資金調達とは?4つの方法についてメリット・デメリットをわかりやすく解説

資金調達とは、資金をショートさせないための手段であり、会社を存続させる上で欠かせないことです。

特に個人事業主や従業員が20人以下の中小企業など、スモールビジネスにおいて財務を良好に保ち、資金をショートさせないことはとても大切なことといえます。

たとえ赤字経営であっても、資金ショートしなければ会社は倒産しないため、事業を続け資金を枯渇させないためにも適切な手段を選び行うようにしましょう。

そこで、資金調達とは何か、代表的な4つの方法とそれぞれのメリット・デメリットについてわかりやすく解説していきます。

資金調達の目的

「資金調達」とは、ビジネスにおいて必要な資金を外部から補填するための手段といえますが、目的として次の5つが挙げられます。

  1. 起業
  2. 事業拡大
  3. 設備投資
  4. 運転資金
  5. 返済資金

それぞれの目的について解説していきます。

起業

資金調達の目的として、「起業」することが挙げられます。

会社を立ち上げたり店舗を開業したり、いずれも資金が必要です。

事務所や店舗を準備するための資金だけでなく、設備や備品、電話・電気などインフラ整備など、様々な費用がかかります。

会社設立や開業後にすぐ売上が上がるとも限らず、上がった場合でも売掛先から入金があるまでの間は手元の現金が乏しい状態です。

まだ入金がない状態であっても、仕入代金・家賃・水道光熱費・従業員の給料など様々な経費もかさむため、資金調達することが必要となります。

事業拡大

資金調達の目的として、「事業拡大」が挙げられます。

規模が小さなスモールビジネス事業を拡大させていくためには、工場や店舗を増やしたり人員を増強したりといったことも必要となるため、資金調達が必要です。

設備投資

資金調達の目的として、「設備投資」が挙げられます。

設備を新規で導入する以外でも、更新するときにも費用が必要になります。

設備投資が目的の場合、小規模事業者は7~10年、中小企業で5年を目安とした借入れによる資金調達が一般的です。

事業計画などを作成し、回収期間法などベースとした総合的な投資判断を行いましょう。

運転資金

資金調達の目的として、「運転資金」が挙げられます。

商品を仕入れて販売するビジネスの場合、商品そのものや材料、広告、従業員の給料など支払いが必要ですが、販売により発生した売上代金は後日入金となる「掛け」取引が一般的です。

現金の支出と入金にタイムラグが発生するため、この時差を埋めるために必要となるのが「運転資金」といえます。

運転資金を調達する目的として、次の2つの支払いが挙げられます。

  1. 買掛債務
  2. 固定費

それぞれの支払いについて説明していきます。

買掛債務

「買掛債務」とは、商品・サービスを購入した代金を後払いで支払う義務であり、負債の1つです。

債務とは借りたお金を返す義務であるため、掛けにより購入した商品やサービスの代金の支払いであり、「買掛金」や「支払手形」などが該当します。

固定費

「固定費」とは、事業において発生する経費の中で、売上高や販売数量に関係なく一定期間で常時発生する費用です。

家賃・水道光熱費・給与・福利厚生費・減価償却費などが固定費として挙げられます。

返済資金

資金調達の目的として、「返済資金」が挙げられます。

金融機関から事業資金を借入れていれば、当然、元金と利子を返すことが必要であるため、返済資金を準備しなければなりません。

会社存続の有無に関わらず、借入金は返済しなければならないため、必ず確保しなければならない資金ともいえます。

また、金利の高い借入れで返済負担が重くなっている場合、低金利のローンなどに借り換える場合でも、新たな借入れとして資金を調達することになります。

資金調達の種類

資金調達の代表的な種類は、主に次の4つです。

  1. デットファイナンス
  2. エクイティファイナンス
  3. アセットファイナンス
  4. 補助金・助成金

それぞれの資金調達方法について説明していきます。

①デットファイナンス

「デットファイナンス」とは、金融機関から融資を受けたり社債を発行したりすることで資金調達する方法であり、負債を増やして手元の資金を増加させます。

返済義務を伴う資金調達方法であるため、「借入金融」とも呼ばれており、英語で表記すると「負債」を意味する「Debt」を使った「Debt finance」となります。

