ゼロゼロ融資の利払いにより、多くの事業者が資金繰り難に陥りました。
倒産危機に陥った企業もあるなど、当初は多くの事業者をサポートした制度である反面、売上が十分に回復できていない状態の利払いは負担増といえます。
ゼロゼロ融資は実質無利子・無担保で利用できることがメリットで、実質無利子の期間は最大3年間、元金は最大5年間猶予されました。
しかしすでにスタートした元金返済と利払いにより、多くの事業者が厳しい状況にあるといえます。
そこで、ゼロゼロ融資の利払い開始と、返済できない場合の対処法を解説します。
中小企業経営者向け!

目次
ゼロゼロ融資とは
「ゼロゼロ融資」とは、新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化した個人事業主や中小企業が対象とした実質無利子・無担保による融資制度です。
コロナ倒産した企業や、廃業を選択するしかなくなった個人事業者など、新型コロナウイルス感染拡大の打撃による影響は現在も続いています。
資材や部品などの供給停止などで売上も激減し、厳しい状況に追い込まれた企業の倒産を防ぐ支援策の制度が「ゼロゼロ融資」でした。
ゼロゼロ融資の利払い開始時期
ゼロゼロ融資では、返済開始まで延長できる据置期間を最長5年で設定可能としており、利払いも実質3年間は免除されました。
利払い開始の時期は2023年5月で、事業者の負担が増えてしまい、資金繰り難に陥るケースの増加が懸念されています。
利払いで返済を滞納した場合のリスク
ゼロゼロ融資で一時的に倒産や廃業は免れたものの、物価上昇の中の利払いで滞納や返済不能状態に陥る恐れがあります。
仮に利払いで返済を滞納した場合、次のリスクを負うため注意しましょう。
- 金融機関の評価低下
- 代位弁済による一括返済
- 倒産リスクの拡大
それぞれ説明します。
金融機関の評価低下
利払いで返済を滞納した場合のリスクとして、金融機関からの評価が低下することが挙げられます。
仮にゼロゼロ融資の返済ができなくても、信用保証協会が保証するため、代位弁済で返してもらうことはできます。
資金を貸し出した金融機関の不良債権が増えるわけではありません。
しかし信用保証協会による代位弁済が実施された場合、金融機関が別途独自に貸し出しているプロパー融資は、不良債権として扱われます。
そのためゼロゼロ融資の返済滞納で、金融機関が貸倒引当金を積み増すことが必要となり、信用評価は低下します。
代位弁済による一括返済
利払いで返済を滞納した場合のリスクとして、信用保証協会の代位弁済により一括返済を求められることが挙げられます。
信用保証協会の代位弁済が行われると、借金を返済期限まで借りておくことを可能とする「期限の利益」が喪失します。
期限の利益が喪失した状態で、信用保証協会は肩代わりした借金返済を一括で返済するように求めてきます。
倒産リスクの拡大
利払いで返済を滞納した場合のリスクとして、倒産リスクが拡大することが挙げられます。
ゼロゼロ融資の利払いスタートにより、資金繰り難に陥った事業者の手元の資金は枯渇寸前です。
コロナ倒産する企業は多く、建設業・製造業・アパレル業・卸売業など、創業100年の老舗企業などが事業回復できず倒産しています。
宿泊・観光業なども全国旅行支援などで客足が回復傾向にあるとはいえ、飲食店など固定客離れによる打撃が大きく、利払いが大きな負担になっています。
ゼロゼロ融資を返済できない場合の対処法
ゼロゼロ融資の利払い開始により、返済が厳しい状況にある場合には、次の4つの対処法を検討しましょう。
- 融資以外で資金調達する
- 金融機関に相談する
- 事業再生を図る
- 法人破産する
それぞれの対処法を説明します。
融資以外で資金調達する
ゼロゼロ融資を返済できない場合、融資以外で資金調達することを検討しましょう。
銀行から融資を受けて資金調達したくても、赤字経営や債務超過の状態にあれば、審査には通りません。
借入れ以外の資金調達を検討することが必要となりますが、たとえば売掛金を現金化するファクタリングなら、赤字経営でも債務超過でも利用できます。
ファクタリングは、保有する売掛金をファクタリング会社に売って現金化することで資金調達できるサービスです。
審査のハードルも低く、早ければ即日資金調達できるスピーディさが魅力といえます。
借入れではないため担保・保証人は不要であり、売掛先の信用力が審査の対象であるため、業績に関係なく利用できます。
