中小企業は、日本全体の企業数の99.7%を占める割合となっていますが、そのうち約7割が赤字経営を続けているといわれています。
また中小企業全体の雇用は約3,200万人で、そのうちの約7割は中小企業で働いていることになるため、赤字経営の割合が多いと耳にすると不安に感じる方も少なくありません。
中小企業の赤字企業の割合は大きすぎる?
中小企業の赤字企業の割合として、7割は赤字というデータが紹介されることが多いといえます。
他の主要国の赤字企業の割合はおおむね45~55%程度となっているのに対し、日本の約70%という割合は突出した数値と考えられるでしょう。
確かに7割は赤字という情報だけ耳にすると、中小企業の利益率の低さや経営能力の乏しさ、支援不足など様々なイメージを想像してしまいます。
国や大企業ばかりが優遇され、中小企業に対してもっと支援が必要だと感じる経営者も少なくないはずです。
赤字経営は銀行融資に依存体制を作りがち
事業活動をしていれば赤字になることもあるでしょう。その場合には銀行など金融機関から融資を受けて資金を調達し、ビジネスを回す企業が多いといえます。
しかし赤字が続けば借入金の利子さえ返済が厳しくなり、資金繰りは悪化し実質的に経営破綻している状態となってしまいます。
売上を出していても、固定費やランニングコストを支払えば借入金の利子の支払い分のみが残るといった多額の負債を抱えた状態となり、企業を存続させるために債権者である銀行などの支援に依存するしかなくなるでしょう。
赤字企業はこのような状況に陥りやすい予備軍であり、金融機関などからも業務改善を強く求められることになります。
赤字でも企業存続させなければならない理由
日本の企業の中で赤字企業の割合が大きいのは、他の主要国と比べても異常事態といえる状況です。
また、黒字企業の割合は横ばいを推移しているのも、日本経済が停滞していることをあらわしているといえます。
今後は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、さらに赤字企業が増加することも考えられますが、赤字でも企業を存続させなければならないのは雇用維持を目的とした理由が大きいはずです。
特に中小企業は、不況のときには雇用維持の補助金に加え、金融機関からは借入金の返済を猶予してもらうといった手続きを取ることがほとんどといえます。
実際、コロナ禍で休業や時短営業などを余儀なくされ、補助金の申請や銀行へのリスケジュールの相談に追われた経営者も少なくないことでしょう。
企業の本来あるべき姿を目指すことも必要
雇用を維持させることは重要ですが、そればかりに注視するのではなく、企業のあるべき姿として営業利益や純利益を黒字にすることを目指さなければなりません。
ただ、中小企業の実態を見れば利益を生むことが必ずしもゴールにならないとも考えられます。
上場している大企業であれば、株主に株価上昇や配当を通じて利益を還元させることが必要です。
株価を上昇させるためには純利益を多く積み上げることが求められます。
しかし中小企業の場合には、株主の利益を最大化すること=経営者に還元することです。
赤字ですぐに会社が倒産することはないとしても、長く赤字が続けば倒産してしまう要因になりますので、資金繰りを改善させ黒字化させる戦略を立てていくべきといえるでしょう。