中小企業の赤字割合は、調査する時期や団体によって異なるものの、6~7割程度といわれています。
日本の会社の99.7%を占める中小企業の、ほとんどが赤字経営では、将来的な経済が危ぶまれます。
ただ、赤字経営であれば倒産するわけではなく、仮に決算書の赤字が数年続いた場合でも、手元の資金がショートしなければ事業は継続できます。
すぐに会社が倒産するわけではないものの、赤字経営が続くことは好ましくないため、黒字化するために決算書の利益にも注目しましょう。
そこで、中小企業の赤字割合と、決算書で注目したい利益を簡単に紹介します。
中小企業の赤字割合
日本の中小企業のうち、黒字経営はごくわずかであり、多くは赤字経営をしているといわれています。
赤字経営の割合は約6~7割とされているものの、根拠は毎年国税庁が発表している「会社標本調査」です。
ただ、調査における赤字法人(欠損法人)は、今期黒字であるものの過去に繰越欠損金があったため、税負担が発生しなかった現在黒字の会社も含まれます。
反対に、本来は赤字であるのにも関わらず、銀行対策で社長給与を抑えていたり減価償却を計上しなかったりなど、見かけ上は黒字にしている会社も黒字扱いになっています。
そのため国税庁が発表した資料を根拠とした中小企業の7割が赤字という根拠は、本来の実態を正確にあらわすとはいえないとも考えられます。
利益の種類と意味
中小企業の7割近くが赤字経営でなかったとしても、現在損失が出てマイナスであるのなら、黒字転換する経営を目指しましょう。
まず赤字決算は、収入よりも支出が多い状態によって利益が出ず、マイナスになっている状態です。
利益には、以下の種類があるため、それぞれの意味を理解しておきましょう。
- 売上総利益
- 営業利益
- 経営利益
- 税引前当期利益
- 当期純利益
売上総利益
売上総利益とはいわゆる粗利益のことであり、売上高から売上原価を差し引いたときの利益です。
営業利益
売上総利益から、どのような経費を使っているかを示す販売費および一般管理費を差し引いた利益が営業利益です。
会社の本業による利益であり、この利益に注視することが重要といえます。
経常利益
営業利益に営業外収益を足し、借入金の利子など営業外費用を差し引くと経常利益が出ます。
税引前当期利益
経常利益に対し、本業とは関係のない特別利益を合わせ、本業と無関係の固定資産売却損などの損失を差し引いて算出した利益が税引前当期利益です。
税引後当期純利益
税引前当期利益から法人税等を差し引き、最終的な会社の利益である当期純利益が算出できます。
注視するべき利益の種類
税引当期利益や当期純利益だけを見ても、何が問題で赤字になっているか確認できません。
これらの利益には、固定資産売却益といった一時的に生じた損益も含まれるからです。
そこで、会社の本当の実力を知りたいのなら、経常利益に注意することが必要になります。
経常利益とは、事業活動による結果の利益なので、本業で得た儲けに利息など財務活動の損益を含めた結果です。
銀行融資の際に決算書を提出した際にも、担当者はこの経常利益を確認します。
当期利益は黒字で経常利益が赤字の場合
当期利益はプラスでも、経常利益が赤字や少ない利益の場合、本業とは無関係の臨時的な収入がなければ経営が危ういことを示します。
最終的に利益が出ていても、銀行からの評価は上がらない可能性があります。
経常利益は黒字で営業利益が赤字の場合
経営利益は黒字でも、本業による利益である営業利益が赤字の場合、本来は赤字だったはずが雑収入などで補てんされていることを示します。
なぜ本業で黒字にならないのか、その原因を確認しなければ経営が危機的な状況となる恐れがあります。
経常利益は赤字で営業利益は黒字の場合
経常利益は赤字なのに、営業利益は黒字の場合には、借入金の金利負担が重くのしかかっていると考えられます。
まとめ
決算書上の利益はいくつか種類があり、それぞれの利益が何を示すのか理解しておかなければ、赤字の理由や問題点を把握できません。
粗利益である売上総利益を上げていかなければ、儲けを出せない会社となってしまう恐れもあります。
それぞれの意味を理解しておき、本業で儲けを出して赤字経営から脱却できる経営を目指しましょう。