経営計画とは?期間の種類や流れ・策定するメリットをわかりやすく解説

経営計画とは、経営理念や将来的なビジョンをステークホルダーに示すことや、社内で何をするべきか周知するためのプランです。

たとえば銀行など金融機関からお金を借りるときなど、申し込みにおいて経営計画書の提出を求められます。

会社の現在を洗い出し、将来的な目標や姿を客観的にイメージしつつ、理想的な会社経営を目指す上でも経営計画は欠かせません。

そこで、経営計画とは具体的にどのようなことを企画するのか、計略を練る上での期間の種類や流れ、策定するメリットなどをわかりやすく解説していきます。

経営計画とは

「経営計画」とは、会社が進むべき道やゴールを示し、到達するための方法などのプランです。

具体的な方法を示した経営計画を書面化したものが「経営計画書」であり、最終目的地とそこまでに至る経緯を示します。

当初予定していたとおりに進まないこともあり、たとえば市場や経済、環境の変化などで変更を余儀なくされることもあるでしょう。

しかし基本的には当初立てた計画通りに進めていくことが大切といえます。

経営計画について、さらに詳しく次の2つを説明していきます。

  1. 重要視されている理由
  2. 策定する際の必要項目

重要視されている理由

経営計画が重要視されている「理由」として、社員を含むステークホルダーと共有することにより、企業活動の経営効率や計画の実現性が高まることが挙げられます。

たとえば登山家を例に挙げると、登山計画書をメンバー全員と共有することにより、ゴールの山頂へ至るルートを周知できます。

ルートの周知により登頂成功の確率を高めることができるといえますが、会社経営における経営計画も登山計画に近い機能を有するといえるでしょう。

策定する際の必要項目

経営計画を策定する際には、次の「項目」に関する目標を計画書に盛り込みましょう。

  • 経営理念
  • 使命
  • 展望
  • 指針
  • 戦略
  • 売上
  • 投資
  • 経営数値
  • 方針
  • 実施予定

他にも次の情報や分析結果を盛り込んでいきます。

  • 資本計画
  • バランスシート(予想)
  • キャッシュフローステートメント(予想)
  • 市場分析・予想
  • 競合状況
  • 研究開発計画
  • SWOT分析

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経営計画の策定期間の種類

経営計画では、会社の将来的なビジョンや目標を明確化し、目標達成に向けた具体的な取り組みなどを示していきます。

会社経営の目的は、社員の幸せの追求と社会への貢献を基礎としつつ、利益を生むことです。

安定して利益を上げていくためには、経営方針や目標を定めた経営計画が必須といえますが、次の3つの期間に分けて策定していきましょう。

  1. 短期経営計画
  2. 中期経営計画
  3. 長期経営計画

比較的短い期間の直近まで経営計画から、長期的な将来まで、経営の円滑化に向けたプラン策定が必要です。

上記3つの期間における経営計画について解説していきます。

短期経営計画

「短期経営計画」とは、年単位の行動方針を策定する経営プランです。

1年間の売上・仕入・経費などの計画や、部門や部署ごとの目標と行動を示します。

次に説明する中期経営計画の数値目標よりも詳細な、日常業務レベルの行動計画などを設定することが多いといえます。

中期経営計画

「中期経営計画」とは、3~5年後にビジョンを設定するための経営プランです。

今後、3~5年で成し遂げなければならない将来のビジョンや目標を明確にし、売上・経常利益・株主資本利益率(ROE)などの具体的な数値目標を掲げて達成していくための行動計画を示します。

