ファクタリング契約の流れとは?仕組みや契約書の注意点をわかりやすく解説

資金調達にファクタリングを活用する場合、どのような流れとなるのか、そして契約が締結されたことを証明するために作成・発行される契約書の内容を知っておくことが大切です。

はじめてファクタリングを利用するときに、目の前に提示された契約書の内容を見ても「このような形式や中身なのだろう」と理解できないまま書類に署名したり印鑑を押したりしてはなりません。

そこで、ファクタリング契約の流れについて、仕組みや契約書の注意点をわかりやすく解説します。

中小企業経営者向け!資料無料ダウンロード

ファクタリング解体新書

ファクタリング解体新書

経営者・財務担当者のために、PMGがご提供する最短即日で現金化可能なファクタリングについて詳しく解説した資料です。

ファクタリングとは

握手をするビジネスマン

「ファクタリング」とは、売掛債権をファクタリング会社に売却し、売掛先から回収するよりも前に現金化できる金融サービスです。

売掛債権の売買であるため、お金を借りる方法ではありません。

ファクタリングについて、以下の2つを説明します。

  1. 仕組み
  2. 契約の種類

仕組み

ファクタリングは、ファクタリング会社が売掛債権を買い取り、売買手数料を差し引いて買取代金を支払う仕組みです。

事業者間では掛けによる信用取引が主流であるため、商品やサービスを販売すると同時に代金を受け取らず、一定期間は売掛金(売掛債権)が発生します。

発生した売掛金が入金されるまで、1~2か月程度かかるため、順調に売上は上がっていても手元の資金は足らないといったケースもめずらしくありません。

資金不足に陥る前に、ファクタリングで売掛金を現金化すれば、手元の資金を増やせます。

また、売掛金が倒産して未回収となるリスクも低減させることにもつながります。

契約の種類

ファクタリングには次の2つの契約形態の種類があります。

  1. 2社間ファクタリング
  2. 3社間ファクタリング

それぞれ説明します。

2社間のファクタリング

「2社間ファクタリング」とは、利用者とファクタリング会社のみで契約を結ぶファクタリングです。

売掛先など第三者が介入しないため、スムーズな資金調達につながることがメリットですが、売買手数料は高めに設定されます。

2社間ファクタリングでは、以下の流れで手続を行います。

  1. ファクタリング会社に申し込みをする
  2. 審査の必要書類を提出する
  3. 利用者とファクタリング会社が契約を結ぶ
  4. ファクタリング会社から売買手数料を差し引いた額が入金される
  5. 売掛金の決済日に売掛先から利用者へ支払いが行われる
  6. 利用者からファクタリング会社へ売掛金を支払う

3社間のファクタリング

「3社間ファクタリング」とは、利用者とファクタリング会社だけでなく、売掛先も契約に関与します。

事前に売掛先に通知を行い承諾してもらう手続が必要となるため、売買手数料は低く設定されますが、現金化まで時間はかかります。

3社間ファクタリングでは、以下の流れで手続を行います。

  1. ファクタリング会社に申し込みをする
  2. 審査の必要書類を提出する
  3. 売掛先に通知し承認を得て、利用者とファクタリング会社が契約を結ぶ
  4. ファクタリング会社は売買手数料を差し引いた額が入金される
  5. 売掛金の決済日に売掛先からファクタリング会社へ支払いが行われる

ファクタリング契約の流れ

手続の流れ

資金調達までの流れや仕組み、設定される手数料の大きさなどは異なりますが、以下のように買い取りまでの流れは共通しています。

  1. 相談(事前相談)
  2. 申し込み
  3. 必要書類の提出
  4. 審査
  5. 契約

それぞれ説明します。

相談(事前相談)

多くのファクタリング会社では事前に相談を受け付け、簡易的に利用の見込みを確認するといったサービスを提供しています。

おおまかに利用可否の見通しを判断できる上に、万一契約条件が合わない場合は断ることもできます。

優良なファクタリング会社に依頼したいなら、複数社に相談を行いどのくらいの金額で売掛金を買取ってもらえるのか見積もりを依頼し、比較の上で決めることが望ましいといえます。

