ファクタリングがおすすめの業種とは?特徴や種類を徹底解説

資金繰りがうまくいかず、何とかして手元のお金を増やさなければならないというときに便利なのが、一般的な業種なら活用できるファクタリング(factoring)です。

いろいろな事業に対応できる資金調達の手法ですが、特にファクタリングを活用するとよいとされる業種を説明します。

ファクタリングに向いている業種の特徴

作業服を着た男女

ファクタリングとは、商取引により保有することとなった売掛金を、ファクタリング会社(ファクター)に売却し現金化させて資金を調達する方法です。

売掛金が入金されるまでの期間が長めの業種などは、手数料を支払ってでも前倒しで売掛金を現金化させたほうがよい場合もあります。

そのためファクタリングに向いている業種の特徴は以下のとおりです。

  1. 売上が偏りやすい業種
  2. 廃業リスクが高い業種
  3. コストが変動しやすい業種
  4. 回収サイトが長めの業種
  5. 支払いサイトが特殊な業種
  6. 人材不足が深刻化している業種

それぞれ説明します。

売上が偏りやすい業種

ファクタリングは、売上が偏りやすい業種が活用するとよいでしょう。

たとえば製造業や建設業などは、売上が偏る傾向が見られます。

製造業では大手が自社製造品をすべて買い上げることもあれば、建設業では大手ゼネコンと専属で下請け契約を結ぶというケースがあります。

この場合、特定の一社が独占して売上の100%を占めることになりますが、仮に取引相手が倒産すれば売上の大部分が貸し倒れとなり、連鎖倒産する恐れは高まります。

そのため売上が偏りやすい業種は、先にファクタリングを使い売掛金を前倒しで回収しておくと安心です。

廃業リスクが高い業種

ファクタリングは、廃業率が高い業種にもおすすめです。

廃業率が高い業種に属していることは、売掛金を回収できなくなるリスクが高いことを意味します。

宿泊業や飲食サービス業、小売業などは廃業率が高いため、売掛先の経営悪化に備えて先に売掛金を現金化しておくと安心です。

コストが変動しやすい業種

ファクタリングは、コストが変動しやすい業種に適しています。

原価率の高い業種では、原価が上がれば経営が圧迫されます。

たとえば運送業などは、燃料費が営業費用の約15%を占めるため、ガソリン代が上がればコスト負担が重くなります。

コストの変動に合わせてファクタリングを活用すれば、スムーズな資金繰りを維持しやすいでしょう。

回収サイトが長めの業種

ファクタリングは、回収サイトが長めの業種におすすめです。

回収サイトとは、請求書発行から代金回収までの期間であり、長期化すれば滞留する売掛金が増えて資金繰りは悪化します。

商習慣に影響を受けるため、業種により回収サイトは様々といえますが、製造業や建設業、卸売業や情報通信業は長めです。

資金繰り改善に向けて、ファクタリングを上手に活用するとよいでしょう。

支払いサイトが特殊な業種

ファクタリングは、支払いサイトが特殊な業種に適しています。

たとえばIT業などは、すべての工程が完了後に報酬が支払われることが多いため、修正や追加発注などでサイクルが乱れることも少なくありません。

建設業にも共通していることですが、このように支払いサイトが特殊な業種は、ファクタリングで柔軟に資金調達して資金繰りを悪化させないようにしてください。

人材不足が深刻化している業種

ファクタリングは、人材不足が深刻化している業種におすすめです。

正社員の人手不足割合が高い業種は、情報サービス業やメンテナンス・警備・検査業、そして建設業です。

日本では少子高齢化が進んでいるため、業種に関係なく人材不足が問題視されています。

人材不足が深刻な業種では、銀行融資のハードルが高くなるため、融資審査に通らない業種こそファクタリングの出番といえます。

ファクタリングがおすすめの業種

建物の前で握手する作業員

ファクタリングで資金調達することが多い業種を挙げると、建設業・サービス業(派遣業やコンサル業など)です。

運送業や製造業などの業種もファクタリングにメリットを感じ、その仕組みに対して高いニーズを持っているといえます。

いずれの業種も共通しているのは、売掛先企業から売掛金が入金されるまでのサイトが長めであること、さらに人件費などの出費が多いといったデメリットを抱える業種です。

以上を踏まえて、ファクタリングがおすすめの業種は主に以下の6つといえます。

  1. 建設業
  2. 運送業
  3. 製造業
  4. 介護・医療業
  5. IT業
  6. 人材派遣業

それぞれ説明します。

資金調達にファクタリングを導入することが多い業種とは?

建設業

ファクタリングの利用が最も多い業種といえるのが建設業です。

案件ごとに規模が大きく、天候などに左右される傾向があることから、作業がときには進まなくなることもあります。

新型コロナウイルスの影響により、作業が延期・中止となった現場もあることでしょう。

建物を建設するためには資材費や工事外注費などが発生しますが、請け負った工事の代金は建築物が完成した後で入金されることになります。

そのため仕入れや人件費などに充てる資金が不足しがちなため、先に売上は計上されているのに入金サイトと支払いサイトのはざまで苦しむことになってしまいます。

特にマンションやビル建設など、規模が大きい工事の場合には作業を細分化させて専門業者に依頼されています。

その工事を取りまとめているのは元請であるゼネコンと呼ばれる企業です。

ゼネコン企業から下請、下請から孫請というピラミッド型の請負構造になっているのも建設業界の特徴といえ、この請負構造の下位層に位置する建設業者ほど発生した売掛金が入金されるまでの期間は長くなりがちです。

