資金調達とは?種類やパターン別の方法とメリット・デメリットを解説

資金調達とは、会社経営において必要なお金を集めることです。

手元の資金が枯渇すれば、会社は倒産してしまうため、企業経営において資金調達とは欠かせないことであるといえます。

ただし資金調達にも種類があるため、調達する目的や使用使途、金額や必要なタイミングなどに適した方法を選ぶことが必要です。

そこで、資金調達について、種類やパターン別の方法や、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。

資金調達とは

お金を作る人とお金

「資金調達」とは、会社経営や事業運営で必要なお金を外から集めることです。

手元に資金がなく、借入金の返済や固定費の支払い、預金の引き落としなどができなければ資金ショートします。

仮に業績が順調で黒字だとしても、手元の資金が足らなくなり枯渇すれば、会社は倒産してしまうため注意が必要です。

会社経営において欠かせないといえる資金調達について、以下の2つを説明します。

  1. 資金調達の必要性
  2. 資金調達の目的

資金調達の必要性

資金調達は、手元にお金がなければ会社が倒産してしまうため、事業継続のために必要といえます。

また、創業期においては会社を設立したり事務所や店舗の初期費用が必要だったりなど、まとまったお金が必要です。

事業をスタートさせた後も、初期に投じた資金を回収するまで時間がかかり、材料や商品を仕入れるお金も必要となります。

日本の商取引は掛けによる信用取引が主流であり、売上代金はすぐに回収できないため一旦は売掛金で処理し、1~2か月後に入金されます。

売掛金が入金されるまでの間、手元にお金がなければ固定費の支払いや借入金の返済はできません。

売上が伸びていて新たに仕入れをしたくてもできず、資金繰りが悪化すれば事業継続は難しくなります。

そのため資金調達は、会社や事業を続けるために欠かせないことと認識しておきましょう。

資金調達の目的

資金調達の目的は、会社や事業を続けるためです。

先にも述べたとおり、たとえ黒字だとしても、資金ショートすれば会社は倒産します。

反対に赤字経営でも、手元に十分なお金があり、借入金の返済や固定費の支払いなどができれば会社は倒産しません。

そのため会社経営を継続させることを目的として、手元の資金が枯渇しないように資金を調達します。

資金調達の種類

資金調達の文字とコイン

資金調達には、主に以下の3つの種類があります。

  1. 負債を増やすデットファイナンス
  2. 資本を増やすエクイティファイナンス
  3. 資産を現金化するアセットファイナンス

それぞれ説明します。

負債を増やすデットファイナンス

「デットファイナンス」とは負債を増やす調達の方法です。

「借入金融」と呼ばれており、たとえば銀行から融資を受けることや、社債を発行するといった方法で負債を増やして資金を調達します。

借入れによる資金調達方法のため、借りた元金以外にも、設定された金利に基づく利子も返済しなければなりません。

そのためデットファイナンスによる資金調達は、借り過ぎれば借入先などステークホルダーからの信用を失う恐れもあることを踏まえ、無理のない返済計画のもと実行することが必要です。

デットファイナンスとは?メリット・デメリットや種類ごとの違いを解説

種類 政府系金融機関からの融資
民間銀行からの融資
消費者金融からの借入れ
社債発行
コマーシャルペーパー
シンジケートローン
ソーシャルレンディング(投資家からの融資)
メリット 経営に関与されない
金融機関との信頼関係が構築される
利子負担による節税効果が見込める
手段の種類が多い
資金計画を立てやすい
デメリット 審査の難易度が高い
返済義務を負う
利息の負担が増える
多重債務に陥るリスクがある
自己資本比率を低下させる

