ファクタリングにリスクはない?適法性と違法業者、悪質な手口の見分け方を解説

ファクタリングにリスクは無いのか、本当に安全な資金調達の方法なのか、不安を感じたままでは利用しにくいでしょう。

ファクタリングと検索すると金融庁が注意喚起しているホームページが表示されていたり、安全でないサービスに感じ、ネガティブなイメージを持ってしまうかもしれません。

しかし国も売掛債権を流動化する資金調達方法の活用を中小企業に推奨しており、債権流動化の方法の1つとされるファクタリングも、決して危険な手段ではなく安全性が認められている方法といえます。

ただ、ファクタリング業界は法整備が十分ではないため、違法業者などが横行しやすく、安全性を欠くリスクもあると考えられます。
そこで、ファクタリングが安全である理由と適法性、違法業者や悪質な手口を見分ける方法について詳しく解説していきます。

その前にファクタリングについて詳しく知りたい方はこちら

ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットを分かりやすく解説

 

ファクタリング利用で考えられるリスク

・取引先に知られてしまう可能性がある

・売掛金が目減りする可能性

・無計画に利用を続けると資金繰りの悪化に繋がる

詳しく説明します。

取引先に知られてしまう可能性がある

ファクタリングの契約の形態によっては取引先に知られてしまう可能性があります。
取引先にファクタリングの利用を知られると、資金繰りに困っている会社と思われ、取引を打ち切られてしまう可能性もあります。
知られてしまう原因は以下のものが挙げられます。

  • 3社間契約
  • 債権譲渡登記有

これらを行わなければ知られるリスクは少ないため安心して利用できます。

売掛金が目減りする可能性

ファクタリングは売掛債権の額面から売買手数料を差し引いた金額を受け取り、取引先からの入金を待たず早期に資金化するため、売掛金の目減りは避けられません。
ファクタリングを利用する上で留意しておきましょう。

無計画に利用を続けると資金繰りの悪化に繋がる

ァクタリングは本来の売掛金の支払期日まで待っていれば全額を受け取ることができます。
前述の目減りとも繋がりますが、本来より受け取れる金額が少なくなってしまうことから利益が少なくなってしまうため、「融資が降りるまでのつなぎ」、「先出資金の多い大型案件を受けるために資金が必要」など、将来的に利用しなくても良い状況をつくるために計画的に利用を進めましょう。
計画的にファクタリングを利用するために資金繰り表を作成したりするのも効果的です。
キャッシュフローを正しく理解し、いつ資金不足に陥ることが多いのか明確にしておきましょう。

 

 

ファクタリングが安全で違法でない根拠

ファクタリングというサービス自体が安全である根拠として次のことが挙げられます。

  • 経済産業省も推奨している
  • ファクタリング会社が裁判でも勝訴している

詳しく説明していきます。

経済産業省も推奨している

ファクタリングが違法ではなく安全であると言える理由のひとつに、経済産業省が債権の流動化を推奨していることが挙げられます。資金調達の方法を多様化することで、その時々の状況にあった方法で窮地に陥ることなく経営していけます。

債権流動化を行うことで、手元にキャッシュがなく「新規受注の先出し費用が支払えない」などのリスクを回避することができます。
債権を流動化する方法としては以下のものがあります。
・手形割引
・売掛債権担保融資
・ファクタリング
・ストラクチャードファイナンス
以上の4種の中でもファクタリングは、たとえ赤字や債務超過でも利用できるサービスです。
売掛金を売却して早期に資金化するため、利用を検討している企業の信用度ではなく、売掛先(債務者)の信用情報を重視します。
詳しくはこちらをご覧ください。

債権流動化とファクタリングの違いは?メリットや種類をわかりやすく解説

ファクタリング会社が裁判でも勝訴している

ファクタリングと検索しても出てくる違法や怖い、ヤバイといった内容が多いと感じた方も多いのではないでしょうか。

しかし前述にもある通り、ファクタリング自体は違法ではありません。
その裏付けとして、ファクタリング契約中にトラブルが起き裁判になっても、ファクタリング会社が勝訴している事例があります。
融資の金利などに比べ、ファクタリングは売買手数料が高く設定されていますが、それは売掛先の倒産などにより貸倒れが発生したとしても、ファクタリング会社がそのリスクを負っているためです。

