キャッシュフロー分岐点と損益分岐点の基礎知識

キャッシュフロー分岐点と損益分岐点には互いにどのような関係があるのかご存知でしょうか。キャッシュフロー分岐点と損益分岐点は経営状態を評価する上で着目すべき非常に重要な指標です。資金繰りが経営の鍵を握る中小企業にとって大切なキャッシュフロー分岐点と損益分岐点についてご紹介いたします。

 

1キャッシュフローとは

キャッシュフロー分岐点を考えるときにまず理解しなければいけないのがキャッシュフローという概念です。キャッシュフローというのは利益とは異なる概念で、利益が収益から費用を差し引いて求められるものであり、現金全体がどれだけ入り、どれだけ出て行ったのかを表すキャッシュフローとは似ているようで異なる概念と言えます。

キャッシュフローは単なる利益とは異なり、企業内部全体の資金を見ている指標なので、利益が黒字であったとしても企業内部の資金が不足していたり、企業内部の資金が流出し、倒産の可能性が出てきてしまうことがあります。売り上げが黒字な状態にはしっかりとキャッシュフローの状態まで確認し、キャッシュフローの変化に注意するようにしましょう。

2損益分岐点とは何?

損益分岐点というのは簡単にいうと利益が出るのに必要な売上高のことで、この金額を上回ることで初めて利益が創出される売上金額のことです。損益分岐点を考えることで売上目標を定めることができ、この金額を超える事を目標にして利益設定ができます。

損益分岐点はキャッシュフローの概念を含まない単純な営業利益の目安の数値と考えることができます。損益分岐点と異なるキャッシュフロー分岐点と言う値についてしっかりと理解を深めておきましょう。

 

3キャッシュフロー分岐点とは

キャッシュフロー分岐点は損益分岐点と異なり、資金収支が完全に釣り合う売上高のことで、資金繰を保ちながら事業継続を行う上で必要な売上と考えることができます。キャッシュフロー分岐点は個別の事業の利益の有無を見た損益分岐点と異なり、企業全体の収支を考えた収支のバランスをとる値です。

損益分岐点をベースにしながらキャッシュフロー分岐点の算出もできるのですが、この計算には発生主義で計算された費用を現金主義の計算方式に改める必要があり、パソコンのソフトなどで、現在は自動的に求めることが増えています。

キャッシュフロー分岐点を常に念頭におくことで資金が特定の事業・特定の部署についてのみ利益を生み出すものと捉えるのではなく、企業全体の資金の流れを鑑み、企業全体の収益を考えることができます。しっかりとキャッシュフロー分岐点を抑えながら経営を行うようにしましょう。