トラックリースバックとは、短期間で資金を調達できる仕組みであり、サービスです。
運送業などが資金繰りの厳しい状況の中で、資金を調達したくても銀行を頼れないという場面もあることでしょう。
このような場合、所有しているトラックをリースバックすることで、引き続き車両は使用しながら資金も調達できます。
そこで、トラックリースバックとはどのような仕組みなのか、メリットやデメリットについてわかりやすく解説していきます。
目次
トラックリースバックとは
「トラックリースバック」とは、すでに所有しているトラックをリース会社に売却し、その売却代金を調達できるサービスです。
一般的なトラック売却では、トラックと引き換えに売却代金を受け取ることができるものの、手元にトラックは残りません。
しかしトラックリースバックでは、トラック売却と同時にリース会社とリース契約を結ぶことで、手元にトラックを残すことができます。
トラックの所有者がリース会社に移るため、メンテナンスや車検などの車両管理に関する業務負担や、税金や自動車保険の支払いなど事務負担を削減できることはメリットです。
ただ、リース会社とのリース契約へ切り替わるため、毎月のリース料金が発生します。
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トラックリースバックの仕組み
トラックリースバックは、所有するトラックをリース会社に売却すると同時に、売却価格などを参考に算出されたリース料でリース契約を結ぶ仕組みです。
たとえば運送業が資金を調達しなければならない状況で、売ればお金になるトラックを手放してしまえば、仕事ができなくなってしまいます。
通常の資産売却と異なり、トラックリースバックでは売却したトラックのリース契約で使用し続ける仕組みです。
トラックリースバックの資金調達の流れは主に次の5つで進みます。
- 査定
- 面談
- 契約
- 支払い
- リーススタート
それぞれ説明します。
1.査定
トラックリースバックの流れとして、まずはリース会社担当者に連絡し、車両を査定してもらいましょう。
トラックの車種や状態など確認してもらい買取価格を提示してもらいますが、一般的に査定は無料で行われます。
2.面談
トラックの査定が終わった後は、リース会社の担当者が事前面談を行います。
3.契約
トラックの査定と担当者の面談終了後、提示された買取価格などの条件に納得できた場合、リース会社と契約を結びます。
なお、契約する上で所有者を変更する手続が必要となりますが、手数料は別途発生することが一般的です。
4.支払い
リース会社とトラックの売買契約を締結後、買取代金が支払われます。
5.リーススタート
トラックの所有権がリース会社に移行された後、リース契約締結のもとでリース車両としてトラックを使用できます。
トラックリースバックのメリット
トラックリースバックの仕組みは、資金調達と同時にトラックも継続使用できることですが、メリットとして次の5つが挙げられます。
- 資金を調達できる
- トラックを継続利用できる
- 損益に影響しない
- コストを平準化できる
- 管理負担が軽減される
それぞれのメリットについて説明します。
資金を調達できる
トラックリースバックのメリットとして、まとまった資金を調達できることが挙げられます。
資産として固定化していた車両を流動化させることで、オフバランス化も可能になるメリットもあります。
トラックを継続利用できる
トラックリースバックは、売却したトラックを継続利用できることがメリットです。
所有しているトラックを売ると、通常であればお金と引き換えにトラックも引き渡します。
しかしトラックリースバックでは、リース契約を結んでトラックを使用し続けることができるため、トラックを手放すことがありません。
損益に影響しない
トラックリースバックでリース会社がトラックを購入する際、車両価格は原則、帳簿価格での買い取りとなります。
そのため車両売却損が発生せず、会計上の損益に影響しないことはメリットといえます。
また、賃貸借取引としてリース料が費用計上されるため、オフバランス化と同時に財務状況改善にもつながるメリットがあります。
コストを平準化できる
トラックリースバックは、トラックの維持・管理にかかるコストを平準化できることがメリットです。
リース契約締結後は、税金や自動車保険料などを含めたリース料を毎月支払うことになります。
そのためトラックを使用する上でかかる費用をリース料に一本化し、平準化できることがメリットといえます。
管理負担が軽減される
トラックリースバックは、「車両管理」を軽減できることがメリットです。
毎月支払うリース料には、リース契約の内容によるものの、車検やメンテナンスにかかる費用も含まれます。
そのため車両管理の義務から解放されつつ、メンテナンスの行き届いたトラックを使うことができます。
トラックリースバックのデメリット
トラックリースバックを使えば、事業用のトラックを引き続き使用しつつも、必要な資金を調達できます。
しかし次の3つのデメリットには留意しておきましょう。
- リース料の支払いが必要
- 自由にカスタマイズできない
- 契約期間内の解除はできない
それぞれのデメリットについて説明します。
リース料の支払いが必要
トラックリースバックは、トラックを所有していれば支払う必要のないリース料が発生することはデメリットです。
リース料はトラックを貸してくれるリース会社に対して支払う費用であり、本体価格・自動車税・重量税・自賠責保険・任意保険・メンテナンス費用などを含みます。
トラックを使用する限りは毎月の固定費として発生し続けるため、収支が不安定な場合には負担が厳しくなる可能性もあります。
自由にカスタマイズできない
トラックリースバックでは、トラックの所有権がリース会社に移るため、自由にカスタマイズはできなくなります。
リース契約中のトラックのカスタマイズについては、リース会社から許可を得れば可能です。
契約期間内の解除はできない
トラックリースバックは、契約期間内に解除できないことがデメリットです。
中途解約する場合には、別途、解約金などが発生します。
トラックリースバックの種類