長期経営計画

「長期経営計画」とは、5~10年後の将来的なビジョンと目標達成に向けた経営プランです。

長期に渡る安定した経営と成長のために行うべき取り組みを策定していきます。

中期経営計画の先にある5~10年後は、会社を取り巻く環境や景気、市場の流れに消費者ニーズなどが大きく変化していると予想されます。

将来的な変化に対応できるように、策定したビジョンや目標を実現できる取り組みを具体的に示していきます。

既存事業の強化や新規事業の展開、投資戦略などについても盛り込むことが必要です。

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経営計画の策定の流れ

経営計画は、原則、会社の代表者である社長が策定するべきです。

会社経営を担当するのは社長の仕事であり、将来的なビジョンに向けたロードマップを作る役割を担います。

特に小規模な会社であれば社長の策定した経営計画を社内で周知したほうがスムーズです。

しかし中規模以上の会社では、チームを組んで計画したほうが、効率的に策定できる可能性があります。

チームによる経営計画の策定においても、将来的なビジョンやミッション、経営戦略などの情報は社長を筆頭とした経営陣からの提供によるものでなければなりません。

そのため経営陣が経営計画の策定を行わず、チームに任せるという場合には、将来のビジョンや戦略などを細かく伝えて計画に盛り込める状態にすることが必要です。

その上で経営計画の策定は、次の4つで進んでいきます。

  1. 理念・戦略の策定
  2. 社内環境の分析
  3. 外部の分析
  4. 目標の設定

それぞれの流れを説明していきます。

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1.理念・戦略の策定

経営計画の策定において、まずは会社の「理念」を明確化し、「戦略」を策定しましょう。

主に経営理念は次の3つの要素に分類できます。

  • 会社の存在意義や社会に対する使命(商品販売やサービス提供を通して社会の課題を解決し貢献するといった会社と社会のつながり)
  • 中長期的に目指す目標(国内売上10億円を達成するなど明確な数値目標)
  • 会社の価値や行動規範(高いパフォーマンスで業務に臨むなど必要な行動の手本)

上記の3つの要素を明確化することにより、将来的に目指すべき姿や実行するべきことを計画として策定できます。

2.社内環境の分析

経営計画を策定することに向けて、理念や戦略を明確にした後は、「社内環境」を分析しましょう。

自社を構成している経営基盤やヒト・モノ・カネ・情報などのリソースについて、強みや弱みなどを分析することが必要です。

そのため次のリソースを対象に社内環境を分析していきましょう。

  • 人材(必要な数・求める能力)
  • 顧客(数・ターゲット属)
  • 拠点(数)
  • オフィス・設備の状況
  • 社内インフラ
  • 社風・企業カルチャー
  • 顧客満足度
  • マネジメント体制
    など

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3.外部の分析

経営計画を策定する上では、社内だけでなく「外部」の分析も必要です。

外部の影響は自社のみではコントロールできず、情勢次第で脅威にも機会にもなるといえます。

そのため経営計画の策定において外部環境の詳細な分析は必須といえますが、時代の流れで変化していくことを前提に、常に新しい情報を収集しつつ分析していきましょう。

外部環境を分析するときの対象となるものとして、自社を取り巻く市場・競合他社・法制度などであり、主に次のものが挙げられます。

  • 市場の流れ
  • 競合他社の動き
  • 取引先・顧客の変化
  • 技術革新
  • 法令・制度の改正
  • 経済の動き
  • 営業圏の人口推移
    など

4.目標の設定

経営計画の策定で、内部と外部の環境を分析した後は、「目標」を設定しましょう。

目標を達成するために必要な設備・経費・人員などのリソースを数値化し、計画として盛り込むことが必要です。

達成を目指すために解決するべき課題や、必要な業務と行動についても列挙していきましょう。

経営計画のメリット

経営計画の策定は、会社の将来的なビジョンや目標、それに向けた戦略を明確化する上で必要なことです。

策定することには、主に次の5つのメリットがあるといえます。

  1. 課題の洗い出しと見直しができる
  2. 進むべき方向性を明確にできる
  3. 社内組織の一体感を向上できる
  4. 資金調達しやすくなる
  5. リスクマネジメントしやすくなる