出資法で定められている上限金利の年20%を超える法外な契約でない限り、出資法違反や利息制限法違反、公序良俗に反すなどの主張は棄却されています。

ファクタリングの安全性が疑われる理由

ファクタリングは危険な取引でも危ない資金調達の方法でもありませんが、安全性が疑われてしまう理由として、次の3つが挙げられるでしょう。

  1. 違法業者が横行しやすい環境
  2. 摘発された業者が存在する
  3. 給与ファクタリングに対する注意喚起されている

それぞれの理由について説明します。

違法業者が横行しやすい環境

ファクタリングの安全性が疑われる理由として、違法業者が横行しやすい環境であることが挙げられます。
先にも説明したとおり、ファクタリング業界は貸金業法の規制は及ばない環境であり、法規制も十分ではありません。
そのため貸金業登録を行わず、表向きはファクタリングと装い、売掛債権の買い取りとみせかけて資金を貸し付けるヤミ金融業者などが横行しやすくなっています。

摘発された業者が存在する

ファクタリングの安全性が疑われる理由として、摘発された業者が存在することが挙げられます。
2021年2月5日には、中小企業に対し、法外な金利を設定して金銭を貸し付けた一般社団法人ハートフルライフ協会の幹部数名が逮捕されています。
表向きはファクタリングを装い、売掛金を回収できなくても返済負担はないと説明していたのにもかかわらず、期日に支払いがないことを理由に売掛債権額を超える返済を求めていました。
一般社団法人は公共性の高い法人だと安心し、契約してしまったと予測されます。
しかし違法な行為を行う業者も紛れている可能性も考え、十分に実績などがあるか確認した上で契約を結ぶべきといえます。

給与ファクタリングに対する注意が喚起されている

ファクタリングの安全性が疑われる理由として、給与ファクタリングに対する注意喚起がされていることが挙げられます。
金融庁は、事業者向けのファクタリングのスキームを個人に当てはめ、給与(賃金債権)を給料日前に買い取り給料支払い後に個人を通じて資金を回収する給与ファクタリングに対する注意喚起を呼び掛けています。
給与ファクタリングは貸金業であり、財務局長または都道府県知事の登録が必要ですが、多くが未登録のヤミ金融業者です。
そもそも事業向けのファクタリングとはまったく異なるサービスであるため、利用しないようにしてください。

安全なファクタリング会社と違法業者の見分け方

ファクタリングは安全な資金調達の方法ではあるものの、中には中小企業の経営者をターゲットに法外な貸付を行う違法業者や悪質な取引を行う業者も存在します。
そのためファクタリングを利用するときには、安全なファクタリング会社と違法業者の見極めが重要です。
どのファクタリング会社が安全で信頼できるか見分けるために、次の4つを確認するようにしてください。

  1. 審査の内容
  2. 売買手数料の相場との差
  3. 償還請求権の有無
  4. ジャンプ提案の有無
  5. 契約書の控えを渡してくれない

それぞれ確認のポイントを説明します。

審査の内容

安全なファクタリング会社か見分けるために、審査の内容を確認しましょう。
ファクタリング会社では、ファクタリングの申し込みがあれば必ず審査を行います。

仮に審査なしで売掛金を現金化してしまうと、すぐに売掛先が倒産し債権が回収できなくなる場合もあれば、利用者が回収した売掛金を持ち逃げする可能性もあるからです。
また、買い取りを依頼された売掛金が本当に存在しているか、ファクタリング会社側も十分見極めなければ、架空の債権を買い取ってしまうリスクもあるといえます。
売掛金の買取可否や買い取る際に売買手数料を決めるため、詐欺などのリスクを回避するために審査は必ず行われるため、審査なしでの契約は絶対にありません

