ゼロゼロ融資の条件変更とは?おすすめしない理由と対策方法について解説

ゼロゼロ融資の返済が厳しい場合、条件変更も検討できます。

新型コロナウイルス感染拡大により売上が減少した事業者は、当初、資金難を理由にゼロゼロ融資を利用しました。

しかし物価上昇や円安などの影響で、十分に事業が回復しないまま、返済がスタートしています。

そこで、ゼロゼロ融資の条件変更について、おすすめしない理由と代わりの対策方法を解説します。

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ゼロゼロ融資の返済危機を乗り越える対策6選

ゼロゼロ融資の返済危機を乗り越える対策6選

経営者・財務担当者のためのゼロゼロ融資の返済危機を乗り越える対策をまとめた資料です。

ゼロゼロ融資とは

「ゼロゼロ融資」とは、新型コロナウイルス感染症の影響で、業績悪化した事業者を対象とした実質無利子・無担保による融資制度です。

2020年、中国の武漢から拡大した新型コロナウイルス感染症は、世界経済にまで大きな影響を与えました。

現在でも「コロナ倒産」してしまう企業は少なくない状態であり、影響を受けている業界は様々です。

厳しい状況に追い込まれた事業者は増える一方だったため、企業の倒産を防ぐ支援策として打ち出されたのが「ゼロゼロ融資」といえます。

条件変更とは

「条件変更」とは、融資を受けた借入金の返済が困難になった場合、返済計画を見直すリスケジュールのことです。

返済が苦しいとき、一時的な猶予や毎月の返済額の減額などの条件変更は相談できます。

しかし条件変更した場合、その借入れは金融機関の「貸出条件緩和債権」として扱われます。

貸出条件緩和債権とは、債務者の経営再建・支援を目的として、次の取り決めを行った貸出金のことです。

  • 金利の減免
  • 利息の支払猶予
  • 元本の返済猶予
  • 債権放棄
    など

一般的に条件変更の手法として挙げられるのは次の5つです。

  • 元本支払猶予(元金返済を免除)
  • 元本支払いの軽減(毎月の元金返済を減額)
  • 据置期間の延長(返済開始時期を遅らせる)
  • 融資期間の延長(毎月の元金返済を抑える)
  • 金利の減免(融資金利の引下げまたは免除)

このうち、ゼロゼロ融資の返済で困窮した場合、元本支払い猶予・元本支払いの軽減・据置期間の延長のいずれかによる対応が検討されます。

実際、金融庁が公表している金融機関の条件変更の実行率は98~99%となっており、基本的に応じる姿勢を見せています。

いずれもお金を借りた事業者に有利となる取り決めです。

ただ、ゼロゼロ融資で資金を貸し出した日本政策金融公庫や民間金融機関からは、新規融資を受けられなくなるでしょう。

借り換えとは

「借り換え」とは、新規で融資を受けて調達した資金を使って、既存の借入れを返済することです。

すでに金融機関から融資を受けている借入金を、他の金融機関から融資を受けて返します。

事業資金を借り換える最大の効果は、毎月の返済負担を軽減できることです。

借り換えは、業績悪化で借入金返済が厳しい企業ばかりが利用するわけではありません。

たとえば業績良好である場合、条件のよい金融機関へ借り換える前向きなケースも見られます。

新規融資を行える財務体質が求められるため、どのような企業でも利用できるわけではありません。

条件変更をおすすめしない理由

ゼロゼロ融資による返済が厳しい状況であっても、条件変更はおすすめしません。

その理由は、条件変更により追加融資を受けられなくなるからです。

まずは借り換えで対応できないか確認し、可能なら再度、据置期間を利用したり返済期間を長めに設定したりなどの対応を検討しましょう。

借り換えが難しい場合は、別の方法を模索し、なお難しければ条件変更の手続を行うなど、最終手段とするべきです。

条件変更に代わる対策

ゼロゼロ融資の返済が厳しい場合、条件変更に目を向けがちであるものの、代わる対策として次の2つが挙げられます。

  1. コロナ借換保証
  2. ファクタリング

それぞれの対策を説明します。

コロナ借換保証

2023年1月10日からスタートした「コロナ借換保証」は、再度、最大5年間の据置期間や返済期間を長期設定できる制度です。

民間金融機関や日本政策金融公庫で、既存のゼロゼロ融資を借り換えできる制度があります。

たとえば東京都の企業なら、民間金融機関から受けたゼロぜロ融資について次の制度利用が可能です。

  • 「新型コロナウイルス感染症・ウクライナ情勢・円安等対応緊急融資
  • 「コロナ借換保証」

このうち、「新型コロナウイルス感染症・ウクライナ情勢・円安等対応緊急融資」は東京都の制度です。

「コロナ借換保証」は、民間のゼロゼロ融資などの返済負担を軽減させる保証制度で、要件に該当する場合には積極的に利用すべき内容といえます。

日本政策金融公庫で要件を満たせば既存融資を借り換えできるものの、令和4年9月30日で当初3年間の利子補給による実質無利子は終了しています。

また、制度を利用する場合、売上高または利益率の減少要件(5%以上)またはセーフティーネット4号または5号の認定取得が必要です。

一定要件を満たすことに加え、金融機関と対話を通じた「経営行動計画書」の作成と、金融機関による継続的な伴走支援が条件となります。

ただ、借入時の信用保証料が大幅に引き下げることができるため、要件を満たすのであれば積極的に検討するとよいでしょう。

【コロナ借換保証制度概要】
保証限度額:1億円(100%保証融資は100%保証で借換可能)
保証機関等:10年以内(据置期間5年以内)
保証料率:0.2%等(補助前は0.85%等)

ファクタリング

「ファクタリング」とは、個人事業主や法人などが保有している売掛債権をファクタリング会社に売却し、現金化して資金を調達するサービスです。

コロナ禍で資金繰りが悪化してしまい、仕入れ代金など買掛債務や税金の支払いができないことに悩む事業者も増えました。

融資を受けたくても、既存のゼロゼロ融資などの返済が苦しい状況にある中で、厳しい審査を通る見通しも立たないケースもめずらしくありません。

そのような場合でも、ファクタリングなら未回収の売掛金があれば資金調達に活用できます。

ファクタリングのメリットは、以下のとおりです。

  • 売掛金入金期日より前に現金化できる
  • 借入れではないため担保・保証人は不要
  • 審査では売掛先の信用力が重視される
  • 売掛債権未回収となるリスクをファクタリング会社に移転できる
  • キャッシュフロー改善につながる

ただし、以下のデメリットには注意が必要です。

  • 手数料負担が重い
  • 長期利用すると資金繰りが悪化する
  • 悪徳業者に騙されないため信頼できる業者の見極めが重要

といったデメリットもあるため、安心して資金調達に利用するのなら信頼できるファクタリング会社かしっかり見極めてください。

まとめ

今後、ゼロゼロ融資の返済開始時期は2023年7月から2024年に集中することが見込まれています。

そこで借り換えだけでなく、他の保証付融資からの借り換えや、事業再構築など前向き投資の資金需要にも対応する保証制度がコロナ借換保証です。

もしもゼロゼロ融資の返済に悩んでいるときには、条件変更ではなくコロナ借換保証を利用できないか検討しましょう。

売掛金を前倒しで現金化できるファクタリングも、あわせて活用することをおすすめします。

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