黒字倒産とは、損益計算書は利益が出ていて黒字なのに、資金繰りがうまくいかず手元の資金不足で事業を継続できなくなることです。
帳簿上に問題はなく、むしろ利益を生み出している状態のため、倒産リスクに気がつきにくいといえます。
そこで、黒字倒産とは何か、意味や原因・防ぐ方法をわかりやすく解説します。
中小企業経営者向け!

黒字倒産とは
そもそも黒字倒産とは何か、倒産や赤字との違いも含めて説明します。
- 倒産とは
- 黒字倒産の意味
- 赤字が倒産に直結しない
上記3点を順に確認していきましょう。
倒産とは
「倒産」とは、企業が債務を支払うことができない状態に陥ったときや、経済活動を継続できなくなった状態を指す言葉として使われています。
さらに定義として、次の2つに分類されます。
- 法的倒産 再建型(会社更生法・民事再生法)・清算型(破産・特別清算)
- 私的倒産 銀行取引停止・内整理
企業の資金繰りが悪化し、支払い能力を失っている状態が倒産であり、「経営破綻」や「破綻」など経営に行き詰ったことを意味する言葉と同義語として使われることもあります。
黒字倒産の意味
「黒字倒産」とは、帳簿上は利益を生むことができているのに、支払いに充てるお金が手元になく支払い能力を失っていることで事業を継続できなくなった状態です。
例えば売掛金が入金されず、支払いに充てるお金が不足しているときや、売上が奮わずに不良在庫を抱えてしまったときなどに起きてしまいやすいといえます。
起業したばかりの時期は、売上が現金化されるまで時間がかかるため、手元の現金が枯渇しやすく黒字倒産リスクが高い状態です。
赤字が倒産に直結しない
会社が倒産しそうなときは、利益も出ずに赤字続きの状態をイメージする方もいるでしょうが、実際に赤字だからといって倒産するとは限りません。
仮に損益計算書上は赤字だとしても、支払いに充てる資金が手元にあれば、資金繰りに困ることがないからです。
あくまでも会社が倒産するのは、黒字や赤字であることではなく、手元の資金が十分あるか不足しているかによって決まります。
黒字倒産する原因
なぜ黒字倒産してしまうのか、主な原因を4つ取り上げます。
- 売掛金の回収に問題がある
- 過剰に在庫を抱えている
- キャッシュフローを把握できていない
- 設備投資に問題がある
売掛金の回収に問題がある
後日入金される予定の売掛金が、期日になっても売掛先から支払われなければ、手元資金が不足しやすくなります。
入出金のタイミングが適切でなく、売掛金入金の前に多額の資金が流出してしまうことも黒字倒産の原因です。
過剰に在庫を抱えている
商品を仕入れるとき、収益化できる見込みを立てておかなければ、過剰に在庫を抱えます。
なかなか収益化できない不良在庫が過剰にあると、現金流出により黒字倒産することがあります。
キャッシュフローを把握できていない
黒字倒産を防止するには、損益よりも現金の出入りのほうが重要です。
キャッシュフローが把握できていないと必要なときに資金調達ができなくなります。
貸借対照表や損益計算書だけでなく、キャッシュフロー計算書などで資金の流れを把握しておくことも重要です。
設備投資に問題がある
設備投資がうまくいかず、当初の計画通り回収できないことも原因です。
設備投資の回収には時間がかかることから、多額の設備投資で失敗したときは資金不足により黒字倒産に陥りやすくなります。
黒字倒産しやすい業種
東京商工リサーチの「「退出法人(倒産+休廃業・解散)」動向調査」によると、2022年の法人企業退出(倒産・休廃業・解散)件数は47,578件でした。
このうち、最も多いのがサービス業他の13,812件、次いで建設業の7,228件です。
いずれの業種も例年、退出件数の多い業種となっています。
サービス業その他が多いのは新規開業の件数が多い一方で、入れ替わりが激しいのが要因の1つといえます。
なお、倒産・休廃業・解散の件数が多い業種のなかでも、建設業は黒字倒産しやすい業種です。
工事には多額の経費がかかるものの、完成するまで報酬を受け取れないためです。
