【2023年】運送業向けの助成金・補助金16選|制度と支援内容

運送業が事業資金を調達する際、うまく活用したいのが助成金や補助金です。

助成金と補助金は、どちらも国や地方自治体の政策に沿った事業を行う事業者に対し支給される返還不要の資金であるため、運送業でも該当すれば受け取ることができます。

特に運送業はスモールビジネスであることが多いため、助成金や補助金はとても魅力的な資金調達のための制度といえるでしょう。

事業拡大や設備投資などで資金が必要な運送業が活用したいのが助成金や補助金ですが、実際に運送業向けともいえる制度はあるのか、それぞれの支援内容などについて解説していきます。

助成金とは

助成金とは、国の政策目標に沿った労働環境改善などに取り組む事業者に対して支給される返還不要の資金です。

国が助成金を制度として設けている目的は、主に事業者の労働環境改善や雇用対策による人材育成を支援するためであり、働き方改革推進などでより労働者が働きやすい環境を整えていくためといえるでしょう。

具体的には次のような助成内容となっています。

  • 雇用維持
  • 新規・中途雇用の促進
  • 人材育成
  • Uターン・Iターン・Jターン雇用の促進
  • 障害者雇用の定着支援
  • 就業規則の改善
  • 介護・育児休暇の取得推進

見てわかるとおり、国の助成金は主に雇用に関連する支援であるため、資金調達に活用できるのは従業員を雇用する雇用保険適用事業者です。

個人事業主でも従業員を雇用していれば活用できますが、家族は従業員として扱われないため、法人のほうが利用しやすい制度といえます。

助成金は主に労働環境改善や雇用対策が目的であることが多いため、主な管轄は厚生労働省であり、申請・支給も厚生労働省管轄の都道府県労働局が行います。

雇用に関連する助成金の財源は、事業者が負担する雇用保険の保険料と税金の一部です。

そのため助成対象となるのも事業運営に必要になる経費ではなく、人の雇用や能力開発で必要な次の経費であり、支給される金額も数十万円から100万円程度にとどまります。

  • 賃金・労務管理・人事評価
  • 就業規則・労働契約書作成・締結
  • 外部講師に対する謝金など教育訓練関連費用
  • 生産性向上に向けた機械設備費

ただ、厚生労働省の助成金は年間通して受け付けているため、申請のタイミングを逃すことがないのはメリットといえますが、予算の関係上、年度の途中で受付中止となるケースもあるため最新の情報を常に入手することをおすすめします。

補助金とは

補助金も、国の政策目標に沿った事業を運営する事業者に対し、支給される返還不要の資金です。

助成金同様に、個人事業主や法人どちらの場合でも利用できることや、スモールビジネス事業の資金調達に活用しやすい制度といえます。

ただ、助成金は主に雇用に関連する制度が多いのに対し、補助金は新規事業・起業促進・研究開発などの事業資金を支援してくれる違いがあります。

個人事業主(フリーランス含む)や中小企業の事業が活性化することを目的にしている制度も設けており、伝統産業の支援やロボット開発、経済産業分野での研究開発に地域振興などで必要な資金の一部を補助しています。

申請・支給に関わる管轄は、経済産業省やその管轄の独立行政法人や中小企業庁などですが、他の省庁や自治体、民間団体なども業界ごとに活用しやすい補助金を制度として設け支援しています。

経済産業省管轄の補助金の場合、財源は予算に基づいて投入された税金で、経済活性化に向けた新規事業や研究開発などを目的としているため、支給される金額も数百万円以上と助成金より多めです。

事業の規模や内容によるものの、中には数億円規模で資金が支給される制度もあります。

比較的国の助成金は支援対象となる諸経費の適用範囲が広めであり、事業を実施するためにかかった機械設備費用・広告宣伝費・外注費・人件費などの一部が補助されます。

ただし注意したいのが、助成金と違って通年応募できないことです。

補助金の公募期間は特定の時期に1週間から1か月など限定されており、タイミングを逃すと申請できません。

そのため活用できる制度の公募が開始される前に申請準備を進めておくことが必要であり、常に最新の情報を入手することが必要です。

さらに助成金は決められた要件を満たせば支給されるのに対し、補助金は申請しても採択されなければ支給されません。

厳しい審査を通過しなければならず、手間をかけて申請書類を作成し、準備したとしても採択されない可能性は十分にあるということです。

申請期限が設けれていても、予算を満たすと途中で受付中止になる場合もあるため、採択される内容の書類をスピーディに作成し申請することも求められます。

補助金の目的に合った申請内であることを理解してもらい、補助するべき事業だと判断してもらう必要があるため、申請書類を作成するときには補助金の使用目的をわかりやすく明確に伝えることを意識してください。