申し込み

買取りの申し込み方法には、インターネット・電話・来店・郵送などがありますが、ファクタリング会社によってどの方法を受け付けているか異なります。

甘すぎる条件や低すぎる売買手数料の提示や、審査はほぼ行わず契約を急がせる場合、法外な費用を請求する闇金融業者の恐れもあるため注意してください。

必要書類の提出

ファクタリングを利用する場合、ファクタリング会社から主に次のような書類を提出するように求められます。

  • 法人登記簿謄本(会社が実在していることを証明するため)
  • 印鑑証明書(契約書に押印する実印であることを証明するため)
  • 身分証明書(代表者の身分を証明するため)
  • 決算内容確認書類(経営内容を把握するため・2~3期分の決算書など)
  • 売掛金証明書類(売掛金が発生していることを証明するため・請求書や納品書など)
  • 通帳など入金を確認できる書類(売掛先との取引関係を確認するため)
  • その他書類(納税証明書など)

他にもファクタリング会社や契約内容によって、必要となる書類が変更されたり増えたりする場合もあります。

必要とされる書類に不備や不足があれば契約に至るまで時間がかかってしまいます。

スムーズな契約を実現させるためにも、事前にどのような書類が必要かファクタリング会社に確認して準備しましょう。

また、求められる書類が多い場合は面倒と感じてしまうものです。

しかし、提出した書類が多いと精度の高い審査が可能となるため、リスク判定が正確にでき買取数料が安くなる可能性もあります。

反対に必要書類がほとんど必要ない場合や、審査を行わず契約を結ぶ場合は、多額の手数料を請求しようとする闇金融業者や悪徳業者の可能性も否定できません。

審査

ファクタリング会社に提出した書類により審査が行われることとなりますが、同時に事業内容などヒアリングも行われます。

ヒアリングでは次のような内容の聞き取りが行われますが、こちらも審査の結果に影響する部分ですので嘘偽りなく正しく答えましょう。

  • ファクタリングを利用する理由(資金不足の原因など)
  • 売掛先の事業内容や取引状況
  • 売掛先のファクタリング利用に対する内諾の有無(3社間ファクタリングを希望する場合)

経営者が事業内容や取引状況をしっかりと把握できているかなど、書面だけでは確認できない部分をファクタリング会社独自で判断します。

契約

ファクタリング会社と契約を締結するときには、必ず契約書が作成され控えを書面で発行されます。

契約前に契約書の中身をくまなく確認し、疑問に感じる点や不安な部分などは担当者に説明を求めましょう。

優良な業者なら書類を見ながら、相手が法人でも個人でも、丁寧に説明を行ってくれるはずです。

専門用語などを使いわかりにくい説明をするケースや、ごまかして契約を急かす業者は大変危険であるため、契約しないでください。

2社間と3社間では流れが異なる

3社間ファクタリングでは売掛先も契約に加わるため売掛金買い取りまでの流れが少々異なります。

3社間ファクタリングでは先に紹介した流れに加え、売掛先に対するファクタリング利用についての打診を行い、通知・承諾を得なければなりません。

ファクタリングの3社間と2社間の契約の流れの違いと特徴を紹介します。

3社間は売掛先への打診が必要

3社間ファクタリングでは売掛先に対し、ファクタリング会社に売掛債権を買取ってもらい現金化したい旨を伝え、了承を得ることが必要です。

協力を得ることが可能となった場合、売掛先とも契約を結ぶこととなり、本来の売掛金支払い期日には直接売掛先からファクタリング会社へ代金が入金されます。

売掛先にとっては代金の支払い先が変更されるため、事務手続が煩雑になることや取引のない第三者に支払うことに懸念を抱き、承諾しないこともあるようです。

売掛先の協力が必要不可欠となるという違いがあり、承諾を得ることができなければ利用できない資金調達の方法といえます。

即日で契約しやすいのは2社間

2社間は、ファクタリング会社と申込企業の2社で成立する取引です。

取引先にファクタリング契約が知らされないため、申込企業は通常どおり取引先から支払期日に現金を受け取ります。

受け取った現金をファクタリング会社に支払います。

事前に必要書類をそろえておけば、最短即日契約でき、すぐに入金されるケースも少なくないことがメリットです。

ファクタリング契約書の記載内容

書類を確認するビジネスマン

ファクタリングの契約書はファクタリング会社によって異なります。しかし、多くのファクタリング会社で記載されている共通項目もあります。

一般的なファクタリング契約書記載の共通項目として、次が挙げられます。

  • 定義・契約目的と対象になる債権の範囲
  • 類似契約の協議
  • 売掛債権の譲渡
  • 売掛債権の管理回収に関する支払い方法の報告
  • 手数料
  • 承諾通知の方法
  • 債権返還の可能性
  • 資金の返還
  • 債務者に関する報告義務
  • 回収に対する協力
  • 期限の利益の損失
  • 費用の負担
  • 届出事項
  • 報告及び調査
  • 契約期間
  • 精算事項
  • 合意管轄
  • 特約事項