トラックリースバックは、トラックの点検・整備をサービスに含めるかにより、次の2つの種類に分けることができます。
- ファイナンスリース
- メンテナンスリース
それぞれ説明していきます。
ファイナンスリース
「ファイナンスリース」とは、毎月支払うリース料に、次の費用が含まれるリース契約です。
- 利用料
- 税金
- 保険
- 車両費用
など
最低限の料金を負担すればよいリース契約であるため、コストを抑えてトラックを使用できます。
メリット
ファイナンスリースのメリットは、毎月のリース料に点検・整備の費用が含まれていないことです。
メンテナンスリースよりも、コストを抑えたトラックの使用が可能となります。
デメリット
ファイナンスリースのデメリットは、トラックが故障したときや車検の際に、リース料以外の費用が発生することです。
メンテナンスリース
「メンテナンスリース」とは、毎月のリース料に以下の費用が含まれるリース契約です。
- 利用料
- 税金
- 保険
- 車両費用
- 車検
- 定期点検
- 整備費用
など
トラックが故障したときの修理については、リース契約の内容によって対応範囲が異なるものの、常に整備されたトラックを使用することができます。
車両管理等の負担が軽減される分、毎月負担するリース料は高額になります。
メリット
メンテナンスリースのメリットは、毎月のリース料に点検・整備の費用が含まれるため、故障や車検の際に追加費用が発生しないことです。
メンテナンスに関するコストを平準化できるため、資金計画も立てやすくなります。
また、車検や整備に関する車両管理業務の手間や負担を軽減できることや、常に整備されたトラックを安心して使用できることもメリットです。
デメリット
メンテナンスリースのデメリットは、毎月のリース料にトラックの点検・整備費用が含まれるため、ファイナンスリースよりも毎月のリース料が割高になることです。
トラックリースとレンタルの違い
トラックを購入せずに使用したい場合、リース以外ではレンタルが挙げられます。
リースとレンタルはどちらもトラックを借りて使用する方法ですが、どちらを選ぶべきか迷った場合には、次の5つの違いを比較した上で選びましょう。
- 車両の選択
- 契約期間
- 支払方法
- 所有者/使用者
- 中途解約の可否
それぞれ説明します。
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車両の選択
トラックのリースとレンタルは、まず車両を選択できるかの違いが挙げられます。
トラックレンタルでは、レンタル会社が所有しているトラックから使用する車両を選びます。
対するトラックリースは、すでに所有しているトラックをリース会社に売ってリース契約を結ぶため、リース契約を結ぶ車両を選ぶことができます。
契約期間
トラックのリースとレンタルは、トラックを借入れる契約期間に違いがあります。
まずトラックレンタルの場合、1日単位など短期での利用がメインです。
対するトラックリースでは、年単位など長期的な契約を結ぶことが一般的となっています。
一時的に特殊トラックを使用したい場面などではトラックレンタルを選んだほうがよいですが、同じトラックを長期で使用し続けたいならトラックリースがよいでしょう。
支払方法
トラックのリースとレンタルは、代金をいつ支払うのか、支払方法が異なります。
まずトラックレンタルでは、トラックを借りるたびにレンタル料を支払います。
対するトラックリースでは、毎月一定額のリース料を負担しなければなりません。
所有者/使用者
トラックのリースとレンタルは、所有者と使用者に違いがあります。
トラックレンタルの場合、車検証上の所有者・使用者はどちらもレンタル会社で一致しています。
対するトラックリースでは、車検証上の所有者はリース会社、使用者はリース契約した利用者になるため、所有者と使用者が異なります。
中途解約の可否
トラックのリースとレンタルは、トラック使用中の中途解約の可否が異なります。
まずトラックレンタルでは、契約期間満了を待たずに途中で解約できます。
しかしトラックリースは、契約内容によるものの、原則、契約期間中の中途解約はできません。
中途解約する場合には、解約金等が別途発生する可能性があるため、留意しておく必要があります。
トラックリースとローン契約の違い
リースやレンタルはトラックを借りて使用する方法ですが、ローン契約を結び購入すれば、トラックを所有した上での使用が可能です。
車種・車型・仕様など自由に選ぶことができ、使用中のカスタマイズや改造なども自由にできます。
ある程度のまとまった資金は必要となるものの、長期間トラックを使い続けたいときやニーズに合ったカスタマイズをしたいときなどはおすすめです。
借りてトラックを使用するべきか、ローン契約を結んだほうが良いのか迷ったときには、次の2つの違いを比較しつつ選ぶとよいでしょう。
- 支払方法・頭金の有無
- 所有者/使用者
それぞれ説明します。
支払方法・頭金の有無
トラックのリースと購入は、代金を支払うタイミングなど、支払方法が異なります。
購入する場合、一括払いやローン契約による分割払いなどで支払いますが、頭金など別途資金が必要です。
対するトラックリースは、毎月一定額のリース料を支払うため、頭金などは必要ありません。
所有者/使用者
トラックのリースと購入は、車検証上の所有者と使用者に違いがあります。
購入する場合、車検証上の所有者と使用者はどちらもトラックを購入した方です。
ただしトラックを分割購入し、所有権が留保されている場合には所有者がクレジット会社または販売会社となります。
対するトラックリースでは、車検証上の所有者はリース会社、使用者はリース契約を結んだ利用者です。
まとめ
トラックリースバックは、現在使用中のトラックを手元に残しつつ、資金も調達できる仕組みです。
得た資金は事業資金として使用しつつ、これまで通りトラックも使い続けることができます。
中小規模の企業では、所有するトラック台数もそれほど多くないため、トラック自体を手放すと仕事ができなくなってしまいます。
そのような場合でもトラックリースバックであれば、資金調達とトラックの継続使用が同時可能となり、手元の資金不足を解消できるため検討してみるとよいでしょう。