ファクタリングは経済産業省推奨の債権流動化の1つ?仕組みと注意点を解説

資金調達の方法といえば、中小企業の多くが銀行融資を真っ先に挙げる傾向が見られますが、経済産業省が推奨しているのは売掛債権の流動化による方法です。

経済産業省が売掛債権流動化を勧めるのは、中小企業の現在の資金調達の方法に問題があるからといえますが、売掛債権流動化による資金調達の方法の1つにファクタリングも該当すると考えられます。

そこで、なぜ経済産業省は売掛債権を流動化する資金調達を推奨しているのか、説明します。

ファクタリングとは

ファクタリングとは、保有する売掛債権をファクタリング会社へ売却し、現金化する金融サービスです。

売掛債権とは、商品やサービスを販売後に回収していない代金を受け取る権利であり、売掛金と受取手形が該当します。

入金されるまでの期日は1~2か月など、一定の時間がかかることが多く、キャッシュフローが悪化する原因になりかねません。

このような場合にファクタリングを活用することで、期日よりも前に売掛金が現金化され、資金を調達できます。

ファクタリングも売掛債権を流動化する金融サービスの1つです。

経済産業省が売掛債権流動化を推奨する理由

 

銀行の店舗

経済産業省が売掛債権流動化を推奨している背景には、中小企業の以下の事情が関係しています。

  1. 銀行融資への依存度が高い
  2. 銀行融資の審査に通らない
  3. 担保にする資産を保有していない

それぞれ説明します。

銀行融資への依存度が高い

経済産業省が売掛債権流動化を推奨する背景には、中小企業が銀行融資に大きく依存しているからです。

普段から付き合いのある銀行であればいろいろと相談しやすく、万一資金需要が高まってもすぐに対応してくれるだろうと思ってしまうものでしょう。

しかし資金繰りがだんだんと厳しくなり、手元の資金が不足してしまったときに銀行に相談しても、冷たい態度であしらわれ断られてしまいます。

銀行融資の審査に通らない

大企業であれば銀行融資は利用しやすいのに対し、中小企業の場合は設備投資や事業拡大などポジティブな利用での資金調達でなければ前向きな姿勢で融資の相談に応じてくれません。

融資を受けることが可能となったとしても、不動産を担保とした貸し付けなどがメインとなるため、担保に差し入れる価値のある不動産を保有していなければ銀行融資は利用できないことがほとんどです。

それでも中小企業は銀行融資に依存してしまいがちであり、依存しているのにもかかわらずスムーズな資金調達に至っていない状況といえます。

そのため売掛債権流動化を、中小企業の新たな資金調達の手段とすることが推奨されています。

担保にする資産を保有していない

中小企業の多くは、銀行融資を受ける際に担保にする資産を保有していないことが多いといえます。

また、保有していても資産価値が低迷しているなど、十分な資金調達につながらないことも少なくありません。

中小企業が銀行融資を受けるときは、担保の差し入れを求められることが一般的であるため、土地や建物などの資産を保有していなければ資金調達の手段を失ってしまいます。

そのため資金調達の多様化として、売掛債権流動化が推奨されています。

債権流動化に向けた法改正の内容

新制度

経済産業省が債権流動化を推奨しているとされる根拠として、以下の2つの法改正が挙げられます。

  1. 売掛債権担保融資保証制度の創設
  2. 譲渡制限特約付き債権譲渡の有効化

それぞれの内容を紹介します。

売掛債権担保融資保証制度の創設

「売掛債権担保融資保証制度」とは、中小企業が売掛債権を担保として信用保証協会に保証してもらう制度です。

経済産業省が、中小企業が不動産を担保に融資を受けることに依存し過ぎないために創設しました。

ABL(動産・売掛債権担保融資)は、売掛債権や動産(機械や自動車など)を担保にお金を借りる資金調達の方法です。

売掛保証では、取引先の資金繰り悪化や倒産などで支払いが遅延したり回収できなくなったりした場合、取引先に代わって売掛金を保証します。

譲渡制限特約付き債権譲渡の有効化

2020年4月1日に債権法が改正されたことで、譲渡制限特約が付されている契約でも、債権譲渡は有効になりました。

契約書などに債権譲渡は禁止する条項を入れていても、債権譲渡の効力は妨げられないとしています。

ただし、譲渡制限特約に悪意または重過失がある譲受人の場合は、債務者は譲受人に対する債務履行を拒むことができます。

経済産業省の売掛債権流動化による狙い

日本の企業の99%以上は中小企業。中小企業の資金調達がスムーズでないということは、日本の経済は活性化されないことを示します。

そこで経済産業省では、中小企業が多く保有している売掛債権を資金調達に活用してもらうことを進めるようになったのです。

まとめ

経済産業省は売掛債権流動化を推奨しています。

売掛債権流動化による資金調達には種類があるといえますが、その中でファクタリングを選ぶ場合、あまり知られていない方法であることで不安を感じることもあるでしょう。

しかしファクタリングは、アメリカではすでに一般的な資金調達の方法として活用されている手法であり、売掛債権を保有していれば売却することで事業継続に必要な運転資金に充てることができます。

正規のファクタリング会社を利用すれば、危険な方法ということはありませんので安心して資金調達に活用してください。