法人税は、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に納付しなければなりません。会社によって異なることもあり、うっかり納付期限が過ぎてしまうこともあるでしょう。今回は、法人税の納付期限を過ぎた場合のペナルティを、対処法とあわせてご紹介します。
法人税の納付期限はいつ?ペナルティはある?
法人税には納付期限があり、期限を過ぎるとペナルティがあります。滞納を続けていると、最終的には資産を差し押さえられ、納付に充てられる仕組みです。
法人税の納付期限とペナルティについて下記2点を解説します。
- 法人税の納付期限は「事業年度終了日の翌日からの2ヶ月以内」
- 納付期限を過ぎた場合に課されるペナルティ
法人税の納付期限は「事業年度終了日の翌日からの2ヶ月以内」
法人税の納付期限は、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。申告と納付、どちらも2ヶ月以内に行わなければなりません。所得税の申告期限とは異なるため注意しましょう。
例えば9月30日が決算日の法人の場合、11月30日までに申告と納付が必要です。2ヶ月後が土日祝日の閉庁日にあたる場合、翌開庁日が期限となります。11月30日が土曜日だった場合、月曜日の12月2日までに申告を行います。
なお、前期法人税額が20万円を超えた場合に必要な中間申告の期限は、事業年度の半年を経過した日から2ヶ月後です。9月30日が決算日の法人では、5月31日が期限になります。
納付期限を過ぎた場合に課されるペナルティ
法人税の納付期限を過ぎた場合には、さまざまなペナルティが課せられます。納付されない場合には、最終的に差し押さえに至ります。
納付期限を過ぎた場合どうなるのか、順を追って解説いたします。
督促や催促を受ける
納付期限までに申告・納税が行なわれていない場合、滞納扱いとなります。税務署から督促状が送られてきて、電話や訪問で催促を受けます。
なお、督促状は差し押さえに向けて必要な手続きです。滞納後2週間から1ヶ月程度で届くことが多いでしょう。
納付期限を過ぎるとペナルティが発生する
納付期限を過ぎた場合には、ペナルティを受けることとなります。
まず、申告期限を過ぎた場合の、無申告加算税の発生です。申告・納付のどちらも期限を過ぎていると、納期限の翌日より延滞税も加算されます。また、意図的に過少申告していたことが明らかになった場合には、重加算税が加算されることもあります。
納付期限までに申告できなかったことが2期続けば、青色申告の承認取り消しです。税制メリットを受けられなくなるため、ペナルティのひとつといえます。
財産調査が入る
法人税の申告・納付が行われない場合には、差し押さえになります。そのため、税務署は督促と並行し、差し押さえの準備として財産調査を行います。
財産調査は、法人に換金できる資産がどの程度あるかを調査するものです。調査結果をもとに、差し押さえる財産を決定します。
差し押さえられる
再三の督促にもかかわらず依然として応じない場合には、法人の財産が差し押さえられます。差し押さえられた財産は現金化され、法人税の支払いに充てられます。
融資を受けられなくなる
差し押さえは、会社の信用にも大きく関わります。以降、金融機関からの融資は難しくなるでしょう。資金繰りが困難になり、法人の存続に関わるケースも少なくありません。
法人税の納付期限を延長できる場合がある
法人税には納付期限がありますが、下記3つの条件に当てはまる場合には申請により納付期限を延長できます。
- 国税庁が指定した地域や対象者である場合
- やむを得ない事情がある場合
- 会社の定款により、決算が確定しない場合
申告期限を延長すれば、無申告加算税を回避することも可能です。
国税庁が指定した地域や対象者である場合
国税庁が、法人税の申告や納付が困難であると判断した場合に申告期限が延長されます。例えば、災害などの予測できない問題が生じた場合です。
国税庁が指定する地域や対象者は、申告期限・納付期限が自動的に延長されます。対象は官報で確認可能で、申請手続きは必要ありません。
やむを得ない事情がある場合
国税庁から指定されない場合でも、災害などの影響で申告が困難な場合、申請により申告期限の延長が認められることもあります。「申告期限の延長の特例」です。
例えば、以下のようなケースです。
