利益とは?その意味や種類、売上との違いについて簡単にわかりやすく解説

「利益」とは、収益から費用を差し引いた残額ですが、「損益計算書」に記載されます。

「損益計算書」とは、一定期間の経営成績をあらわす収支報告ですが、どのくらい利益が発生し損失が出たのか確認することができます。

そこで、利益とはそもそもどのような意味があるのか、その種類や売上との違いについてわかりやすく解説していきます。

利益とは

「利益」とは、収益から費用を差し引いた残りであり、「儲け」といえる部分です。

会社の経営成績を知る上で重要な指標でもあり、決算書のうち損益計算書に記載され、どのような活動で儲けが出たのか分析することができます。

会社経営では売上や利益をあげることが重要であり目的の1つといえるため、利益を知り分析することはとても大切です。

思うように利益が伸びていなければ、何が原因なのか分析し経営を見直すことも必要となるでしょう。

また、株式会社の場合には投資家である株主や、これから出資しようと考えている投資家に向けて、事業がうまくいっているか判断してもらう指標となります。

銀行から融資を受ける際にも、赤字では審査に通らず借入れは断られる可能性があるため、資金調達の上でも利益は重要です。

以上のことから利益は、経営者が会社を経営するだけでなく、投資家や銀行などからの視点で見ても重要な指標となります。

ただし利益ばかりにとらわれず、実際の現金の動きにも注意が必要です。

そのため決算書のうち次の資料は、利益を知ることと別のことと理解しておきましょう。

  • キャッシュフロー計算書

詳しく説明していきます。

キャッシュフロー計算書

決算書は、

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュフロー計算書

の3つで主に構成されます。

キャッシュフロー計算書は現金収入と現金支出を見る財務諸表です。

たとえば掛け取引では、利益を計算する上では、債権や債務の発生時点で収益または費用を認識します。

しかしキャッシュフローは現金の流れであり、お金の出入りがあった時点で認識するという違いがあります。

他にも設備投資について利益を計算する上では、耐用期間の範囲内で減価償却して費用に計上しますが、キャッシュフローでは設備を購入したときに現金として支払った分を認識することになり、減価償却費は認識しません。

売上高とは

利益のもととなる「売上高」は、商品やサービスを販売・提供することで得た代金です。

主たる営業活動で得た売却代金であり、販売・提供した商品やサービスの対価として受け取ったお金といえ、企業会計の収益区分の一つとなっています。

たとえば1つ200円の商品を売れば売上は200円です。

500個売れれば売上高は100,000円となります。

ただし売上高には仕入れや販売費用が考慮されていないため、売るためにかかった仕入れ代金や販売のための費用を差し引いて儲けを出しますが、それが利益です。

利益は儲けであるのに対し、売上高は売れたときの値段といえるため、次の計算式で算出します。

売上高=商品単価×販売数

そのため売上高を増やすには、次の2つのいずれかが必要です。

  • 商品単価を上げる
  • 販売数を増やす

売上の伸び率は、収益の割合や従業員1人あたりどのくらいの売上を出せているか判断する指標となります。

売上高はあくまでも本業で得た稼ぎであるため、本業とは別の不動産収入や株式運営などで利益が出ていても含まれることはありません。

売れた商品の仕入れや製造にかかった費用を「売上原価」といいますが、売上高から差し引くことで本業による「粗利」を計算できます。

この関係性から理解できるように、利益を多く得るためには売上高を上げる以外にも、売上原価を抑えることも必要です。

粗利は「売上総利益」のことですが、この利益を基準として他の利益を算出していくことになるため、売上高は損益計算書で利益を出すためにもっとも基本となる値と言えます。

利益の種類

「損益計算書」で、利益は次の順番で5つに区分され表示されます。

  1. 売上総利益
  2. 営業利益
  3. 経常利益
  4. 税引前当期純利益
  5. 当期純利益

それぞれの違いを以下に説明していきます。

売上総利益

「売上総利益」とは、売上高から売上原価を差し引いた利益で「粗利益」とも呼ばれ、次の計算式で算出できます。

本業で稼いだ利益であり、売上高から売上原価を差し引くことで算出可能です。

売上原価=期首商品棚卸高+仕入高-期末商品棚卸高
売上総利益=売上高-売上原価

一会計期間中に発生した仕入高をそのまま売上原価とするのではなく、売上原価は、あくまでも売上高に対応する仕入であり、在庫など考慮することが必要です。

「粗」利益といわれるように、どのくらい本業で稼ぐことができているか知る目安として使われるため、大まかな利益を把握しておきたいときの指標となるでしょう。

売上総利益が赤字のときや利益が十分に出ていないときには、事業自体に問題が発生していると考えられるため、見直しなども必要となります。

営業利益

「営業利益」とは、営業活動による利益のことであり、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引くことで算出できます。

