ファクタリングで資金調達を検討していても、支払方法や、いつが支払いの期日になるのかわからず利用をためらっている方もいることでしょう。
そこで、ファクタリングで資金調達したときの流れや支払い期日はいつなのか、また売買手数料についてもわかりやすく解説していきます。
ファクタリングの売買手数料と売掛金回収後の支払いについて、正しく理解し、活用していきましょう。
ファクタリングの支払いとは一体何?
ファクタリングの支払いとは、ファクタリング会社へ売却した債権の期日に売掛先から売掛金の回収後、買取代金と売買手数料を支払う事を指します。
ファクタリングには次の2つの契約形態があり、契約形態によって支払い法が変わります。
2社間ファクタリング
3社間ファクタリング
また、ファクタリングは金融機関からの融資と間違えられやすく、返済と認識してる方も多いと思いますが、債権の売買取引のため返済とは異なります。
2社間取引と3社間取引についてそれぞれ詳しく解説をしていきます。
2社間ファクタリングを利用した場合
「2社間ファクタリング」は、売掛債権を売却する「利用者」と、売掛債権を買い取る「ファクタリング会社」が主体となり契約を結ぶファクタリングですが、発生する「支払い」は次の2つです。
- ファクタリングを利用することで発生する「売買手数料」
- 売掛先から回収した「売掛金」
2社間ファクタリングでは、契約に売掛先が関わらないため、売買手数料の支払いだけでなく売掛金の回収と支払いが必要となります。
そこで2社間ファクタリングを利用した場合の支払いを理解するために、次の3つについて説明していきます。
- 2社間ファクタリングの流れ
- 2社間ファクタリングの支払いの種類
- 2社間ファクタリングの支払期日
2社間ファクタリングの流れ
2社間ファクタリングは、「利用者」と「ファクタリング会社」だけで契約を結び手続を進めていくため、売掛先にファクタリングにより資金調達することを知られないことがメリットです。
売掛債権をファクタリング会社に譲渡することを売掛先に知らせないため、売掛金の回収は利用者が行うこととなり、入金後はすみやかにファクタリング会社への支払いを済ませることが必要となります。
そのため2社間ファクタリングによる手続の具体的な流れは、主に次の7つです。
- ファクタリング会社にファクタリングを申し込む
- 譲渡したい売掛金情報をファクタリング会社に提示する
- ファクタリング会社で売掛先の信用調査が実施される
- 審査後、売掛金の買取金額など見積もりが提示される
- 提示された内容で納得できれば必要書類をファクタリング会社に提出し契約を結ぶ
- 契約締結後、買取金額が利用者の指定口座に振り込まれる
- 売掛先の支払い期日に売掛金を回収し、入金された金額と手数料をファクタリング会社に支払う
2社間ファクタリングの支払いの種類
2社間ファクタリングでは、ファクタリングを利用するときにファクタリング会社に対し支払う「売買手数料」だけでなく、売掛先から回収した「売掛金」の支払いも必要です。
売買手数料に含まれる費用として挙げられるのは、
- 基本売買手数料
- 事務的な経費
- 登記費用などの実費
- ファクタリング会社の儲け
などです。
これらの費用は、ファクタリング会社に売却した売掛金の額面から差し引かれ、残りが利用者に支払われます。
登記費用については、「債権譲渡登記」を必要とする場合のみ支払いが必要ですが、コストの多くを占める費用のため、できる限り登記は必要としないファクタリング会社を選んだほうがよいでしょう。
2社間ファクタリングの売買手数料相場は10~20%のため、この割合を大きく上回る売買手数料を請求されたときには、悪質業者の可能性もあるため詳細を確認するようにしてください。
2社間ファクタリングの支払期日
2社間ファクタリングの支払期日は、ファクタリング会社へ売却した売掛金が売掛先から入金される日になります。
2社間ファクタリングで発生する2つの支払いのうち、売買手数料は売掛債権額面から自動的に差し引かれるため、別途支払いをする必要はありません。
そして2社間ファクタリングでは、利用者が売掛先から売掛金を回収することになり、売掛先から回収した売掛金は、利用者が責任をもってファクタリング会社に支払うことが必要です。
あくまでも利用者は、ファクタリング会社から債権の回収を代行していることを認識しておき、売掛先から入金があれば他の支払いに流用することなくすみやかにファクタリング会社に支払うことが必要です。
もしも入金された売掛金を他の支払いなどに充ててしまった場合にどうなるかというのは、後の章で出てくる「ファクタリング会社への支払いが遅れた場合」へ記載しています。
3社間ファクタリングを利用した場合
「3社間ファクタリング」では、売掛債権を売却する「利用者」と、売掛債権を買い取る「ファクタリング会社」だけでなく、「売掛先」も主体となって契約を結び取引を進めていきます。
