給料(給与)ファクタリングは債権の売買ではなく貸金?その実態とは


保有する売掛金を売却し、現金化することで資金調達が可能となるファクタリングですが、個人を対象とした給料(給与)ファクタリングの存在が問題視されています。

独立行政法人国民生活センターでは、給料(給与)をファクタリング取引に活用しようとするヤミ金融業者の存在に注意するように警告しています。

勤務先から支払われる給料債権を売れば、その代金を受け取ることが可能と宣伝する給料(給与)ファクタリングで、高額な手数料や強引な取り立て被害が発生しているからです。

給料(給与)ファクタリングを行う業者は、あくまでも債権を買取るだけなので貸し付けではないとしていますが、実態は貸金業であり借金を増やすことと同じです。

貸金業法の登録をせず給料(給与)ファクタリングを業として行っているのはヤミ金融業者ですので、決して利用しないようにしてください。

 

給料ファクタリングの流れ

個人が勤務先から受け取る給料をファクタリングにより現金化させる給料(給与)ファクタリング給料を前借りするような感覚で利用してみたいと考える方もいることでしょう。

その主な流れは、

  1. 個人から給料ファクタリング業者に対し、賃金債権である給料(給与)を売却(譲渡)する
  2. 給料ファクタリング業者から個人に、手数料を差し引いた金額が支払われる
  3. 勤務先から個人に給料(給与)が支払われる
  4. 個人から給料ファクタリング業者へ、手数料を含めた金額(受け取った給料分)を支払う

となります。

しかしこの流れにおいて、悪質な詐欺まがいの行為で個人を騙そうとする業者の存在が問題となっているため注意してください。

 

違法業者を対象とした初の摘発!

2020年7月29日に大阪府警生活経済課は、給料を支給日前に受け取ることが可能であるとうたい、無登録で金銭の貸し付けを行ったコンサルタント会社「SONマネジメント」(東京都)の社員男女4人を貸金業法違反(無登録営業)の疑いで逮捕しました。

この給料ファクタリングで摘発された事件は全国初ですが、逮捕容疑として2020年3~6月に、国や東京都の登録を受けず個人の男性2人に計20万円を貸し付けた疑いとされています。

現在は新型コロナウイルスの影響により、仕事がなくなり生活が苦しくなった方も少なくありません。そのような事情を踏まえた上で、相談してきた個人にファクタリングとうたい金銭を貸し付けたようです。

 

そもそもファクタリングとは?

本来のファクタリングとは、企業が保有する売掛金(売掛債権)を第三者に譲渡し、代わりに現金を受け取る仕組みを指しています。中小企業が資金調達の策として利用しているものであり、高い評価を得ていることが特徴です。

その買取ファクタリングの個人向けサービスとして落とし込んだものが給料(給与)ファクタリングで、会社などに在籍している方が利用しています。

 

事業者向けのファクタリングとの違いとは?

通常の事業者向けのファクタリングであれば、債権を売却する売買契約による資金調達なので借金にはなりません。

しかしサラリーマンなどが将来受け取る給料も勤務先に対する債権とみなした給料(給与)ファクタリングの場合、給料債権から差し引く手数料は実質的には利息に該当すると判断されました。

個人が活用できる資金調達の方法を紹介したサイトなどでも、ランキングにのることはありませんし口コミなどでも評判がよいということはないはずです。

今回摘発された業者の設定した手数料も、年利換算すると630~1,620%という法定上限である年利15~20%を大幅に上回った内容でした。

本来のファクタリングなら売掛金を対象としているので、ファクタリング会社(ファクター)ではその売掛債権をいくらで買取りできるか査定し、相場に見合う手数料を設定します。

摘発された業者では査定らしい査定は行っておらず、そもそも一般的なファクタリングとは異なり貸金業なので、法定上限を守った利息を設定することが必要です。

 

被害に遭わないように注意を

法外な年利の設定で出資法違反容疑にも該当するといえますが、ブラックでも可能といううたい文句が特徴でノンバンクなどから融資を受けることができない方を対象としており、強引な取り立てなどによる被害が相次いでいます。

いずれにしても、貸金業登録を受けずに給料(給与)ファクタリングを行うことは違法な行為ですので、無登録業者であるヤミ金融業者を利用すると高額な手数料を支払わされてしまうと認識しておくべきでしょう。

 