デットファイナンスのメリットは次の3つです。

  • 資金先が豊富である
  • 節税効果が見込める(利息を損金計上できる)
  • レバレッジ効果が期待できる

反対にデメリットとして、次の3つが挙げられます。

  • 返済義務を負う
  • 信用力低下リスクが高まる(自己資本率の低下)

デットファイナンスによる資金調達は、主に次の6つです。

  • 政府系金融機関の融資
  • 自治体の制度融資
  • 民間金融機関の融資
  • ビジネスローン
  • 手形割引
  • 社債

それぞれのデットファイナンスについて説明していきます。

政府系金融機関の融資

デットファイナンスによる資金調達として、「政府系金融機関の融資」が挙げられます。

政府系金融機関には、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などがありますが、そもそも日本国内の経済発展や中小企業の活動支援などが目的で政府が設立した銀行です。

スモールビジネスでも積極的に融資相談に応じてくれ、相談内容も起業相談や事業承継など幅広いことが特徴といえます。

自治体の制度融資

デットファイナンスによる資金調達として、「自治体の制度融資」が挙げられます。

制度融資とは、都道府県などの自治体・金融機関・信用保証協会が連携し、資金の貸し付けを行うことが特徴です。

窓口は各自治体ですが、各都道府県の信用保証協会の審査を受けて、保証を受けることができれば民間の銀行が融資を実行します。

利子や保証料などは自治体が補助する自治体保証付き融資もあるため、相談してみるとよいでしょう。

民間金融機関の融資

デットファイナンスによる資金調達として、銀行など「民間金融機関の融資」が挙げられます。

銀行・信用金庫・信用組合など民間の金融機関が独自審査で資金を貸し付ける「プロパー融資」や、信用保証協会が保証する「保証付融資」、不動産を担保に差し入れることで借入れ可能となる「不動産担保ローン」など金融商品はいろいろです。

スモールビジネスでプロパー融資はハードルが高いといえますが、まずは政府系金融機関からの融資や自治体の制度融資などで実績を積むことにより、事業拡大の際には民間銀行がプロパー融資してくれる場合もあります。

ビジネスローン

デットファイナンスによる資金調達として、事業者向けの「ビジネスローン」が挙げられます。

ビジネスローンとは、一般的な銀行融資を受けることが難しい事業者に向けて、審査のハードルが低めの事業資金専用のローン商品です。

法人経営者や個人事業主であれば利用可能であり、新規事業立ち上げ資金や設備投資資金、運転資金など事業に関連する目的であれば利用できます。

銀行・信販会社・クレジットカード会社・消費者金融など様々な金融会社がビジネスローンを扱っていますが、審査の基準や金利、限度額など異なるため事前の確認が必要です。

手形割引

デットファイナンスによる資金調達として、「手形割引」が挙げられます。

手形割引とは、保有する手形を銀行や手形取引業者に売却し、現金化する資金調達の方法です。

買い取りという形式ではあるものの、手形割引は融資として扱われます。

審査は一般的な銀行融資よりハードルが低めといわれるものの、裏書手形の一種といえるため、不渡りになれば買い戻しが発生します。

また、手数料を差し引かれた上で買取代金が支払われるため、資金繰りは一時的に楽になっても根本的な解決にはならないことは留意しておいてください。

社債

デットファイナンスによる資金調達として、「社債」が挙げられます。

社債とは、会社が発行する債券であり、投資家から資金を提供してもらう代わりに満期まで利子を支払って満期に元本を返済する有価証券です。

個人投資家を含めて広く資金を募ることが可能となる資金調達の方法ですが、会社にとって社債は借入金であるため返済義務を負います。

社債を所有した投資家は、会社から元本を返済してもらう権利と利息を支払ってもらう権利を得ることになるため、償還までに設定された利率に応じた利息の支払い負担が発生します。