もしも書類の提出や情報の提供など何も求められず、十分な審査を行わずに契約可能という場合には、違法業者である可能性が高いため契約しないようにしてください。

売買手数料の相場との差

安全なファクタリング会社か見分けるために、提案された売買手数料と相場にどのくらいの差があるか確認しましょう。
一般的な相場を大きく上回る高い売買手数料を設定されているときだけでなく、安すぎる売買手数料にも注意が必要です。

2社間ファクタリングの売買手数料相場は10~20%

3社間ファクタリングは1~9%が目安となります。

たとえば2社間ファクタリングで契約するのに売買手数料が5%で設定されると、安く抑えることができたことに喜びを感じることでしょう。
しかしファクタリング会社側のコストや抱えるリスクを考慮すると、2社間ファクタリングで5%の売買手数料設定はなにかしらの事情があるため注意しましょう。しかし例外として、キャンペーンや期間限定で特別価格で利用できる場合もあります。

ファクタリングでは次の行為があったときには悪質業者と判断できます。

  1. 売買手数料の積み増し
  2. 費用の追加

それぞれ説明します。

売買手数料の積み増し

見積もりの段階で提示された売買手数料とは別に、契約するタイミングで売買手数料を積み増しされたときには、悪質業者と疑うことが必要です。
できるだけ見積もり段階では売買手数料を安くしたほうが契約に至りやすいため、審査では売掛先の信用力を確認せず、契約の際に様々な理由をつけて費用を積み増ししていきます。
積み増しの名目として、初回利用や即日振り込むこと、売掛先の信用力が不足していることなどを理由に挙げてくることが多いようです。

費用の追加

見積もり段階では安すぎる売買手数料が設定されていた場合でも、後で本来のファクタリングには存在しない保証金や手付金など、架空の追加費用を請求される可能性もあります。
どれほど売買手数料が安くても、費用が追加されれば意味がありません。
そもそも保証金や手付金などはファクタリングに存在しない費用のため、追加で要求されたときには悪徳業者と判断することができます。

償還請求権の有無

一般的な売掛金の買取ファクタリングであれば、償還請求権なし(ノンリコース)の契約を結ぶことになります。
ファクタリングにおける償還請求権とは、利用後に売掛先が倒産した場合の弁済責任を利用者に求めることです。
償還請求権なしのファクタリングであれば、売掛先の倒産で売掛金が回収できなくなっても、利用者が返済する必要はありません。
そもそも償還請求権ありの契約は貸金業者しか扱うことができないため、一般的なファクタリング会社では償還請求権なしの契約を結びます。
しかし、悪徳業者の場合、貸金業登録していないにもかかわらず、償還請求権ありの契約を結び、万一のリスクを利用者に負わせようとします。

ジャンプ提案の有無

ファクタリング契約(債権の売買契約)では、債務不履行になった場合、分割による売掛金支払いや、支払いを待つ代わりに手数料を支払うジャンプによる返済、売掛金を買い戻す行為などは法律違反です。
しかし悪徳業者のなかには、売掛金の分割払いやジャンプも可能とするケースがあるようですが、これらの行為は融資とみなされるため貸金業登録している業者でなければ扱うことはできません。未登録の業者であれば明らかにヤミ金融業者と見抜くことができます。
分割やジャンプによる支払いは資金不足を解消できなくなり、キャッシュフローをさらに悪化させることになるため注意してください。
また、貸金業登録していない業者が利用者に同額の金銭を返済させる金銭消費貸借契約(金消契約)に切り替える行為も違法となります。

契約書の控えを渡してくれない

契約書の控えを渡してくれない場合や、コピーをとらせてくれない場合は違法業者である可能性があります。
契約書を当事者と同数必ず作成しなければならないという法律はないため、控えがなかったとしても、コピーをとったり、写真を撮ることを拒否される場合は何か事情がある可能性があります。
なにかトラブルがあったときの証拠として原本でないと信用性が薄くなってしまいますが、契約の内容が手元に一切ない状態になることは避けた方が良いでしょう。

