ファクタリングとは、簡単に説明すると売掛金を現金化する資金調達方法です。
中小企業の資金調達の方法は、多くが銀行融資に頼っている傾向が見られるものの、赤字経営では審査に通らず手元の資金を増やせません。
しかし、ファクタリングなら、比較的簡単に資金調達しやすく、資金繰り改善を狙う事業者にもおすすめです。
そこで、ファクタリングとは簡単にどのような仕組みなのか、注意点や利用すべき状況など紹介していきます。
目次
ファクタリングとは
「ファクタリング」とは、事業者間の信用取引で発生する売掛債権を使った資金調達の方法です。
ファクタリングについて、以下の4つを簡単に説明します。
- 仕組み
- 手続の時間
- 発生する費用
- 必要書類
ファクタリングとは?仕組み・手数料の目安や注意点について簡単に解説
仕組み
ファクタリングは、売掛債権のうち「売掛金」をファクタリング会社へ売却し、買取代金として受け取ることができる金融サービスです。
通常、事業者間の取引では、商品やサービスを販売したときにその代金の受け渡しは行われません。
後日、請求書を発送し、1~2か月先の期日に指定口座へ入金してもらう掛け取引が一般的です。
しかし売掛金を回収するまでの間に、仕入代金や固定費、税金や借入金返済などの支払いが先行してしまえば、資金繰りは悪化します。
このような状況でも、ファクタリングを使えば期日前の売掛金を前倒しで受け取ることができ、資金ショートを回避できます。
手続の時間
ファクタリングで買取代金が入金されるまでの時間は、早ければ申し込みした当日とされています。
ただしすべてのファクタリング会社が最短即日で対応しているわけではありません。
対応している場合でも、必要書類などは事前に揃えておき、銀行が営業している時間帯に間に送金できるほどの余裕を持った申し込みが必要です。
翌営業日以降になるケースもあるため、急いでいる場合には即日対応が可能か、何の書類を揃えておくべきか前もって確認しておきましょう。
発生する費用
ファクタリングを利用したとき、ファクタリング会社に支払う売買手数料は審査によって決まります。
審査では以下の6つを総合的に判断します。
- 契約方式の種類
- 売掛債権の額面
- 支払までの日数
- 売掛先の信用力
- 利用者の信用力
- 債権譲渡登記の有無
ファクタリング会社によって判断基準なども異なるため、複数社に相見積もりを依頼すれば、売却予定の売掛金の相場を事前に知ることができます。
必要書類
ファクタリングを申し込むときの必要書類は、ファクタリング会社によって多少違いがありますが、一般的には以下の書類などが挙げられます。
- 決算書や確定申告
- 取引履歴が確認できる通帳
- 請求書(売掛債権の証明書類)
- 取引先との基本契約書
- 商業登記簿謄本(法人の場合)
上記以外の書類の提出を求められる場合もあるため、スムーズに提示できるようにある程度予想しながら準備しておくと安心です。
ファクタリングの種類
ファクタリングは、事業者向けの資金調達に利用されていますが、以下の2つの種類に分けることができます。
- 2社間のファクタリング
- 3社間のファクタリング
それぞれ簡単に説明します。
2社間のファクタリング
2社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社のみで契約を結ぶファクタリングです。
売掛先への通知や承諾を得る必要がない分、審査にかかる時間も少なく、最短即日で売掛金を現金化できます。
ただし売掛金の回収業務はファクタリング会社に代わって利用者が行います。
ファクタリング会社にとっては、回収した売掛金を別の支払いに流用されたり使い込まれたりといった不安もある取引となるため、売買手数料は3社間よりも高めに設定されます。
2社間ファクタリングとは?手数料・メリット・違法性について徹底解説
3社間のファクタリング
3社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社、そして売掛先で契約を結ぶファクタリングです。
売掛先には、利用者からファクタリング会社へと売掛金が譲渡される事実が通知され、承諾を得ることも必要となります。
説明などに時間がかかるため、2社間のように最短即日の現金化は難しいといえます。
しかし売掛金は、期日に売掛先からファクタリング会社に直接支払われるため、2社間で不安視される使い込みなどのリスクがない分、売買手数料は割安に設定されます。
ファクタリングのメリット