営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費

「販売費」とは、商品やサービスを販売・提供するためにでかかった費用であり、たとえば広告宣伝費・販売スタッフの給料・商品の発送費など販売に直接関わる費用です。

「一般管理費」とは、企業が営業するために必要な費用であり、たとえば家賃・水道光熱費・交際費など販売費に含まれない営業活動に必要な費用のことを指しています。

営業利益は、営業活動による成績ともいえます。

営業活動がうまくいっているか、本業の経営状況を知る指標とできます。

数値が大きければ経営は良好であると判断できますが、赤字なら本業を続けることが難しいとも考えられます。

経常利益

「経常利益」とは、通常の活動で得た利益で、営業活動で得た利益に営業外による収益を加えて、営業外の費用を差し引き計算します。

経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

「営業外収益」とは財務活動で得た受取利息や受取配当金など収益であり、「営業外費用」とは営業活動に直接関係しない支払利息や支払手数料など費用です。

どちらも営業活動からではなく通常発生すると考えられる収益や費用であり、突発的な損益は含まれません。

税引前当期純利益

「税引前当期純利益」とは、経常的な活動に加え、臨時・偶発的な取引を含めた法人税等を差し引く前の利益です。

税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失

「特別利益」とは有価証券売却益などで、「特別損失」とは自然災害や火災などによる損失や固定資産を売却したことによる損失などが該当します。

どちらも営業活動と営業外活動に該当しない突発的・例外的に発生した損益であり、一会計期間の純粋な利益です。

当期純利益

「当期純利益」とは、一会計期間の最終的な経営成績であり、法人税・住民税・事業税を差し引いて法人税等調整額を加減した後の利益です。

当期純利益=税引前当期純利益-法人税・住民税・事業税±法人税等調整額

もっとも当期純利益を気にすることになるのは株主や投資家といえます。

なぜなら当期純利益は、会社がどのくらい成長しているか確認できる指標であるからです。

経常利益は事業業績をあらわすため株価に対する影響は大きいといえますが、株主の受け取る配当金の原資は当期純利益が関係するため、株主や投資家に注視される利益といえるでしょう。

利益分析のポイント

利益分析するときには、たとえば当期純利益だけ見ても特別利益や特別損失が関係するため、会社の経営状態が反映されているとは言い切れません。

仮に当期純利益がマイナスでも経常利益がプラスを表示していれば、自然災害などの特別損失によりマイナスになっている可能性もあるでしょう。

反対に経常利益がマイナスであるのに当期純利益はプラスを表示しているのなら、本業は赤字なのに固定資産を売ったことによる特別利益が大きかった可能性も考えられるため、事業が順調であると判断できません。

そのため利益分析の際には、次の2つに注目しましょう。

  • 本業の利益を意味する「営業利益」
  • 会社の継続した活動による利益を意味する「経常利益」

営業利益がマイナスのときには本業が不調であることを意味するため、事業継続が危ぶまれます。

営業利益がマイナスでも経常利益がプラスなら、本業以外で経営を保っていることを意味するため、経営の見直しや改善が必要であると考えられるでしょう。

反対に営業利益がプラスで経常利益がマイナスのときは、借入金の利息支払いの負担が大きいときや有価証券評価損が発生していると考えられます。

本業でどれほど利益をあげることができていたとしても、借金を多くかかえていて返済負担が大きければ低い数値となるため、内情を理解できている社員以外は納得し難い数値になる可能性があるといえます。

まとめ

売上高や利益を知ることによって、経営状況は良好なのか、今後事業を発展させるためには何をするべきか分析することができます。

また、新規の取引先と契約を結ぶときにも、相手会社の過去の利益を分析することで安心して契約してよいか判断する与信材料にすることも可能です。

利益は会社の経営成績を示す指標であり、正しく知って分析することは会社経営において極めて重要なことといえます。

最終的な当期純利益だけで事業成績を判断せず、営業利益や経常利益などが重要であることを理解し、定期的な分析を行いましょう。

なお、企業経営や資金面で悩みがあり、コンサルタントに相談したいと考えている場合にはファクタリング会社に相談してみましょう。

ファクタリング会社がコンサルティング業務にも対応するケースがふえており、当社でも相談は無料です。

専門のコンサルタントに相談したいけれど、どのくらいの費用がかかるか気になるときなども、資金調達の相談をかねて一度気軽に相談してみてください。