ゼロゼロ融資の据置期間とは?返済開始時期を延長する方法を解説

ゼロゼロ融資は、当初、最大5年間の据置期間を設定できました。

多くの事業者は、新型コロナウイルスの流行が数年でおさまることを見込み、3年程度で据置期間を設定していたといえます。

しかしゼロゼロ融資の据置期間が過ぎ、十分に売上が回復しないまま、返済時期を迎えたことで事業継続を断念せざるを得なかった事業者も少なくありません。

では、今後もゼロゼロ融資の返済が苦しいとき、さらに据置期間を設けることはできるのでしょうか。

そこで、ゼロゼロ融資の据置期間についてと、返済開始時期を延長する方法を解説していきます。

中小企業経営者向け!資料無料ダウンロード

ゼロゼロ融資の返済危機を乗り越える対策6選

ゼロゼロ融資の返済危機を乗り越える対策6選

経営者・財務担当者のためのゼロゼロ融資の返済危機を乗り越える対策をまとめた資料です。

ゼロゼロ融資とは

「ゼロゼロ融資」とは中小企業など事業者を対象とした制度です。

政府系金融機関と民間金融機関から受けた融資を公的機関が事業者に代わり、3年間利子を負担し最長5年で返済猶予する実質無利子・無担保融資です。

多くの事業者が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたため、資金繰り対策として2020年に導入された融資制度といえます。

事業者の一部は淘汰が避けらないため、返済困難でも存続可能な事業者に、経営改善や事業再生をサポートする取り組みが求められます。

また、ゼロゼロ融資は信用保証協会が債務全額または80%を保証するなど、リスクを負担しています。

今後、返済が厳しい事業者が再建していくためには、地域金融機関が当事者意識を持ってサポートする取り組みを行うかが重要といえます。

据置期間を延長する方法

ゼロゼロ融資の据置期間を過ぎ、元金の返済が始まる前に、期間を延長したいと考える事業者は少なくありません。

元金返済開始時期を延期したい場合には、金融機関に据置期間の「延長」を申し出ることはできます。

2022年5月11日、公的・民間どちらの金融関係団体にも、内閣総理大臣・経済産業大臣・財務大臣兼金融担当大臣などの連名で「原油価格・物価高騰等総合緊急対策を踏まえた資金繰り支援の徹底等について」といった要請が発出されました。

連名による要請は7つであり、その中で次の内容を見れば、据置期間を超えた場合でも延長可能と考えられます。

事業者からの2度目、3度目の返済期間・据置期間延長の相談を含め、申込みを断念させるような対応を取らないことは勿論のこと、返済期間・据置期間の長期の延長等を積極的に提案するなど、既往債務の条件変更や借換等について、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続すること。その際、据置期間終了後の返済負担が重くなることをおそれて据置期間の延長を躊躇する事業者がいる場合には、返済期間の延長も併せて提案すること。また、制度上の返済期間・据置期間を超えた延長についても個別の事情に応じて柔軟に相談に応じること。

上記ととおり、2度目や3度目の据置期間延長の相談があった場合でも、条件変更や借り換えを含めた柔軟な対応が求められています。

据置期間延長の交渉ポイント

ゼロゼロ融資の元金返済が厳しいのであれば、金融機関に相談しましょう。

仮に据置期間延長を交渉する場合は、以下の3つをポイントを押さえた上での相談が必要です。

  1. 政府要請に基づいた検討を促す
  2. 冷静に交渉する
  3. 条件変更に注意する

それぞれのポイントを説明します。

政府要請に基づいた検討を促す

ゼロゼロ融資の据置期間延長を交渉するときには、政府から要請が出ていることを主張し、要請に基づいて検討してもらえるように促すことがポイントです。

元金返済が開始する事業者に対し、政府からは柔軟な対応をするように金融団体に要請が出ています。

そのため金融機関に対するゼロゼロ融資の据置期間延長を頭ごなしに断られることや門前払いされることはなく、柔軟に対応してもらえるはずです。

万一断られてしまったときには、政府から要請が出ていることを主張し、検討してもらえないか交渉することで対応してもらえる可能性があります。

冷静に交渉する

ゼロゼロ融資の据置期間延長を交渉するときには、冷静に交渉することがポイントです。

確かにゼロゼロ融資を含め、資金繰りが厳しく返済困難な状況にある事業者に対しては、柔軟な対応をするように政府から金融団体に強い要請は出ています。

しかしあくまでも「要請」であり、「命令」ではありません。

そのため最終的に据置期間延長などを認めるか判断するのは金融機関です。

今の業績では「条件変更」で延長するしかないと場合、返済方法や条件を時的に緩やかに変更する「リスケジュール」が必要になります。

リスケジュール実行は、返済能力がないと判断されるため、金融機関からの評価を下げます。

まずは条件変更ではない据置期間の延長を相談し、難しければ最終手段として条件変更を相談しましょう。

条件変更にの注意点

ゼロゼロ融資の据置期間延長を交渉するときは、条件変更への注意が必要です。

先にも述べたとおり、条件変更は一時的に資金繰りに余裕が出るメリットがある反面、金融機関からの評価を下げます。

しかし、ゼロゼロ融資の据置期間延長を金融機関に相談すると、据置期間延長は条件変更として扱われると伝えられます。

何の説明もなく条件変更の手続を進められる恐れもあるため、条件変更ではない据置期間延長を相談する場合は、「借り換え」を検討しましょう。

借り換えとは、新規で融資を受けて調達した資金により、既存の借入金を返済・清算することです。

融資の切り替えともいえますが、借り換えで新規の借入れに据置期間を長めに設定することで元金返済開始時期を延長できます。

条件変更と異なり、金融機関の評価を下げることもありません。

まとめ

ゼロゼロ融資の据置期間が終了し、元金の返済開始時期を迎える事業者は今後増えると想定されます。

業績が回復していない中で、ゼロゼロ融資の返済資金がないのなら、据置期間について相談しましょう。

また、保有する未回収の売掛金があれば、現金化して資金調達できるファクタリングもおすすめです。

ファクタリングは融資を受けるのではなく、あくまでも売掛金の売買による資金調達方法であるため、金融機関の評価を落としません。

返済資金捻出の方法としてファクタリングもあわせて検討してみましょう。

中小企業経営者向け!資料無料ダウンロード

ゼロゼロ融資の返済危機を乗り越える対策6選

ゼロゼロ融資の返済危機を乗り越える対策6選

経営者・財務担当者のためのゼロゼロ融資の返済危機を乗り越える対策をまとめた資料です。