フリーランスがファクタリングで資金調達するのなら、業者選びが重要です。
法人と異なり、フリーランスや個人事業主は社会的な信用力が高いとはいえないため、一般的に審査のハードルが低いとされるファクタリング審査においても厳しい目で見られる可能性があります。
ファクタリングは一般的に中小企業向けの金融サービスとして知名度が上がっているため、フリーランスや個人事業主でも利用できないわけではないものの、業者の選び方や審査に通るためのコツは抑えておく必要があります。
そもそも、すべてのファクタリング会社が、フリーランスや個人事業主の申し込みに対応しているわけではありません。
そこで、フリーランスにおすすめのファクタリング会社やその選び方、審査に通過するためのコツについてわかりやすく解説していきます。
目次
フリーランスのファクタリング会社の選び方
「ファクタリング」は売掛金を現金化するサービスであり、審査もスムーズで書類準備に手間がかからないため、早ければ即日資金を調達することもできます。
フリーランスでも利用は可能ですが、すべてのファクタリング会社が法人以外の申し込みを受け付けているとは限らないため、業者選びが重要です。
主にフリーランスのファクタリング会社選びでは、以下の6つを押さえた上での選択が望ましいといえます。
- フリーランス利用できるか
- 少額債権は買取可能か
- 現金化までスピーディか
- 売買手数料は相場の範囲か
- 債権譲渡登記は不要か
- 信頼できる会社か
それぞれの選び方について説明します。
フリーランス利用できるか
フリーランスのファクタリング会社選びでは、そもそもフリーランスが申し込みをして利用できる業者なのか確認しましょう。
ファクタリング会社によっては、法人のみの受け付けという場合もあります。
条件がよいファクタリング会社でも、フリーランスや個人事業主も申し込みできる体制になっていなければ意味がありません。
少額債権は買取可能か
フリーランスのファクタリング会社選びでは、少額債権は買取可能か確認しましょう。
法人と違って、フリーランスや個人事業主の保有する売掛債権は、数十万円単位というケースもめずらしくありません。
少額でも買い取ってもらえるのか、ファクタリング会社の買取可能とする債権額の下限や上限を確認しておきましょう。
少額債権でも利用可能!個人事業主がファクタリング会社を選ぶときのポイント
現金化までスピーディか
フリーランスのファクタリング会社選びでは、現金化までスピーディに対応してくれるか確認しましょう。
ファクタリング会社によっては、最短即日入金というケースもありますが、すべての業者ではありません。
特にフリーランスや個人事業主の場合、ファクタリング会社が慎重に判断することになれば、審査に時間がかかるとも考えられます。
資金を必要とするタイミングまでに入金してくれるファクタリング会社を選ぶよいでしょう。
売買手数料は相場の範囲か
フリーランスのファクタリング会社選びでは、売買手数料は相場の範囲か確認しましょう。
ファクタリングの売買手数料の割合は、以下が主な相場です。
- 2社間ファクタリング 10~20%
- 3社間ファクタリング 1~9%
ファクタリング会社の抱えるリスクに比例することが多いため、フリーランスの場合、登記簿で事業実態などの確認ができない分、審査は厳しくなります。
そのため売買手数料が想定していたよりも高めに設定される可能性はあると留意しておいてください。
債権譲渡登記は不要か
フリーランスのファクタリング会社選びでは、債権譲渡登記は不要か確認しましょう。
利用者とファクタリング会社で契約が完結する2社間ファクタリングの場合、債権譲渡後にファクタリング会社が権利者であることを主張するため、債権譲渡登記を求められることがあります。
債権譲渡登記は法人のみが手続できる制度のため、フリーランスや個人事業主は申請できません。
そのため2社間ファクタリングにおける契約で債権譲渡登記が必要とされる場合、フリーランスはそのファクタリング会社とは契約できないと判断できます。
債権譲渡登記に関して、「留保」や「未登記」で対応するファクタリング会社は限られているため、事前に確認が必要です。
ファクタリングの債権譲渡登記とは?登記の必要性と理由について解説
信頼できる会社か
フリーランスのファクタリング会社選びでは、信頼できる業者か確認しましょう。
ファクタリング業界は法整備が不十分であるため、悪徳業者が横行しやすい環境です。
金融庁も、インターネット上で「ファクタリングの利用に関する注意喚起」と、ファクタリングを装う悪質なヤミ金融業者の存在について警鐘を鳴らしています。
