ファクタリングを使って資金を調達するときに、内容証明が使われることがあります。
内容証明は、契約や法的義務の履行を求めたり契約を解除したりなど、法律にかかわることで用います。
ファクタリングにおける内容証明を送るタイミングは、売掛先への通知を行うときです。
そこで、ファクタリングで内容証明が送られる理由と、実際に手元に届いたときの対処法を解説します。
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内容証明とは
「内容証明」とは、文書の中身(内容)を証明してもらう書留郵便のサービスで、次のことを証拠として残すことができます。
「いつ・誰が・誰に対し、どのような内容の文書を送り、いつ相手に到達したか」
送付年月日・送付内容・送付した事実の証明をするための郵便ではあるものの、送付相手に文書の内容を強制して従わせることはできません。
ただ、法的手段に訴える前段階として、問題が解決しないのなら法的措置を選ぶ強い意思を表明することはできます。
「届いていない」
「受け取っていない」
など、知らないふりをされる通常郵便のリスクを回避し、裁判になったときにも相手への意思表示の証拠書類として提出できます。
3社間ファクタリングで内容証明が送られる理由
内容証明に強制能力はないものの、「証拠書類」としては活用できます。
ファクタリングで必要になるのは、3社間ファクタリングで売掛先に通知をするときです。
3社間ファクタリングでは、ファクタリング会社に売掛債権を譲渡するにあたり、先に売掛先へ通知し承諾を得ることが必要になります。
このとき、売掛先へ「債権譲渡通知」を内容証明郵便で発送します。
また、3社間ファクタリングでは売掛先からファクタリング会社に直接売掛金の支払いが行われます。
送金で必要な手続の確認においても、内容証明が活用されます。
2社間ファクタリングで内容証明が送られる理由
通常であれば、2社間ファクタリングでは売掛先に通知や承諾を得る手続はありません。
そのため内容証明の利用もないといえます。
しかし次に該当する場合は、内容証明による通知が行われます。
- ファクタリング会社に支払わない
- 売掛債権を二重譲渡した
それぞれ説明していきます。
ファクタリング会社に支払わない
2社間ファクタリングでは、売掛金の回収は利用者が代行します。
そのため売掛先から売掛金を回収後、速やかにファクタリング会社への支払いが必要です。
利用者による使い込みや持ち逃げなどがあった場合は、売掛先に対し債権譲渡があった旨を内容証明で通知されます。
すでにファクタリング会社へ譲渡された売掛金の使い込みは、横領に該当し、刑事告訴や損害賠償請求の対象となることは理解しておいてください。
売掛債権を二重譲渡した
すでに別のファクタリング会社に譲渡済の売掛債権を売却する二重譲渡も、権利主張のために内容証明による通知が行われます。
仮に2社のファクタリング会社に同じ売掛債権が譲渡した場合、売掛金を回収できるのはそのうち1社のみです。
回収ができないファクタリング会社を存在させることになるため、売掛先へ権利を主張する目的で債権譲渡通知書を内容証明で送ります。
なお、二重譲渡も詐欺に該当します。
刑事告訴されるため絶対に行わないでください。
ファクタリング会社から内容証明が送られる理由
ファクタリング会社から内容証明が送られる理由は、買い取った売掛金が回収できず、貸し倒れにならないようにするためです。
3社間ファクタリングでは売掛先に対する通知が前提のため、内容証明を利用することになります。
2社間ファクタリングでは売掛先にはファクタリング利用の事実は伝えないため、内容証明を使うのは、売掛金不払いや二重譲渡があったときのみです。
しかしファクタリング会社によっては、2社間ファクタリングによる契約を結ぶ上で、債権譲渡登記を求めてくる場合があります。
債権譲渡登記とは、法人の金銭債権譲渡に対し、債務者以外の第三者に対して対抗要件を備えるための制度です。
本来、債権譲渡について第三者に対抗するには、確定日付ある証書を債務者に通知するか、債務者から承諾を得ることが必要です。
3社間ファクタリングの場合、売掛先に通知を行うことや承諾を得ることで、第三者に対する対抗要件に備えられます。
しかし2社間ファクタリングではこの流れがないため、第三者に対する対抗要件に備えるには債権譲渡登記が必要です。
債権譲渡登記が必要な場合、登記費用や手続を依頼する司法書士の報酬は、利用者が負担しなければなりません。
そのため未登記や留保などで対応してくれるファクタリング会社を選ぶことをおすすめします。
売掛先が内容証明を受け取った後の影響
売掛先に内容証明により送付された債権譲渡通知を受け取った場合、「資金繰りが危ない会社」と懸念される恐れがあります。
一般的に内容証明付郵便は、相手に訴えたい内容を送るときや法的な書類を送付するときなどに利用されます。
内容証明が届いたことに驚かせる上に、内容確認後にトラブルに巻き込まれたくないとその後の取引を制限する恐れもあります。
3社間ファクタリングは、債権譲渡に理解を示してくれる売掛先を選ぶこと、2社間ファクタリングでは売掛金の未払いなど起こさないことが大切です。
身に覚えのない内容証明が届く理由と対処法
身に覚えのないファクタリング会社から、ある日突然、内容証明が届いた場合は、以下の理由が考えられます。
- 取引先によるファクタリング利用
- 単なる誤送
- 悪質業者の詐欺
それぞれ説明します。
取引先によるファクタリング利用
ファクタリング会社から内容証明付郵便が届く理由として、取引先がファクタリングを利用したことが挙げられます。
自社が取引先にとっての売掛先であり、取引先へ支払う買掛債務がファクタリングで利用されたと考えられるでしょう。
単なる誤送
本来は別の会社に送るはずだった内容証明付郵便が、誤送により届いたという可能性もゼロではありません。
発送した会社に誤送ではないか問い合わせてみましょう。
悪質業者の詐欺
取引先のファクタリング利用または誤送でもない場合、詐欺の疑いもあります。
また、取引先が請求書を偽装後、ファクタリングを利用しようとしている恐れもあるため、まずは送付したファクタリング会社に問い合わせしてみましょう。
悪徳業者と優良業者の見極め方
ファクタリングは保有する売掛金を現金化するサービスであり、ファクタリング会社によっては最短即日に資金を調達できます。
すぐに現金を用意しなければならない場面や、銀行融資の審査に通らないときも、資金調達の手段として活用できます。
ただ、契約相手となるファクタリング会社は十分に見極めが必要であり、悪徳業者に騙されないように注意が必要です。
表向きはファクタリング会社を装い、金銭を貸し付けようとするヤミ金融業者も横行しているため、次の項目を確認して業者を選びましょう。
- 過去の実績が豊富
- 手数料が安い
- 現金化までのスピードがはやい
- 必要書類の量が少ない
- 売掛債権の買取可能額が広く下限がない
- オンライン対応も可能
上記に該当するファクタリング会社なら、優良で安心できる業者と判断できます。
まとめ
ファクタリングで内容証明付が必要になるのは、主に3社間ファクタリングで契約するときです。
しかし2社間ファクタリングを利用した場合でも、回収した売掛金の使い込みや債権の二重譲渡が発生すると、内容証明による売掛先への通知が行われます。
売掛先にファクタリング利用を知られると、経営状況や財務状態を懸念され、その後の取引に影響する恐れもあります。
内容証明による通知を避けたいなら、2社間ファクタリングを利用し、売掛金回収後は速やかにファクタリング会社に支払うことを徹底してください。
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