資本を増やすエクイティファイナンス

「エクイティファイナンス」は自己資本を増やして資金を調達する方法です。

株式資本や自己資本をエクイティといいますが、発行した新株を投資家に購入してもらうなどの方法が挙げられます。

返済義務のないお金を調達できるため、財務体質強固につながることはメリットですが、株式の発行数や投資家の保有割合で経営権を脅かされるリスクがあると留意が必要です。

エクイティとは?デッドファイナンスとの違いやメリット・デメリットを解説

種類 公募(時価発行増資)
株主割当増資
第三者割当増資
転換社債型新株予約権付社債
メリット 返済義務を負わない
経営サポートを受けることができる
取引先を紹介してもらえることがある
デメリット 将来性を認めてもらわなければ利用できない
経営に関与されがちになる
リターンを求められる
経営権を奪われる恐れがある

資産を現金化するアセットファイナンス

「アセットファイナンス」は、資産を現金化することで手元のお金を増やす資金調達の方法です。

換価対象となる資産は、不動産・車両・機械・設備・有価証券・ゴルフ会員権・特許権・売掛債権など色々あります。

ただし調達できる金額は、資産価値に留まることは理解しておきましょう。

種類 ファクタリング
保有資産の売却
リースバック
メリット 審査の難易度が低い
最短即日で資金調達できる
借金が増えない
資産の管理コストを軽減できる
オフバランス化できる
デメリット 資産の種類によって売るまで時間がかかる
買いたたかれる恐れがある
調達額は資産価値に依存する

ファクタリングとは?仕組み・手数料の目安や注意点について簡単に解説

ハウスリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

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資金調達をスムーズに進めるポイント

資金調達をスムーズに進めるためにも、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 資金使途・金額を明確にする
  2. いつまでに必要か確認する
  3. 信用を獲得する
  4. 最適な調達先を選ぶ