給料(給与)ファクタリングが広まった理由

通常であれば個人が現金を入手する際に挙げられるのは、銀行やノンバンクから融資を受ける方法です。

しかしすでに複数の金融業者などからお金を借りていて、融資審査に通らない状態では資金を調達できません。

複数からお金を借りており、自転車操業のようなことを繰り返していると、返済に遅れが生じ信用情報に傷がついている状態=ブラック入りしている場合もあるでしょう。

しかし給料(給与)ファクタリングでは、このようにどこからもお金を借りることができないブラックの方でも対象としています。

お金を入手するための方法の裏道として活用されており、正規の貸金業者や銀行からお金を借りることができず、ヤミ金融業者に頼らなければならない状態の方が利用できる方法として知られるようになりました。

ただ、そもそもどこからもお金を借りることができず信用情報に問題が多い方が、法外ともいえる費用を負担して給料ファクタリングを利用しても何の意味もありません。

本来、債権の譲渡そのものには違法性はないものの、違法な取立てや過度な手数料がヤミ金融業者の手口に酷似している業者も存在します。

すべての業者が悪質なサービスを提供しているわけではないものの、法的な整備が整っておらず貸金業のように登録制度もないファクタリング業者そのものを、グレーなサービスとして捉える方もいるようです。

ただこのようなファクタリング業に関する批判は、通常のファクタリングに対する風評被害ともいえます。

そのため日本ファクタリング業界で金融庁に違法性の照会を行い、違法と言い切れる法律は制定されていないものの給料ファクタリングの仕組みそのものは認められず、貸金業に該当すると考えられると訴えました。

そして給料(給与)ファクタリングは貸金と認められたことで、貸金業登録を行っていない業者がサービスとして提供すれば、それはヤミ金融業者が行う違法な取引となるとされたのです。

 

給料債権を資金調達に使うリスク

勤務先から給与を受け取っている個人なら、誰でも給料(給与)ファクタリングを利用することはできるでしょう。

しかし貸金業法に抵触する可能性があるとされた今、安易に利用することはおすすめできませんし、仮に利用する場合でも貸金業登録を行っている業者でなければ契約してはいけません。

事業者を対象とするファクタリングでも、ファクタリング業界には登録制度は設けられていないため、その環境を悪用し過度な取り立てや法外な手数料の搾取しようとする悪徳業者は存在しています。

特に給料(給与)ファクタリングの場合、給与の引き渡しが遅れたことにより勤務先にまで取り立ての電話がかかったという事例もあるようなので要注意です。

 

もしもすでに利用しているなら

もしも給料(給与)ファクタリングをすでに利用してしまっている場合、弁護士や司法書士に過払い金請求の対象にならないか相談してみましょう。

取り立てに悩んでいる場合にも、弁護士や司法書士が介入したことが業者に伝われば、利用した個人に直接請求してくることはなくなるはずです。

ただし給料(給与)ファクタリングでこれまで個人を騙し、金銭を貸し付けていた悪徳な業者も、今回の摘発をきっかけに事業を撤退する可能性があります。

そのため無茶な取り立てを行う可能性も否定できませんので、早めの対処が必要となるでしょう。

  • 借金ではないため利息ゼロ
  • ブラックでも即日現金化

といった誘い文句にはくれぐれも注意するようにして、貸金業登録を受けていない給料(給与)ファクタリング業者とは契約しないようにしてください。

年利に換算すると。数百から千%を超える高額な手数料を支払わされてしまう可能性があると留意しておくべきです。

給料(給与)ファクタリングの被害に遭った場合や、ヤミ金融業者からお金を借り取り立てなどで困っているのなら、まずは最寄りの警察署に相談するようにしてください。

 

まとめ

給料(給与)ファクタリングは個人が利用できる唯一のファクタリングとして知られていますが、違法性の高い取引も少なくありません。

あくまでも債権の売買ではなく、金銭の貸し付けであり、中小企業などが支払いに充てるための資金調達に活用する買取ファクタリングとは別のものです。

事業者が利用するファクタリングでも安全とは言い切れず、悪徳業者による悪質な行為が問題となることがありますが、個人を対象とする給料(給与)ファクタリングはそれよりもさらにリスクが高いといえますので注意してください。

中小企業で資金調達に悩みファクタリングを利用する場合でも、土日はネットでの受付は可能など柔軟で信頼できるファクタリング会社を選ぶことが大切だと認識しておいてください。