自社の経営状態がよくない経営者にとって一度に多額の支払いをしなければならない納税は頭の痛い問題です。やむを得ない事情で税金を滞納している場合、せめて分割払いにできないかと考えている人も多いのではないでしょうか。
今回は、国税や地方税を滞納した場合に延滞税がかかるのか、分割払いができるのかについて解説します。税金の支払いが難しいと考えている経営者の方は、ぜひご覧ください。
国の税金を滞納したときはどうなる?
国の税金を滞納したらどうなるのか不安を感じている人は多いでしょう。国の税金とは、所得税や法人税、消費税などがあります。それらの税金を滞納するとどうなるのか、対処法があるのかについてご紹介します。
国税を滞納すると延滞税がかかる
国税の納期限を過ぎた場合、延滞税がかかります。国税の滞納をした際の延滞税の割合は以下のとおりです。
期間 |
延滞税の割合 |
納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日まで |
年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合① |
納期限の翌日から2月を経過した日以降 |
年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合② |
延滞税特例基準割合については、期間によって異なっています。
期間 |
①の割合 |
②の割合 |
令和3年1月1日〜令和3年12月31日 |
年2.5% |
年8.8% |
令和4年1月1日〜令和4年12月31日 |
年2.4% |
年8.7% |
令和5年1月1日〜令和3年12月31日 |
年2.4% |
年8.7% |
出典:「延滞税の割合」(国税庁)
納期限から2ヵ月を過ぎると、延滞税は高くなるので注意が必要です。ただし、延滞税を計算して1,000円未満の場合は、納付する必要はありません。
国税は分割払いできる
基本的には、国税は期限までに一括払いしなければなりません。しかし、期限までの納税が難しい場合は、税務署に換価の猶予や納税の猶予を申請することで分割払いにできます。
換価の猶予とは、国税を納付すると、事業の継続または生活の維持が難しくなることが認められる制度のことです。
もうひとつの納税の猶予とは、1年以内の期間に限り一括での支払いを待ってもらえる制度のことです。
納税の猶予は、災害、病気、事業の廃業・休業などにより一括納付が難しくなった場合、修正申告などで多額の税金を支払わなければならなくなった場合に適用されます。加えて、猶予期間中は全体税の全部もしくは一部が免除される可能性があります。
ただし、換価の猶予と納税の猶予が認められた場合であっても、猶予期間中に納税額の分割払いをしなければなりません。
地方の税金は分割払い可能?
地方税には、住民税や事業税、固定資産税などがあります。ここからは、それらの地方税を滞納した場合にどうなるのか、分割払いが可能なのかについて解説します。
地方税を滞納すると延滞税がかかる
地方税を滞納すると、原則納期限の翌日から1ヵ月以内は年2.4%、1ヵ月を経過した日以降は年8.7%の延滞税がかかります。
ただし、現在は特例が適用されています。
期間 |
①の割合 |
②の割合 |
令和4年1月1日〜令和5年12月31日 |
年2.4% |
年8.7% |
令和3年1月1日〜令和3年12月31日 |
年2.5% |
年8.8% |
平成30年1月1日〜令和2年12月31日 |
年2.6% |
年8.9% |
平成29年1月1日〜平成29年12月31日 |
年2.7% |
年9.0% |
平成27年1月1日〜平成28年12月31日 |
年2.8% |
年9.1% |
平成26年1月1日〜平成26年12月31日 |
年2.9% |
年9.2% |
平成22年1月1日〜平成25年12月31日 |
年4.3% |
年14.6% |
延滞期間が長期化するほど、適用される延滞税率も高くなります。地方税の支払いが難しいからといって放置し続けないようにしましょう。
地方税の分割払いは可能?
