ゼロゼロ融資の無利子期間とは?返済開始で資金繰りが厳しい場合の解決法

ゼロゼロ融資の実質無利子期間は、融資後の当初3年間でした。

コロナ禍で売上が激減した事業者を支えた制度がゼロゼロ融資といえるものの、無利子期間と据置期間の終了で本格的に返済がスタートしています。

そこで、ゼロゼロ融資の無利子期間はいつまでなのか、返済開始時期と延長する方法について解説していきます。

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ゼロゼロ融資の返済危機を乗り越える対策6選

ゼロゼロ融資の返済危機を乗り越える対策6選

経営者・財務担当者のためのゼロゼロ融資の返済危機を乗り越える対策をまとめた資料です。

ゼロゼロ融資とは

「ゼロゼロ融資」とは、新型コロナウイルス感染症が拡大したことの影響により、売上減少や休業を余儀なくされるなどで、事業に支障きたした事業者に行う貸し付けです。

利子補給による3年間の実質無利子と、信用保証協会による保証で無担保の事業資金の借入れが可能でした。

通常であれば金融機関から融資を受けにくい事業者も、ゼロゼロ融資は多く利用されたといえます。

借入先は日本政策金融公庫などの政府系金融機関と、民間銀行のいずれかでした。

日本政策金融公庫では、個人事業主が最大6千万円、中小企業で最大3億円など多額の借入れが可能だったこともメリットといえます。

設備資金で最長20年、運転資金最長1hあ5年で借入れ期間を設定でき、返済が滞ったときには元本の8割または全額を信用保証協会が肩代わりする仕組みです。

元金返済のスタートまで、最長5年間で据置期間を設けることもできたため、売上回復までのつなぎとして多く利用されました。

ゼロゼロ融資の種類

ゼロゼロ融資は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、売上が減少した事業者に対して実質無利子・無担保で事業資金を貸し付ける制度です。

感染拡大当初は、政府系金融機関である日本政策金融公庫と商工組合中央金庫が窓口となり手掛けていました。

ただ、利用者が増えたことで対応が間に合わなくなり、2020年5月からは民間銀行なども貸し付けるようになりました。

そのためゼロゼロ融資は、次の4つの種類に分けることができます。

  1. 新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫)
  2. セーフティネット貸付(日本政策金融公庫)
  3. 新型コロナウイルス感染症対応資金(民間金融機関)
  4. 新型コロナ感染症特別貸付(商工組合中央金庫)

それぞれの制度を説明していきます。

新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫)

日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、コロナ禍で業績が悪化した事業者に対し無担保・低金利で事業資金を貸し付ける制度です。

既に日本政策金融公庫からの融資を受けており、借入枠が上限に達している場合でも特別枠で追加融資を受けることができました。

セーフティネット貸付(日本政策金融公庫)

同じく日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」は、売上が減少している中小企業や小規模事業者などの資金繰り支援のための制度です。

新型コロナウイルス感染症特別貸付と異なり、無利子・無担保で融資を受けることはできないものの、据置期間を最大3年間で設定できます。

新型コロナウイルス感染症対応資金(民間金融機関)

民間金融機関の「新型コロナウイルス感染症対応資金」は、コロナ禍で売上が減少した事業者を対象に資金繰りを支援するための制度でした。

新型コロナ感染症特別貸付(商工組合中央金庫)

