資金繰り相談は誰にするべき?頼れる相手とメリットをわかりやすく解説

資金繰り相談とは、たとえば会社の業績悪化で資金繰りがうまくいかないときや、銀行に融資を申し込んだものの審査に通らない場合などに行います。

解決させたいお金の問題など、資金繰りに関する相談をしたいけれど、誰に打ち明けるべきかわからず悩んでいる経営者も少なくありません。

資金繰り相談は、対策に詳しくノウハウを持ち合わせている専門家などを頼るとスムーズといえますが、具体的に誰に相談すればよいのでしょう。

そこで、資金繰り相談は誰にするべきなのか、頼れる相手とメリットをわかりやすく解説していきます。

資金繰りとは

「資金繰り」とは、収入と支出を管理し、過不足を調整することです。

主に「資金」に含まれるのは、現金・普通預金・当座預金・定期預金・通知預金などのすぐに支払いに充てることのできる資産とされます。

たとえば上場株式などの有価証券や不動産などは売却して入金されるまで時間がかかることや、貸付金・売掛金などは相手先から入金されるまで現金化されないため含まれません。

会社経営にとって血液に例えられることが多い資金の流れを管理しなければ、企業の生死に直結すると留意し、資金繰りを円滑にすることが必要です。

なお、売掛金が取引先から入金される期日よりも前に、現金化できるファクタリングを使えば早期に資金を調達できます。

詳しくは以下の記事を参考にしてください。

ファクタリングとは?仕組み・手数料の目安や注意点について簡単に解説

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資金繰りが厳しくなる原因

資金繰りは、すぐ先の未来のお金の流れを把握するために必要なことです。

収支のバランスが取れないまま、仮に数か月以内に資金が足らなくなると予測されるときには、資金繰りはさらに悪化してしまい枯渇する恐れもあります。

このような資金繰りが厳しくなってしまう原因として、主に以下の3つが考えられるでしょう。

  1. 自転車操業に陥っている
  2. キャッシュフローを把握できていない
  3. 入金サイトが長期化している

それぞれ何が原因で資金繰りが厳しくなるのか説明します。

自転車操業に陥っている

資金繰りが厳しくなる原因として、借金の返済を別の借入れによる資金で賄う「自転車操業」に陥っていることが挙げられます。

自転車操業に陥っている場合、常に経営者が資金繰りに悩んでいることが多く、売掛金の回収が1社分でも遅れてしまうと不測の事態が起こってしまいます。

売掛先の支払いが遅れている理由が会社倒産の場合、連鎖倒産してしまう恐れもあるため注意が必要です。

抜本的に経営を見直すことが必要となるため、早期にコンサルタントなど専門家へ相談したほうがよいでしょう。

中小企業が抱える悩みを解決するために頼りたいコンサルタントとは?

キャッシュフローを把握できていない

資金繰りが厳しくなる原因として、現預金の残高や手元にある現金、いつ支払いが必要なのかなど「キャッシュフロー」を把握できていないことが挙げられます。

突然の資金が必要になったとき、準備できる現金がわからないため、対応できない可能性が高くなるといえます。

売上が伸びている場合でも、資金がショートすれば倒産してしまう恐れがあることを踏まえ、キャッシュフローを把握する習慣をつけましょう。

入金サイトが長期化している

資金繰りが厳しくなる原因として、売掛金の「入金サイト」が長期化していることが挙げられます。

売上として計上されている代金が入金されるまでの期間が長いと、仕入代金や従業員の給与などの支払いに充てるお金が不足しがちです。

損益と資金繰りは必ずしも一致するとは限らないことを理解し、売上が上がっていれば手元にお金が十分あると安心することなく、常に資金の流れの現状をつかんでおきましょう。