悪徳業者と契約してしまうと、売買手数料と称した法外な利息を請求され、経済的に破綻してしまう状況へ追い込まれます。
そのため、ファクタリング会社が公開している過去の実績など確認し、信頼でき業者か見極めることが大切です。
フリーランスがファクタリングを利用するメリット
フリーランスでもファクタリングの申し込みは可能ですが、資金調達に活用するメリットは主に以下の6つです。
- 時間をかけずに資金調達できる
- 書類準備に手間がかからない
- 担保や保証人は必要ない
- 債務超過や税金滞納中でも利用できる
- 貸倒リスクを回避できる
- 信用情報に影響しない
それぞれのメリットについて説明します。
個人事業主にファクタリングはおすすめ?メリットや業者の選び方を解説
時間をかけずに資金調達できる
フリーランスがファクタリングを利用するメリットは、時間をかけずに資金調達できることです。
銀行融資と異なり、審査に時間がかかりにくいため、ファクタリング会社によっては最短で即日の資金調達が可能となります。
オンライン対応が可能なファクタリング会社の場合、より一層時間をかけずに手続できるでしょう。
書類準備に手間がかからない
フリーランスがファクタリングを利用するメリットは、書類準備に手間がかからないことです。
銀行融資では、多岐に渡る書類の提出を求められますが、ファクタリングで準備しなければならない書類は以下のとおり簡素化されています。
- 直近の確定申告書2~3期分
- 取引先との基本契約書
- 請求書(納品書・注文書)
- 取引履歴の確認できる銀行口座
ただしフリーランスは追加で書類を求められることもあるため、特に売掛債権の保有を示す根拠となる書類は、できるだけ多く準備しておくと安心です。
担保や保証人は必要ない
フリーランスがファクタリングを利用するメリットは、担保や保証人が必要ないことです。
銀行からお金を借りたくても、不動産など担保として差し入れる資産を所有していなければ審査に通ることが難しくなるため、フリーランスにとっての銀行融資はハードルの高い資金調達の方法といえます。
しかしファクタリングはお金を借りる方法ではないため、担保や保証人を求められることはなく、不動産など所有していないフリーランスでも安心して利用できます。
債務超過や税金滞納中でも利用できる
フリーランスがファクタリングを利用するメリットは、債務超過や税金滞納中でも利用できることです。
債務超過の場合や、税金や社会保険料を滞納していると、銀行融資の審査にはほぼ通りません。
しかしファクタリング審査では、売掛先の信用力を重視するため、債務超過や税金滞納中でも通る可能性はあります。
貸倒リスクを回避できる
フリーランスがファクタリングを利用するメリットは、貸倒リスクを回避できることです。
ファクタリング利用後に売掛先が倒産し、期日に売掛金を回収できなくなっても、その責任を利用者が負う必要はありません。
売掛債権を譲渡したときに、未回収リスクもファクタリング会社へ移転されます。
信用情報に影響しない
フリーランスがファクタリングを利用するメリットは、信用情報に影響しないことといえます。
信用情報とは、信用情報機関が取扱う、ローンやキャッシングなどの申し込み・契約・取引に関する個人の情報です。
借入れの申し込みをしたものの、審査に落ちた場合には、その事実が6か月間、信用情報として記録されます。
しかしファクタリングはお金を借りる方法ではないため、申し込んだ情報だけでなく、契約や取引の履歴なども登録されません。
フリーランスのファクタリングを利用するデメリット
フリーランスにとっても、ファクタリングで資金を調達することにはいろいろなメリットがあります。
しかし次の3つのデメリットには注意が必要です。
- 調達コストの負担が増えやすい
- 利用できると限らない
- 契約形態により売掛先にバレる
それぞれのデメリットについて説明します。
フリーランスでもファクタリングは可能?利用時のメリット・デメリット
調達コストの負担が増えやすい
フリーランスがファクタリングを利用するデメリットは、調達コストの負担が増えやすいことです。
先にも説明したとおり、ファクタリングを利用したときの売買手数料の割合は、以下が相場となっています。
- 2社間ファクタリング 10~20%
- 3社間ファクタリング 1~9%
銀行融資よりコストがかかることがデメリットですが、特にフリーランスは法人よりも信用力が低いため、売買手数料も高めに設定されることが予想されます。
利用できると限らない
