M&Aを分かりやすく解説|メリット・デメリットから手順・種類まで

1 (1)

「会社の将来をどうするか」「事業をもっと成長させたい」と考えたとき、選択肢の一つとして挙がるのがM&Aです。

かつては大企業が中心でしたが、近年は中小企業でもM&Aの件数が増加しており、経営者にとって身近な戦略となりつつあります。中小企業庁の「中小企業白書2026年版」によると、日本企業のM&A件数は2025年に過去最高の5,115件に達しました。

本記事では、M&Aの基本的な定義からメリット・デメリット、主なスキームの種類、そして実際の流れまでを分かりやすく解説します。M&Aを検討している経営者の方はもちろん、概要を把握したい方にも役立つ内容です。ぜひ最後までお読みください。

M&Aとは

M&Aという言葉は、ビジネスの現場やニュースで見かける機会が増えています。しかし、具体的にどのような意味を持ち、どのような目的で行われるのか、詳しく知らない方も少なくないでしょう。ここでは、M&Aの基本的な定義について確認していきます。

M&Aの定義

M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、日本語では「合併と買収」を意味するビジネス用語です。企業同士の統合や買収だけでなく、株式譲渡や事業譲渡など、経営権や事業を移転・再編する手法を幅広く含む概念でもあります。

M&Aは、事業承継や事業拡大、新規市場への参入など、さまざまな経営課題を解決する手段として活用されています。特に日本の中小企業では、後継者不足を背景とした第三者承継のニーズが高まっており、廃業を回避して事業を存続させるための有効な選択肢です。

後継者不在の企業は約半数ともいわれており、経営者の平均年齢も上昇を続けている現状があります。こうした課題に対し、中小企業庁は「中小M&Aガイドライン」を策定し、中小企業のM&Aを支援する体制づくりを進めている状況です。

M&Aのメリット

M&Aには、売り手側と買い手側の双方にメリットがあります。それぞれの立場から、どのような恩恵が得られるのかを見ていきましょう。

売り手側のメリット

①「会社を未来につなぐ」選択肢

後継者が見つからない場合でも、M&Aによって第三者に事業を引き継ぐことで、会社を存続させることが可能です。廃業を選択すれば、長年築いてきたブランドやノウハウ、顧客基盤が失われてしまいます。M&Aを選ぶことで、これらの経営資源を未来へとつなげられるでしょう。

②社員・取引先を守れる

M&Aによって事業が引き継がれれば、社員の雇用が維持されるケースが一般的です。取引先との契約関係もそのまま継続できるため、関係者への影響を最小限に抑えられます。

③会社がさらに成長する可能性がある

買い手企業の資金力やノウハウ、販売網を活用することで、自社だけでは実現が難しかった事業拡大や新規投資が可能になるケースもあります。グループの一員となることで、経営基盤が強化される点もメリットの一つです。

④経営リスクから解放される

中小企業の経営者の多くは、個人保証(経営者保証)を負っています。M&Aにより株式を譲渡すれば、買い手が保証を引き受ける形で個人保証が解除される場合もあり、経営者個人の負担を軽減できる可能性があります。

買い手側のメリット

①事業・売上を短期間で拡大

自社で一から事業を立ち上げる場合、設備投資や人材育成に多くの時間とコストがかかります。M&Aであれば、すでに稼働している事業を取得できるため、短期間で売上規模を拡大しやすくなるでしょう。

②新規事業・新市場に低リスクで参入

新しい事業領域への参入には、ノウハウ不足や市場の不確実性といったリスクが伴います。既存の事業基盤を持つ企業をM&Aで取得すれば、ゼロからスタートするよりもリスクを抑えた参入が実現しやすくなります。

③シナジー効果

買い手企業と売り手企業が持つ経営資源を組み合わせることで、単独では得られない相乗効果を期待できます。一例として、販売チャネルの共有や、技術力と営業力の融合などが挙げられます。

④技術・ノウハウ・人材を獲得

M&Aを通じて、売り手企業が蓄積してきた専門技術や業界固有のノウハウ、優秀な人材をまとめて獲得できます。採用や育成でこれらの経営資源を手に入れるには多くの時間と費用がかかるため、効率的な手段といえるでしょう。