②エクイティファイナンス

「エクイティファイナンス」とは、新株発行・新株予約権付社債を発行するなど、株主資本を増やす資金調達方法です。

原則、返済期限の定めない資金を調達できることがメリットであり、財務体質強固にもつながります。

スモールビジネスの事業者にとっては利用しにくい方法ともいえますが、事業拡大に伴い資本増強も視野に入ることも期待できます。

エクイティファイナンスのメリットは、主に次の3つです。

  • 返済義務のない資金を調達できる
  • 財務基盤安定につながる
  • 経営ノウハウなどアドバイスしてもらえる

反対にデメリットとして、次の2つが考えられます。

  • 自由な経営ができなくなる
  • 経営権を奪われるリスクがある
  • 配当金の支払いが必要

エクイティファイナンスによる資金調達の方法は、主に次の5つです。

  1. ベンチャーキャピタル
  2. エンジェル投資家
  3. 公募増資
  4. クラウドファンディング
  5. 資本性劣後ローン

それぞれのエクイティファイナンスについて説明していきます。

ベンチャーキャピタル

エクイティファイナンスによる資金調達の方法として、「ベンチャーキャピタル」が挙げられます。

ベンチャーキャピタルとは、機関投資家などから資金を集めることによりファンドを立ち上げ、まだ上場していないスタートアップ企業に対し資金を投じる投資会社です。

出資した企業が新規で株式公開した後に株式を売却し、キャピタルゲインを得ることを目的としています。

そのためベンチャーキャピタルに出資してもらう場合、高い将来性が見込めることや魅力的な事業であることなどが必要であり、株式上昇やM&Aをゴールとする戦略を具体的に描き説得力のある説明ができることが必要になるといえるでしょう。

エンジェル投資家

エクイティファイナンスによる資金調達の方法として、「エンジェル投資家」が挙げられます。

エンジェル投資家とは、もともと起業家や経営者だった個人の富裕層で、起業して間もない企業に対し資金を投じます。

ベンチャーキャピタルなどに属さない個人投資家ですが、主な目的はベンチャーキャピタルと同じです。

企業経営において成功した経験がある方がエンジェル投資家として活動していることが多いため、経営やビジネスのノウハウや有益な助言をしてもらえる可能性もあります。

ただ、ベンチャーキャピタルは数億円規模の出資が期待できるのに対し、エンジェル投資家は個人であるため数百万円や数千万円など少額になりやすいことがデメリットともいえます。

公募増資

エクイティファイナンスによる資金調達の方法として、「公募増資」が挙げられます。

公募増資とは、資金を投じてくれる株主を広く募集し、不特定多数の投資家に出資してもらう資金調達の方法です。

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から出資してもらう方法は「第三者割当増資」といい、特定の第三者を対象とした新株発行ですが、公募増資では幅広く投資家を募集することが違いといえます。

上場企業であれば株式が市場取引の対象であるため、公募増資による資金調達もしやすいでしょう。

しかし未上場の中小企業では活用しにくい方法といえることや、株主配当コストや新規株主増加による議決権の希薄化などのリスクがあることはデメリットです。

クラウドファンディング

エクイティファイナンスによる資金調達の方法として、「クラウドファンディング」が挙げられます。

クラウドファンディングとは、インターネットを通じてビジネスプランやアイデアを公開し、賛同してくれた個人から少額の資金を集める方法です。

誰でも気軽に利用できる方法であるため、スモールビジネスの事業者でも活用することができます。

クラウドファンディングには、株式型・貸付型・ファンド型など種類があり、これらは資金を投じてくれた方へリターン(償還・返済)が必要になる金融商品取引法対象の方法です。