フリーランスがファクタリングを利用するデメリットは、必ずしも利用できると限らないことです。
ファクタリング審査では売掛先の信用力を重視するため、次に該当する場合は審査に通りにくくなります。
- 売掛先が存在しているか怪しい
- 売掛先との取引実績が浅い
- 売掛先の信用力が低い
- 売掛金が入金される期日まで長い
- 二重譲渡の疑いがある
- 売掛先との契約で債権譲渡が禁止されている
なお、民法改正により債権譲渡禁止特約が付されていても債権流動化は可能とされていますが、ファクタリング会社もトラブルを避けるために譲渡禁止の債権は買い取りを避ける傾向が見られます。
契約形態により売掛先にバレる
フリーランスがファクタリングを利用するデメリットは、契約形態により売掛先にバレることです。
売掛先も契約に関与する3社間ファクタリングでは、売掛先に対する通知や、承諾を得ることが必要となります。
説明の段階で、ファクタリング利用について難色を示した場合、その後の取引に影響が及ぶ恐れもあることは留意したほうがよいでしょう。
フリーランスがファクタリング審査に通るためのコツ
フリーランスがファクタリング審査に通るためには、次の5つのコツを押さえた上で申し込むことをおすすめします。
- 法人の売掛先の債権を選ぶ
- 信用力の高い債権を選ぶ
- 入金サイトが短めの債権を選ぶ
- 譲渡が禁止されていない債権を選ぶ
- 債権発生を示す書類を多く準備する
それぞれのコツについて説明します。
ファクタリング審査の甘い業者とは?基準や落ちる理由・通るコツを紹介
法人の売掛先の債権を選ぶ
フリーランスがファクタリング審査に通るために、法人の売掛先の債権を選びましょう。
売掛先が個人の場合、買取不可とするファクタリング会社も少なくありません。
個人事業主は事業実態などの確認が難しいため、法人の債権でなければリスクの判断ができないからです。
特にフリーランスは信用力が低いため、信用力の高い法人の債権をファクタリングに利用したほうが買い取ってもらいやすくなるでしょう。
信用力の高い債権を選ぶ
フリーランスがファクタリング審査に通るために、信用力の高い債権を選びましょう。
ファクタリング会社が安心して買い取ることができるのは、期日に遅れず請求された額が売掛先から入金されることです。
フリーランスに限らず、中小企業などがファクタリングを利用する場合でも、信用力の高い債権であれば好条件で買い取ってもらえます。
公的機関や上場企業などの債権であれば、期日に売掛金が支払われないリスクは低減されるため、審査では有利になるでしょう。
入金サイトが短めの債権を選ぶ
フリーランスがファクタリング審査に通るために、入金サイトが短めの債権を選びましょう。
売掛金が入金される期日までが長いと、回収までの間に売掛先が倒産してしまう恐れもあります。
そのため期日までの期間は短いほうが審査では有利となり、長くても2か月以内の債権を選んだほうがよいといえます。
譲渡が禁止されていない債権を選ぶ
フリーランスがファクタリング審査に通るために、債権譲渡が禁止されていない債権を選びましょう。
売掛先との契約において、債権譲渡禁止特約が付されていると、第三者へ債権を譲渡することはできません。
実際、民法の改正で債権譲渡禁止特約が付された債権も譲渡可能となりましたが、トラブルを避けるためにも、ファクタリング会社は買い取りを避けると考えられます。
そのため売掛先との契約で債権譲渡禁止特約が付されていると、審査に通りにくくなるでしょう。
債権発生を示す書類を多く準備する
フリーランスがファクタリング審査に通るために、債権発生を示す書類を多く準備しておきましょう。
売掛金が架空ではないことを証明するため、請求書や取引実績が確認できる通帳の写しなどを提示します。
他にもできるだけ多く売掛金の存在を証明できる書類を提出することで、ファクタリング会社が安心して債権を買い取ることができるようになり、審査に落ちにくくなると考えられます。
たとえば請求書以外にも、以下の書類などを準備しておきましょう。
- 見積書
- 受注書
- 納品書
まとめ
ファクタリングはフリーランスでも資金調達に活用できますが、すべてのファクタリング会社で申し込みを受け付けているわけではありません。
また、フリーランスや個人事業主を受け付けているファクタリング会社の場合でも、法人の申し込みより審査は厳しくなることが予想されます。
そのためファクタリングで資金を調達したいフリーランスや個人事業主は、ファクタリング会社が安心して買い取りできる売掛債権を準備して、審査の通過率を上げていきましょう。