ファクタリング利用の売買手数料とは?相場や決定する要因を解説

ファクタリングを利用するときは、売買手数料を支払うことが必要です。

ただし悪徳な業者と契約してしまうと、法外な売買手数料を請求されるため、相場や何のための費用か理解しておくべきといえます。

そこで、ファクタリングを利用するときの売買手数料について、相場や決定づける要因などを説明します。

ファクタリングとは

ファクタリングは、商取引で発生した売掛金(売掛債権)を、ファクターと呼ばれるファクタリング専門の業者に売却して資金を調達する方法です。

融資ではないため利息は発生しませんが、利用する上で売買手数料がかかります。

売買手数料が発生することで、売却する売掛債権の額面金額をそのまま受け取ることはできません。

それでも急いで資金が必要という場面で、負債を増やさず即日現金化できることは大きなメリットとなるはずです。

ファクタリングの売買手数料とは

ファクタリングでは売買手数料が発生しますが、どのくらい発生するのかは、売却対象となる売掛債権によります。

売掛債権の金額が大きく、信用力の高いものであり、契約の方法が3社間ファクタリングなら売買手数料を抑えられます。

2社間ファクタリングのほうが売買手数料の相場は高くなるのは、ファクタリング専門業者が抱えるリスクの大きさが関係します。

業者の抱えるリスクが反映される

ファクタリングとは事業者から売却したいと持ち込まれた売掛債権をファクタリング業者が買い取り、実際に売掛先企業から入金される期日よりも先に現金化させる資金調達の方法です。

ファクタリング専門業者が売掛債権を買い取った後、もし売掛先企業が倒産して期日に売掛金分の代金が支払われなかったとしても、その弁済を求められることもありません。

ただし次のリスクにより、ファクタリング専門業者が抱えるリスクは2社間と3社間で異なります。

流用のリスク

3社間ファクタリングなら、ファクタリング契約を結ぶ際に売掛先企業も取引に交わります。

そのため、売掛先企業は自社の売掛金が売却されることを知った上で契約が結ばれることになり、当初の売掛金の入金期日には売掛先企業からファクタリング専門業者に直接支払いが行われます。

これに対し、2社間ファクタリングの場合、売掛先企業は取引には加わりません。

売掛先企業は自社の売掛金が売却されることを知らないため、売掛金の入金期日には利用事業者が代行して売掛金を回収することが必要です。

ただし資金繰りに困っていた利用事業者が、回収した売掛金を使いこんでしまわないとも限らず、ファクタリング専門業者にはリスクの高い契約となります。

使い込みは横領罪に該当するため絶対に行ってはいけませんが、このようなリスクも踏まえた上で2社間ファクタリングの売買手数料は高めに設定されます。

二重譲渡のリスク

売掛債権は目に見えない資産のため、誰が回収する権利を所有しているのか、そのままでは証明することができません。

ファクタリング専門業者に持ち込み現金化させ、さらに別のファクタリング専門業者に同じ売掛債権を売却しないとも限らないといえます。

この二重譲渡を防ぐためには、売掛先企業に債権を譲渡する旨を通知するか承諾を得て対抗要件を具備することが必要ですが、それでは3社間ファクタリングでの契約になってしまいます。

そこで、同じように第三者への対抗要件に備えるために用いるのが債権譲渡登記です。

登記によって証明することで、第三者への対抗要件に具備することが可能です。

ただ、登記を行うには実費で費用が発生し、利用事業者が実費で負担しなければなりません。

ファクタリング専門業者のすべてが2社間ファクタリングの契約時に債権譲渡登記を求めるわけではないため、未登記や留保で対応してくれる業者を利用したほうが費用を抑えることにつながります。

債権譲渡登記の費用

債権譲渡登記が必要な場合、登記を行う上で発生する登録免許税や証明書を交付するための費用以外に、司法書士に対する報酬が発生することを理解しておくべきです。

登記は設定だけでなく、いずれ抹消することも必要なのでどちらにも登録免許税が発生します。

  • 債権譲渡登記の登録免許税 7,500円
  • 抹消登記の登録免許税 1,000円
  • 登記事項証明書 500円
  • 振込手数料 金融機関による
  • 司法書士への報酬 司法書士による(4~7万円程度)

売買手数料の相場

ファクタリングの売買手数料の相場は、ファクタリング専門業者によって異なりますが、一般的には以下のとおりです。

  • 2社間ファクタリング 10~20%
  • 3社間ファクタリングは1~9%

ファクタリングの売買手数料を決める要因

ファクタリングを利用する際に支払う売買手数料は、すべてがファクタリング専門業者の儲け分というわけではありません。

売買手数料には、ファクタリング専門業者が事業を営む上での事務的な経費なども含まれています。

もし2社間ファクタリングで債権譲渡登記を行うことが必要となれば、登記にかかる費用なども必要であり、訪問対応してもらうのなら実費で交通費も発生します。

仮に2社間ファクタリングを利用した場合で、発生する売買手数料が売掛債権金額の20%だったとします。この場合の内訳は以下のとおりです。

  • 事業者に支払われる買取代金 80%
  • 登記費用 8%
  • 紹介料 3%
  • 印紙代 2%
  • ファクタリング専門業者の利益 7%

実際にはファクタリング専門業者の儲け分は多く発生していないといえます。

また、売買手数料は、以下の要因で変わります。

  • 2社間と3社間どちらを選ぶか
  • 売却する売掛債権の金額
  • 売掛先企業の信用力の高さ
  • 利用する事業者の人柄や信頼性の高さ
  • 初回利用か2回目以降か

