支払いサイトの意味を解説!売掛金を回収する上で重要なこととは?


商取引に置いて、商品やサービスを販売・提供したときには、その代金を現金で受け取ることは行われません。

後日請求書を発行し、事前に定められた期日までに入金してもらう掛け取引が一般的ですが、このときに発生するのが売掛金であり、売掛金が支払われるまでの期間を「支払いサイト」といいます。

この支払いサイトは、企業経営において大きく資金繰りに影響を及ぼすことになるため、どのような影響があるのか、その影響を軽減するためにどうすればよいのか解説していきます。

 

企業経営で重要となる支払いサイトとは?

「サイト」という言葉を耳にすると、現代ではインターネットのウェブサイトの略称のことだと想像してしまうかもしれません。

しかし、ウェブサイトで用いられる「サイト」とは、英語表記にすると「site」となり、様々な情報を提供するページのことを意味しています。

支払サイトでの「サイト」は英語表記にすると「sight」となり、これは手形など決済期限を意味しており、商取引で発生した売掛金が、後日支払われるまでの期間を示す言葉として使われています。

 

支払いサイトはどのように決めればよい?

新規の取引先と販売契約を結ぶ場合、様々な取り決めが必要になります。

自社が販売する側であれば、いくらで商品やサービスを買い取ってもらうのか、売値を決めることになるでしょう。

仕入れにかかる費用や製造にかかる費用など、商品の原価を基準として、様々な経費を上乗せしながら利益が発生する価格を売値として提示し、交渉することになります。

売値を決める要因は他にも、交渉の材料として、どのくらいの量を購入してもらうか、さらに支払いサイトなども含まれることがあります。

購入する側としては、できるだけ安く商品を購入したいと考えるので、多く購入する代わりに単価を下げてもらうことを希望するかもしれません。そして購入してから代金を支払うまでの期間を短く設定する代わりに、やはり代金を抑えてほしいと交渉される可能性もあります。

反対に販売する側は、支払いサイトを長めに設定してほしいと提案を受けたら、代わりに単価を引き上げるという交渉も可能となるでしょう。

ただ、この支払いサイトはあまりに長期化してしまうと、売上は計上されているのに入金がされない状態が続き、自社の資金繰りを悪化させることになる点に注意が必要です。

自社が販売する側なら支払いサイトは短いほうがよい理由

売掛先との支払いサイトを決めるとき、仕入れによる代金の決済を行う支払いサイトも考慮した上で考えなければ資金繰りは悪化してしまいます。

支払いはできるだけ遅く、回収はできるだけ早く行うことが、資金繰りを円滑に進める上で必要といわれています。

売掛金を早期に回収できるような支払いサイトを設定できれば、支払いに充てる資金が不足し、どのように資金調達するべきかと頭を悩ませることはなくなるでしょう。

支払いサイトを長く設定してしまうと、回収までに万一、売掛先が倒産してしまえば、売掛金は回収できなくなってしまいます。そうなると貸し倒れとなり、保有していた売掛金は不良債権と化して残ったままになってしまうのです。

このようなリスクを防ぐためにも、支払いサイトはできるだけ早めに設定することが望ましいといえるでしょう。

 

自社が購入側でれば支払いサイトは長いほうがよい

先にも述べたとおり、支払いはできるだけ遅く、回収はできるだけ早く行うことが資金繰り改善に必要です。

たとえば材料や製品などを仕入れる場合、自社は購入側となり、仕入先との支払いサイトを取り決めることになります。

この場合、自社が販売したことにより発生する売掛金が入金される前に、仕入れ代金の支払いが発生することがほとんどです。

しかし本来なら、売掛金が入金された後で、そのお金を仕入れ代金の支払いに充てることができることが望ましいといえます。

仮に売掛金入金後に仕入代金の決済日を設定できなくても入金日に近いほうが、一時的な資金調達でかかる利息などを抑えることが可能です。

そのため、できるだけ仕入先との支払いサイトは長く設定できるような交渉を行うことが望ましいといえるでしょう。

どちらの立場でも支払いサイトを決めるときに心得ておきたいこと

相手が売掛先でも仕入先でも、新規で取引を始めるときの対応が最も重要です。

一旦、支払いサイトを取り決めて契約を結んでしまうと、後に条件を変更してほしいと提案しても思うように交渉は進みません。

もし市場価格が変動したなど、経済などが影響する理由などがあるのなら、価格の変更を踏まえた支払いサイトの変更も交渉しやすくなると考えられます。

しかし単に資金繰りが悪化しやすいからと支払いサイトの変更を申し出てしまうと、資金繰りが悪化していて財務状況が厳しい企業なのでは…と捉えられてしまうこととなり、そのような危ない企業とは早急に取引を見直すべきだと考えられてしまう可能性もあります。

