れリスクを避ける観点から、次のような書類が求められます。
- 利用者の直近の決算書
- 売掛先との取引を証明できる契約書
- 請求書・納品書・発注書
- 通帳の写し・入出金明細
銀行から融資を受けるときほどではないものの、一定の書類は必ず準備しなければなりません。信用力の確認のため必要なはずの書類の提出も不要とする会社との取引は避けることをおすすめします。
③担保や保証人の有無を確認する
ファクタリングは売掛金の売買によるサービスのため、融資を受ける方法ではありません。
お金を借りるわけではないため担保や保証人を求められることはありません。
もしも担保や保証人を要求される場合、ファクタリングを装うヤミ金融業者(闇金)の可能性がありますので、利用を避けてください。
④債権譲渡契約か確認する
ファクタリングは売掛金の売買によるサービスのため、債権譲渡契約を結ぶことになります。債権譲渡後は売掛金の回収に関するリスクのない「ノンリコース契約」がファクタリングの基本です。「売掛金の回収に関するリスクがない」とは、もし売掛先が倒産して売掛金が回収できなくなった場合でも、利用者がファクタリング会社へ返済する必要がないということです。
なお、資金調達方法として受取手形を期日前に売却する「手形割引」という仕組みがありますが、「手形割引」は売却した債権を買い戻す義務がある「リコース契約」となります。契約内容が金銭消費貸借契約となっている場合、違法に貸金を行う業者の可能性が高いため、契約を見送りましょう。
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⑤契約書の控えを渡してもらえないときは契約を避ける
ファクタリング契約締結後、ファクタリング会社から契約内容が記載された契約書の控えが渡されます。
しかし契約書が作成されないときや、控えを渡してもらえないときには悪徳業者の可能性が高いでしょう。
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⑥給与ファクタリングは利用を避ける
給与ファクタリングは事業者ではなく、個人が利用するサービスです。
違法業者によるトラブルが発生しており、金融庁からも注意を促されているサービスでもあるため簡単にご説明します。
給与ファクタリングは、給与を債権として業者に譲渡、現金化するものです。ただし金融庁は、給与ファクタリングを賃金債権の売買ではなく、貸金業法上の貸付けに該当すると判断しています。そのため、給与ファクタリングサービスを提供できるのは、「貸金業登録」をしている貸金業者のみとなります。
しかし貸金業登録をしていないヤミ金融業者が「給与ファクタリング」として、法外な金利設定をしたり、回収方法が悪質であったりする例があります。
ファクタリング会社の種類
ファクタリング会社には以下の4つの種類があります。
- 銀行系子会社
- ノンバンク/リース系企業子会社
- 大手他業種企業の子会社
- 独立系ファクタリング
①銀行系子会社
金融機関、もしくはその子会社がファクタリングを提供しているケースがあります。
【銀行系子会社の特徴】
- 売買手数料が低い
- 買取の下限が数百・千万単位に設定されている
- 融資のように厳しい審査がある
- 個人事業主の取引は難しい
売買手数料が低い点はメリットですが、審査が厳しく、申し込んでも断られてしまうケースも多いようです。
以下のような場合は利用を検討するとよいでしょう。
- 売掛金の金額が大きい
- 3社間ファクタリングを希望する
- 銀行からの信頼性が高い
②ノンバンク/リース系企業子会社
銀行以外の金融サービス会社がファクタリングを提供しているケースもあります。
【ノンバンク/リース系企業子会社の特徴】
- 売買手数料は銀行系子会社の次に低い
- 100万円以下の小口の売掛金の買取にも対応している
- 銀行系子会社と比べて審査基準が低い
- 資金化できるスピードが早い
- 個人事業主でも取引ができる場合がある
一般的には上場企業の子会社などがファクタリングを提供しており、審査は厳しいところが多くなります。ただし、銀行系子会社と比べると柔軟です。
リスクを軽減できる3社間ファクタリング中心ですが、2社間ファクタリングを行えるケースもあります。
会社ごとに審査基準が異なるため、利用する際は複数社に相談してみることが大切です。
③大手他業種企業の子会社
金融サービス以外の大手企業の子会社が、ファクタリングを提供するようになったケースです。特徴としては②のノンバンク/リース系企業子会社とほぼ同じです。
入金までのスピードや売買手数料も会社ごとに異なるため、実績や評価を比較しつつ、複数社にファクタリングの相談をするのがおすすめです。
④独立系ファクタリング
①~③以外でファクタリングを提供している場合は、独立系と呼ばれます。
【独立系ファクタリングの特徴】
- 売買手数料が高い
- 取引金額の上限は数千万〜1億
- 資金化スピードが最も早い
