企業経営で重要なのはキャッシュフローを予測すること!

会社の将来や資金繰りを考える上でキャッシュフローを予測することは重要なことです。ただ、収支を把握していればよいだけだろうと安易に考えていると思うように進まず、せっかく予測したのに成果が得られない可能性もあるといえます。

これまでのデータを適切に処理し、資金繰りを改善させ次の投資につなげていくことが理想ですが、キャッシュフローの予測を行うことができる会社こそ、将来伸びる可能性が高い状況にあるといえるでしょう。

キャッシュフローを知ることはなぜ重要か

事業活動などで得た収入と、経費などの支出など、現金の流れとそれによりいくら手元に資金が残るかを示すものがキャッシュフローです。

株式会社の場合、期末時点で残高が増えた傾向にあれば市場での評価も高まり、株価も上昇します。それほど重視される項目ともいえますが、現金は事業活動による儲けだけでなく、金融機関からの借り入れや株主から出資を受けた場合でも増えます。

反対に事業を営む上で必要な仕入れ、固定費など経費の支払い、従業員に対する給与の支払いなどで現金は減っていきます。

この現金の流出入をあらわすものがキャッシュフローですが、中でもフリーキャッシュフローがどのくらいあるかが企業経営では重要です。

特に重視したいフリーキャッシュフローとは

企業が本来行う営業活動から得た営業キャッシュフローから、事業を維持するために投資に充てたキャッシュフローを差し引いたものがフリーキャッシュフローです。

事業活動により得た現金の中でも、自由に使用することができる資金なので、安定したフリーキャッシュフローを維持させていきたいところでしょう。

キャッシュフローを予測する際、いかにこのフリーキャッシュフローを生み出すことができるかも考える必要があります。

企業経営において、利益、売掛債権、在庫、仕入債務、減価償却費などは、その後のキャッシュフローを大きく左右する部分であると理解しておきましょう。

キャッシュフローの予測方法

キャッシュフローを予測する際に用いる代表的な考え方は、IRR法・NPV法・DCF法の3つです。

IRR法

・Internal Rate of Returnの略称で、内部収益率法とも呼ばれる

・正味現在価値が0になる際の割引率を確認する

NPV法

・Net Present Valueの略称で、正味現在価値法とも呼ばれる

・特定の期間のディスカウントキャッシュフローから投資額を差し引いて判断する

DCF法

・Discounted Cash Flowの略称

・将来得られる利益(フリーキャッシュフロー)から、リスクなどを差し引いて判断する

それぞれ、どのような考え方なのか、もう少し詳しく説明していきます。

IRR法

IRR法(内部収益率法)とは、正味現在価値(NPV)が0になる際の割引率を確認し、投資した資金に対する利益が、どれくらいの期間で得られるかを把握する手法のことです。

IRR法は、「どれくらいの期間で利益が出るのか」という期間の視点が入っているのが特徴で、短期間で得られる収益を高く評価します。

漠然とフリーキャッシュフローがどのくらいかを予測するのでなく、投資家が重視する収益率の高さまで把握できることが利点です。

NPV法

NPV法(正味現在価値法)とは、特定の期間のディスカウントキャッシュフローから投資額を差し引いてキャッシュフローを予測する手法のことです。

NPV法は、将来のキャッシュフローについて、現在の価値としてどうなのかを評価します。NPVが高いほど、投資価値は高いと判断されます。

NPVは、特にM&Aなどで重視される数値です。

DCF法

DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)とは、将来得られる利益からリスクなどを差し引いて、キャッシュフローを推測する手法のことです。

DCF法は、将来の割引キャッシュフローを把握できるので、企業買収はもちろん、様々な投資のシーンで利用されています。

市場の動向などを踏まえてDCFを具体的に把握できれば、今後、どのように事業展開の舵取りをしていけばよいか判断することも可能です。

大切なのはどのくらいの現金が残るか予測すること

キャッシュフローを予測する際、キャッシュフロー計算書の作成を行います。それにより、資金繰りの状況を把握できるはずです。

損益計算書が示す利益や費用は、会計処理の決まりに従い計上・計算されるため、実際の現金の動きとは異なっています。そのため、損益計算書上は利益が出ていても、手元は資金不足というケースも少なくありません。

大切なのは実際の現金の流れを把握し、どのくらいが手元に残るか知っておくことです。キャッシュフロー計算書はその現金の実際の流れを示すので、事業価値を判断することにも繋がります。

まとめ

フリーキャッシュフローを正しく予測することで、余裕を持った資金繰りで適切な企業経営を実現することができます。

キャッシュフローを予測するには、IRR法・NPV法・DCF法といった手法を使うことが有効です。このような手法は、投資家も利用しているので、投資家目線での自社の価値を客観的に把握できることも有意義でしょう。

「自由にできる現金をどれくらい残せるのか」正しく把握することが、健全経営への近道です。