新型コロナウイルス感染拡大により、それまで順調だった事業は一変し、資金繰りが悪化した状態で融資返済の猶予期間を迎えてしまった企業も少なくないことでしょう。
特に新型コロナウイルス感染拡大による大打撃で資金繰りが厳しい中小企業に向けたコロナ融資は、猶予期間を1年程度で設定している契約が多いため、返済期限を迎えてしまいさらに苦しい状態に置かれてしまうことも考えられます。
そこで、金融庁はコロナ融資の返済を猶予する据置期間を延長するよう、金融機関に要請するといった対応に乗り出しています。
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コロナ融資の返済猶予の期間が過ぎても厳しいなら
コロナ融資の返済猶予の据置期間は、最長5年で設定できます。
しかし、契約当初はここまでコロナ禍が続くと想定されておらず、多くの中小企業が1年程度の猶予期間で契約していました。
そのため返済期限をすでに迎えた、もしくはまもなく迎えるといった企業も少なくないため、新型コロナが収束しない状況でさらに資金繰りを苦しい状態に追い込むことが懸念されています。
返済猶予の据置期間は、従来の金融慣行に基づいて設定したケースもあれば、はやく返済を終えたいといった理由により1年程度で設定されていることが多いといえます。
実際、1年以内の据置期間で設定している企業は、日本政策金融公庫66%・民間金融機関58%となっており、約6割の企業が猶予期間を終えて返しはじめなければなりません。
返済が困難で据置期間を延長したいなら、契約条件の変更または借り換えを相談するようにしましょう。
契約条件変更
契約条件の変更とは、新たに条件変更契約書を差し入れて、今の契約内容で据置期間だけ延ばしてもらうことです。
リスケジューリング(リスケ)を相談することになりますが、リスケすれば新たな借入れはできなくなることは留意しておいてください。
借り換え
今融資を受けている金額と同額、または増額により新しく借入れし、現在借りている金額を返すという方法です。
新しく融資を受けるときの返済を猶予する期間を5年で設定することで、しばらくは返済に追われることはなくなります。
緊急小口貸付も返済開始時期が延長に
コロナ禍で収入が減少した世帯などが、保証人を必要とせず無利子で借りることができる緊急小口資金と総合支援資金。そして返済のタイミングでさらに収入減が続く住民税非課税世帯などは、返済免除されることとされています。
当初、これら生活福祉資金の返済猶予の期間は1年とされていたため、令和3年3月末から返済が始まると考えられていました。しかしこちらも返済開始時期が令和4年3月末まで延長されています。