地方税の一括納付が難しい場合は、分割払いを検討しましょう。ただし、分割払いができない税金もあるので注意が必要です。主な地方税の分割払いが可能かどうか詳しく解説します。
住民税の場合
住民税には普通徴収と特別徴収があります。
|
支払う方法 |
主な対象者 |
普通徴収 |
住民税を自分で支払う |
自営業者や無職 |
特別徴収 |
給料から天引きして支払う |
会社員やフリーター |
このうち普通徴収で支払っている人については、住民税の分割払いが可能です。普通徴収の場合、もともと住民税を年4回(6月、8月、10月、1月)に分けて支払います。
しかし、1回の支払い額が数万円以上の人も多いため、支払いが難しい場合は分割払いで支払うことができます。
分割払い
住民税を分割払いで支払いたい場合は、まず自治体の役所に行って相談しなければなりません。何回払いで支払いをするかは、自治体の担当者との交渉次第ですが、年12回を超える分割払いはできないので注意が必要です。
また、前年よりも所得が大幅に減少した人や災害による被害を受けた人については、住民税の減免や納税の猶予を受けられる可能性があります。支払いが難しい場合は、役所で相談してみてください。
自動車税の場合
自動車税の一括納付が難しい場合は、最寄りの県税事務所に行って相談すれば、分割払いができる可能性があります。
ただし、以下のような明確な理由がなければ、自動車税の分割払いを認めてもらうことができません。
・失業したため収入がない
・所得が大幅に下がった
・怪我や事故などで療養している
・出産および育児中である
軽自動車税については、支払う税金が1万円以下のため、分割払いをするのは難しいでしょう。なお、住民税、自動車税などの地方税を分割で支払っている間も延滞金は発生します。
税金を滞納し続けるとどうなる?
税金の支払いができないからといって、滞納し続けるのはやめましょう。なぜなら、税金を滞納し続けた場合、以下のような事態に陥るからです。
- 督促状が届く
- 財産が差し押さえられる
それぞれの状態について詳しくみていきましょう。
督促状が届く
税金の納期限から滞納し続けていた場合、国税は納期限から50日以内、地方税は納期限から20日以内に督促状が届きます。
督促状では、納税していない税金に加えて延滞税の支払いを求められます。督促状が届いたら、速やかに支払いをしなければなりません。
どうしても支払いができない場合は、この時点で相談すれば、まだ対処できる可能性があります。
財産が差し押さえられる
督促状を無視し続けた場合、財産の差押えをされる可能性があります。自治体によって差し押さえをするタイミングは異なりますが、督促状を発送した日から10日以内に税金の支払いをしなければ、いつ執行されてもおかしくありません。
税金を滞納した場合、税務署による調査が入ったうえで、差し押さえが執行されます。給料や預貯金はもちろん、不動産や生命保険なども差し押さえの対象となる場合があるので注意が必要です。
差し押さえをされた財産は競売手続きにより、未払い分の支払いに充てられます。税金が支払えないからといって滞納し続けるのは危険です。
税金の分割払いは専門家への相談が重要
税金の支払いができない場合、弁護士に相談をしても解決できません。なぜなら、税金は免責されない債権に該当するので、債務整理などができないからです。
税金の支払いができない時は、早めに税務署や市区町村に相談をしましょう。税務署に相談する場合は、減免制度や猶予制度などにより税金の負担を減らしたり支払いを待ってもらったりできる可能性があります。
市区町村の役所に相談した場合も、支払う意思があることを伝えれば、対処法を紹介してくれるでしょう。
現在の収支、いつまでに何回払いであれば支払いができるのか計画を立てたうえで相談した方が、こちらの主張が受け入れられる可能性があります。交渉を有利に進めるためにも、支払いが難しいと感じたら、早い段階で相談しましょう。
なお、税金を支払うための資金が用意できなくて悩んでいる人は、資金調達の方法についても考える必要があります。
PMGでは、融資をはじめ資金調達の方法についての相談を受け付けています。無料で相談できますので、資金調達でお困りのことがあれば、ぜひ一度PMGまでご相談ください。
まとめ
税金の支払いができなくて滞納し続けた場合、延滞税がかかるため、負担が重くなります。督促状が届いた後も放置し続けた場合、税務署による差し押さえが行われるので注意が必要です。
支払いが難しいと感じたら、早い段階で税務署や自治体の役所に相談をすべきです。相談の結果、納税の猶予や分割払いに応じてもらうことができるかもしれません。
税金を支払う資金を調達したいと考えているのであれば、専門家への相談をおすすめします。
PMGでは、資金調達の方法について無料相談を受け付けています。ぜひこの機会にご相談ください。