そのためデットファイナンスとして扱われることになりますが、寄付型であればリターンも返済義務もなく、資金を調達できます。

資本性劣後ローン

エクイティファイナンスによる資金調達の方法として、「資本性劣後ローン」が挙げられます。

資本性劣後ローンとは、日本政策金融公庫など政府系金融機関や民間金融機関の融資制度の1つであり、借入れは負債とせず「自己資本」と見なすことが特徴です。

新型コロナウイルス感染症や各種危機への対応策として注目されている制度であり、財務安定化につなげることができます。

③アセットファイナンス

「アセットファイナンス」とは、保有する資産を売って現金化することによる資金調達の方法です。

「資産」や「有価物」を意味する「アセット」による資金調達であり、メリットとして次の3つが挙げられます。

  • 返済義務のない資金を調達できる
  • オフバランス化が可能

反対にデメリットとして、次の2つには留意が必要です。

  • 現金化できる資産を保有していなければならない
  • 調達できる金額が資産価値の範囲に留まる

アセットファイナンスによる資金調達の方法として、次の4つが挙げられます。

  1. 不動産の売却
  2. 有価証券の売却
  3. 在庫の処分
  4. ファクタリング

それぞれのアセットファイナンスについて説明していきます。

不動産の売却

アセットファイナンスによる資金調達の方法として、「不動産の売却」が挙げられます。

使用していない建物・工場・社宅・保養所・土地などは、所有するだけで固定資産税や管理費などコストがかかります。

そのため売却することで、まとまった資金調達につながるだけでなく、コスト削減にもつなげることができるでしょう。

不動産以外にも、次のような固定資産が売却対象として考えられます。

  • 役員車両
  • 営業車両
  • 特許権・商標権など無形固定資産

「固定資産」とは、1年を超えて保有・使用する資産であるため、目に見える形ある資産以外にも、特許権・商標権など目に見えない無形固定資産も売却すれば資金を調達できます。

有価証券の売却

アセットファイナンスによる資金調達の方法として、「有価証券の売却」が挙げられます。

有価証券とは、株式・債券・手形・小切手などであり、主に次の3つに分類されます。

  • 手形・小切手などの貨幣証券
  • 運送証券・倉荷証券などの物財証券
  • 株式などの資本証券

一般的に売却対象となるのは資本証券といえますが、付き合いで購入したゴルフ会員権なども対象であり、譲渡すれば簡単に財産的権利を移転できます。

在庫の処分

アセットファイナンスによる資金調達の方法として、「在庫の処分」が挙げられます。

在庫とは、販売や加工を目的として用意していた物品の余剰分です。

不足が生じないように多めに保管していても、売れなければ価値が低下し、管理費だけがかさみます。

そのため余剰在庫はたとえ利益が出ないと感じたとしても、安い金額で売ったり廃棄したりという早急な処分が必要です。

大きな利益は狙えない方法ではあるものの、課税リスクを抑え廃棄コストを最小化できます。

ファクタリング

アセットファイナンスによる資金調達の方法として、「ファクタリング」が挙げられます。

ファクタリングとは、保有する売掛金をファクタリング会社に売却し、現金化して資金を調達する方法です。

商品・サービスを販売したものの、まだその代金を回収しておらず、売掛金として計上されている売上代金は売掛債権という資産として扱われます。

売掛先から代金を回収する請求権をファクタリング会社に売ることで、本来の入金期日を待たずに前倒しで現金化することができます。

売掛金を回収するまで時間がかかると、その間に必要となる仕入れ代金や固定費の支払いに充てるお金が足らなくなりがちです。

仕入れ代金を支払うタイミングと売上代金が入金されるタイミングのズレが資金繰り悪化の要因になりやすいといえますが、このズレを解消できるのがファクタリングのメリットといえます。

また、ファクタリングは最短で即日現金化が可能であり、審査でも売掛先の信用力が重視されるため、財務状況悪化などで信用力に不安がある事業者でも利用しやすいことが特徴です。

