法人税の延滞金が発生するケースとは?支払えない場合の対処法を解説

法人税は、決算月の2か月以内に抑えることが必要ですが、納付できなかった場合には延滞金が発生します。

納めなければならない税金は法人税に限ったことではなく、期限までに納付できず滞納すればペナルティとして延滞金が発生し、余計な出費が発生すると理解しておくべきでしょう。

しかし法人税を払えず、延滞金が発生するとわかっていても手元にお金がなければ納めることはできません。

そこで、法人税で延滞金が発生するケースと、納めることができないときにはどのような対処法があるのか簡単に解説していきます。

法人税等の延滞金の種類

 

「法人税」とは、企業活動で得た所得に対して課税される税金であり、税率は以下のとおりです。

普通法人・一般社団法人等・人格のない社団等…23.2%(ただし資本金1億円以下の普通法人・一般社団法人等・人格のない社団等の所得金額のうち年800万円以下の金額については15%)

期限通りに納めることができないときに発生するペナルティは、

  • 国税または地方税のどちらか
  • 税法上の手続きの有無

により、次のいずれかに該当するか変わります。

  1. 延滞税
  2. 延滞金
  3. 利子税

それぞれ解説していきます。

延滞税

「延滞税」は税務署に対して納める「国税」です。

税金を納めることを忘れていた場合や、税法上の手続を踏まなかったことで納付期限を過ぎてしまったときに課税されます。

延滞金

「延滞金」は、納付期限を過ぎたときに課税される自治体に対して納める「地方税」ですが、次の2つに区分されています。

  • 申告書提出期限の延長手続をしていない場合…延滞金
  • 申告書提出期限の延長手続を行っている場合…納期限の延長に係る延滞金

利子税

「利子税」は、納付期限を過ぎたときに課税される「国税」で、申告書の延長手続や所得税・相続税などの延納手続を行っている場合に課税されます。

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延滞金の損金算入の可否

延滞金は、税法上の手続の有無で損金算入できるか変わるため、以下の2つに分けてそれぞれ説明していきます。

  1. 延滞税・延滞金
  2. 利子税

延滞税・延滞金

延滞税と延滞金は、国や自治体の課すペナルティという位置づけとなるため、損金算入は認められず、経費として計上することはできません。

利子税

納期限延長による延滞金と利子税は、税法上の手続を行った上で発生するため、事業活動で必要な経費として計上できます。

延滞金が発生するケース

延滞税と延滞金が課税されるのは納付期限までに納付しなかった場合ですが、具体的には次の2つのケースです。

  • 納付期限までに税金を納めていなかったとき
  • 税務調査などで税金が増額されているのに納付期限までに納めていなかったとき

納付期限までに納付していない場合、納期限から納付日までの期間に応じた延滞金が発生すると留意しておいてください。

延滞金の計算方法

延滞金の計算は、次の2つ方法で計算できます。

納付するべき本税額×延滞税率×延滞期間=延滞税額

ただし以下のどちらに該当するかによって、適用される税率が異なります。

  1. 国税(法人税・消費税)の延滞税率
  2. 地方税(法人府民税・法人事業税・法人市民税)の延滞税率

それぞれの計算方法について説明していきます。

国税(法人税・消費税)の延滞税率

国税(法人税・消費税)の税率は、次の2つに分けて考えることが必要です。

  1. 納期限の翌日から2月を経過する日まで
  2. 納期限の翌日から2月を経過した日以後

本税額が1万円未満であれば延滞税はかからず、延滞期間は納期限翌日から完納日までで計算し、計算結果が1千円未満の場合は納付義務がありません。

税率についてそれぞれ説明していきます。

納期限の翌日から2月を経過する日まで

納期限の翌日から2月を経過する日までの場合は、次の2つのどちらか低い税率が適用されます。

  • 年7.3%
  • 特例基準割合+1%

ただし次の特例により芸減されます。

  • 令和4年1月1日から令和5年12月31日まで…年2.4%