事前に売掛先に対し、売掛金をファクタリング会社に譲渡することを通知し、ファクタリングを利用することの承諾を得る手続が必要です。
3社間ファクタリングのメリットは売買手数料が安いことですが、その理由は売掛先から直接、ファクタリング会社に対し売掛金が支払われるからです。
売掛先に売掛金の存在を確認することができ、期日になれば直接支払いがされるため、ファクタリング会社にとってリスクの低い取引といえるでしょう。
ファクタリングで発生する売買手数料は、売掛金が未回収となるリスクの高さに比例するため、リスクを抑えることができる3社間ファクタリングでは2社間ファクタリングよりも安くコストを抑えることが可能です。
以上のことを踏まえ3社間ファクタリングを利用した場合の支払いを理解するために、次の3つについて説明していきます。
- 3社間ファクタリングの流れ
- 3社間ファクタリングの支払いの種類
- 2社間ファクタリングの支払期日
3社間ファクタリングの流れ
3社間ファクタリングでは2社間ファクタリングと異なり、「売掛先」が契約に加わることとなります。
そのため売掛先に対し、ファクタリング会社に売掛債権を譲渡することを伝え、ファクタリングで資金調達することに対する承諾を得る手続が必要です。
ただし売掛金は売掛先から直接、ファクタリング会社に支払われるため、利用者が回収を代行しファクタリング会社に支払いをする流れは必要ありません。
以上のことから、3社間ファクタリングで資金を調達するときには、次の8つの流れになります。
- ファクタリング会社にファクタリングを申し込む
- 譲渡したい売掛金情報をファクタリング会社に提示する
- ファクタリング会社で売掛先の信用調査が実施される
- 審査後、売掛金の買取金額など見積もりが提示される
- 売掛先に対し売掛債権譲渡の通知と承諾を得る手続を行う
- 3者間でファクタリング契約を結ぶ
- 契約締結後、買取金額が利用者の指定口座に振り込まれる
- 売掛金の支払い期日に売掛先からファクタリング会社に直接支払いが行われる
3社間ファクタリングの支払いの種類
3社間ファクタリングでも、2社間ファクタリングと同じように売掛債権額面から売買手数料が差し引かれ、残りを利用者に支払います。
そのため別途、ファクタリング会社に売買手数料を支払う必要はありません。
売買手数料相場も1~9%と2社間ファクタリングより割安です。
なお3社間ファクタリングでは、売掛先に通知をしたり承諾を得たりという手続が含まれるため、債権譲渡登記は行われず登記費用が発生することはほとんどないといえます。
3社間ファクタリングの支払期日
ファクタリング後にファクタリング会社が回収する売掛金は、利用者を経由せずに直接、売掛先からファクタリング会社に支払われます。
そのため利用者が売掛金の回収業務を代行することはないですが、3社間ファクタリングの支払期日は2社間ファクタリングと同様に売掛先から定められている入金日になることは覚えておきましょう。
ファクタリング会社への支払いが遅れた場合
ファクタリング会社に対する支払いで、もっとも注意したいのは2社間ファクタリングのときに発生する「売掛金」の支払いです。
すでに現金化した売掛金が、後日、売掛先から口座に入金されると、つい別の支払いに充ててしまったり流用したりなど使い込んでしまうケースもめずらしくありません。
また、回収した売掛金をファクタリング会社の口座に振り込むつもりだったのに、自動引き落としされてしまったというケースなどもあります。
しかしいずれの場合も、すでに債権がファクタリング会社に譲渡された後の売掛金であるため、そのお金の持ち主はファクタリング会社といえます。
一時的な流用や思いもよらない引き落としなどであっても、ファクタリング会社に移った売掛金を使い込むことは、「横領罪」や「詐欺罪」として罪に問われる可能性があります。
大きなトラブルに発展してしまう可能性もあるため、2社間ファクタリングで資金調達するときには、回収した売掛金はすみやかにファクタリング会社に支払うことが必要であることを再認識しておきましょう。
まとめ
ファクタリングは近年、銀行などから融資を受けにくい中小企業に注目されている資金調達の方法ですが、ファクタリング会社に対する支払いは遅れずに済ませることが必要です。
売買手数料については、ファクタリング会社から買取代金が支払われるとき、自動的に差し引かれるため別途支払いをする必要はありません。
しかし2社間ファクタリングでは、売掛金の回収を利用者が行うため、回収代金をファクタリング会社に支払うことが必要です。
売掛金の入金があったタイミングで資金不足に陥っており、一時的に使い込んでしまったり引き落とされたりなど、いずれの場合も契約違反となります。
いつが支払いの期日かはファクタリング契約で決めらることになりますが、違反すればは罪に問われる可能性もあるため、使い込みなどせず遅れずに支払いを済ませるようにしましょう。