M&Aのデメリット

メリットがある一方、M&Aにはリスクやデメリットも存在します。売り手側・買い手側それぞれの視点から確認し、事前に対策を講じておくことが重要です。

売り手側のデメリット

①経営の主導権を失う

株式譲渡によって経営権が買い手に移ると、これまで自分の判断で行ってきた経営方針の決定ができなくなります。企業文化や経営理念が変わる可能性もあるため、譲渡後の経営体制について事前に確認しておくことが欠かせません。

②条件次第では思った価格で売れない

M&Aにおける譲渡価格は、企業価値の評価結果と交渉によって決まります。財務状況や業界の動向、買い手との条件交渉の結果によっては、経営者が期待していた金額を下回るケースもあり得るでしょう。

③時間と労力がかかる

M&Aは、相手先の選定から条件交渉、デューデリジェンス(企業調査)、最終契約まで、一般的に6カ月から1年程度の期間を要します。通常の業務と並行して手続きを進めることになるため、経営者の負担が増える点は考慮しておかなければなりません。

買い手側のデメリット

①想定どおりの成果が出ない可能性がある

M&A成立後に、当初見込んでいたシナジー効果が十分に発揮されないケースも存在します。市場環境の変化や、事業計画とのズレによって、期待した収益が得られないリスクを認識しておくことが重要です。

②組織・文化の統合が難しい

異なる企業文化や社内制度を持つ組織を統合する「PMIPost Merger Integration)」は、M&A成功の鍵となる工程です。統合がスムーズに進まなければ、社員のモチベーション低下や業務効率の悪化を招く恐れがあるでしょう。中小企業庁の「中小PMIガイドライン」でも、M&Aで期待どおり以上の成果を得ている企業ほど、PMIの検討を早期(基本合意締結前やDD実施期間中)から開始している傾向が示されています。

③キーパーソン・人材流出のリスク

M&Aをきっかけに、売り手企業の重要な社員が退職してしまうケースも見られます。特に、経営者との信頼関係で業務を回していた中小企業では、経営体制の変化に不安を感じた人材が離職するリスクへの対策が欠かせません。

種類・スキーム

M&Aにはさまざまな手法(スキーム)がありますが、中小企業のM&Aでは主に「株式譲渡」と「事業譲渡」の2つが用いられるのが一般的です。中小企業庁のM&A支援機関登録制度における実績報告によると、株式譲渡が7割強、事業譲渡が2割強を占め、この2つの手法でM&A全体の約9割に達するとの結果が示されています。

株式譲渡(7割強がこれ)

株式譲渡とは、売り手側の株主が保有する株式を買い手側に譲渡し、その対価として代金を受け取る手法です。株主(=オーナー)が株式を売る形になるため、譲渡対価はオーナー個人の手元に入ります。中小企業のM&Aで最も多く用いられており、手続きが比較的シンプルである点が特徴といえるでしょう。

この手法では、株主が変わるだけで会社の法人格はそのまま存続します。そのため、社名や取引先との契約関係、従業員の雇用条件などが原則として引き継がれる仕組みです。事業価値を損なわずに承継できる可能性が高く、事業承継型のM&Aでは特に広く活用されています。

ただし、買い手は会社の全ての権利義務を引き継ぐことになるため、簿外債務(帳簿に載っていない負債)がないかを事前に調査する「デューデリジェンス」の実施が不可欠です。

事業譲渡(不採算部門の切り出し)

事業譲渡とは、会社が営む事業の全部または一部を他の会社に譲渡する手法です。株式譲渡が会社全体の売買であるのに対し、事業譲渡では譲渡する範囲を選べることが特徴といえるでしょう。

例えば、複数の事業を手がける企業が、不採算部門だけを切り出して他社に引き継いでもらうといった使い方が可能です。買い手にとっては、必要な事業や資産だけを取得できるため、不要なリスクを引き継がずに済むメリットがあります。

一方、事業譲渡では取引先との契約や従業員の雇用関係を個別に移転する手続きが必要になるため、株式譲渡と比べると手続きが煩雑になりやすい面もあります。

また、事業・資産を会社が売る形になるため、対価は会社(法人)の口座に入る仕組みです。オーナー個人が受け取るには役員報酬や配当などの手続きが別途必要となり、二重課税の問題が生じる点にも注意が必要です。

さらに、譲渡資産には消費税が課されるため、事前にどれくらいの税負担があるのか把握しておきましょう。

どちらの手法が自社に適しているかは、事業の内容や財務状況、M&Aの目的によって異なるため、専門家と相談しながら判断することをおすすめします。

M&Aの流れ・手順

M&Aには、売り手側と買い手側それぞれに段階的な手順があります。ここでは、M&Aを検討し始めてから成立するまでの一般的な流れを、双方の立場に分けて解説していきましょう。