なお、売掛金の入金サイトが長いため、早期に支払ってほしいと取引先に直接相談することはおすすめしません。

資金繰り悪化を懸念され、その後の取引量や決済方法を制限・変更される恐れもあるからです。

売掛金の入金サイトが長く、手元の資金が不足しがちなときには、ファクタリングなどを活用して短期化することをおすすめします。

回収サイトとは?長さの目安や短期化する方法をわかりやすく解説

頼れる資金繰りの相談先

資金繰り相談で専門家を頼りたいとき、打ち明ける相手として候補となるのは主に次の8者です。

  1. 経営コンサルタント
  2. 税理士
  3. 民間銀行
  4. 日本政策金融公庫
  5. 中小企業基盤整備機構
  6. よろず支援拠点
  7. 都道府県等中小企業支援センター
  8. 商工会議所・商工会

それぞれ誰に相談するべきか説明します。

経営コンサルタント

資金繰りの相談先として候補となるのは、事業再生などに詳しい「経営コンサルタント」です。

経営が悪化している会社の現状を把握し、どうすれば立て直しできるか適切なアドバイスやサポートを行う専門家であるため、問題を客観的に確認してもらえます。

適切なアドバイスを受けながら、資金繰り改善に向けた抜本的改革へと取り組むことをおすすめします。

むことができます。

税理士

資金繰りの相談先として候補となるのは、税務のプロフェッショナルといえる「税理士」です。

顧問税理士がいる場合には、財務状況なども把握しているはずであるため、資金繰り相談もしやすいでしょう。

ただし、税理士は税務の専門家ではあるものの、資金繰りなどに詳しいとは限りません。

財務関連の知識や助成金や補助金などの資金調達などに詳しい専門家か、事前に確認の上相談したほうがよいでしょう。

民間銀行

資金繰りの相談先として候補となるのは、すでに取引のある「民間銀行」です。

融資を受けている場合など、経営状況は把握されているため、資金繰り相談もしやすいでしょう。

ただし経営状況から、返済能力が低いと判断されれば、審査に通らず融資を受けることはできない恐れもあります。

日本政策金融公庫

資金繰りの相談先として候補となるのは、政府系の金融機関である「日本政策金融公庫」です。

日本政策金融公庫は、民間の金融機関を補完する役割を担うため、民間銀行で融資を断られた企業でも融資制度の申し込みできます。

特に資金繰り支援が目的の「セーフティネット貸付制度」は、業績悪化や金融機関との取引状況の変化で資金繰りに困っているときなどに相談できる制度です。

取引銀行から融資を受けることが難しい場合は、日本政策金融公庫へ相談してみましょう。

中小企業基盤整備機構

資金繰りの相談先として候補となるのは、中小企業の支援を行う経済産業省所轄の独立行政法人「中小企業基盤整備機構」です。

経営基盤強化や新事業展開の促進など、中小企業に様々な支援を行う事業を展開しています。

全国主要地域の本部で対面形式による相談が可能となっているため、決算書や資金繰り表を担当者に見てもらいながら資金繰りや経営の相談ができます。

経営相談ホットラインやメール、AIチャットポッドを使った窓口もあるため、まずは相談してみるとよいでしょう。

よろず支援拠点

資金繰りの相談先として候補となるのは、中小企業基盤整備機構が設置する経営相談窓口「よろず支援拠点」です。

47都道府県に設置されているためどのエリアでもアクセスしやすく、日本政策金融公庫の融資制度の利用や銀行融資のリスケジュールなどいろいろな相談に対応しています。

都道府県等中小企業支援センター

資金繰りの相談先として候補となるのは、中小企業庁の設置している「中小企業支援センター」です。

資金繰りや創業に関する相談ができるため、公的融資や補助金なども案内してもらえます。

ただし都道府県によって利用できる支援などは異なるため、事前に確認の上相談することをおすすめします。

商工会議所・商工会

資金繰りの相談先として候補となるのは、地域の商工業者が集まって構成される公益経済団体の「商工会議所」や商工会です。

