ファクタリングによる債権譲渡とは? 仕組みや売掛債権担保融資との違いを解説

ファクタリングは保有する売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、現金化する資金調達の方法です。

期日までが長い売掛債権などは資金繰り悪化の要因になりやすいため、ファクタリングであれば早期に手元の資金を増やせます。

民法の改正により、債権譲渡禁止特約の扱いも変わったため、より資金調達に活用しやすい環境が整備されたといえるものの必ずしも資金調達につながるとは限りません。

また、売掛金を使った債権譲渡の資金調達方法は、ファクタリングだけでなく売掛債権担保融資などもあります。

そこで、ファクタリングによる債権譲渡の仕組みや、売掛債権担保融資との違いを解説します。

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債権譲渡とは

「債権譲渡」とは、債権を旧債権者から新債権者へ移転させることです。

お金を受け取る権利が移ることであり、自分の取引相手(債務者)が第三者(第三債務者)に保有する債権を譲渡してもらうことで、取引相手の代わりに第三者からお金を回収する権利を得ます。

ファクタリングによる債権譲渡とは

ファクタリングによる債権譲渡とは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、資金調達することです。

売掛債権を売却し、本来の支払期日前に資金化できます。

ファクタリングによる債権譲渡は、早期の資金調達以外にも、取引先の破産リスク回避を目的とするケースもあります。

売掛債権のみが対象であり、債権額面から売買手数料を差し引いた金額を受け取れます。

ファクタリングと売掛債権担保融資の違い

握手するビジネスマン

ファクタリングと売掛債権担保融資は、どちらも売掛債権を使った金融サービスですが、両者には以下の違いがあります。

  1. 契約内容
  2. 提供する情報量
  3. 調達できる範囲
  4. 審査の難易度
  5. 資金調達までの時間
  6. 定期的な報告義務の有無

ここでは債権譲渡担保を使った融資制度である売掛債権担保融資を例に、それぞれの違いを説明します。

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契約内容

ファクタリングと売掛債権担保融資は、契約内容に違いがあります。

売掛債権を売却して買取代金を受け取る手法がファクタリングであるのに対し、売掛債権担保融資は売掛債権を担保としてお金を借りる方法です。

提供する情報量

ファクタリングと売掛債権担保融資は、提供する情報量に違いがあります。

まずファクタリングでは、主に売掛債権の存在と売掛先の信用力を証明することが必要です。

対する売掛債権担保融資は、金融機関に多くの情報を提供しなければなりません。

提供する情報が多い分、審査にも時間や手間がかかります。

調達できる範囲

ファクタリングと売掛債権担保融資は、調達できる金額の範囲にも違いがあります。

ファクタリングは売掛債権から売買手数料を差し引いた額に留まるのに対し、売掛債権担保融資は、担保にした売掛債権分のキャッシュを調達できます。

審査の難易度

ファクタリングと売掛債権担保融資は、審査の難易度に違いがあります。

まずファクタリングは、売掛先の信用力を重視することや、提出書類も簡素化されているため審査の難易度は低めです。

対する売掛債権担保融資は、将来性を重視した審査を行うため、審査項目も多く難易度はファクタリングより高くなります。

資金調達までの時間

ファクタリングと売掛債権担保融資には、資金調達までの時間に違いがあります。

まずファクタリングは、利用者とファクタリング会社で契約を結ぶ2社間ファクタリングなら、最短即日に資金を調達できます。

対する売掛債権担保融資では、担保として差し入れる売掛債権を評価することが必要であるため、最低でも入金まで2週間程度かかります。

申し込みから平均1か月程度かかる場合もあるため、すぐにお金が必要という緊急資金としては活用しにくいといえます。

定期的な報告義務の有無

ファクタリングと売掛債権担保融資には、定期的な報告義務の有無に違いがあります。

まずファクタリングでは、売却した売掛金に関することや、企業情報において変更があった場合、ファクタリング会社へ報告することが必要です。

対する売掛債権担保融資の場合、金融機関に3か月に1度以上は担保に関する報告を行います。

担保に関する報告を定期的に伝えることで、これまで通り事業が継続して運営されているか確認されます。

債権譲渡禁止特約を付す理由

「債権譲渡禁止特約」とは、契約を結ぶ上で債権の譲渡を禁止または制限することを約束する特約(条項)です。

債務者の権利を保護し、意図しない人物に債務の履行しなければならないリスクを回避するための特約といえます。

契約当事者を固定することで不安なく取引を行うための特約ですが、以前まではこの特約が付されていると、債権譲渡は原則無効とされていました。

ファクタリングにも多大な支障があったといえますが、令和2年4月1日の改正民法により、債権譲渡禁止特約付債権でも譲渡できます。

引先が債権の譲渡を特約で禁止するのは、取引先の支払い相手が変更されるなど、事務手続が煩雑になるからといえます。

また、売掛債権が譲渡された相手が反社会勢力であれば、コンプライアンス上、大きな問題となります。

そのため、企業規模が大きいほど債権譲渡禁止特約が付された契約であることが多いものの、120年ぶりに民法が改正されたことで取り扱いが変わったといえます。

債権譲渡禁止特約変更の内容

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120年ぶりとなる民法の大幅な改正が行われ、2020年4月1日から施行されました。

注目したいのが民法466条(債権の譲渡性)の部分で、改正前は債権譲渡禁止特約が付されていると債権譲渡の事実が無効になる可能性がありました。

しかし新債権法では、債権譲渡禁止特約が付帯されているにかかわらず、債権譲渡の効力は保証されます。

ただし、民法466条3項にある記載には注意してください。

取引先はファクタリング会社に対し、代金を直接支払うことを拒む権利を有するため、売上代金の回収は利用者が行うことになる可能性もあります。

取引先から代金を回収し、そのままそのお金をファクタリング会社に渡す流れになることも予想されます。

まとめ

ファクタリングを活用し、債権譲渡すれば期日まで回収できない売掛金を前倒しで現金化できます。

売掛金が滞留すると資金繰りが悪化しやすくなるため、ファクタリング会社へ債権譲渡することで早期に手元の資金を増やし、財務状況を改善しましょう。

なお、ファクタリングでは売掛債権のみが対象であり、債権額面から売買手数料を差し引いた金額を受け取れます。

債権譲渡には制限が設けられていることもありますが、法改正で債権譲渡禁止特約が付されている場合でも譲渡可能です。

ただしファクタリング会社によって対応が異なる場合もあるため、事前に相談することをおすすめします。

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