ただし売掛金を売却する上で、ファクタリング会社に対する手数料を支払う必要があります。

本来受け取るはずだった売掛金を満額受け取ることができないことや、法整備が十分といえない業界のため、悪徳業者などが横行しやすい環境であることがデメリットです。

ファクタリングを利用するときには、信頼できるファクタリング会社か見分けることが重要であるため、ファクタリングを装う悪質なヤミ金融業者などに騙されないように注意が必要といえます。

④補助金・助成金

国や地方自治体による「補助金」や「助成金」もスモールビジネス事業者が活用しやすい資金調達方法の1つです。

同じく自治体を通して利用する制度に制度融資がありますが、補助金や助成金であれば原則、返済義務はありません。

ただし申請する上で準備が必要なことや、支援目的や募集要項に沿っていることが必要となります。

一定の条件などが設けられているため、満たしていなければ申請しても資金調達につながることはありません。

補助金・助成金のどちらも様々な制度が用意されているため、どの制度に適用するか事前に確認しましょう。

なお、助成金は要件を満たし所定の様式で申請すれば原則給付を受けることができるのに対し、補助金は採択件数や予算が決まっているため申請しても先着順や抽選などで選ばれることになります。

必ず受給対象となると言い切れないことや、助成金は常時募集しているのに対し、補助金は一定の公募期間を設けてその間に申請しなければならない点も異なるといえます。

また、どちらも基本は後払いで支払われる仕組みとなっているため、一時的に立て替えるための資金準備が必要です。

申請の条件や募集時期など、補助金・助成金により異なるため最新情報を常に確認しておくようにしましょう。

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成長段階ステージによる資金調達方法の使い分け方

資金調達の方法にはいろいろありますが、どれを選ぶかは会社の成長段階のステージによって異なります。

会社の成長段階といえるステージは主に次の4つです。

  1. 創業期
  2. 成長期
  3. 安定期
  4. 衰退・再成長期

ステージごとでどのように資金調達方法を使い分けるのか説明していきます。

創業期

「創業期」とは、創業5年以内の時期であり、従業員数人程度のケースが多いといえます。

開発・生産・販売のサイクルが回り始めた時期ではあるものの、売上はほとんどなく十分な実績が積めていない状態です。

そのため「創業期」の主な資金調達方法は「自己資金」であることが多いため、自己資金をある程度貯めておくことが必要といえるでしょう。

課題

創業期の企業は「ベンチャー」と呼ばれ、事業の見直しや改善を繰り返しながら認知度を高めたり拡大させたりする時期です。

ビジネスモデルが確立されていない時期でもあり、実績が十分ではなく信用力も低い状態でありながら、経営を軌道に乗せるための設備投資資金・運転資金・販売促進費などの資金を必要とします。

しかし銀行から融資を受けることは難しいなど、資金調達方法が限定されることが課題といえます。

資金調達方法

民間の銀行から融資を受けることは厳しくても、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」なら融資を受けやすく、融資額の1割程度自己資金を用意しておけば利用できます。

また、創業予定や創業後数年以内の企業が対象の補助金・助成金などが自治体で用意されていることもあるため、積極的に確認すると返済不要資金の調達につながります。

また、クラウドファンディングを利用して幅広く資金を募ることも方法として挙げられるでしょう。

成長期

「成長期」とは、事業における方向性や組織基礎が確立されたことで軌道に乗り始め、全体的に会社が成長し始めた時期といえます。

組織拡大を図る上でそれぞれの部署には専門知識が豊富な人材を確保したり多額の資金を調達したりといったことも必要になる時期といえるでしょう。

課題

成長初期段階は創業期に抱えていた課題と内容が変わるため、事業リスク低減により銀行から融資も受けやすくなります。

ただし利益率も成長に伴い変動するため、融資額・金利・返済期間は粘り強く交渉が必要となるでしょう。

売上が拡大していれば、部署を設け専門の人員に業務を引き継ぐことも必要となるため、それに伴って資金需要も拡大します。

人材が増えれば社内ルールを再整備したり体系化したりといった体制作りも必要となるため、部署ごとのマニュアル作成や教育体制構築などでも資金が必要になると考えられるでしょう。

