儲けても、キャッシュフローが増えるとは限りません。
売上高は順調で営業利益も数年前より増加傾向にあるなど、成長の兆しが見えていても稼いだキャッシュの推移は異なる動きをする場合もあります。
しかし、儲けがでているのにキャッシュがマイナスになるのはなぜなのでしょう。
そこで、儲けてもキャッシュフローは増えないケースや、手元資金がマイナスになる理由を簡単に紹介します。
中小企業経営者向け!

営業活動によるキャッシュフロー
事業活動のうち、本業によって稼いだキャッシュの数値をあらわすのが営業活動によるキャッシュフローです。
本業での支出を上回って収入を得ることができていればプラスを示します。
営業活動によるキャッシュフローがマイナスをあらわす場合とは、本業での支払いが収入を上回っている状態なので、商売を続けることが手持ちのキャッシュを減少させます。
本当に成長している企業であれば、営業活動によるキャッシュフローも増える傾向がみられます。
棚卸し資産の増えすぎに注意
増収増益という状況なのに異なる動きが見えたり、本業の収益性を示す営業利益が黒字なのに営業活動によるキャッシュフローがマイナスになるのは、たな卸資産(在庫)が関係している可能性があります。
規模を拡大している企業であれば、在庫は増えます。
その理由は、商品に対する需要が高まるからであり、需要を見込んで見合う在庫を用意することも必要といえるからです。
しかし、仕入れや開発などを進めていくことによる支出が収入を上回れば、営業活動によるキャッシュフローはマイナスを示します。
このような動きは事業の特性上、仕入れから販売まで数か月や年単位など一定期間を必要とする不動産販売業などに見られがちです。
自己資本比率の確認も必要
先行投資を毎年継続することで表向きはマイナスですが、本業による採算が取れていないわけではない状態かもしれません。
ただ、前年からのたな卸し資産が増加していると、利益に結びついていない支出が増えていることをあらわします。
そこで、事業で使用する資金のうち、返済の必要がない自己資本の割合を示す自己資本比率の成長度を確認しておきましょう。
自己資本比率は、以下で計算できます。
自己資本比率(%) = 自己資本 ÷ (純資産+負債) × 100
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数値が高ければ事業を継続する上での財務基盤が健全であることを示します。
仕入れから販売するまで一定期間が空いてしまうと、資金繰りに充てるキャッシュが必要です。
借入れなどで補うことになれば、負債が膨らみ自己資本比率の成長が衰えます。
これは、自己資本比率を算出する際の計算式での分子と分母が増えてしまうからです。
マイナスの理由を分析することが重要
いくら表向きは儲けがでていても、キャッシュフローや手元のキャッシュがそれに見合っていない結果になっていることもあるでしょう。
その場合、在庫を抱え過ぎないこと、資金繰りにおける資金をどこから調達するのかもキャッシュフローにおいて大きな影響があることを把握しておいてください。
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