商工組合中央金庫の「新型コロナ感染症特別貸付」は、中小企業の組合と組合員を対象とした制度で、コロナ禍で売上減少した事業者を支援するために創設されました。

ゼロゼロ融資の無利子期間

ゼロゼロ融資の無利子期間は最長で3年間で、元金返済開始までの据置期間は最長5年でした。

コロナ前よりも一定程度の売上が減少していれば借りれたため、平時では審査に通らない事業者が、赤字補填のために借入れて倒産を防いでいました。

しかし本来は融資を受けられない事業者の利用においては、実質無利子期間の終了による利子の支払いや、据置期間終了による元金返済で資金繰りが困窮したといえます。

ゼロゼロ融資の返済開始時期

ゼロゼロ融資は、返済開始までの据置期間を最長5年で設定できました。

そのため最初の5年は元金返済がなく、事業回復に全力を注ぐことができたといえるものの、実際には物価高などの影響で十分に回復できていません。

当初、日本政策金融公庫では、ゼロゼロ融資(新型コロナウイルス感染症特別貸付)の申込期限を2023年9月末まで延長しました。

ゼロゼロ融資の返済時期を延ばす方法

ゼロゼロ融資の無利子期間や据置期間が終了したものの、物価上昇・原油高・円安などで業績が回復できていないまま返済に苦しむ事業者は少なくありません。

もしもゼロゼロ融資の返済が厳しいのであれば、以下の2つを検討しましょう。

  1. 公庫融資借換特例制度
  2. コロナ借換保証

公庫融資借換特例制度

公庫融資借換特例制度」とは、日本政策金融公庫から受けた融資を特別に借り換えできる制度です。

経済的環境や社会的な要因などの影響により、資金繰り難に陥っているときに利用できる制度であり、スムーズに借り換えに応じてもらえる可能性があります。

たとえばゼロゼロ融資(新型コロナウイルス感染症特別貸付)なら、20年以内(据置期間5年以内)であり、ゼロゼロ融資以外の次の融資の借り換えにも利用できます。

  • セーフティネット貸付制度の経営環境変化対応資金および金融環境変化対応資金
  • 東日本大震災復興特別貸付
  • 令和元年台風第19号等特別貸付
  • 令和2年7月豪雨特別貸付
  • 企業再生貸付制度の事業再生
  • 企業再建支援資金(一部の対象およびシンジケートローン特例を除く)
  • 企業活力強化貸付制度の事業承継・集約・活性化支援資金
  • 新型コロナウイルス感染症特別貸付
  • 新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付
  • 挑戦支援資本強化特別貸付

ただし公庫融資借換特例制度は、「中小企業事業」のみ対象となり、個人事業主の利用した「国民生活事業」は対象になりません。

「国民生活事業」で融資を受けている場合には、借り換え希望の旨を伝えた上で、通常の融資を申し込むことになります。

コロナ借換保証

コロナ借換保証」とは、コロナ禍で借金が増えたことにより、資金繰り難に陥った中小企業を支援するための制度です。

民間銀行からの借入れは公庫融資借換特例制度を利用できません。

しかしコロナ借換保証であれば、ゼロゼロ融資だけでなく、他の保証付融資の借り換えや事業再構築のための資金需要にも対応できます。

コロナ借換保証は以下の中小事業者に該当し、経営行動に係る計画の策定(「経営行動計画書」の作成)と金融機関の継続的な伴走支援を受けることが必要です。

  • セーフティネット保証4号(SN4号)の認定を受けている
  • セーフティネット保証5号(SN5号)の認定を受け、次のいずれかに該当する
    ①売上高等減少率が15%以上である
    ②売上高等減少率が15%未満ではあるものの、最近1か月間に対応する前年同月の売上高が令和2年1月29日時点の直近月平均売上高などと比較して15%以上減少している
  • 次のいずれかに該当する
    ①最近1か月間の売上高が前年同月の売上高と比べたとき15%以上減少している
    ②最近1か月間の売上高が前年同月の売上高と比べたとき5%以上減少し、前年同月の売上高が令和2年1月29日時点の直近決算月平均売上高など比べて15%以上減少している

また、コロナ借換保証の保証限度額は1億円、保証期間は10年以内(据置期間5年以内)です。

さらに借り換えの際に必要となる保証料も、「0.2%等」とかなり安く抑えることができることがメリットといえます。

まとめ

ゼロゼロ融資の無利子期間や据置期間が終了し、いよいよ元金返済が本格的にスタートすることに不安を抱えている事業者も少なくありません。

ただ、返済開始までの期間を延長できる救済制度もあるため、適用できる場合にはうまく活用するとよいでしょう。

返済時期を延ばす制度を利用する場合でも、すぐにお金が必要という場合には対応できない可能性があります。

その場合、まだ回収していない売掛金を現金化するファクタリングなら、早ければ即日資金を調達できるため、こちらも併せて活用することをおすすめします。

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