ファクタリングの支払いとは?流れや遅れた場合のリスクを解説

ファクタリングでは、回収した代金の支払いが必要になります。

売掛金の回収代行と支払いが必要になるのは2社間ファクタリングを利用したときのため、流れを把握しておくと安心です。

そこで、ファクタリングの支払いについて、流れや遅れた場合のリスクを解説します。

ファクタリングの支払いとは

ファクタリングの支払いとは、売掛先から売掛金の回収後、その代金をファクタリング会社へ支払うことです。

ただしファクタリングには以下の次の2つの契約形態があるため、それぞれ支払い方法は異なります。

  1. 2社間ファクタリング
  2. 3社間ファクタリング

それぞれ説明します。

2社間ファクタリング

「2社間ファクタリング」は、売掛債権を売却する利用者と、売掛債権を買い取るファクタリング会社が主体となり契約を結ぶファクタリングです。

発生する「支払い」は次の2つです。

  • 売買手数料
  • 売掛金

2社間ファクタリングを利用した場合の支払いを理解するために、次の3つについて説明していきます。

  1. 2社間ファクタリングの流れ
  2. 2社間ファクタリングの支払い
  3. 2社間ファクタリングの支払期日

2社間ファクタリングの流れ

2社間ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡することを売掛先に知らせないため、売掛金の回収は利用者が行います。

入金後はすみやかにファクタリング会社への支払いを済ませることが必要となるため、以下の7つの流れで手続が進みます。

  1. ファクタリング会社にファクタリングを申し込む
  2. 譲渡したい売掛金情報をファクタリング会社に提示する
  3. ファクタリング会社で売掛先の信用調査が実施される
  4. 審査後、売掛金の買取金額など見積もりが提示される
  5. 提示された内容で納得できれば必要書類をファクタリング会社に提出し契約を結ぶ
  6. 契約締結後、買取金額が利用者の指定口座に振り込まれる
  7. 売掛先の支払い期日に売掛金を回収し、入金された金額と手数料をファクタリング会社に支払う

2社間ファクタリングの支払い

2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社に対し支払う売買手数料だけでなく、売掛先から回収した売掛金の支払いも必要です。

売買手数料に含まれる費用として挙げられるのは、

  • 基本売買手数料
  • 事務的な経費
  • 登記費用などの実費
  • ファクタリング会社の儲け

などです。

これらの費用は、ファクタリング会社に売却した売掛金の額面から差し引かれ、残りが利用者に支払われます。

登記費用については、「債権譲渡登記」を必要とする場合のみ支払いが必要です。

2社間ファクタリングの売買手数料相場は10~20%のため、この割合を大きく上回る売買手数料を請求されたときには、悪質業者の可能性もあるため詳細を確認してください。

2社間ファクタリングの支払期日

2社間ファクタリングの支払期日は、ファクタリング会社へ売却した売掛金が売掛先から入金される日です。

売買手数料は売掛債権額面から自動的に差し引かれるため、別途支払いをする必要はありません。

ただし売掛先から回収した売掛金は、利用者が責任をもってファクタリング会社に支払うことが必要です。

3社間ファクタリング

「3社間ファクタリング」では、売掛債権を売却する利用者と、売掛債権を買い取るファクタリング会社以外に、売掛先も主体となって契約を結びます。

事前に売掛先に対し、売掛金をファクタリング会社に譲渡することを通知し、ファクタリングを利用することの承諾を得る手続が必要です。

それにより、ファクタリング会社は売掛先に売掛金の存在を確認することができ、期日になれば直接支払いがされます。

ファクタリング会社にとってリスクの低い取引といえるため、2社間ファクタリングよりも安くコストを抑えた利用ができます。

以上のことを踏まえ、3社間ファクタリングを利用した場合の支払いを理解するために、次の3つを説明します。

  1. 3社間ファクタリングの流れ
  2. 3社間ファクタリングの支払い
  3. 2社間ファクタリングの支払期日

3社間ファクタリングの流れ

3社間ファクタリングでは2社間ファクタリングと異なり、売掛先が契約に加わります。

売掛先に対し、ファクタリング会社に売掛債権を譲渡することを伝え、ファクタリングで資金調達することに対する承諾を得る手続が必要です。

ただし売掛金は売掛先から直接、ファクタリング会社に支払われるため、利用者が回収を代行する流れは必要ありません。

以上のことから、3社間ファクタリングで資金を調達するときには、次の8つの流れになります。

  1. ファクタリング会社にファクタリングを申し込む
  2. 譲渡したい売掛金情報をファクタリング会社に提示する
  3. ファクタリング会社で売掛先の信用調査が実施される
  4. 審査後、売掛金の買取金額など見積もりが提示される
  5. 売掛先に対し売掛債権譲渡の通知と承諾を得る手続を行う
  6. 3者間でファクタリング契約を結ぶ
  7. 契約締結後、買取金額が利用者の指定口座に振り込まれる
  8. 売掛金の支払い期日に売掛先からファクタリング会社に直接支払いが行われる

3社間ファクタリングの支払い

3社間ファクタリングでも、2社間ファクタリングと同じように売掛債権額面から売買手数料が差し引かれます。

そのため別途、ファクタリング会社に売買手数料を支払う必要はありません。

また、3社間ファクタリングでは、売掛先に通知をしたり承諾を得たりという手続が含まれるため、債権譲渡登記は行われることはほとんどないといえます。

3社間ファクタリングの支払期日

ファクタリング後にファクタリング会社が回収する売掛金は、利用者を経由せずに直接、売掛先からファクタリング会社に支払われます。

そのため利用者が売掛金の回収業務を代行することはありません。

ファクタリング会社への支払いが遅れた場合

ファクタリング会社に対する支払いで、もっとも注意したいのは回収した売掛金の支払いです。

すでに現金化した売掛金が、後日、売掛先から口座に入金されると、別の支払いに充ててしまったり流用したりなど使い込んでしまいそうになります。

また、自動引き落としされてしまったというケースなども見られます。

しかしいずれの場合も、回収した売掛金の持ち主はファクタリング会社であるため、流用や思いもよらない引き落としのどちらも使い込みに変わりません。

ファクタリング会社の売掛金を使い込む行為は、「横領罪」や「詐欺罪」などの罪に問われる恐れがあるため、注意してください。

まとめ

ファクタリングは近年、銀行などから融資を受けにくい中小企業に注目されている資金調達の方法です。

売買手数料は、ファクタリング会社から買取代金が支払われるとき、自動的に差し引かれるため別途支払いをする必要はありません。

しかし2社間ファクタリングでは、売掛金の回収を利用者が行うため、回収代金をファクタリング会社に支払うことが必要です。

売掛金の入金があったタイミングで資金不足に陥っており、一時的に使い込んでしまったり引き落とされたりなど、いずれの場合も契約違反となります。

罪に問われる恐れもあるため、使い込みなどせず遅れずに支払いを済ませましょう。