それぞれのメリットについて説明していきます。

課題の洗い出しと見直しができる

経営計画を策定することで、今抱えている「課題」を洗い出し、解決するために何をするべきか見直しができます。

まずは自社の現状について、売上・利益・社員数・取引先との関係などを把握し、課題となっていることを整理します。

抱えている課題を洗い出して整理することにより、何をするべきか優先しなければならないことをピックアップできるでしょう。

3つの期間で策定する経営計画のどれで解決を示すか確認できます。

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進むべき方向性を明確にできる

経営計画を策定することで、事業展開や新規事業に向けて何をするべきか、進むべき「方向性」を明確化できます。

事業を今後展開するべきか、人材や資金などの問題をどのように解決するのか、ビジョンや目標にもとづく判断が求められます。

行き当たりばったりといえる経営では、実際に行動した後に発覚した問題などに対処できないのに対し、経営計画を策定していれば進むべき方向性を示していることで企業全体を導きやすくなります。

多角的な事業展開を行う企業が増えているため、市場の奪い合いも激しくなることが予想されます。

情報インフラが発達したことや消費者ニーズの変化が早まっていることも踏まえれば、判断が遅れることで機会を損失するだけでなく、致命的なダメージになりかねません。

スピード感を持った経営判断のためにも、経営計画の策定は欠かせないといえます。

社内組織の一体感を向上できる

経営計画を策定し、社内でビジョンや戦略、今後の取り組みなどを共有すれば、組織の「一体感」を向上できます。

小規模の会社であれば、社長と社員の距離も比較的近く、家庭的な雰囲気で組織が一体化しやすい環境にあるといえます。

しかし規模が大きい会社の場合、部署なども複数に分かれており、経営方針や戦略などを社内に浸透させることは容易といえません。

ただ、経営計画を指針として策定しておけば、経営陣と現場の価値観や考え方のズレを埋めることも期待できます。

進むべき方向性を明確化し、社内で周知させることによって、組織が同じ方向へ進む道しるべとなるでしょう。

社内組織の一体感を向上できることが、経営計画の策定のメリットといえます。

資金調達しやすくなる

経営計画を策定することで、ステークホルダーへ将来的なビジョンなどを提示し、信頼感を得ることで「資金調達」しやすくなります。

精巧に作り込んだ経営計画を銀行や投資家などに提示することで、経営の安定性や将来性を認めてもらいやすくなり、融資や出資を受けやすくなるでしょう。

明確なビジョンで事業に取り組む姿勢が証明できることは、信用性を向上させることにもつながります。

そのため経営計画はできる限り多くのステークホルダーと共有し、ビジョンやミッションを広く理解してもらうことが必要です。

特に銀行から融資を受ける際には、返済能力の判断でも経営計画は重視されます。

今後十分な収益を見込むための行動計画が示されていれば、銀行も安心して資金を貸し付けてくれるでしょう。

リスクマネジメントしやすくなる

経営計画を策定することで、リスクマネジメントしやすくなるといえます。

「リスクマネジメント」とは不確実性を管理することであり、発生の影響度と発生頻度でリスクを評価・算定します。

評価・算定の結果により、実際にリスクが発生したときにどのように対応するべきか決めることが必要です。

3〜5年の中期的な経営計画に加え、その先10年後までの長期に渡る経営計画により、予想される社会の変化なども踏まえたプランを策定できます。

市場や情勢の変化による業績不振など、さまざまなリスクを想定しておくことで、万一に備えた方向性や行動を具体的に決めておくことも可能です。

リスクが発生したときでもベストな結果を生み出すことのできる指針を示すことで、リスクマネジメントしやすい経営計画を策定することにつながるでしょう。

まとめ

経営計画を策定することで、これから会社がどのような方向へ進むべきか明確にすることができます。

社内で経営計画を共有すれば、社員が一丸となって目標達成に向け、取り組むことにもつながります。

また、経営状況などを金融機関や投資家などにも提示できるため、信用を獲得し融資や出資などを受けやすくなるでしょう。

道筋を明確にし、経営に必要な根拠や自信をつけ、実行に移すまでの時間を短期化するためにも経営計画は策定するようにしてください。