他にもファクタリング会社によって、独自の条項を契約書に記載している場合もあります。

不利な契約を結ばないためにも、内容が不明な条項などは確認や説明を求めることが必要です。

ファクタリング契約書の注意点

ファクタリングで資金調達する際、目の前に契約書を見せられて複雑だからと素通りしないでしっかり書類に目を通しましょう。

不明な点や疑問を感じる部分は、納得できるまで説明してもらうことも大切です。

不利な契約を結んでしまわないために、契約書の主に次の9つの注意点を確認しましょう。

  1. 償還請求権の有無
  2. 債権譲渡通知の有無
  3. 債権譲渡登記の有無
  4. 売買手数料
  5. 担保取得の有無
  6. 報告義務
  7. 損害賠償・違約金の発生事由
  8. 契約の解除事由
  9. 契約期間

それぞれ説明します。

償還請求権の有無

償還請求権とは、ファクタリング会社が売掛金を買い取った後で売掛先から資金の回収ができなかった場合、利用者に対し売掛金を買い戻してもらうように請求できる権利です。

通常、ファクタリングは償還請求権のないノンリコースファクタリングが一般的となっています。

売掛先から資金の回収ができなくてもその弁済責任を利用者が負うことはなく、買い戻しの必要もありません。

ただ、手形割引のような償還請求権のあるファクタリングも存在しており、この場合は買い戻しが必要です。

なお、償還請求権のあるファクタリングの取り扱いが可能なのは、貸金業者などの金融業者のみです。

手形割引同様に、償還請求権のあるリコースファクタリングは単なる売掛債権の買取りではなく融資として扱われることになるため、貸金業登録を行っている業者でなければ取り扱いできません。

もし貸金業登録を行っていない業者が償還請求権ありの契約を結ぼうとする場合、違法な闇金融業者と判断できるため契約しないでください。

債権譲渡通知の有無

債権譲渡通知とは売掛先に対し売掛金を譲渡する旨を伝えることです。

3社間ファクタリングでは債権譲渡通知が行われることになりますが、2社間ファクタリングでは不要としています。

ただし2社間ファクタリングであるはずなのに、契約書に債権譲渡通知の項目が記載されている場合は必ず内容を確認しましょう。

債権譲渡登記の有無

債権が譲渡された事実を証明するために行うのが債権譲渡登記ですが、主に2社間ファクタリングで行われることが多い登記手続です。

2社間ファクタリングは売掛先に対して債権譲渡通知を行わないため、誰が売掛債権の権利を所有しているか権利関係の明確化を目的として債権譲渡登記を求められることがあります。

