2022年03月25日
ウクライナ情勢と日本経済への影響
ロシアがウクライナへ軍事侵攻を開始してから1ヶ月以上が経過し、民間人への被害も非常に深刻になっている。
日本とウクライナは地理的に近いとは言えないが、日本も対岸の火事として無関係ではいられない。
今回はウクライナ情勢によって日本経済にどのような影響を与えうるのかについて、
家庭への影響と企業への影響の2つに分けて考えてみる。
1つ目は、食品価格、原油価格の上昇による家庭への影響である。
例えば、ロシアやウクライナは小麦の輸出大国で2つを合計すると、世界の輸出量の3割を占めており、
小麦の供給不安から小麦の取引価格が高騰している。
また、原油価格もロシアからの輸出が不安定になる懸念から高騰している。
これらの電気料金、ガス料金や食料品価格は、遅れて消費者の料金に反映されるため、
今年後半あたりに大きく消費者物価が上昇することが予想されている。
このように、食料自給率とエネルギー自給率が低い日本では、これらを輸入に頼っており、
輸入コスト増大によるインフレが家庭を直撃することが懸念される。
2つ目は、ロシア制裁の日本企業への影響である。
世界各国は、ロシアに対して厳しい制裁を行なっているが、当然日本にも返り血として影響が跳ね返ってきている。
まず、直接ロシアに進出している日本企業ではロシア事業の見直しを迫られている。
実際に、ファーストリテーリングでは、「ユニクロ」全50店舗のロシア事業を停止しており、
今後もこのような日本企業の動きはより広がっていく可能性がある。
また、半導体の輸出規制やSWIFTからの排除といった制裁はさらに裾野を広げて日本企業に影響を与えている。
例えば、ウクライナはネオン、アルゴンなど半導体用原料ガスの主要な供給国であり、
半導体を扱う製造業を中心に、更なる半導体不足による生産への影響が考えられる。
さらに、国際決済システムSWIFTからロシアの一部銀行を排除したことは
ロシアとの取引がある日本企業にとって資金のやり取りが難しくなるため、貿易上の大きな影響があると言える。
最後に、今回のロシアの軍事侵攻は戦後の歴史に刻まれるであろう大きな出来事であり、
世界は大きな岐路に立っている。
今後、ロシアとウクライナの間でどのような形で決着するのか、
G7を始めとする世界各国はロシアに対してどのような制裁を継続・追加するのかなど、
今後の日本経済を考える上でウクライナ情勢から目が離せない。
他国のこと、他人事として考えるのではなく、
私たち一人一人に密接に関わることとして今後の行方を注視していきたいと思う。
反響集客課 山下