それぞれのポイントを説明します。

資金使途・金額を明確にする

資金調達をスムーズに進めるためにも、何のためにお金を集めるのか、どのくらい必要なのか資金使途や金額を明確にしてください。

仮に設備資金の場合は、多額の資金が必要であるため、資産価値に依存する方法だけでは足らない恐れがあります。

しかし先行する仕入れ代金などの支払いであれば、将来入金予定の売掛金を売ってお金に換えるファクタリングなどのほうが、使いやすいと考えられるでしょう。

資金の使い道や金額によって、選ぶべき資金調達の方法は変わってくるため、前もって明確にしておくことが必要です。

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いつまでに必要か確認する

資金調達をスムーズに進めるために、いつ・どのタイミングにお金が必要なのか確認しておきましょう。

急を要する資金調達においては、たとえば銀行から融資を受ける方法を選んでも、1か月程度時間がかかるため間に合わない恐れがあります。

しかし提出書類が簡素化されているビジネスローンなら、最短即日融資を受けることができる可能性があります。

また、最短即日に資金を調達できる方法は他にも、売掛金を現金化するファクタリングが挙げられます。

ファクタリングは借入れではないため、信用力に不安があるものの信頼性の高い売掛債権を保有しているときにおすすめです。

即日で資金調達するおすすめの方法|選び方とメリット・デメリットを紹介

信用を獲得する

資金調達をスムーズに進めるために、ステークホルダーからの信用を獲得しましょう。

特に上場株式では、信頼できる銘柄を誰もが欲しがります。

資金調達においても、特に増資による方法は、株式に信用がなければ投資家に資金を投じてもらえません。

事業内容や経営戦略などに魅力を感じてもらえれば、対外的な信用度を向上できると考えられます。

最適な調達先を選ぶ

資金調達をスムーズに進めるために、最適な調達先を選びましょう。

先に述べたとおり、資金使途や必要金額、タイミング以外にも事業の「成長ステージ」による選択も重要です。

創業期に民間銀行から融資を受けたくても審査に通らない可能性はありますが、政府系金融機関である日本政策金融公庫なら積極的に相談に応じてくれます。

成長期や拡大期なら、将来性を認めてもらうことでベンチャーキャピタルやエンジェル投資家に出資してもらえる可能性もあります。

運転資金の不足などで、一時的な資金調達であれば、負債を増やさず決算書に悪影響を及ぼさないファクタリングを活用することもできます。

パターン別の資金調達方法

お金の正解と不正解

資金調達が必要になるのは、主に次の4つのパターンといえます。

  1. 起業における初期投資
  2. 非上場・中小企業の事業拡大資金
  3. 業績改善に向けた運転資金
  4. 急を要す緊急資金

それぞれのパターンにおける適した資金調達方法について、説明していきます。

起業における初期投資

起業するときには初期投資に充てる資金が必要となるため、以下の4つの方法を検討しましょう。

  • 日本政策金融公庫の融資
  • 自治体の制度融資
  • エンジェル投資家
  • クラウドファンディング

日本政策金融公庫や自治体の制度融資なら、創業期の資金の貸付にも相談に応じてくれます。

また、ビジネスやアイデアに自信があり、将来性や収益性が期待できる場合は、エンジェル投資家に資金を投じてもらえる可能性もゼロではありません。

エンジェル投資家のハードルが高い場合でも、インターネットでビジネスやアイデアを公表し、多くの賛同者を得て少額資金を集めるクラウドファンディングを活用することもできます。

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非上場・中小企業の事業拡大資金

非上場・中小企業が事業拡大するときには、設備投資など多額の資金が必要です。

そのため資金調達の方法は、以下の2つが候補として考えられるでしょう。

  • 銀行融資
  • ベンチャーキャピタル

民間銀行から融資を受ける場合、それまでの取引実績や、事業が軌道に乗っている状況であることがポイントとなります。

特に銀行独自の責任で貸し付けを行うプロパー融資の場合、審査に通れば好条件で多額の資金を調達できるものの、ハードルは高めです。

将来上場可能とされる勢いがある会社なら、ベンチャーキャピタルに出資してもらえる可能性もあるといえるでしょう。

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業績改善に向けた運転資金

会社が業績を改善させたいときにも、経営を立て直すための運転資金が必要です。

資金繰りに苦労している状況では、経営の立て直しはできません。

必要な運転資金を調達する方法として、以下の3つを検討しましょう。

  • 日本政策金融公庫の融資
  • 補助金・助成金
  • ファクタリング

日本政策金融公庫は融資相談にも積極的に応じてくれるため、運転資金についても相談しやすいといえます。

補助金・助成金は、申請条件など満たせば申し込みができ、成功すれば返済義務のないお金を調達できます。

また、お金を借りることができないときや、補助金や助成金を受給できるまでのつなぎ資金が必要なときは、ファクタリングがおすすめです。

ファクタリングはお金を借りる方法ではないため、信用力の高い売掛債権を保有していれば、赤字決算や債務超過でも申し込みできます。

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急を要す緊急資金

すぐにお金が必要であるなど、急を要す緊急資金の調達においては、次の3つの方法が候補として挙げられます。

  • ビジネスローン
  • 手形割引
  • ファクタリング

ビジネスローンは、最短即日に融資を受けることができるなど、審査のハードルも低めで必要書類も簡素化されています。

手形を取引で使用する慣習が残っている業界なら、手形割引により決済を待たずに、手形の現金化が可能です。

請求書を発行し、売掛金を保有する信用取引においては、ファクタリングを利用することで売掛金を現金化できます。

手形割引とファクタリングはどちらも最短即日、売掛債権を現金化できる方法です。

ただし手形割引は融資とみなされるため、期日に決済されず不渡りになったときには、手形を買戻さなければならないことがファクタリングとの大きな違いといえます。

まとめ

資金調達とは、事業運営や会社経営で必要な資金を、外部から集めることです。

デットファイナンス・エクイティファイナンス・アセットファイナンスの3つの種類があり、それぞれメリットやデメリットは異なります。

どの方法を選ぶか迷ったときには、資金の使い道や調達する目的、必要とするタイミングや金額などによって適したものを選択しましょう。

資金調達の方法がわからないときや、経営面で不安があるときなどは、コンサルタントなどに相談した上で選ぶことをおすすめします。