運送業の資金調達方法7選!資金繰りを改善するポイントを解説

運送業は売掛金が振り込まれるまでに時間がかかり、その間に燃料費や維持費などの経費が発生することから、資金繰りが悪化しやすい傾向があります。

今回は運送業の資金繰りを改善するポイントについて解説します。

運送業の資金繰りの現状

運送業は資金繰りが悪化しやすい環境にあります。具体的には次の5つの課題を抱えています。

  1. 売上が不安定
  2. 入金サイトが長め
  3. 利益率が低め
  4. 突発的な出費が発生しやすい
  5. 維持費・経費が多め

それぞれどのような課題を抱えているのか説明していきます。

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売上が不安定

運送業は、売上が不安定であるという課題を抱えているため、資金繰りが悪化しやすい環境にあります。

繁忙期と閑散期など、季節や時期によって売上の変動が大きく、急激に収益が伸びる時期もあればそうでない季節もあります。

また、物流は景気と連動する傾向が見られるため、急激に景気が冷え込めば売上もそれにともない落ち込み、反対に経済政策で景気が上向きになれば伸びやすいといえるでしょう。

そのため資金繰り管理ができていなければ、資金がショートしやすい環境にあるといえるため、事前の対策が必要です。

入金サイトが長め

運送業は、入金サイトが長めであるという課題を抱えているため、資金繰りが悪化しやすい環境にあります。

仕事を受注し、報酬を受け取るまでの期間が長めであるため、入金までの間に先行する支払いに悩まされがちです。

そのため資金繰りを改善させるためには、入金サイトを短期化することが必要といえるでしょう。

利益率が低め

運送業は、利益率が低めであるという課題を抱えているため、資金繰りが悪化しやすい環境にあります。

建設業同様に、運送業も重層下請構造にある業界で、下請から孫請など仕事が次々に発注されます。

次の下請へと発注される際にはマージンが差し引かれるため、下請に位置するほど受け取る報酬も少なくなります。

また、他の業種よりも利益率が低く、赤字経営を続けているケースもめずらしくありません。

人材不足が深刻化している業界でありながら、インターネットの普及でECサイト利用者は増えてるため、個別配送などは増大し仕事は増えています。

そのため業務効率が低下すれば、利益率が下がることにつながるため、結果として入金されるお金や手元に残る現金が少なくなり資金繰りが悪化してしまいます。

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突発的な出費が発生しやすい

運送業の大きな特徴として、トラブルが起こりやすいこと、トラブルによって出費が発生しやすいことが挙げられます。

トラックを使って荷物を運ぶ上で、運送中の交通事故リスクは避けられません。

仮に交通事故が起きてしまうと、被害者や荷物に対する賠償金が発生することになるなど、突発的な出費が発生してしまいます。

維持費・経費が多め

運送業は、維持費・経費が多く発生しやすいという課題を抱えているため、資金繰りが悪化しやすい環境にあります。

世界的な燃料価格の高騰で、燃油サーチャージ導入するなど荷主に対する理解を求めているの状況であるものの、質の高いサービス継続が必要といえます。

しかし人手不足が解消されない中で、サービスの質を向上させることは困難であることも少なくないため、経費ばかりがかさみやすいのが現状です。

さらにトラックという自動車を使う仕事である以上は、定期的な点検やメンテナンス・車検・自動車保険への加入なども必要になります。

維持費もかさみやすく、手元にお金を残しにくいことから、資金繰りが悪化しやすいといえるでしょう。

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運送業の資金繰りを改善するポイント

運送業の資金繰りを改善するためには、以下の3点が重要です。

  1. 小口の取引を増やす
  2. 業務効率を改善する
  3. 入金サイトについて交渉する

小口の取引を増やす

運送業の資金繰りを改善するためには、小口の取引を増やすことが大切です。結果的に同じ額の売上を上げる場合でも、大口の取引より小口の取引を増やした方が資金繰りは改善しやすいです。

具体例を紹介します。

①売上が500万円×(入金が3ヶ月の売掛先)1社=500万円
②売上が50万円×(入金が1〜3ヶ月の売掛先)10社=500万円

①の場合は500万円を得られるまでに3ヶ月かかり、その間は手元にお金が入りません。3ヶ月の間にキャッシュが不足し、資金繰りに苦しむ可能性もあります。一方で、②の場合は3ヶ月の間に50万円がこまめに入金されるため、資金繰りが悪化するリスクを抑えられるのです。