ただ、債権譲渡登記を行うときの費用は利用者が負担することがほとんどであり、誰でも法務局で登記情報を閲覧が可能である点に注意しましょう。

売掛先が事実を確認する可能性もある上に、銀行に対し融資の申し込みを行っている場合、売掛債権が売却されたことを知られ審査が通らなくなると認識しておくべきです。

すべてのファクタリング会社が債権譲渡登記を必須としているわけではありませんので、2社間ファクタリングでも未登記で対応する業者をを選ぶことをおすすめします。

売買手数料

2社間ファクタリングは、3社間ファクタリングよりも売買手数料は高めに設定されます。

これは2社間ファクタリングのほうがファクタリング会社にとってリスクの高い取引であるためです。

2社間ファクタリングの売買手数料の相場は10~20%、3社間ファクタリングは1~5%です。

この相場を大きく上回る売買手数料が設定されている場合、悪徳業者である可能性が高いため事前に必ず確認しておきましょう。

担保の取得の有無

ファクタリングは融資を受けるわけではなく売掛債権を買取ってもらう資金調達方法ですので、担保や保証人は必要としません。

それなのに契約書の内容に担保や保証人についての記載がある場合は、悪徳業者であると判断されるときは契約しないでください。

報告義務

売掛先に何らなかの不穏な動きがあった場合、ファクタリングの契約書に報告義務が明記されているならファクタリング会社に対し、その状況を報告しなければなりません。

損害賠償・違約金の発生事由

損害賠償や違約金については、どのようなケースで発生するのか事前に確認が必要です。

その範囲があまりにも広い場合や、金額が高額に設定されている場合には、契約を取りやめましょう。

契約の解除事由

契約期間中に重大な契約違反があった場合、契約解除となります。

その場合、受け取った売掛債権売却代金は返還することになりますので、どのようなケースが重大な契約違反に該当するのか、内容を確認しましょう。

契約期間

ファクタリングを一度のみ利用するのではなく、継続した利用を前提とする場合には、期間や自動更新の有無など確認してください。

ファクタリング契約のポイント

ビジネスのポイント

ファクタリングの契約の際は、次の5つのポイントに注意して契約を行うようにしましょう。

  1. 見積もりと実際の費用を確認する
  2. 違法業者ではないか確認する
  3. 契約書の控えは必ず受け取る
  4. 2社間では支払いを忘れない
  5. 債権譲渡登記を解除する

それぞれ説明します。

見積もりと実際の費用を確認する

契約の前にファクタリング会社から見積もりをとることもあります。

状況によっては、見積もりと異なる売買手数料を提示されることもありますので、見積もりと相違するときは根拠を確認しましょう。

また、ファクタリング会社ではなく、ファクタリングを装うヤミ金融業者も存在します。

ファクタリングと名称がついていてもファクタリングとは実態がかけ離れていることもあるため注意してください。

ヤミ金融業者の被害にあわないためには、以下に該当するケースで取引を進めないことです。

  • 債権の買取額が著しく少ない
  • 債権の買い戻しが契約書に記載されている
  • 売主の資金で支払いが必要な旨の記載がある

違法業者ではないか確認する

なかには違法な取り立てを行う悪質な業者もあります。

悪質な取り立てとは、深夜や早朝の取り立てや周辺に対する嫌がらせ行為を含む取り立て、しつように電話を繰り返すような取り立てなどです。

悪質な取り立てに対して、恐喝罪あるいは脅迫罪が成立することがあります。

ファクタリングを偽装した取引などで悪質な取り立ての被害にあったら、警察に相談してください。

広告の文句などに踊らされず、できるだけ実績のあるしっかりとした業者と契約を結びましょう。

契約書の控えは必ず受け取る

ファクタリングで資金調達するとき、契約を締結するならその内容を確認し、必ず控えを受け取ってください。

トラブルや発生するリスクを未然に防ぐためにも、必ず契約締結後の書類は控えとして受け取ることが必要です。

また、契約書の中身を確認し、不明な点は質問し内容を把握しておくことが大切といえます。

2社間では支払いを忘れない

2社間ファクタリングにおいて、売掛先から入金された決済代金は、すでにファクタリング会社に譲渡されたお金です。

回収したお金を使い込んだりせず、すみやかにファクタリング会社に渡すことが必要になります。

債権譲渡登記を解除する

2社間ファクタリングで債権譲渡登記を行った場合、取引終了後に設定した債権譲渡登記を解除することが必要です。

抹消登記をする場合、費用が数千円程度かかります。

なお、債権譲渡登記はファクタリングの契約で必須の事項ではありません。

3社間ファクタリングを利用する場合や、2社間ファクタリングでも未登記や留保で対応する業者であるなど、債権譲渡登記を行わないこともあります。

まとめ

ファクタリングで資金調達する場合における契約までの流れは、相談・申し込み・書類提出・審査・契約という形です。

本来のファクタリングにおける売掛金の売買契約では、必ず契約書が作成され利用者には控えが渡されます。

契約書が発行されない場合や、発行しても控えを渡されない場合には悪徳業者である可能性が高いので契約しないでください。

さらに契約を結ぶときには、その契約内容を確認し意味不明な点は説明を受けることが大切です。

中小企業経営者向け!資料無料ダウンロード

ファクタリング解体新書

ファクタリング解体新書

経営者・財務担当者のために、PMGがご提供する最短即日で現金化可能なファクタリングについて詳しく解説した資料です。