資金調達方法

成長期における資金調達は、主に人件費を中心となります。

他にも設備投資や知的財産権獲得を目的とした資金など、事業拡大や成長に向けた前向きな資金需要が拡大します。

求める資金の規模も大きくなるため、調達先としては日本政策金融公庫・ベンチャーキャピタル・エンジェル投資家などが候補となります。

認知度が向上し、事業規模が拡大している段階であれば、民間銀行からの融資も受けやすくなるため、調達先の候補と考えてもよいでしょう。

安定期

「安定期」とは成熟期と呼ばれ、軌道に乗って安定してくる時期ともいえます。

黒字化達成など可能となり、成長が踊り場に差しかかることで株式上場など検討し始める企業も見られる時期です。

ただし成長率が維持できなければ衰退してしまうため、新たなビジネス構築や新規事業など常に取り組みを続けることが求められます。

課題

安定期では資金問題は落ちつくものの、組織体制整備の課題が発生します。

成長期に構築したルールや体系に合わせて機能や業務フローなど大幅な見直しが必要となることが課題といえるでしょう。

資金調達方法

事業拡大や経営効率化などにより、経営基盤も安定する時期ですが、株式上場を検討する場合にはさらに先を見据えた成長戦略を立て、数十億円規模の資金調達が必要となります。

監査法人・コンサルティングファーム・証券会社などに対する報酬も発生するため、従来までではなかった資金を費やすことになるでしょう。

安定期の資金調達において候補先となるのは、民間銀行・ベンチャーキャピタルです。

衰退・再成長期

「衰退・再成長期」とは、安定期を過ぎた段階で業績が悪化し、利益低下などマイナス成長になる時期です。

事業や組織再編に着手することが必要となるため、新たな成長に向けた戦略や状況次第ではM&Aも検討が必要となるでしょう。

課題

衰退・再成長期で業績が悪化した場合、再建を図るための新規事業開発など推進することや、組織間を連携することが課題となるでしょう。

資金調達方法

衰退・再成長期で業績が悪化していると、民間銀行から融資を受けることが難しくなります。

安定期には追加融資の話など積極的にしてくれた銀行担当者も、融資相談に応じることを渋りだす可能性もあります。

銀行は前向きな融資には積極的ですが、ネガティブな理由の借入れには消極的です。

特に赤字を補てんする目的の資金調達の場合、銀行から融資を受けることは厳しくなると考えられます。

そのため調達先として挙げられるのは、政府系金融機関や補助金・助成金、または資産を売却するアセットファイナンスがメインとなります。

日本政策金融公庫の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」は、社会的・経済的な外的要因で一時的に売上減少している事業が対象です。

国や自治体の補助金・助成金にも、導入するサービスで生産性向上が見込めることを要件とする制度もあるため、条件を満たす制度はないか確認するとよいでしょう。

アセットファイナンスについては、所有する資産を使った資金調達の方法であるため、業績不振でも関係ありません。

中でもファクタリングを利用すると、売掛金が入金されるまでの資金不足を補うことができることや、すぐに手元の現金が増えるため早急に対応できます。

まとめ

資金調達とは、事業を継続する上で欠かせないことであり、会社の成長を左右する重要な課題ともいえます。

そのため今会社がどの段階にあるのか、何のために資金が必要なのか改めて確認し、資金調達の目的や必要性を認識した上で適切な資金調達方法を選ぶことが必要です。

手元の資金が枯渇すれば、たとえ黒字経営であっても会社は倒産してしまいます。

スムーズに資金を調達したいときには、審査のハードルが低く調達まで時間がかからないファクタリングを検討することをおすすめします。