安全なファクタリング会社を選ぶポイント

ファクタリングを利用した資金調達では、悪徳業者ではなく、安全なファクタリングを選ぶことが必須となります。
ファクタリング業界は法整備が十分ではないため、表向きはファクタリングを装いながら法外な金利で資金を貸し付けるヤミ金融業者なども潜んでいる可能性があります。
悪質業者やヤミ金融業者と契約してしまい、被害に遭わないためにも次の5つのポイントを押さえた上で、安全なファクタリング会社を選ぶようにしましょう。

  1. 審査の柔軟性
  2. 売買手数料の妥当性
  3. 現金化までの日数
  4. 買取額に下限・上限の有無
  5. 債権譲渡登記の有無

それぞれのポイントを説明します。

審査の柔軟性

安全なファクタリング会社を選ぶポイントとして、審査の柔軟性は確認しましょう。
審査が柔軟であるファクタリング会社でなければ、事情など考慮してもらうことも親身な対応も期待できないでしょう。
ただし電話のみであったり、審査時間が極端に短い、審査もせず契約できるほどの甘すぎる対応は、悪徳業者である可能性が高いため注意してください。
さらに審査の柔軟性といっても、安全なファクタリング会社でも契約するために必要な書類はそれぞれあるため留意しておきましょう。
必要書類について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

ファクタリングは通帳なしでも利用できるの?通帳の役割と必要書類について

売買手数料の妥当性

安全なファクタリング会社を選ぶポイントとして、売買手数料の妥当性を確認しましょう。
ファクタリング会社に支払う売買手数料の相場は、

  • 2社間ファクタリング…10~20%
  • 3社間ファクタリング…1~9%

となっています。
売掛債権額や売掛先の信用力など、様々な項目を審査した上で決定するため、多少前後するものの大きく上回る売買手数料は注意が必要です。

現金化までの日数

安全なファクタリング会社を選ぶポイントとして、現金化までの日数も確認しましょう。
ファクタリング会社によって、最短で即日現金化を可能とする場合もあれば、3営業日以内という場合もあります。
スピードを重視する場合には、できるだけはやく現金化を可能とするファクタリング会社を選ぶことがポイントです。

買取額に下限・上限の有無

安全なファクタリング会社を選ぶポイントとして、買取額に下限や上限がないか確認しておきましょう。
仮に買取可能額の下限が300万円のファクタリング会社を選んでしまうと、100万円や200万円の売掛債権を保有していても、申し込みできません。
中小企業や個人事業主の場合、少額債権をファクタリングに利用したいケースも少なくないため、利用できる金額の範囲は確認しておいたほうが安心です。

債権譲渡登記の有無

安全なファクタリング会社を選ぶポイントとして、債権譲渡登記の有無も確認しておきましょう。
2社間ファクタリングで契約する場合、二重譲渡など防ぐために債権譲渡登記を必須とするファクタリング会社もあります。
債権譲渡登記した後は、その情報を誰でも閲覧することが可能となるため、売掛先や取引銀行にファクタリング利用を知られるリスクも発生します。
また、登記にかかる費用も別途、利用者が負担することになるため、十分な資金調達につながりにくくなってしまうでしょう。

 

まとめ

ファクタリングで資金を調達したくても、本当に安全な取引なのか不安を抱えたままでは利用しにくいはずです。
しかし法的にも認められた方法であり、根拠もあるため、危険な手段ではなく安全性が認められているといえます。
注意したいのはファクタリング業界の法整備が十分ではないことであり、実際、違法業者やヤミ金融業者などが横行しやすい環境です。
安全性を欠くリスクもあると考えられるため、ファクタリングを利用するときには、安心して相談できる正規のファクタリング会社選びが重要といえます。
とはいえ経営者の方は常に忙しく優良なファクタリング会社を選ぶ時間を確保するのは難しいでしょう。
ぜひ独立系ファクタリング会社のなかで最大手であるPMGへご相談ください。