資金繰りが厳しいとは、何らかの原因により、出金額が入金額を上回ってしまう状態のことで、手元の資金が極めて少ないことを意味します。事業はうまくいっているものの、金回りがよくないと感じたことはないでしょうか。
今回は、なぜ資金繰りで苦しむのか、資金繰りが厳しくなる会社の特徴や改善させるための資金調達方法を解説していきます。
目次
資金繰りが苦しい会社の特徴
資金繰りが苦しくなる会社の特徴を4つ取り上げます。
- 利益率が悪化している
- 在庫管理に問題がある
- 売掛金や買掛金を管理できていない
- 資金繰りの管理に問題がある
利益率が悪化している
利益より損失が多い赤字のケースだけでなく、利益率の悪化も資金繰りを苦しくします。売上があるにもかかわらず資金繰りに問題が生じているときは、利益が十分に出ているか疑った方がよいでしょう。
利益率とは売上に対する利益の割合のことです。以下のような利益率があり、最終的な利益率を当期純利益といいます。
- 売上総利益率(売上原価に対する利益の割合)
- 営業利益率(売上総利益に販売費及び一般管理費を加味した利益の割合)
- 経常利益率(営業利益に営業外損益を加味した利益の割合)
- 税引前当期純利益(経常利益に特別損益を加味した利益の割合)
- 当期純利益(税引前当期純利益に法人税等を加味した利益の割合)
利益率が悪い原因として考えられるのが、原材料の高騰や人件費の増加、適正価格で売価を設定できていないなどです。利益が出ないと手元の資金も減少していきます。
在庫管理に問題がある
商品や製品の在庫も資金繰りに影響する要素の1つです。在庫を抱えるということは商品を仕入れることのため、仕入によって現金が流出してしまいます。
通常であれば仕入れた商品や製品を販売することで現金を回収できますが、過剰在庫があると現金化は円滑に行われません。在庫が多いと倉庫の管理や人件費などにもコストが発生することから、過剰な在庫を抱えたままだと資金繰りが悪化しやすいです。
売掛金や買掛金を管理できていない
売掛金より買掛金が多いと支払いが増えるなど、売掛金と買掛金のバランスは資金繰りに影響を与えます。また、売掛金と買掛金の額自体に問題はなくても、買掛金の支払いサイクルが早く、売掛金の支払いサイクルが長いと資金繰りは苦しくなりやすいです。
さらに、売掛金などの売上債権には貸倒れといって回収できない、あるいは回収が極めて困難になるリスクもあります。支払額や受取額だけでなく、支払いや回収のサイクルを把握し適切に管理できていない会社は資金繰りの問題を抱えやすいです。
資金繰りの管理に問題がある
入金や出金といった資金の流れを把握できていないことも資金繰り悪化の原因になります。資金の波を把握できずに必要なときに資金調達ができなくなるためです。返済計画が立てられないなどの理由で融資審査にも影響を与えることがあります。
報告書や資金繰り表などで資金繰りを把握できる体制が構築されていない会社などでは資金繰りの管理問題から資金繰り悪化を招きやすいです。
資金ショートを防ぐにはどうする?対策5選
資金ショートとは、支払いのためのお金が不足してしまうことです。資金繰り悪化からの資金ショートを防止する方法を5つ紹介します。
- 固定費を削減する
- 適正量を仕入れる
- 在庫管理を徹底する
- 生産性を向上させる
- 資金繰り表を作成して管理する
固定費を削減する
固定費として挙げられるものは色々ありますが、まずは人件費の見直しから検討してみましょう。
人件費を見直す
従業員1人あたりにどのくらいのコストがかかり、どのくらい生産できているのか判断することが必要です。
今の人員で足りているのか、反対に人を雇用し過ぎていることはないか、適正な人員を確保することが必要となります。
固定資産を見直す
機械や車両など、不要な固定資産を抱えていないかも確認してみてください。無駄な資産の購入資金に対する返済が資金繰りを圧迫している場合もあります。
不要であると判断される固定資産があるのなら処分して資金化することも方法の1つです。リースバックで一度売却し引き続きリース物件として賃借を検討することもできます。
適正量を仕入れる
原材料の仕入れを必要以上に行えば、当然資金繰りの悪化に繋がります。受注が増えるかもしれないと見込生産を行う場合など、その見込みを誤れば必要以上の仕入れが発生してしまいます。ニーズの予測や生産計画をしっかりと立てておくことが必要でしょう。
そして仕入れの見込みが少なすぎた場合、急激に大量の受注が舞い込み仕入れを増やさなければならなくなると、仕入れ費用が膨れ上がり支払いが増えます。入金されるまでの間に資金が枯渇して倒産してしまうケースもあるので注意してください。
在庫管理を徹底する
倉庫の中に売れる頻度の高いものもあれば、まとめ買いで安く購入したのに残ったままのものもあるのかもしれません。
売れる頻度の高いものは在庫切れになりやすいので、不足で納期が延びるといった問題が起きないように管理が必要ですし、流れを途切れさせないように注意が必要です。
あまり出番のないものは、最小ロットで購入したのに使いきれず残っている場合もあれば、お買い得でまとめて買ったのに使用する機会を失っていることもあるでしょう。いざ調達しようと思えば時間が掛かるのでひとまず在庫として保管しているものもあるかもしれません。
機会があまりないことから、在庫として残っていることを知らず、必要なときのまた同じものを購入してしまい、在庫を増やすといったトラブルも起こりがちです。