ただし売買手数料の負担が重くなりがちであることや、長期利用すると資金繰り悪化につながるため、利用期間を決めた上での活用が望ましいでしょう。
金融機関に相談する
ゼロゼロ融資の利払いスタートで返済が厳しい場合、まずは融資を受けた金融機関に相談しましょう。
コロナ禍で多くの事業者が打撃を受けており、利払い開始による資金繰り悪化が懸念されているため、国からも金融機関各所に対し配慮要請が行われています。
そのため金融機関側も積極的に支援する姿勢を見せてくれる場合もあるため、返済金額変更や猶予などできないか交渉しましょう。
金融機関に相談する内容は、主に次の2つです。
- 借り換え
- 条件変更
それぞれの相談内容を説明します。
借り換え
コロナ貸付や危機対応融資は、既往債務の「借り換え」も可能としています。
また、2023年1月10日からは「コロナ借換保証」も利用できるため、ゼロゼロ融資も信用保証協会の保証付き融資で借り換えできます。
企業倒産や廃業が増えることを懸念して創設されたのが「コロナ借換保証」であり、借り換えと同時に追加運転の新規借入れも可能です。
他の保証付融資を借り換える場合や、事業再構築に向けた資金需要にも対応できるため、うまく活用しましょう。
ただし売上または利益率が5%以上減少しているなど、一定要件を満たすことが必要です。
さらに「経営行動計画書」を作成して金融機関から継続的に伴走支援を受けることも条件のため、事前に確認した上での検討をおすすめします。
条件変更
返済金額や返済方法の変更・見直しである「条件変更」は、「リスケジュール」を意味します。
融資を受けた金融機関から、新規融資などが困難になることがデメリットです。
ゼロゼロ融資の利払いが厳しい場合、条件変更ではなくまずは借り換えを検討し、難しければ条件変更を相談しましょう。
条件変更の手法は、主に次の5つの方法です。
- 元本支払猶予(元金返済を免除)
- 元本支払いの軽減(毎月の元金返済を減額)
- 据置期間の延長(返済開始時期を遅らせる)
- 融資期間の延長(毎月の元金返済を抑える)
- 金利の減免(融資金利の引下げまたは免除)
この中でゼロゼロ融資では、以下のいずれかが検討されます。
- 元本支払い猶予
- 元本支払いの軽減
- 据置期間の延長
金融機関の条件変更実行率は98~99%とされています。
ただし事業者に有利となる取り決めのため、新規融資を受けることは難しくなるとの留意は必要です。
事業再生を図る
ゼロゼロ融資の利払い開始で返済が厳しいのであれば、事業再生を図ることも検討しましょう。
2020年3月には中小企業向け私的整理ガイドラインも、以下のとおり公開されています。
- 資金繰り悪化などで経営困難な場合には、弁護士や会計士など専門家の支援を受けて事業再生計画案を策定する
- 債権者全員の同意を得て返済猶予・債務減免など受けることで事業再生を図る
法人破産する
ゼロゼロ融資の利払い開始により、返済が厳しい状態にある中、他の方法では対応しきれない状況なら、「法人破産」も検討が必要となるでしょう。
法人破産の手続が終われば会社も消滅し、会社所有の財産はすべて処分対象となり、債権者に弁済・配当されます。
処分財産で返済しきれない借金は会社とともに消滅するため、返済義務を負うこともありません。
ただしゼロゼロ融資は社長の人的保証は不可欠となっているため、法人破産で保証人である経営者も破産が必要です。
全銀協の「経営者保証に関するガイドライン」では起業破綻における経営者の免責について定めがあるため、その限りではないとも考えらえます。
ただしガイドラインに法定拘束力はありません。
金融機関が応じてくれなければ、保証人である経営者個人も破産することになります。
他の方法を検討してもゼロゼロ融資返済が厳しいなら、法人破産も検討が必要になるでしょう。
まとめ
ゼロゼロ融資の利払いは2023年5月から開始することになり、資金難に陥る事業者が増えることが懸念されています。
コロナ借換保証制度なども用意されていますが、すぐに支払いが必要という状況で対応できるわけではありません。
手元の資金が枯渇すれば会社は倒産します。
ゼロゼロ融資の利払いで返済負担に悩んでいるなら、すぐに売掛金を前倒しで現金化できるファクタリングを活用することをおすすめします。
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