  • 令和3年1月1日から令和3年12月31日まで…年2.5%

令和3年1月1日以後については、「利子税特例基準割合」も定められており、それによると「平均貸付割合+0.5%」になります。

納期限の翌日から2月を経過した日以後

納期限の翌日から2月を経過した日以後は、次の2つのどちらか低い割合が適用されます。

  • 年14.6%
  • 特例基準割合+7.3%

ただし、令和3年1月1日以後の期間は、以下の通りとなります。

  • 令和4年1月1日から令和5年12月31日まで…年8.7%
  • 令和3年1月1日から令和3年12月31日まで…年8.8%

地方税(法人府民税・法人事業税・法人市民税)の延滞税率

地方税(法人府民税・法人事業税・法人市民税)の場合に適用される税率は以下のとおりです。

    1.納期限翌日から1月を経過する日までは次のどちらか低い割合

  • 年7.3%
  • 特例基準割合+1%

    2.納期限翌日から1月を経過した日以後はどちらか低い割合

    • 年14.6%
    • 特例基準割合+7.3%

    なお、納付税額が2千円未満のときや、計算した延滞税額が1千円未満の場合は納税義務がないとされています。

    法人税滞納への対処法

    法人税を滞納してしまった場合には延滞金が発生することになるため、本来であれば納付期限までに納めることが基本です。

    しかし手元にお金が残らず、期限までに納めることができなかったときには次の2つの対処法を検討しましょう。

    1. 申告期限を延長してもらう
    2. 資金調達する

    それぞれの対処法について説明していきます。

    申告期限を延長してもらう

    税法上の手続を行った場合においても、納付期限を過ぎれば、申告期限の延長による延滞金や利子税は発生します。

    そのため申告書提出前に、前もって予測した税額を納付しておくことも可能です。

    納付期限までに法人所得がどのくらいか計算できていない場合、前もって予測して納めておいた見込納付額が少ないと、不足分に対し利子税が発生します。

    そのため、できるだけ多く見込納付しておくことにより、実際の法人税より納め過ぎた分は後で還付してもらうことができます。

    資金調達する

    法人税を滞納してしまった場合、延滞金を含めたすべての税金を納めることが必要です。

    納期限を過ぎれば過ぎるほど、延滞金は増えていくため、早期に納めるための資金を調達しましょう。

    しかし実際には、資金調達できなかったから法人税を滞納してしまったというケースも少なくありません。

    日本政策金融金庫や民間銀行から融資を受けて資金調達したくても、税金を遅れず納めているか必ず確認されるため、納期限通りに納めていなければ審査に通らないと考えられます。

    法人税を納めることができない状況で滞納していれば、借入れによる資金調達を頼ることは現実的に困難です。

    しかし「ファクタリング」なら、税金を滞納していても資金調達に活用できます。

    ファクタリングとは、企業が保有している期日到来前の売掛金を、ファクタリング会社に売って現金化する資金調達方法です。

    お金を借りるのではなく、保有する売掛債権という資産をお金に換える方法であるため、決算書の見た目を悪化させることもありません。

    通常、事業者間取引で発生した売掛金は、入金されるまで1~2か月先になってしまいますが、ファクタリングを利用すれば最短で即日現金に換えることが可能です。

    ファクタリングで売掛金を現金化し、納税資金に充てることで法人税の滞納問題を解決することができます。

    ファクタリングの利用方法とは?仕組みと注意点について簡単に解説

    まとめ

    法人税を滞納していると、納期限を過ぎた分だけ延滞金が発生します。

    ただでさえ税金負担が重い中で、無駄な税金は1円でも払いたくないと考えるものでしょう。

    もし納税資金が手元にない場合において、まだ回収していない1~2か月先に入金される予定の売掛金があるのなら、前倒しで現金化できるファクタリングをうまく活用することをおすすめします。