売掛先が1社だけの場合は、売掛先が倒産した場合のリスクも大きくなります。①の場合で売掛先が1社倒産すると、500万円の損失となります。②の場合だと売掛先が1社倒産しても、450万円は入金されるため資金繰りへの影響を抑えられます。

このように小口の取引を増やすと、資金繰りが安定しやすくなります。運送業は入金サイトが長くなりやすいため、こまめに入金が行われる小口取引は特に重要です。

業務効率を改善する

業務効率を改善すれば、短時間でより多くの利益を生み出せるため、資金繰りの改善につながります。業務効率を改善する方法としては、デジタコ(デジタルタコメーター)の導入がおすすめです。

デジタコとは「GPSの位置情報」「急加速・急減速の回数」「エンジンの回転数」「ドアの開閉の回数」などのデータを記録できるアイテムです。これらのデータをもとに以下を把握することができます。

  • 法定速度を守っているか
  • 長時間労働をしていないか
  • 配送経路

ドライバーの労働環境の把握につながり、改善点を見つけ出すことが可能です。よりよい配送経路を考えたり、不必要な人件費を削減したりすれば、資金繰りの改善にもつながるでしょう。

入金サイトについて交渉する

売掛先に入金サイトについて交渉し、なるべく早く入金を行ってもらうことも大切です。一般的に運送業は、売掛金の支払いが3ヶ月後になるケースが多いです。入金サイトが3ヶ月以上の売掛先がある場合は、期間を短くしてもらえないか交渉しましょう。

期間を短縮してもらうのが難しい場合は、運送価格を割引するといった売掛先に有利な条件を提示するのもおすすめです。

運送業におすすめの資金調達方法7選

運送業におすすめの資金調達方法は、以下の7つです。

  1. 日本政策金融公庫の融資
  2. 信用保証付き融資
  3. プロパー融資
  4. ノンバンク融資
  5. 助成金・補助金
  6. 事業用クレジットカードの利用
  7. ファクタリング

それぞれどのような資金調達方法か説明していきます。

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日本政策金融公庫の融資

運送業の資金調達で活用したいのが「日本政策金融公庫」の融資です。

日本政策金融公庫とは、政府系金融機関の1つであり、政府公認の金融機関といえます。

国が100%株式を保有し運営しているため、民間の銀行とは異なる立ち位置で次の3つの役割を担います。

  • セーフティネット機能の発揮…自然災害や経済環境の変化などによるセーフティネット需要に機動的に対処すること
  • 日本経済成長・発展への貢献…新しい事業の創出・事業再生・海外展開や農林水産業の新たな展開などニーズに対し適切に対応すること
  • 地域活性化への貢献…民間金融機関と連携し地域プロジェクトに参画するなどの地域活性化に貢献すること

以上のことから、日本政策金融公庫の融資制度は、銀行や信用金庫など民間の金融機関から融資を受けにくい事業者を支援する仕組みとなっていることが特徴といえるでしょう。

民間の銀行から融資を受けたくても審査が厳しく通らないという場合でも、日本政策金融公庫の融資制度なら借入れできる可能性があります。

適用される金利・融資限度額・融資期間などはどの制度を活用するかによって異なるため、詳細は日本政策金融公庫の公式サイト「融資制度一覧から探す」から確認してみることをおすすめします。

