ファクタリングは、赤字決算の会社でも申し込みできます。
赤字決算なら税金を抑えられるものの、本来の会社経営の目的を見失ったままでは、いずれ倒産リスクを高めます。
そのため赤字決算からの脱却が必要といえますが、ファクタリングをうまく活用すれば、資金繰り改善と経営の立て直しへつながります。
そこで、赤字決算でもファクタリング利用は可能なのか、資金調達できる理由を解説します。
赤字決算とは
赤字決算とは収入を支出が超えている状態のことで、利益を生むことができず損失が発生している状況です。
会社経営では利益を出し、黒字状態が続くことが理想です。
ただ、赤字経営を続けていても、すぐに会社は倒産するわけではありません。実際、日本の会社全体の約7割は赤字といわれているほど、赤字経営の会社は多く存在します。
赤字決算で起こるリスク
決算書が赤字というだけで会社は倒産しませんが、本来、会社経営は利益を生むことが望ましいといえます。
支出が収入を上回る「赤字決算」では、利益を伸ばしつつ成長を目指せません。
ただ、赤字経営なら税負担を軽減できるため、敢えて赤字決算を申告する会社もあります。
しかし、赤字決算では以下のリスクが起こる恐れがあるといえます。
- 倒産リスクが向上
- 銀行融資による資金調達が困難
- 不正を疑われる
それぞれ説明します。
倒産リスクが向上
赤字決算が続くと、保有する資産は目減りするため、資金調達できない状況に陥ります。
仮に銀行からの融資を頼ったとしても、債務超過に陥ってしまうリスクが高くなり、改善させることも難しくなるでしょう。
特に赤字決算が数年間続くと、会社が倒産するリスクも大きくなるため、企業の体質自体を改善させることが必要です。
銀行融資による資金調達が困難
企業が成長するためには、事業に必要な設備に導入したり人を雇用したりなど、コストがかかります。
金額が大きい資金を必要とするときには、銀行から借入れることを検討することが多いといえるものの、赤字決算の会社に貸し付けを行うほど銀行は甘くありません。
銀行融資の審査では、事業計画書だけでなく決算書などの数値から将来性や返済能力の高さを判断します。
赤字決算であれば、返済能力を疑われるため融資を受けることは難しくなるでしょう。
不正を疑われる
確かに会社が納める法人税などの税金は、会社の儲けともいえる収入に対して課税されます。
税金対策や、損失を翌年以降10年間に渡り繰り越せる制度を利用するため、赤字決算を好ましいと考える法人もゼロではありません。
しかし赤字経営を装う脱税行為を疑われる恐れがあるなど、余計な疑念を抱かせるリスクが僅かでもあることは留意しておきましょう。
ファクタリングなら赤字決算でも利用できる理由
赤字決算から脱却する資金が必要なとき、銀行から融資を受けたくても審査に通りません。
返済能力がなく、将来的な見通しが立てにくいと判断されてしまうからです。
しかしファクタリングなら、以下の理由で赤字決算でも利用できます。
- 審査では売掛先の信用力を重視
- 利用者の信用情報は確認しない
それぞれ説明します。
審査では売掛先の信用力を重視
ファクタリングの審査で重視されるのは、利用者ではなく売掛先の信用力です。
期日に遅れず売掛金が回収できることが重要であるため、売掛先が大手や公共機関などであれば審査に通りやすくなります。
大手でなくても、業績や財務状況が安定している企業の売掛金なら、よい条件で契約しやすいでしょう。
売掛先の信用力については、たとえば東京商工リサーチや帝国データバンクなど、法人の信用調査会社に登録されている情報などを参考に審査されます。
他にも利用者と継続して取引があるか、期日に遅れず売掛金の支払いが行われているかなど、取引実績も確認される項目です。
利用者の信用情報は確認しない
赤字決算で資金調達できなければ、手元の現金が枯渇し倒産するリスクを高めます。
銀行融資を頼りたくても、信用情報を確認されれば審査にも通りにくくなるでしょう。
しかしファクタリングを利用した場合、利用者の信用情報は審査で確認されることはありません。