経営不振に陥っていると疑われてしまうことを避けるためにも、支払いサイトは契約当初の段階で、できるだけ自社に有利になるように話を進めておくことが望ましいといえるでしょう。

 

支払いサイトだけでなく回収の管理も重要

仮に売掛先との交渉で支払いサイトは希望通りとなり、契約が成立したとしても、決められた期日に代金の回収ができなければ意味がありません。

企業経営を健全に行うためには、売掛金の回収における管理も重要です。

企業経営における資源には、ヒト・モノ・カネの3つがあります。これらを目的に応じて合理的に管理することが経営管理であり、その補助的システムとして、財務管理・販売管理・在庫管理・生産管理・購買管理、そして売掛金管理があります。

どの売掛先の売掛金を現在保有しており、いつが期日なのか、期日までにしっかり回収できているか、遅れが生じている売掛金があるのなら催促していつまでに支払ってもらうのか確約をとっているかなど、売掛金の管理をしっかりと行うことが必要です。

それにより、材料などの仕入れや、買掛金、経費、人件費の支払い、在庫確保、商品販売という業務がスムーズに行えるようになります。

売掛金はどのように管理するべきか

売掛金の管理を徹底して行うことは、売掛先との取引の安全性を確保し、営業部門の抑制させることに繋がります。

もし売掛先が経営難に陥っていれば、入金予定の期日に代金の支払いが行われなくなる可能性があります。このような状況に陥らないために、定期的に売掛先の信用調査や与信を行い、取引量や取引限度額などを見直すことが必要です。

場合によっては掛け取引は中止し、現金決済に変更してもらうか、取引自体取りやめるといった判断も必要です。

信用調査や与信管理を徹底することで、営業部門が売上を向上させようと支払能力の低い取引先に商品を販売してしまうことも抑制することができます。

営業部門と連携した上での管理を

売掛先の状況は、外部の信用情報機関などからも入手することができますが、直接窓口となっている営業担当者に聞いたほうが早い場合もあります。

営業担当者は日々、売掛先企業に足を運び、企業内の雰囲気やその様子などに直接触れているので、もし資金繰りが悪化していたり、経営不振に陥っている場合など、どこかその雰囲気を感じ取っていると考えられます。

また、売掛金の入金が遅れている売掛先に対しては、営業担当者からも入金してもらえるように上手に促してもらうことが必要です。

そのため、売掛金の管理は売掛先との窓口となる営業部門と連携した体制を構築することが求められるといえるでしょう。

営業部門にも、ただ商品を販売するだけでなく、その代金を回収するまでが一連の流れであると認識してもらうことが大切です。

 

支払いサイトが守られず売掛金回収がうまくいかない理由

決められた支払いサイトが守られることなく、期日までに売掛金の回収ができなかったとしたら、いったい何に問題が生じているか考えてみましょう。

売掛先の財務状況が悪化し、手元に資金がなくて支払えないというのなら、売掛先に大きな問題があると考えられます。

ただ、事業を続けている以上、資金がまったくないということは考えられません。手元の資金が底をつき、何の支払いもできない状態なのであれば、売掛先はとっくに倒産してしまっているはずです。

それなのに自社の売掛金は入金されず、事業は継続できているということは、自社よりも他社の支払いが優先されているとも考えられます。

入金遅れが生じても、それに気づくことなく放置していていれば、売掛先も支払いが多少遅れても何も言ってこない企業だと安心し、他社への支払いを優先させることになるでしょう。

そのようなことを防ぐためにも、売掛金の管理を徹底し、入金の遅れが発生すればすぐにその理由の確認を行い、いつまでに支払ってもらえるのか約束を取り付けることが必要なのです。

