社債発行で資金調達するには?流れやメリット・デメリットを解説

企業が資金を調達するために、銀行からの融資や株式の募集などが真っ先に頭に浮かぶと思いますが、他にも社債を発行するという方法があります。

社債は企業が発行する債券で、投資家から資金を集めることができる手法ですが、金利の定めがあり償還も必要になることを理解しておくことが必要です。

さらに長期の資金を調達する方法としても活用できますので、その内容をしっかりと理解しておきましょう。

社債は発行できる会社と発行できない会社がある?

社債は、発行できる会社とできない会社があるのか、旧商法との関連や社債の種類について解説します。

旧商法では株式会社以外は社債発行ができなかった

株式会社以外の会社が社債を発行することは改正前の商法では認められていませんでした。しかし新会社法により株式会社以外の会社も社債による資金調達が可能になります。

旧商法では株式会社に限定されていた社債の発行が、会社法では「会社」に変更されたためです。会社法第2条第2項によると、会社とは、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社を表します。

参考:「会社法(平成十七年法律第八十六号)」(e-GOV)

社債の種類によっては発行できない会社もある

社債には公募債と私募債があります。

公募債は、発行する金額に制限がないものの、広く募集をかけることから発行できる会社は限られます。有価証券報告書の提出、社債管理者の設置、格付けの取得など、発行のための要件が多いためです。要件を満たすにはコストもかかることから、上場企業の募集に広く用いられます。

私募債には、プロ私募債、少数私募債のほか、銀行引受私募債があります。プロ私募債は証券会社のような適格機関投資家に限定して発行する社債で、多額の資金を必要とする大規模な会社向けのものです。

中小企業では、銀行引受私募債や少人数私募債がよく用いられます。少人数私募債は数百万からの資金調達が検討できる方法ですが、発行人数50名未満(適格機関投資家を含まない)、発行金額1億円未満などの制限があります。

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私募債発行の流れ

社債発行は、私募債であっても法にのっとって発行の手続を踏む必要があります。中小企業で広く用いられる私募債発行の流れは以下のとおりです。

  1. 社債の募集事項を決める
  2. 社債発行を決定する
  3. 募集の開始
  4. 社債の発行

1.社債の募集事項を決める

会社が社債の募集をするときには、募集社債について、会社法676条に掲げられた以下の事項を定めなければなりません。

  • 募集社債の総額
  • 各募集社債の金額
  • 募集社債の利率
  • 償却方法と期限
  • 利息支払いの方法と期限
  • 各募集社債の払込金額または最低金額、算定方法
  • 社債引き換えの金銭払い込みの期限
  • その他法務省令で定める事項

参考:「会社法(平成十七年法律第八十六号)」(e-GOV)

また、社債をスムーズに引き受けてもらうために社債の返済計画も立てておきます。

2.社債発行を決定する

取締役会設置会社では、取締役会で承認をして社債発行を決定します。設置会社でない場合は、取締役の多数決(株式会社以外は業務執行社員の多数決)、または株主総会での決議が必要です。

3.募集の開始

投資家に対して、法に則って募集要項などの募集社債の情報を開示します。少人数私募債は対象者を選定した募集です。選定した投資家に対して必要な情報を提供します。

4.社債の発行

募集社債の申込者が決定したら、社債の割り当てを行い、申込者に通知して、期日までに払い込んでもらいます。社債は返済が必要な債務です。社債後発行は、発行会社に、募集要項の期日に利息を支払い償還期限に社債を償還する義務が生じます。

社債発行で資金調達をするメリット

社債権者は株式ではありませんので経営に参加する権利はありません。社債を発行しても経営に干渉されない部分が企業にとってのメリットになるでしょう。

さらに社債は、調達した資金は使途が限定されていません。調達した資金を幅広く利用できるほか、募集事項に従って利息の支払いや償還が発生するため、資金計画を立てやすいのがメリットです。返済期間や利息も企業が個別に設定できます。

また、社債は負債となることから、調達コストは税務上の損金(会計上の費用に相当)に算入され、必要経費にできるメリットもあります。

社債発行で資金調達をするデメリット

社債を発行することで事務手続は増え、管理や作業の負担が発生します。利息の支払いにはコストもかかるほか、発行方法によっては発行手数料なども必要です。

また、社債は法に則った手続が必要なことから、発行までに時間がかかる可能性があります。

さらに、社債は株式とは違い借金ですので、債権者に弁済をしなくてはなりません。償還のための積み立ても必要になります。

社債のほかにも資金調達の方法はある

金融機関以外から資金を調達する際、社債の発行を検討することもあるでしょう。ただし社債は借入と同じだと認識しておく必要があります。

代表的な資金調達方法としては、社債以外にも銀行融資、株式会社なら新株発行も考えられます。しかし、いずれも資金調達に手続が必要であったり、調達までに時間がかかったりする場合があります。

資金調達をするなら、ファクタリングも方法の1つです。ファクタリングは、売掛金などの債権を買い取ってもらう方法で、取引先の信用力があれば早期に現金化できます。

PMGは、売掛債権早期資金化事業を軸にした金融支援サービスが特徴です。売掛債権の流動化から資金調達計画の立案まで、必要なときに必要な資金調達をサポートします。資金調達にお困りの際は、PMGへご相談ください。

まとめ

資金調達の方法は1つではありません。迷った時には専門家などに相談して自社に合う方法を見つけることも大切です。