さらに発注された仕事を受けるときには、下請業者に対仕事を発注する際の前払い金や材料費の調達を事前に行う必要があります。

ただ建設工事は売掛先が大手ゼネコンであるなど、信頼性が高い売掛金(売掛債権)とみなされやすく、ファクタリングで資金調達する場合でも比較的有利です。

しかも高額な取引となりやすいため、発生する手数料も抑えることが可能になる点が大きなメリットです。

十分な資金調達につながりやすいことに、大きな意味があるといえます。

運送業

運送業界は他業種と比較すると、原価のうち人件費の占める割合が高めであり、車両を維持する際の費用も大きな出費となりやすい業種です。

たとえば燃料費が高騰することもあり、経営状態は安定しているのにガソリンや軽油の価格が高騰したことで、赤字転落することもあります。

さらに定期的に車検などの点検費用・メンテナンス費用・保険料も必要であり、車両台数が多ければドライバーもたくさん雇用することにもなるため人件費もかかります。

所有する車両が出先でトラブルに遭えば、突発的な費用も発生することがあるなど気を抜けない業種であるため、ファクタリングで即日売掛金を現金化すればスムーズに資金調達できます。

また車両も古くなれば買い替えが必要ですが、銀行融資などで運転資金を調達してしまうと、いざ新規でトラックを購入するときの銀行ローン審査に影響してしまいます。

そのような場合に、ファクタリングで運転資金を調達する経営者もいます。

製造業

急に元請から大量の発注をされて、納期は必ず守るようにと伝えられて困ってしまう製造業者もいます。

体力のない中小の工場などは、製造にかかるコストを工面するしかない状況に追われることとなりますが、メーカー側で売れ行きが悪くなれば計画されていた発注がキャンセルされることもあるようです。

それでも元請から取引を停止されたくないと考え、渋々要求に応じるしかない状況にたたされていることもあるでしょう。

製造業は円高や円安の影響を受けやすいため、経済が一度不安定になればその煽りが後々尾を引く可能性もあります。

それに加え製造業は手形などで取引が行われることも多いため、お金が手元に入るまでの期間が長くなり、資金繰りが悪化しやすい状況です。

新型コロナウイルスの影響により、工場が稼働しなくなったというケースも少なくありませんが、このような危機的な事態にこそファクタリングをうまく活用したい業種といえます。

介護・医療業

介護や医療などの業種では、介護報酬や診療報酬を対象としたファクタリングを活用することとなります。

たとえば診療報酬の場合、医療費は診療報酬明細書(レセプト)により支払基金に請求されます。

支払基金は病院から請求されたレセプトが適正か審査し、健康保険組合に診療報酬請求を行います。

介護報酬も同様の流れとなりますが、実際に介護報酬や診療報酬が入金されるまでは2~3か月後となることが多く、その間に人件費や施設維持費に充てるお金が不足しがちです。

いずれにしても公的機関が売掛先となる債権をファクタリング会社に売却することになるため、未払いリスクのない信用力の高い売掛金とみなされます。

社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会などの国や地方公共団体が債務者となるため、債権額とほぼ同額で売却することが可能となるなど損が発生しにくいことが魅力です。

ファクタリング会社としても確実に回収可能となる売掛債権を買取ることになるので、低い手数料で取引ができます。

また売掛先の承諾を得て契約を結ぶことになりますが、相手が国や地方公共団体なので資金繰りが悪化している企業なのか?と余計な勘繰りを入れられることもありませんし、その後の取引に支障をきたすのではないと心配をする必要もありません。

IT業

IT業の場合、案件を引き受けてから完成させるまでの期間が長めであり、完成後に請求書を発送しさらに代金を受け取るまで一定期間があいてしまうので一時的に資金不足に陥りやすいといえます。

ただし変化が激しい業種でもあるため、急に成長が見込めるケースや大きな仕事につながるというビジネスチャンスも発生しやすいことが特徴です。

せっかくのビジネスチャンスを逃さないためにも、すぐに資金が必要なときにはファクタリングを効率よく使うことをおすすめします。

人材派遣業

人材派遣という業種の場合、原価のほとんどは人件費が占めることが多いといえます。

毎月発生する人件費に対し、業務委託など入金までのスパンが数か月かかるという場合、手元の資金だけで運転することは難しくなることもあるでしょう。

資金繰りに頭を悩ませることが多い業種ともいえるので、資金不足が経営を圧迫させることにならないためにも、ファクタリングで迅速な資金調達を行うとよいといえます。

在庫を抱えるわけでもないため、資金繰りには縁がなさそうに感じさせる業種ですが、実際は給料の先払いが発生することもあります。

それに加え、売掛先企業からの入金は数か月後になるなど資金繰りが厳しい業種であることが特徴です。

まとめ

どのような業種でも資金繰りに頭を悩ませてしまうことは多々あるでしょう。手元のお金がなくなり、ついに枯渇すれば倒産してしまうからです。

銀行融資などで運転資金を調達したくても、審査に通らないこともあれば、仮に通った場合でもお金を手元に得るまで時間がかかってしまいます。

今日・明日中にまとまったお金が必要というときには対応できる方法ではありませんが、ファクタリングなら早ければ即日現金化も可能という大きなメリットがあります。

ただし違法な取引を行おうとする業者もいるため、必ず信頼できるファクタリング会社か確認し、問い合わせを行うようにしてください。