2020年3月にスタートしたコロナ融資は、多くの事業者の資金繰りを支援した制度でした。
ただし、事業回復に至っていない中で返済が始まり、返済免除を希望する声も少なくありません。
倒産件数は十分に抑えられたものの、返済できないことを理由に今後倒産する会社が増えないとも限らない現状です。
そこで、コロナ融資は返済免除可能なのか、返済負担の軽減に活用できる保証制度を解説します。
中小企業経営者向け!

コロナ融資とは
「コロナ融資」とは、新型コロナウイルス感染拡大で売上減少に陥った事業者を支援するための融資制度でした。
通常、融資を受ければ金融機関に対し利子を払うことが必要ですが、コロナ融資では公的機関が3年間利子を負担します。
さらに返済できなくなったときには、信用保証協会が肩代わりする実質無利子・無担保の融資制度です。
利子も担保も「ゼロ」であったため、「ゼロゼロ融資」とも呼ばれていました。
コロナ融資の返済状況
コロナ禍が落ち着き経済回復が期待される中、コロナ融資を含む借金返済に悩む経営者は増えています。
経済の流れが大きく変化し、長引く行動制限などで事業継続に向けた新たな資金の借入れで資金調達した事業者は少なくありません。
その1つがコロナ融資であり、利用した事業者の多くは利子のみ支払えばよい期間である据置期間を設け融資を受けていました。
据置機関は最大5年で設定できたものの、すでに返済が開始されています。
コロナ融資の返済免除の可能性
売上激減を理由に資金繰り困難に陥ってしまった事業者にとって、コロナ融資はまさに救いの手になったといえます。
しかしコロナ前に資金繰りが悪化していた事業者は、コロナ融資を受けることで延命された状態であり、返済資金を捻出できず事業継続が危ぶまれています。
ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、生活に困窮した世帯に対し無利子・無保証でお金を貸した「特例貸し付け」は返済免除される場合があります。
特例貸し付けは、主に「緊急小口資金」と「総合支援資金」であり、返済免除の判定は資金の種類ごとに一括して行う仕組みです。
その他の世帯員の課税状況は問われず、借受人と世帯主が住民税非課税の場合は、返済免除の対象となります。
返済免除は申請が必要とされており、自動的に免除されるわけではないことに注意が必要です。
コロナ融資が返済できない場合の対処法
2020年3月から始まった日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、コロナ融資と呼ばれ多くの事業者の資金繰りを支援しました。
据置期間の設定で、当初は利子のみの返済だったため、コロナ融資の返済負担に苦しむことはありませんでした。
しかし2021年3月以降は据置期間も終了し、元金返済が始まった事業者も少なくありません。
返済がスタートしたものの、支払うことが難しい場合には免除してほしいと考えるものですが、実際には返済義務を免れることはできません。
予定通り返済できなければ、現状よりもさらに資金繰りは悪化し、コロナ融資で資金調達したことが無意味になる恐れもあります。
返済困難な場合の対処法として考えられるのは、以下の3つです。
- 据置期間を延長する
- 返済条件を見直す
- 廃業する
それぞれ説明します。
据置期間を延長する
コロナ融資が返済できない場合の対処法として、据置期間を延長することが挙げられます。
据置期間の間はコロナ融資の返済に苦しむことはなかったという場合、今後も利子分のみ支払う期間を延長すれば資金繰りは悪化しにくくなります。
そこで、元本と利子を合わせて返済することが難しいのであれば、日本政策金融公庫に据置期間を延長してもらえないか申し出や交渉が必要です。
実際、コロナ融資を利用した事業者が返済できない状況にある場合、経済産業省から日本政策金融公庫などに事業者の実情に応じた丁寧な対応と条件変更など柔軟な対応を要請しています。
さらに内閣総理大臣・関係大臣からも、政府系金融機関以外に民間金融機関などにも、同じ趣旨で中小企業・小規模事業者等の実情に応じた最大限柔軟な対応を要請しているため、交渉に応じてもらえる可能性は低くないでしょう。
返済条件を見直す
コロナ融資が返済できない場合の対処法として、返済条件を見直すことが挙げられます。
コロナ融資に関しては、経済産業省の「新型コロナ特例リスケジュール」制度の活用が挙げられるものの、中小企業再生支援協議会による以下の支援を受けることができます。
- 中小企業に代わり元金返済猶予を要請
- 資金繰り計画立案と債権者との交渉(新規融資を含めた金融機関との調整や債権者との合意形成など)
- 資金繰りに関する継続的なサポート
制度を活用した場合、弁護士などのサポートを受けながら資金繰り計画を立て、金融機関との調整しつつ支援を受けることができる制度です。
ただし公的機関「中小企業再生支援協議会」を通すことが必要となるため、必要書類作成・提出なども必要となるなど、手続は簡単ではないことは理解しておきましょう。
廃業する
コロナ融資が返済できない場合の対処法として、廃業することが挙げられます。
据置期間の延長やリスケジュールなどで問題解決に至らない場合、廃業という選択も方法の1つとして検討が必要です。
債務超過による法人廃業は裁判所を通して手続することになり、次の2つを選択することになります。
- 法人破産
- 特別清算
それぞれ説明します。
法人破産
法人破産とは、支払いができない状態(支払不能)に陥った企業や、資産をすべて売っても負債を返済できない債務超過の会社の財産を処分して債権者に配当することです。
会社の所有する財産はすべて換価し債権者に平等に配当され、法人格は消滅します。
個人が自己破産した場合、免責決定により借金返済は免除されますが、法人の破産では免責という概念はありません。
最終的に法人格が消滅することにより、借金も消えます。
法人破産するとコロナ融資の返済も含め、他の借金返済に追われることもなく、楽になれると考えがちです。
しかし経営者個人が法人の借金の保証債務を行っている場合においては、法人破産するべきか慎重な判断が求められます。
法人の借金返済義務は消滅しても、経営者個人が連帯保証人になっている借金は経営者に返済義務が移ることは理解しておきましょう。
特別清算
特別清算とは、債務超過に陥った会社を清算するための法的手続で、破産と同じく裁判所を通して会社法を根拠に行います。
会社法を根拠とするため、特別清算の対象となる法人は株式会社に限定されます。
破産手続より厳格な手続は求められないため、比較的、簡易的・迅速に手続できることはメリットです。
また、特別清算は債権者の同意が必要になります。
債権者の3分の2以上の同意を得て協定を結ぶことで行う協定型の特別清算と、債権者の3分の2以上の同意があり、かつ債権者との個別に和解する和解型の特別清算に分けられます。
特別清算の場合、手続自体は法人破産よりも簡易的であるのに、債権者の同意が必要になるため想定していたよりもハードルが高くなります。
まとめ
コロナ融資で資金調達した事業者の多くは、まだコロナ前ほど事業が回復していない状況で、どのように返済資金を捻出しようと悩んでいることも少なくありません。
もし返済免除を希望する場合でも、免除ではなく据置期間を延長してもらうなどの対処が必要です。
手元の資金が枯渇すれば、会社は倒産します。
資金ショートする前に、売掛金を現金化し最短即日資金調達に活用できるファクタリングなど、倒産させない資金調達方法をおすすめします。
中小企業経営者向け!

