企業を成長させるために投資は必要不可欠であり、その際の資金調達の方法としてファクタリングを活用する方法もあります。
新規事業や設備導入、人材開発など投資する理由はいろいろです。
いずれの場合も多額の資金が必要であり、銀行融資を頼れるとは限らないため、ファクタリングも候補として検討できます。
そこで、ファクタリングは投資目的で利用できるのか、資金調達の注意点を簡単に解説します。
ファクタリングとは
「ファクタリング」とは、保有している売掛債権を売却し、現金化することで資金を調達できるサービスです。
譲渡した売掛債権から売買手数料など差し引いた金額を、代金として前倒しで受け取れます。
ファクタリングの特徴
ファクタリングで現金化する「売掛債権」は、商品やサービスを販売したときの対価として、後からその代金を請求する権利です。
売掛債権には「売掛金」と「受取手形」があり、ファクタリングでは売掛金を使います。
売掛債権は会計上の資産とみなされるため、有価物として売却できます。
その性質を活かして、支払い期日を短期化させる方法がファクタリングであり、売掛金が未回収になるリスク回避にもつながります。
また、ファクタリングの審査では売掛先の信用力が重視されるため、業績に自信がなく、財務状況が悪化でしていても利用しやすい方法です。
資金使途に制限なし
ファクタリングは銀行融資と異なり、調達した資金の使い道に制限はありません。
銀行融資では、資金使途が決まっていることが多いものの、ファクタリングで何に調達したお金を使うか細かく説明する必要はありません。
投資にも使えるため、自由度の高い資金調達方法といえます。
投資目的でファクタリングを利用する流れ
ファクタリングを投資目的で利用するときの流れは次の6つです。
- ファクタリングの申し込み
- 見積もりの依頼
- 書類の提出
- ファクタリング契約の締結
- 買取代金の入金
- 投資資金の投入
それぞれの流れを説明します。
①ファクタリングの申し込み
ファクタリングを投資目的で利用する場合には、まずファクタリング会社に申し込みが必要です。
候補となる業者を何社かピックアップしてみましょう。
②見積もりの依頼
ファクタリング会社複数社の候補それぞれに、相見積もりを依頼しましょう。
サイトの問合せフォームや電話などで、まずは相談し、どのくらいの金額で売掛金を買い取ってもらえるか確認します。
③書類の提出
相見積もりによりファクタリング会社を選んだ後は、必要書類を提出します。
提出を求められる書類として、以下が挙げられます。
- 取引履歴の分かる銀行口座通帳の写し
- 売掛先との基本契約書
- 請求書・発注書・納品書・取引の契約書など
- 決算書2~3期分
提出後、ファクタリング会社の本審査が開始され、債権譲渡契約の準備に貼ります。
④ファクタリング契約の締結
ファクタリング会社の審査に通過した後は、利用者とファクタリング会社で債権譲渡契約を結びます。
利用者にとって不利な条件になっていないか、契約書の内容で不明な点があるときには質問し、確認してください。
怪しいと感じる部分があれば契約せず、一旦、別のファクタリング会社などに相談することをおすすめします。
⑤買取代金の入金
債権譲渡契約を結んだ後は、ファクタリング会社から利用者に買取代金が支払われます。
手数料は差し引かれますが、1~2か月待たなければ入金されない売掛金を、前倒しで受け取れることは大きなメリットです。
⑥投資資金の投入
ファクタリングで調達した資金を、新規事業や設備資金などに充てましょう。
調達したお金の使途は問われないため、必要な投資に使えます。
投資でファクタリングを利用するメリット
投資でファクタリングを利用するメリットとして、次の3つが挙げられます。
- 資金調達に時間がかからない
- 審査が柔軟
- 返済義務を負わない
それぞれのメリットを説明します。
資金調達に時間がかからない
ファクタリングは資金調達まで時間がかかりません。
銀行融資の場合には申し込みから融資実行まで1か月程度かかる場合が多いのに対し、ファクタリングでは最短で即日現金化が可能などスピーディです。
審査が柔軟
ファクタリングの審査は売掛先の信用力を重視するため、銀行融資のような厳しさはなく、柔軟であることがメリットです。
返済義務を負わない
ファクタリングは売掛債権の売買による資金調達の方法であるため、資金調達後に返済義務を負わないこともメリットです。
投資でファクタリングを利用するデメリット
反対に投資でファクタリングを利用するデメリットとして、次の3つが挙げられます。
- 資金調達コストは銀行融資よりも高め
- 調達可能金額は売掛債権額面まで
- 長期利用で資金繰りが悪化する
それぞれのデメリットを説明します。
資金調達コストは銀行融資よりも高め
ファクタリングの資金調達コストは、銀行融資の利息よりも高めです。
売買手数料はファクタリング会社独自の審査で決まるため、売掛先の信用力や売掛債権額面額、入金までの期日の長さなど複数の項目を加味した総合判断となります。
調達可能金額は売掛債権額面まで
ファクタリングは売掛債権を現金化する資金調達の方法であるため、調達できる金額は売掛債権額面までに留まります。
設備投資に多額の費用が必要で、売掛債権金額では必要金額に満たない場合には、別の資金調達方法も併用することが必要です。
長期利用で資金繰りが悪化する
ファクタリングは銀行融資よりも手数料が高めであるため、長期利用すれば資金繰りが悪化します。
計画的な利用が不可欠であるため、いつからいつまで何か月利用するか事前に決めた上で活用しましょう。
ファクタリングを投資目的で利用したいケース
ファクタリングを投資目的で利用したいケースとして、次の3つが挙げられます。
- ビジネスチャンスを逃したくない
- 信用力の高い債権を保有している
- 起業したばかりで借入れできない
それぞれ説明します。
ビジネスチャンスを逃したくない
繁忙期に備えて設備投資を行いたいときや、業界動向を踏まえてシェア拡大したいときなど、ビジネスチャンスを逃したくないときにもファクタリングによる資金調達はオススメです。
投資による利益増が十分期待できるのであれば、高い手数料は許容した上でファクタリングによる資金調達を決断したほうがよいといえます。
信用力の高い債権を保有している
大企業や公共機関など、信用力の高い債権を保有している場合は、ファクタリングがおすすめです。
信頼性の高い債権はファクタリング会社も安心して買い取れるため、売買手数料も安く設定されやすくなり、好条件での契約が期待できます。
起業したばかりで借入れできない
起業したばかりで銀行融資の審査に通らず、借入れによる資金調達ができない場合も、ファクタリングなら利用できる可能性があります。
ファクタリングの審査では、ファクタリング会社が買い取る売掛債権の信頼性が重視されます。
創業してまもない場合でも、信用力の高い売掛金を譲渡対象にすれば、資金調達に活用できます。
まとめ
ファクタリングで調達した資金を、投資に使うことは可能です。
銀行融資では、借りたお金の使途が決められていることも多いのに対し、ファクタリングでは資金使途は問われません。
自由度の高い資金調達方法であるため、投資に充てるお金が不足しているときは、ファクタリングによる資金調達も検討するとよいでしょう。