赤字決算でファクタリングを活用するメリット
赤字は損失が出ている状態ではあるものの、その状況がすぐに倒産につながるわけではありません。
たとえ決算書が赤字だとしても、資金繰りさえ回すことができれば倒産は防ぐことができます。
会社が倒産してしまうのは手元の資金が底をついたときです。
従業員の給料が支払えなくなったり仕入れができなくなったり、銀行の借入金返済ができなくなれば倒産します。
そのため赤字経営だとしても、次の要件を満たせば倒産を防ぐことができます。
- 会社経営以外から収入を得ることができる
- 手元の資金を枯渇させない
この倒産リスクを防ぐ方法の1つがファクタリングであり、活用におけるメリットは以下の3つです。
- 先行する支払いに充てる資金を確保できる
- 貸借対照表のスリム化が可能
- 売掛金未回収リスクを移転できる
それぞれ説明します。
先行する支払いに充てる資金を確保できる
赤字決算でファクリングを活用することにより、先行する支払いに充てる資金を確保できます。
売上として計上された代金は数か月後、後払いで入金されるのに対し、仕入れ代金など支払いは先行します。
売上が上がり、損益計算書に利益が出て黒字になれば、ほっと一安心してしまう経営者も少なくありません。
しかし会社は赤字である理由で倒産するわけではなく、手元の資金が枯渇することで倒産します。
赤字でも倒産しない会社がある反面、利益が出て黒字だとしても倒産するケースもあるため、ファクタリングを使って手元の資金を確保しておくと安心です。
貸借対照表のスリム化が可能
赤字決算の企業は、たとえば負債が膨らんでいることや、借入金の返済が滞っていることもめずらしくありません。
貸借対照表が肥大化していると、自己資本利益率など数値を悪化させます。
赤字経営を理由に下がった企業評価を、さらに低下させる恐れもあります。
しかしファクタリングなら、負債を増やさずに手元の現金を増やせます。
調達した現金で借入金を返済すれば、貸借対照表のスリム化で企業評価を向上させることにもつながります。
売掛金未回収リスクを移転できる
企業間取引は掛けによる後払い方式が一般的ですが、もしも売掛先が倒産してしまうと、売掛金は回収できなくなります。
ファクタリングを利用すれば、万一売掛先が倒産したことによる未回収リスクもファクタリング会社へ移転されるため、貸し倒れによる損失を防げます。
苦しい状況に付け入る悪質業者に注意
ファクタリング業界は法整備が十分整備されているとはいえないため、金融庁も悪質業者に対する注意喚起を行っています。
通常、ファクタリングは売掛金の売買による資金調達の方法です。
しかし表向きはファクタリングを装い、資金を貸し付けようとするヤミ金融業者も存在します。
契約が売掛金の譲渡なのか、それとも担保とした貸し付けなのか、契約書を確認し納得の上で契約締結することが必要です。
以下の内容の場合、売掛金の売買ではなく融資として扱われるため、相手業者が貸金業登録をしていなければヤミ金融業者と判断できます。
- 業者売掛金が回収できなくなったときの責任を利用者が負う償還請求権ありの契約
- 担保や保証人が必要とした契約
- 分割払いできる契約
なお、貸金業登録の有無は金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」から調べることができます。
ファクタリングは資金の貸し付けではないため、貸金業登録は不要です。
売掛金の譲渡による資金調達の契約になっているか、契約内容を必ず確認するようにしてください。
まとめ
赤字決算の会社で、銀行融資の審査に通らない場合でも、ファクタリングなら利用できます。
税金対策などで意図的に赤字決算にする行為は、健全経営といえず、黒字化することが大切です。
赤字脱却を目指すときは、売上や利益の目標を立て、固定費だけでなく変動費も回収できる経営を行うことが求められます。
黒字化までに手元の資金が枯渇させないためにも、ファクタリングをうまく活用してください。