・経理担当部署が機能していない
・税務依頼先の税理士事務所が業務できなくなった
・会社が正常に機能していない
申告期限の延長の特例を受けるには、事業年度の終了日までに申請が必要です。
近年では災害のほか、新型コロナウイルス感染症の影響でも個別の申告期限延長が認められています。新型コロナウイルス感染症では、経理担当者や家族が感染し、業務が停止する例も多く見られたために設けられた対応です。
会社の定款により、決算が確定しない場合
会社の決算が確定しないことも、延長の理由として認められることがあります。
会計監査を受けなければならないケースでは、監査が終わるまで決算が確定しないため、延長の対象です。
また、株主総会の招集が事業年度終了後3ヶ月以内と定款にある場合には、申告期限内に決算が確定しないため、延長が認められます。
ただし、この場合は申告期限のみが延長されますが、納税期限は変わらないため、納税日まで利子税が発生します。無申告税も利子税も回避するには、見込み納税を行うなどの対処が必要です。
納付期限を過ぎた場合の納付方法
法人税の納付期限を過ぎた場合や、登録口座で振替ができなかった場合の納付方法を2つ紹介します。
- キャッシュレス納付
- それ以外の納付
なお、納付期限を過ぎた分については、延滞税が発生します。
キャッシュレス納付
法人税をはじめ国税の納付は、自宅やオフィスから利用できるキャッシュレス決済により支払うことが可能です。
ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
e-Taxにて事前にダイレクト納付口座の届出をしておき、口座引き落としで納税する方法です。
納税額のある「申告等データ」「納付情報データ」を送信するとメッセージボックスに届く納付区分番号通知から、当日もしくは指定した日に納付手続きができます。手数料はかかりません。
インターネットバンキングやATMでの納付
e-Taxを使用している方は、インターネットバンキングからの納付も可能です。e-Taxソフトのメッセージボックスに届く納付区分番号通知からインターネットバンキングに接続し、手続きを行います。
インターネットバンキングの環境がない場合には、納付区分番号を利用して、ATMからのPay-easy(ペイジー)支払いに対応した金融機関からの納付もできます。
クレジットカード納付
「国税スマートフォン決済専用サイト」からクレジットカードで納付することも可能です。納付手続きを行った日が納付日になります。納税額に応じ、決済手数料が発生する点には注意が必要です。
なお、税務署や金融機関などの窓口では、クレジットカードの利用はできません。
スマホアプリでの納付
「国税スマートフォン決済専用サイト」を利用すれば、スマートフォンの決済アプリでの決済も可能です。30万円以下の納付が対象で、決済手数料はかかりません。
ただし、決済アプリの残高からの支払いのみになります。また、決済アプリのアカウントにより利用額上限があるため、事前に支払い可能かどうか、設定などを確認しておきましょう。
それ以外の納付
領収書が必要な場合など、法人税をキャッシュレス決済ではなく現金で支払いたい場合には、以下の納付方法があります。
QRコードを利用するコンビニ納付
納付額が30万円以下の場合には、QRコードによるコンビニ納付が可能です。
国税庁のホームページにある「コンビニ納付用QRコード作成専用画面」もしくは、「確定申告書等作成コーナー」(申告書と同時作成)から作成した専用のQRコードを利用してコンビニ端末で納付書を作成し、レジで支払います。
納付書を使用する納付
金融機関や管轄の税務署では、納付書による納付が可能です。納付書がない場合には用意されているものを使用しましょう。
まとめ
法人税の納付期限が過ぎてしまうと、納期限の翌日より滞納となり、無申告加算税や延滞税が発生します。督促後も支払っていない場合には、差し押さえにより徴収されます。差し押さえになると社会的信用を失い事業が立ち行かなくなるため、すぐに対処しましょう。
法人税を滞納する前に支払いたいものの資金が不足していて、何とか資金を調達したいと考えている方は、PMGまでご相談ください。PMGでは、銀行からの融資をはじめ様々な資金調達方法について相談を受け付けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。