新型コロナウイルス感染拡大の影響で、これまで長く付き合いのあった買掛先や売掛先の資金繰りが悪化し、倒産してしまうことはめずらしいことではなくなりました。
しかし実際に買掛先や売掛先が倒産してしまった場合、まず代金の支払いや回収などどうなるのか気になるところですが、どのような対応が必要なのかご説明します。
目次
買掛先と売掛先のいずれかが倒産したらまずは情報取集を
倒産した相手が買掛先と売掛先、どちらの場合でもまず必要なことは情報収集です。
取引のあった相手の倒産が、
- 法的倒産手続きを行ったのか(裁判所に破産手続の申立をしたのか)
- 私的整理を行ったのか(法的手段ではなく債権者や債務者との合意に基づいたものなのか)
- 事実上の倒産なのか(2度手形の不渡りを出し銀行取引が停止されたのか)
などどのケースに該当するかによって対応が異なります。
そこで、
- 事業は継続されているか
- 法的手続の有無
- 未払いまたは未回収の債権の有無
などを確認しましょう。
倒産した相手が売掛先の場合の対応
倒産した相手が売掛先の場合、まだ回収できていない売掛金はないか確認してください。
破産手続による倒産の場合には、配当を受けることができたとしても満額回収することは難しいため、未回収不能分はその見込額を損金処理しなければなりません。
倒産した相手が買掛先の場合の対応
買掛先が倒産した場合には、未払いの代金はもう支払う必要はないと考えてしまいがちです。
しかし買掛先が破産手続きを進めている場合には、破産管財人(弁護士)から代金回収の連絡が入ることとなります。
支払わず放置していれば訴訟を起こされることになるため、金額を値切ることも避けてください。
建設業で未完成工事があれば、工事契約を解除するように破産管財人から求められます。
契約解除後に出来高に応じた金額を支払うこととなり、まだ完成させていない未完成部分は施主が新たに別の業者と請負契約を結ぶこととなるでしょう。その後、工事を完成させることになるでしょうが、完成まで遅延したことによる損害が発生する可能性もあります。
債権と債務のどちらもある場合の対処法
倒産したのが買掛先と売掛先、どちらの場合でも債務(買掛金)と債権(売掛金)のどちらも有するケースもあるでしょう。
この場合には、原則、債務と債権の対等額で相殺できます。債権の弁済期が到来していなくても、取引先の破産手続開始で到来とみなされるため相殺することが可能です。