信用保証付き融資

運送業の資金調達で活用したいのが「信用保証付き融資」です。

日本政策金融公庫で融資を受け、資金調達したことをきっかけに事業が軌道に乗ってきたら、民間の銀行から融資を受けたいと考えることもあるでしょう。

この場合、公的機関である信用保証協会から保証を受けることで、審査に通りやすくなる仕組みが「信用保証付き融資」です。

信用保証協会には保証料を支払うことが必要ではあるものの、もしも返済できなかった場合には借金を肩代わりしてくれます。

そのため資金を貸し付ける銀行も安心して融資を実行しやすくなるため、審査に通りやすくなるといえるでしょう。

信用保証付き融資は、銀行や信用金庫を窓口とするため、取引銀行とのつながりを深めることにもつながります。

融資を受けた後は、遅れることなく返済を続け、実績を積み重ねれば次のプロパー融資につながる可能性も高まるといえます。

プロパー融資

運送業の資金調達で活用したいのが民間銀行の「プロパー融資」です。

プロパー融資とは、銀行独自の責任で資金を貸し付ける仕組みになっているため、返済されなかったときの貸し倒れリスクは銀行が負うことになります。

そのため審査は非常に厳しく、業績や実績、財務状況など様々な項目で信用力が高いと認められなければ貸し付けてはもらえません。

信用保証付き融資との違いは、金利や融資限度額です。

プロパー融資は融資限度額がなく、金利も1%以下であるなど好条件で融資を受けることができます。

また、信用保証協会を通さないため、保証料も発生せずコストを抑えた資金調達が可能になり、銀行独自の融資可否判断により融資実行までの時間も短めです。

様々なメリットがあるプロパー融資ですが、先にも述べたとおり審査はかなり厳しいことは留意しておく必要があるといえます。

ノンバンク融資

信販会社やクレジットカード会社、ビジネスローン会社などの貸金業者からの融資がノンバンク融資に該当します。審査はそれほど厳しくないため、上記の審査に落ちた場合でも利用できる可能性があります。審査にかかる時間も短く、即日の融資が可能なケースも多いです。

しかし、金利が高めであるため将来的に経営を圧迫する原因となりやすい点には注意しましょう。

法人が融資を受ける際に、経営者保証(経営者が法人の融資の連帯保証人となること)を求められる場合があります。会社が倒産した際に、経営者に負債が残ってしまう可能性がある点にも注意が必要です。

助成金・補助金

国や自治体では、中小企業や経営が悪化している企業を対象に、助成金や補助金の制度を設けています。助成金や補助金を利用するメリットは返済の義務が発生しないことです。

融資に比べると、得られる金額は少なめです。助成金や補助金だけで資金繰りを改善するのは難しいかもしれません。

返済にかかる負担を減らすために、融資とあわせて利用することを検討してみてください。

事業用クレジットカードの活用

事業用クレジットカードで経費の支払いを行うのもおすすめです。手元に運転資金がない場合でも支払いが可能になるため、一時的に資金不足を解消できる可能性があります。

しかし、支払いを先送りにしているだけなので、後々資金繰りを悪化させる要因になるかもしれません。一時的に手元に資金がない場合の対応として効果的と考えておきましょう。

ファクタリング

運送業の資金調達で活用したいのが「ファクタリング」です。

ファクタリングとは、商取引で発生した売掛債権を、期日到来前にファクタリング会社に売って換金するサービスです。

商取引で発生する売掛金は、ファクタリング会社に売ることでお金に換えることができます。

発生している報酬を請求後、入金までの期間が1ヶ月や2ヶ月先である場合、その間に先行する買掛金や経費の支払いに充てるお金が必要です。

売掛金が入金されれば、支払いに充てるお金を確保できる場合でも、すぐに手元の現金は増えないという場合にこそファクタリングを活用するタイミングといえます。

ファクタリング会社の行う審査では、お金を借りる方法と違って売掛先の信用力が重視されます。

そのため運送業に見られがちな赤字経営や債務超過にある状況でも、信頼性の高い売掛金を保有していれば利用できることがメリットです。

ファクタリングは入金サイトが長期化しやすい業種や、突発的なお金が必要になりやすい業界と相性がよい資金調達の方法であるため、運送業とも相性バツグンといえます。

借入れではないため負債も増えず、2社間ファクタリングを利用すれば利用者とファクタリング会社だけで契約が完結するため、元請けや取引先に売掛債権を譲渡したことを知られず資金調達できます。

ただしファクタリングは手数料が高めに設定されやすく、2社間ファクタリングでは10~20%が手数料割合の相場です。

長期で利用すると反対に資金繰りが悪化してしまうリスクがあることや、悪徳業者が横行しやすい環境でもあるため、信頼できるファクタリング会社と契約することが成功のポイントと認識しておきましょう。

資金調達コストを抑えるためにも、信用力の高い売掛金がある場合、2社間ファクタリングでもできる限り手数料を安く設定できるファクタリング会社を選ぶことも重要です。

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まとめ

運送業は資金繰りが悪化しやすい業種です。小口取引を増やしたり、入金サイトについて交渉したりして、手元に資金が残りやすい状態を作りましょう。

多額の負債を抱えてしまった場合は、各種資金調達方法を実践するのもおすすめです。その中でもファクタリングは、運送業との相性がよく資金繰りを改善しやすいです。

ファクタリングの利用を検討している方は、ぜひPMGにご相談ください。PMGではファクタリングによる資金調達のサポートを行っています。細やかにアドバイスを行いつつ、資金調達を進めていけるため、お気軽にお声がけください。