ファクタリングを資金調達の方法として活用することは、以下のメリットがあるからといえます。
- 最短即日で現金化できる(2社間)
- 赤字や債務超過でも利用できる
- 担保や保証人は必要ない
- 売掛先の倒産に備えることができる
- 信用情報に影響しない
- 売掛先に知られない(2社間)
それぞれ簡単に説明します。
ファクタリングの9つのメリット|利用すべきケースやデメリットも解説
最短即日で現金化できる
2社間ファクタリングであれば、最短即日に資金調達できることがメリットです。
利用者とファクタリング会社のみで契約が完結するため、申し込みを当日午前中に済ませ、提出書類に不備もなければ、最短で当日に買取代金が入金されるファクタリング会社もあります。
赤字や債務超過でも利用できる
ファクタリングなら、赤字決算や債務超過、税金の滞納があっても利用できることがメリットです。
ファクタリングの審査では売掛先の信用力を重視するため、利用者の決算書が赤字や債務超過の場合、税金を滞納している場合でも申し込みができます。
担保や保証人は必要ない
ファクタリングは、お金を借りる方法ではないため、担保や保証人は必要ないことがメリットです。
銀行融資を受けたくても担保として差し入れる資産を所有していないという場合でも、まだ回収していない売掛金があればファクタリングを利用できます。
売掛先の倒産に備えることができる
ファクタリングにより、売掛金をファクタリング会社に譲渡することで未回収リスクも回避されるため、売掛先の倒産に備えることができます。
売掛先が倒産すれば、売掛金は回収できなくなってしまいますが、先にファクタリング会社に譲渡していれば貸倒れに悩むことはなくなります。
信用情報に影響しない
ファクタリングは、お金を借りる方法ではないため、信用情報機関の管理する信用情報に影響しないことがメリットです。
銀行融資も検討している場合でも、ファクタリングの申し込みや利用が審査に影響を及ぼす心配はありません。
売掛先に知られない(2社間)
2社間ファクタリングなら、利用者とファクタリング会社のみで契約を結ぶため、売掛先に売掛金を現金化することを知られません。
売掛先にファクタリング利用を知られると、資金繰り悪化などを懸念され、その後の取引に影響を及ぼす恐れもあります。
しかし2社間ファクタリングでは、売掛先に知られず契約や取引ができるため、安心して利用できます。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングはメリットの多い資金調達の方法ではあるものの、以下の5つのデメリットには注意しておきましょう。
- 売買手数料が発生する
- 必ず利用できると限らない
- 調達額に制限がある
- 売掛先に知られる可能性もある(3社間)
- 業界の法整備が十分でない
それぞれ簡単に説明します。
売買手数料が発生する
ファクタリングのデメリットは、売買手数料が発生することです。
売買手数料の相場は、2社間と3社間によって以下のとおり異なります。
- 2社間ファクタリング 10~20%
- 3社間ファクタリング 1~9%
民間銀行から融資を受けた場合の金利は年利2〜9%程度で、政府系金融機関の場合は年利1〜3%です。
ファクタリングでは利子は発生しませんが、売買手数料が上記の割合で必要となるため、年利換算すると調達コストの負担が重くなります。
そのためファクタリングを利用するときには、いつからいつまで前倒しで現金化するか、事前に計画を立てておくことが大切です。
必ず利用できると限らない
ファクタリングのデメリットは、必ず利用できると限らないことです。
審査では売掛先の信用力が重視されるため、銀行融資よりも難易度は低いといえます。
しかし売掛先の業績が悪化している場合など、信用力に問題があれば利用できない恐れもあります。
調達額に制限がある
ファクタリングのデメリットは、調達できる金額に制限があることです。
売掛金を現金化する手法であるため、調達できるのは債権額面までとなります。
売掛先に知られる(3社間)
3社間ファクタリングでは、通知や承諾を得ることが必要になるため、売掛先に知られることがデメリットです。
また、2社間ファクタリングの場合でも、債権譲渡登記を行うケースにおいては登記情報として誰でも閲覧可能となるため、売掛先にファクタリング利用を知られてしまう恐れがあります。
業界の法整備が十分でない
ファクタリングのデメリットは、業界の法整備が十分ではなく、悪徳業者が存在することです。