ファクタリング専門業者により、何を審査で重視するのか、設定する売買手数料の幅などは異なります。

主に重視されやすい要因は以下のとおりです。

売掛債権の金額

仮に100万円の売掛債権をファクタリングに利用する場合で、売買手数料が30%で設定されたとします。

そうなるとファクタリング専門業者が受け取る売買手数料は30万円でありながら、登記費用など実費を差し引けば利益として残るのは10万円ほどになるでしょう。

これがもし1千万円の売掛債権だったとしたら、売買手数料を10%で設定してもファクタリング専門業者は100万円を受け取ることができます。

必要となる諸費用分を差し引いても、利益として80万円程度残ります。

ファクタリングの経費は売掛債権の金額によって左右されにくいため、少額の売掛債権でも多額の債権でもかかる費用は同じです。

そのため金額の高い売掛債権のほうが、売買手数料を抑えてサービスを提供することが可能といえます。

そのためできるだけ大きな金額の売掛債権を売却したほうが、売買手数料は低く抑えることができます。

なお、買取額の受け取り方法としては、全額前払いで受け取るのか、一部は前払いで支払期日後に残りを受け取るのかなど違いがあります。

一部を前払いして残りをファクタリング専門業者に留保する留保金が発生する場合、売掛金が回収できた後でその留保金が返還される形です。

売掛先の信用力

ファクタリングは売掛債権を売却して現金化させる資金調達の方法です。

売掛先企業の経営状況が良好で財務状態にも問題なければ、信用力は高いとみなされ確実に期日に買い取った売掛金を回収できると判断されます。

信用力が高ければその分、貸し倒れリスクは低くなるので売買手数料が抑えられるという流れです。

ファクタリングの審査では売掛先企業の信用調査は必ず行われるため、発生する手数料にはこの経費も含まれると理解しておきましょう。

利用事業者の人柄や信頼性

売掛先企業の信用力が重視されるのなら、利用する事業者の人柄や信頼性など関係ないのでは?と思うかもしれません。

しかし、2社間ファクタリングなどではファクタリング専門業者に代わって事業者が売掛先企業から売掛金の回収を行います。

もし人柄が悪く信頼できる事業者でなければ、あっさり回収した売掛金を使い込まれてしまう可能性も高くなるのです。

そのため、必ずファクタリング契約を結ぶ前には面談を行い、事業者との対話の中でどのような人物か、人柄や信頼性の高さなどが確認されると理解しておきましょう。

利用履歴

初めてファクタリングを利用する場合よりも、2回目以降のほうが売買手数料は低く抑えられる可能性が高いといえます。

たとえば同じ売掛先企業の売掛債権を売却するのなら、初回よりも信用調査にかかる費用を抑えることができるでしょう。

すでに初回の取引でファクタリング利用の実績ができていることが理由です。

ファクタリングにおける消費税の扱い

商品やサービスを販売したり提供するときには消費税が発生することが多いですが、ファクタリングを利用して売掛債権を譲渡する際には消費税はかかりません。

もし消費税を見積書に記載し、請求しようとする業者があるのなら悪徳業者である可能性がありますので注意しましょう。

悪質業者に騙されないファクタリング会社選びが重要

ファクタリングを利用するときに売買手数料はできるだけ安いほうがよいと考えるのは当然です。

あまりに高額の売買手数料が設定されてしまうと、十分な資金調達に繋がらなくなり、資金繰りを改善させやすいというファクタリングのメリットを打ち消してしまいます。

ただ、悪徳な業者などは見積もり段階で、2社間ファクタリングなのに3社間ファクタリング並みの低い売買手数料を設定し、契約のタイミングで一気に売買手数料を引き上げることもあるようです。

先に述べたとおり、2社間ファクタリングで契約する際にファクタリング専門業者が抱えるリスクは低くありません。

3社間ファクタリング並みの売買手数料を設定してサービスを提供することは、利益を出すことができないだけでなく、むしろ赤字経営をすることになってしまうばずです。

あまりに売買手数料の安さにこだわりすぎてしまい、破格だからと飛びついてしまうと、悪徳業者に騙される可能性もありますので注意してください。

まとめ

ファクタリングを利用すると売買手数料が発生しますが、法律で明確な規制や制限がされていません。

ファクタリング専門業者次第のため、良心的な対応をしてくれるか確認が必要です。

ただ、法律で決まりはなくても、2社間ファクタリングと3社間ファクタリング、どちらにも売買手数料の相場は存在します。

あまりに相場からかけ離れた売買手数料を設定してくる業者は悪徳業者である恐れもあります。

悪徳業者を利用してしまうと、十分な資金調達に繋がらないだけでなく資金繰りがますます悪化します。

事業を継続できなくなる恐れもあるため、絶対に契約しないようにしてください。