- 個人事業主やフリーランスでも取引できる
- 悪徳業者が多い
ファクタリング会社のなかで、最も資金化スピードが早いのが独立系です。個人事業主やフリーランスに特化したファクタリング会社も存在しています。オンラインファクタリングに対応しているケースも多く、申し込みがしやすいのも特徴です。
利用しやすさがメリットですが、信用できない会社も存在します。信頼性についてはしっかりと確認を行いましょう。
ファクタリング会社選びのポイント
優良なファクタリング会社の見分け方として、次の3つを押さえておきましょう。
- 複数社から相見積を取る
- 売買手数料を確認する
- 運営歴・取引実績を確認する
それぞれの選び方について分かりやすく説明していきます。
ファクタリングで資金調達するメリット・デメリットと業者選びのポイント
複数社から相見積を取る
ファクタリングで支払う売買手数料はファクタリング会社が独自に設定しています。どのくらいの売買手数料を設定するかの基準もないため、売買手数料はバラバラです。
仮に1社だけから売掛金買取りの見積をとっても、提示された売買手数料が高いのか安いのか判断できません。
分からない部分を解消するためにも、必ず複数社から相見積りを取り、比べるようにしましょう。
売買手数料を確認する
ファクタリング会社によっては、売買手数料以外に費用がかかる場合があります。
そのため、売買手数料に何が含まれているかは確認しておいたほうがよいでしょう。
以下は2社間ファクタリングの手数料の例です。
- 審査・事務手数料
- 印紙代
- 債権譲渡登記費用・出張面談にかかる費用
- ファクタリング会社の利益
債権譲渡登記費用は8万~10万ほどと高額なため、未登記や留保などで対応してくれるファクタリング会社を選んだほうが費用を抑えられます。
運営歴・取引実績を確認する
利用するファクタリング会社の運営歴や取引実績などのデータの確認は必須です。
ファクタリングでの業績が安定していて、評価も高いような、優良企業なら安心です。
過去の運営歴や取引実績などのデータはコーポレートサイトなどに記載されていることが多いので、事前に確認しておきましょう。
ファクタリングと相性のよい業種
信用度の高い売掛先の売掛金があればファクタリングで資金調達が可能です。
また、売掛債権の金額も大きいほうが十分な資金を調達しやすくなります。例えばファクタリングと相性がよい企業は次のような特徴がある企業です。
- 売掛債権の金額が大きくなりやすい企業
- 入金サイトが長い企業
- 信用力の高い売掛先との取引が多い企業
これらの条件から、特に相性がよい業種としてあげられるのが次の3つです。
- 運送業
- 建設業
- 医療・介護業界
それぞれなぜ相性がよいのか、分かりやすく説明します。
運送業
運送業は重層下請構造になりがちで、売掛金入金まで時間がかかりやすい業界です。
また、燃料費や人件費などの影響を受けやすい業界のため、経営状況によっては売掛金の支払期日よりも前に現金が必要となる場合もあります。売掛金を迅速に現金化できるファクタリングは、運送業にもおすすめです。
建設業
建設業は大口案件が多いため必要な運転資金も大きくなりやすいにも関わらず、工事完了まで代金を受け取ることができないため、手元の資金繰りは悪化しやすくなります。
ただ、大口で信用力の高い売掛金を保有しており、売掛債権額も大きいため、回収不能となるリスクが低いことから、ファクタリング審査も通りやすいと考えられます。
銀行からの融資と違い、ファクタリングで調達した資金は使途を問われないことも建設業の会社にとっては大きなメリットです。
ファクタリングは建設業の最適な資金調達方法?相性がよい理由を徹底解説
医療・介護業界
医療や介護業界は経営が安定するまでに時間がかかる業界です。しかし実績がない中では銀行からの融資額に上限があり、十分な資金を調達できないことも少なくありません。
医療業では診療報酬、介護業では介護報酬を債権として、社会保険や国民健康保険に請求することになりますが、どちらも国に対して請求する債権です。確実に回収できるため信用力はかなり高く、ファクタリング会社も安心して契約を結ぶことができます。
信用力が高いとファクタリングにかかる売買手数料を低く抑えることができるため、医療や介護業界はファクタリングと相性のよい業種といえます。
まとめ
ファクタリングは銀行からの融資や国からの補助金などと比べて、審査に通りやすく資金を調達しやすいのが特徴です。まだまだ一般には知られていないファクタリングですが、経済産業省も推奨しています。資金繰りに悩んでいる方は、ファクタリングを上手に利用することで状況を改善できる場合があります。
急いで資金調達する必要があるときは、ぜひファクタリングの利用を検討してみてください。PMGではファクタリングによる資金調達のサポートを行っており、最短で即日の査定も可能です。不明点を一緒に解決しつつ、ファクタリングを進めることが可能なため、初めてのファクタリングで不安な方はPMGにお問い合わせください。