行政と連携しており、経営指導員が在籍しているため、資金繰り相談も対応しています

新たな融資制度や補助金などの紹介をしてもらえることや、経営指導員による指導後に「マル経融資」などの支援制度を利用できるなどのメリットがあります。

資金繰り相談のメリット

資金繰り相談で専門家を頼ることで、単独ではどうすることもできなかった問題を解決できる可能性もあります。

第三者の視点から経営状況を確認してもらうことで、これまで気がつくことのできなかった問題を把握することにもつながるでしょう。

そのため資金繰り相談をすることで、以下の5つのメリットがあると考えられます。

  1. 資金繰り改善につながる
  2. 問題点を把握できる
  3. 解決に向けた支援を受けられる
  4. 経営判断のミスを防げる
  5. 信用力を向上できる

それぞれのメリットについて説明します。

資金繰り改善につながる

資金繰り相談のメリットとして、資金繰り改善につながることが挙げられます。

専門家に相談をしてアドバイスを受け、資金繰り計画を作成・実行すれば、状況は改善されるはずです。

定期的に計画内容を見直すことで、長期的な資金繰り改善へもつなげることができるでしょう。

問題点を把握できる

資金繰り相談のメリットとして、気がついていない問題点を把握できることが挙げられます。

専門家なら、客観的な視点で何が問題で資金繰りが悪化しているのか、専門的な知識や経験などで把握できます。

外部の専門家に相談することで、内部からは把握できなかったことを発見でき、問題点改善につなげていくことができるでしょう。

解決に向けた支援を受けられる

資金繰り相談のメリットとして、専門家から解決に向けた支援を受けられることが挙げられます。

たとえば追加融資やリスケジュールなど希望する場合、申し込みなどに関するサポートを受けておけば、銀行との交渉もスムーズに進む可能性が高くなります

資金繰り状況を把握している専門家が、金融機関に提出する必要書類作成を支援してくれたり同行してくれたりといったサポートを受けられることもあるため、資金調達において心強いと考えられます。

他にも資金繰り改善に役立つ資金調達の情報に詳しいことも多いため、専門家の業務範囲を確認した上で相談するとより安心です。

経営判断のミスを防げる

資金繰り相談のメリットとして、経営判断のミスを防げることが挙げられます。

たとえば定期的に出費を伴う投資を導入したいけれど、支払いを継続できるか不安なケースも少なくありません。

企業の成長には投資も必要であるものの、無理に資金を投じれば回収できず倒産するリスクを高めます

この場合、専門家へ相談することで資金繰りが「見える化」し、設備投資に充てることのできる目安など判断がしやすくなるでしょう。

信用力を向上できる

資金繰り相談のメリットとして、信用力を向上できることが挙げられます。

たとえば銀行から融資を受けるときには、企業の返済能力を過去の実績や担保の有無などで判断します。

また、資金繰り計画をしっかりと立てているかも、大きな判断材料となり得るでしょう。

専門家へ資金繰り相談をして計画書など作成しておけば、信用力の向上につなげることができ、審査で有利になる可能性も考えられます。

融資が実行された後も、定期的に最新の資金繰り表を銀行へ提出しておけば、より高い信用を得やすくなるはずです。

まとめ

資金繰り相談は、経営コンサルタントや税理士などの専門家の他、取引銀行や政府系金融機関など頼ることができます。

また、中小企業庁など国のいろいろな機関でも、資金繰りに関する相談に応じているため、気になる場合は問い合わせてみるとよいでしょう。

ただし、取引先になどに仕入れ代金の支払いの延長や、売掛金の入金の前倒しなどを相談することは避けましょう。

資金繰り悪化のうわさは同業他社に広まりやすく、経営状況悪化を懸念されれば、その後の取引を打ち切られる恐れもゼロではありません。

そのため相談する相手が困ったときは、まずは資金調達に詳しいコンサルタントなどに資金繰り改善策の提案を相談するとよいでしょう。