表向きはファクタリングを装い、実際には金銭を貸し付けようとするヤミ金融業者も横行しやすい環境であることは否定できません。
信頼できるファクタリング会社か、見極めが大切です。
ファクタリングの注意点
ファクタリングを利用するときの注意点は、主に以下の4つです。
- 売買手数料の設定
- 買取可能な債権額の範囲
- 償還請求権の有無
- 契約書の控え
それぞれ簡単に説明します。
売買手数料の設定
ファクタリングを利用するときには、必ず売買手数料を確認しましょう。
先に述べたとおり、2社間と3社間のどちらかによって、相場は以下のとおり異なります。
- 2社間ファクタリング 10~20%
- 3社間ファクタリング 1~9%
相場の範囲と大きく異なる売買手数料を設定されたときには、悪徳業者である可能性が高いと疑うべきです。
買取可能な債権額の範囲
ファクタリングを利用するときは、買取可能な債権額の範囲を確認しましょう。
買取可能とする債権の額面に、下限や上限を設けているファクタリング会社がほとんどです。
少額債権のみ保有している場合、下限を下回る額面では買い取りを断られます。
償還請求権の有無
ファクタリングを利用するときは、償還請求権の有無を確認しましょう。
償還請求権とは、ファクタリング利用後に売掛先が倒産し、売掛金が回収できなくなったときの責任を追及できる権利です。
そのため償還請求権ありの契約を結ぶと、売掛先が倒産して売掛金回収不能となった場合、利用者がその責任を負うことになります。
契約書の控え
ファクタリングを利用するときは、契約書の控えを発行し、渡してくれるか確認しましょう。
契約書を作成していないと断られたり控えを渡してもらえなかったりという場合は、悪質な対応をする業者です。
万一トラブルが発生した場合、契約内容を確認できなくなってしまいます。
正規のファクタリング会社であれば契約書控えを渡さないことはありえないため、渡してもらえない場合は悪徳業者と判断し、契約を中断したほうがよいでしょう。
ファクタリングを利用すべき状況
ファクタリングのメリットとデメリット、利用における注意点を踏まえた上で、資金調達に活用するべきといえるのは以下の4つのケースです。
- すぐにお金が必要である
- 多額の資金は求めていない
- 融資審査に通らない
- 差し入れる担保がない
それぞれ簡単に説明します。
すぐにお金が必要
ファクタリングを利用するべきといえるのは、すぐにお金が必要なときです。
最短即日に入金されるスピーディさを活かして、すぐにお金が必要なときこそファクタリングを活用するとよいでしょう。
多額の資金は求めていない
ファクタリングを利用するべきといえるのは、お金は必要であるものの、多額の資金は求めていないときです。
銀行融資を受けるほどの金額は必要でないものの、お金は準備しなければならないという場合、ファクタリングなら少額債権を現金化してお金に換えることができます。
融資審査に通らない
ファクタリングを利用するべきといえるのは、銀行の融資審査に通らないときです。
銀行融資では、赤字経営や債務超過、税金滞納では審査に通りません。
業績や財務状況が悪化しているものの、資金を調達しなければならないときは、ファクタリングを申し込んでみるとよいでしょう。
差し入れる担保がない
ファクタリングを利用するべきといえるのは、担保として差し入れる資産を所有していないときです。
中小企業が銀行から融資を受けるとき、多くが不動産などを担保として差し入れることを求められます。
さらに経営者が連帯保証人になる人的保証も求められることが多く、万一会社が倒産すれば経営者個人も破産することになりかねません。
しかしファクタリングは借入れではないため、担保として差し入れる不動産を持っていなくても利用できます。
保証人も当然必要ないため、個人が責任を負わなければならないリスクや不安におびえることもありません。
まとめ
ファクタリングとは、簡単に説明すると売掛金を現金化する金融サービスです。
銀行融資や補助金などよりも、審査に通りやすく必要書類も簡素化されていて、手間も時間もかかりません。
中小企業の利用が増えている方法であるため、銀行融資の審査に通らず資金繰りに悩んでいるのであれば、ファクタリングを活用してみてはいかがでしょう。
PMGではファクタリングや、その他最適な資金調達の方法について相談を承っています。
初めてファクタリングを利用する場合など、不安なことがあるならまずはPMGにお気軽にご相談ください。