また、予実の差が発生しやすく長期の工事や経済状況の変化などで予算を超える可能性があることや、業界特有の入出金サイクルがあることも理由といえます。
その他、在庫を抱える製造業・卸売業・小売業なども黒字倒産しやすく、業種に関係なく従業員数の少ない小規模企業もリスクが高いといえるでしょう。
黒字倒産を防ぐ方法
黒字倒産してしまうことを防ぐために、キャッシュフローをプラス維持できる経営を以下により心掛けることが必要です。
- キャッシュフローの管理を徹底する
- 売上と費用のバランスを調整する
- 入金・支払いのサイトを見直す
- 資産管理を徹底する
- 資金調達方法を強化しておく
それぞれ説明します。
キャッシュフローの管理を徹底する
収入と支出のバランスを確認し、支払いが多く手元の資金が不足しそうなタイミングには、何らかの方法で資金調達する計画も立てておきましょう。
収支バランスが悪化している場合には、その原因を洗い出し改善することも検討してください。
販売した商品の代金がいつ・いくら入金されるのか、仕入れ代金もいつ・いくら支払うのか、資金繰り表を作成し将来的な入出金を先に記載しておくことが必要です。
売上と費用のバランスを調整する
売上を向上させることは大切なことですが、仕入れなどの経費が多くかかりすぎれば利益は出ません。
利益を多く得ることができる売上と経費のバランスを保つことができれば、手元のキャッシュフローにも余裕が生まれます。
仮に売掛金などの回収トラブルが発生した場合でも、キャッシュフローが潤っていればある程度対処できます。
入金・支払いのサイトを見直す
資金繰りの円滑化には、入金はできるだけ早く、支払いはできるだけ遅くすることが必要です。
仕入れ代金の支払いサイトと売掛金の入金サイトを見直すことで、資金繰りは楽になります。
ただし、仕入れ代金の支払いを遅らせてもらうことや、売掛代金を早く支払ってもらうことは、取引先に協力してもらうことが必要です。
交渉することで、資金繰りが悪化している状態にあることを勘繰られてしまい、その後の取引に影響が出ないとも言い切れません。
安易に交渉するのではなく、取引量や単価など取引先にメリットがある内容に変えるなどの対応も必要になると考えられます。
資産管理を徹底する
仕入れた商品が在庫となり、販売して現金化されるまでには一定の時間がかかります。
そのため過剰に在庫を抱えれば、売れ残り価値を低下させた状態のまま抱えるリスクが高くなるため、適切な在庫管理を行うことが大切です。
不良在庫を抱えることは、管理費などのコストもかかるため、早めに処分するなどの対応が求められます。
また、使わない資産のうち、現金化できるものは売却して手元のお金を増やしたほうがよい場合もあります。
付き合いで購入したゴルフ会員権や株式などは、価値が低下するリスクを抱えています。
眠ったままの土地や建物なども、管理費や固定資産税など保有するだけでコストが発生します。
事業に影響を与えず使用していない資産は、現金化して手元の資金を増やすことを検討しましょう。
資金調達方法を強化しておく
キャッシュフロー管理の中で、資金不足に陥りそうなタイミングのとき、すぐに銀行から融資を受けて資金調達できるとは限りません。
必要なタイミングで必要な金額を調達できなければ、黒字倒産してしまうリスクが高くなるでしょう。
資金調達の方法を銀行融資一択に絞るのではなく、調達先を多様化しておくことで資金調達方法が強化できます。
まとめ
黒字倒産とは、損益計算書では利益が出ているのに、手元のキャッシュフローに問題があり倒産してしまうことです。
収支バランスが悪く、在庫管理が適切でない場合など、黒字倒産するリスクを高めてしまうといえます。
黒字倒産を回避するためには、手元の現金の流れを把握し、管理を徹底することが重要です。
もしも手元の資金が不足してしまいそうなときには、手遅れとなり黒字倒産する前に、ファクタリングなどで資金調達することも検討しましょう。
PMGでも、売掛債権早期資金化事業を軸に金融支援サービスを提供しているため、の早期回収はお気軽にご相談ください。
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