売り手側の流れ

売り手側のM&Aは、専門家への相談から始まるのが一般的です。M&A仲介会社やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)に相談し、自社の現状や希望条件を共有することからスタートします。なお、相談先としては民間の仲介会社だけでなく、各都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」も利用できるため、まずは気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。

相談後は、自社の企業価値評価(バリュエーション)を実施する段階に進みます。財務内容や事業の将来性、保有資産などを総合的に分析し、適正な譲渡価格の目安を把握するのです。この段階でM&Aの方針や希望条件を固めていきましょう。

方針が決まったら、仲介会社やFAと正式にアドバイザリー契約を締結します。その後、売り手企業の情報をまとめた「企業概要書(IMInformation Memorandum)」を作成し、買い手候補への打診が開始される流れです。

買い手候補が見つかると、トップ面談を経て基本合意書を締結します。その後、買い手によるデューデリジェンス(企業調査)を受け、最終条件の交渉に入ります。条件がまとまれば最終契約(株式譲渡契約または事業譲渡契約)を結び、契約に基づくクロージング(決済・引き渡し)をもってM&Aが成立する流れです。

買い手側の流れ

買い手側も、まずはM&A仲介会社やFAへの相談からスタートするのが一般的です。自社の成長戦略やM&Aの目的を整理し、どのような企業を買収したいのか、業種・規模・地域などの希望条件を明確にすることが重要です。

アドバイザリー契約を締結した後、仲介会社やFAが条件に合う売り手候補を探索する段階に入ります。ノンネームシート(企業名を伏せた概要資料)を通じて候補企業の情報が提示され、興味のある案件については秘密保持契約を結んだ上で企業概要書(IM)を閲覧する流れで行われます。

候補企業を絞り込んだら、経営者同士のトップ面談を実施し、お互いの経営理念や将来のビジョンを確認しましょう。双方が合意に向けた意思を示せば、基本合意書の締結に進むこととなります。

基本合意後は、デューデリジェンスを実施し、財務・法務・税務・事業の各側面から売り手企業を詳細に調査するのが通常の手順です。調査結果を踏まえて最終条件を交渉し、最終契約を締結、クロージングをもってM&Aが成立します。成立後はPMI(経営統合プロセス)に速やかに着手することが成功のポイントとなるでしょう。

株式会社PMG MA PartnersのM&Aの特徴

M&Aを成功させるためには、信頼できるパートナーの存在が欠かせません。株式会社PMG MA Partnersは、PMGグループの一員として中小企業に特化したM&A支援を行っている企業です。

同社の強みは、グループ各社の専門性を生かした「バリューアップ」にあります。M&A戦略の策定からFA業務、デューデリジェンス、そしてPMI支援まで一貫して対応し、企業価値を最大化した上でのマッチングが特徴です。PMGグループには総合経営コンサルティングを手がけるPMG Partnersや、ファクタリング事業を展開するピーエムジー株式会社もあり、財務改善から資金調達まで幅広い経営課題をワンストップで支援できる体制が整っています。

また、成功報酬を基本とした料金体系を採用しており、オーナー様の負担を最小化する設計になっています。同社は、国が創設したM&A支援機関登録制度の登録を受けた支援機関であり、中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」を遵守した支援体制を整えています。M&Aに関心はあるものの「まず相談だけしてみたい」という経営者の方も、気軽にお問い合わせください。

まとめ

M&Aとは「合併と買収」を意味し、事業承継や事業拡大、新規参入など、さまざまな経営課題を解決する手段として活用されています。売り手にとっては会社や従業員の未来をつなぐ選択肢であり、買い手にとっては事業成長を加速させる有効な戦略です。

一方で、経営の主導権を失うリスクや、組織統合の難しさといったデメリットもあります。こうしたリスクを最小限に抑えるためには、自社の状況を正確に把握し、専門家のサポートを受けながら慎重に進めることが重要でしょう。

M&Aに関心をお持ちの方は、まずは信頼できる専門家に相談してみてはいかがでしょうか。株式会社PMG MA Partnersでは、M&Aに関する無料相談を受け付けています。会社の未来について一緒に考えてくれるパートナーとして、ぜひご活用ください。