売掛先の社内体制に問題があると考えられるいくつかのケース

売掛金の回収がうまくいかない理由として、次のように売掛先の社内体制に問題があることも考えられます。

景気が悪化したときのことまで考えていない

景気が悪くなれば業績が悪化し、これまでの支払いサイトを延ばしてほしいと交渉してくる売掛先も増えるかもしれません。

しかし、いくら景気が悪くても、決められた支払いサイトを守り期日内に支払いを行っている売掛先もあるはずです。そのような売掛先は、景気に左右されず計画性をもった経営ができている企業であるともいえるでしょう。

景気のよいときに安心せず、万一景気が悪化したときのリスクも事前に踏まえた上での社内体制を確立しているからこそ、実際に景気が悪化しても左右されることはないのです。

反対に景気が悪くなれば支払いサイトを延長してほしいと交渉してくる売掛先は、リスク管理が不十分な企業であると判断できます。

営業戦略に問題がある

競争力の乏しい商品を中心に販売していたり、そもそも営業戦略に問題があれば売上は向上することはないでしょう。

営業担当者も打ち出された売上目標を達成することばかりに気をとられ、無理な営業を行い危険な取引先と契約したり、単価を低く設定してしまいがちです。

もし売掛先の資金繰りが悪化しているのなら、このように営業戦略そのものに問題があるのかもしれません。

与信管理が徹底できていない

与信管理をしっかり行っていなかったり、社内に浸透できていないことが理由で、売掛先が回収できない代金が発生していることで、資金難に陥っている可能性もあります。

管理部門と営業部門との連携が整っておらず、協力体制ができていないことで適切に代金が回収できなくなっていたり、必要以上に長い支払いサイトで取引をしているのかもしれません。

 

売掛金の回収がうまくいかないときの奥の手とは?

もし売掛金の支払いサイトも長く設定されてしまっており、回収までに時間がかかる売掛先があるのなら、ファクタリングで支払いサイトを短期化することを検討してみましょう。

ファクタリングとは、保有する売掛金を、ファクタリングを専門に扱う業者に売却して入金される期日よりも先に現金化させる方法のことです。

支払いサイトが長期化していることで、それまでに発生する支払いに充てる資金が不足しがちであり、資金繰りが思うように改善されないという悩みを抱えている中小企業などは少なくありません。

しかしファクタリングを利用すれば、貸し倒れリスクをファクタリング専門業者に移転することもでき、回収の手間や管理からも解放されることになります。

ファクタリングは誰でも利用可能?

ファクタリングは売掛金を保有していなければ利用できません。

また、ファクタリング専門業者によっては、法人が保有する売掛金だけを対象としている場合もあり、個人事業主は利用できないこともあります。

さらに買い取ってもらえる売掛金額に下限が設定されていることもあるので、事前の確認が必要となるでしょう。

なお、個人に対する売掛金はファクタリングの利用対象外ですし、すでに別のファクタリング専門業者で売却した売掛金も利用できません。

さらに売掛金を売却するにあたり、ファクタリング専門業者では審査が行われますので、審査結果によっては買取不可と判断されることもあると理解しておきましょう。

ファクタリングの審査は厳しい?

ファクタリングを利用する際に実施される審査は、利用者ではなく売掛先の信用力を重視して行われます。

そのため、仮に利用する企業の財務状況が悪く、決算書が赤字の場合や、すでに債務超過に陥っている場合なども、売掛先の信用力が高ければ、十分買い取ってもらえる可能性はあるということです。

 

まとめ

売掛金が入金されるまでの支払いサイトが長いと資金繰りが悪化してしまいがちです。そのため、売掛先の経営が良好な状態なのか、常に情報を入手しながら適切な売掛金管理を続けることが重要となります。

支払いサイトは自社が購入する側でも販売する側でも、最初の契約での取り決めが非常に重要です。後で変更したいと思っても、交渉が進まないだけでなく、取引相手に余計な勘ぐりを入れられることになる可能性がありますので、できるだけ新規で契約を結ぶ段階で有利な条件を設定できるように話を進めていきましょう。

また、交渉がうまくいかず、支払いサイトが長く設定されてしまったという場合には、ファクタリングを利用することで短期化させることも可能です。

資金繰りが悪化してしまっている場合などにも有効な資金調達の手法ですので、上手に活用することを検討してみてください。