このような問題が起きないためには、倉庫内の在庫管理を徹底して行うことが必要となります。さらに販売頻度の低いものをまとめ買いで安い単価で手に入れたとしても、使わないのであれば管理と保管にかかるコストが増えてしまい意味がありません。
適正な在庫量を確保しておくことを徹底し、管理を行うようにしてください。
生産性を向上させる
生産効率も資金繰りに影響を与えやすいです。生産効率が悪く経費が多く発生していないか、無駄な業務で効率が落ちていないか精査します。
原因が明確でないときはプロセスを見直すのが適切です。他にも労働環境の見直しやデジタル化によって生産性を改善できることがあります。
資金繰り表を作成して管理する
資金繰り表の作成も資金ショートの防止に役立ちます。資金繰り表とは、一定期間の現金収支を表形式で示したものです。
将来発生する入出金を予測し、そのタイミングに不足が生じないように、資金をどのように調達するのか先回りで検討できます。
最低でも3ヶ月先の資金の動きを予測しておくことで、資金ショートが目前に迫るといった事態になる前に対策を練ることが可能です。
予算と実績にズレが生じてしまった場合には、何を過大に見積もってしまっていたのかその要因を洗い出すようにしましょう。
予測と管理を繰り返すことで精度の高い資金繰り表を作成することが可能となるでしょうし、確実性も高まるはずです。
なお、日本政策金融公庫からはエクセル版でダウンロードして利用できる資金繰り表もあります。作成が難しい場合は、以下のようなテンプレートを活用するのもおすすめです。
製造業は資金繰りが悪化しやすい
製造業は、製品を生産するための原材料や機械の購入が必要です。事業がスムーズに進み収益が出たとしても、より多くの利益を得る機会を逃さないために新たな設備投資を要します。原材料の価格変動や単価の安い海外企業との価格競争にも巻き込まれやすいです。
また、仕入れにかかる代金、外注費、人件費、諸経費、それらすべての支払いは製品を完成させ販売し、その代金を請求して入金されるよりも前に発生してしまいます。
支払いが先行することは、他業種でも変わりありませんが、製造業の場合、回収までの期間が長くなりがちであることが大きな特徴です。取引先からの入金に遅れが見られるケースもめずらしいことではなく、資金繰りが一時的に悪化することもあります。
中小企業ができる資金調達の方法
もし資金繰り表で手元の資金の管理を行っていく中で、資金が不足し何らかの方法で資金調達が必要となったとき、どのような方法で対策を練ればよいでしょう。
真っ先に思い浮かぶのは銀行融資だと考えられますが、申し込みから審査まで時間がかかるので、急いで資金が必要という場合など突発的な資金調達には向かない手法です。
ノンバンクから借り入れをすれば即日融資が可能となり、急な資金調達にも対応できると考えるかもしれません。ノンバンクからの借り入れは迅速な対応が魅力ですが、金利が高く毎月の返済負担が重くなりがちです。また、繰り返し借り入れと返済が可能となるため、いつまでたっても元金が減らず完済に至らなくなってしまうことも考えられます。
そこで考えたいのが借り入れ以外の資金調達の方法です。そもそも資金繰りを悪化させている原因は何でしょう。もっと売掛金が早く入金されれば、いろいろな支払いに充てる資金を確保できるのではないでしょうか。
入金までの期間が長い売掛金を早めに回収できればと、取引先に交渉しても応じてもらえるとは限りませんし、資金繰りが悪化していて資金不足で困っていることを、わざわざ取引先に教えることになり、その後の取引に支障をきたす可能性も考えられます。
そこで、もし売掛金の回収を早期化させて資金調達することを検討するのなら、ファクタリングを検討してみることをおすすめします。
ファクタリングによる資金調達
ファクタリングとは、保有する売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらい、入金期日よりも前に現金化させるという資金調達の方法です。
融資を受けるのではなく、売掛金の売買取引ですので、利用者の経営状態や財務状況はそれほど重視されず審査も厳しくありません。
審査で重視されるのは売掛金の取引先の信用力ですので、例えば大企業の売掛金を保有していれば、財務状況が悪く赤字決算や債務超過などで苦しんでいても利用できる可能性が高くなります。
ファクタリングによる資金調達なら売掛債権早期資金化事業を軸にしたPMGへご相談ください。細やかに対応して売掛金の資金化や資金調達をサポートします。
まとめ
金融機関から融資を受けることができないという場合や、リスケジュールで新規の借り入れができないという場合でも、ファクタリングなら資金調達が可能ですので上手く活用しましょう。
急いで資金が必要というニーズにも対応できますので、資金繰りが悪化しやすい製造業などでも安心できる資金調達の方法として利用できます。
銀行などから融資を受ける場合には、申し込みから審査、融資の実行までどれだけ早くても1ヶ月はかかってしまうものですが、ファクタリングならファクタリング会社によるものの最短で即日現金化が可能です。
また、赤字決算や債務超過、税金滞納などで財務状況が思わしくないという場合でも、信用力の高い売掛金を保有していれば資金調達ができる可能性大ですので、あきらめず相談してみることをおすすめします。
ただしファクタリング業界には悪徳な業者が潜んでいるため、優良な業者を見極め選ぶことが重要であることだけは忘れないようにしてください。