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運送業向けの補助金

助成金と補助金は、どちらも事業に必要な資金を調達する際に活用できる制度ですが、それぞれの業界が利用しやすい制度は異なります。

もちろん運送業向けといえる補助金も複数あり、うまく活用することで資金調達に日々頭を悩ませることはなくなるでしょう。

業界にこだわらずスモールビジネスが活用しやすい補助金制度2つと、運送業だからこそ活用できる3つの補助金、合計5つの制度は以下のとおりです。

  1. 事業再構築補助金
  2. IT導入補助金
  3. 脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金
  4. エイジフレンドリー補助金
  5. 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金

それぞれどのような制度か説明していきます。

事業再構築補助金

事業再構築補助金」は、ポストコロナ時代の経済社会が変化することへ対応するため、事業者が思い切った事業の再構築をすることへ対する支援を目的としています。

  • 新分野展開
  • 業態転換
  • 事業・業種転換
  • 事業再編など

そのため上記の取り組みを通じた事業規模の拡大や新事業開始など、思い切った事業の再構築に向けた意欲を持つ事業者を支援するために設けられました。

補助金は先にも述べたとおり、申請すれば資金を調達できるわけではなく、厳しい審査を経て採択されることが必要です。

運送業が事業再構築補助金で採択された事例として、たとえば次のような申請が挙げられます。

  • 運送事業から特殊技術を使ったガラス再生研磨事業へ展開
  • 運送業から流通加工業・倉庫業・半導体トレイ運送へ展開
  • 運送業による買い物疎過疎地域に対する化粧品・衣料品の移動販売開始

事業再構築補助金は予算総額が1兆円と規模が大きな制度であるため、採択される可能性は期待できます。

さらに支給金額の上限も1億円など、多額の資金を調達できることも魅力です。

事業再構築補助金には枠が複数設けられており、それぞれ補助される金額は次のように異なります。

成長枠(対象:成長分野に向けた大胆な事業再構築に取り組む事業者) ・中小企業 補助率2分の1 補助上限額2千万円~7千万円(従業員規模により上限額は異なる)
・中堅企業 補助率3分の1  補助上限額2千万円~7千万円(従業員規模により上限額は異なる)
グリーン成長枠(対象:グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者) ・中小企業(エントリー) 補助率2分の1 補助上限額4千万円~8千万円(従業員規模により上限額は異なる)
・中小企業(スタンダート) 補助率2分の1 補助上限額1億円
・中堅企業(エントリー) 補助率3分の1 補助上限額1億円
・中堅企業(スタンダート) 補助率3分の1 補助上限額1.5億円
卒業促進枠(対象:成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して中小企業等から中堅企業等に成長する事業者) ・中小企業 補助率2分の1 補助上限額は成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる
・中堅企業 補助率3分の1 補助上限額は成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる
大規模賃金引上促進枠(対象:成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して大規模な賃上げに取り組む事業者) ・中小企業 補助率2分の1 補助上限額3千万円
・中堅企業 補助率3分の1 補助上限額3千万円
産業構造転換枠(対象:国内市場の縮小等の産業構造の変化等により事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者) ・中小企業 補助率3分の2 補助上限額2千万円~7千万円(従業員規模により上限額は異なる)
・中堅企業 補助率2分の1 補助上限額2千万円~7千万円(従業員規模により上限額は異なる)
物価高騰対策・回復再生応援枠(対象:コロナや物価高等により依然として業況が厳しい事業者) ・中小企業 補助率3分の2 補助上限額1千万円~3千万円(従業員規模により上限額は異なる)
・中堅企業 補助率2分の1 補助上限額1千万円~3千万円(従業員規模により上限額は異なる)
最低賃金枠(対象:最低賃金の引上げの影響を受けその原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等) ・中小企業 補助率4分の3 補助上限額500万円~1.5千万円(従業員規模により上限額は異なる)
・中堅企業 補助率3分の2 補助上限額500万円~1.5千万円(従業員規模により上限額は異なる)
サプライチェーン強靭化枠(対象:海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化および地域産業活性化に取り組む事業者) ・中小企業 補助率2分の1 補助上限額5億円
・中堅企業 補助率3分の1 補助上限額5億円

IT導入補助金2023

中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に活用できる補助金が「IT導入補助金2023」です。

生産性向上に向けてITツールを導入する際にかかった経費の一部が補助されるため、自動化やデジタル化が進むことによる働き方改革促進や労働環境改善での生産性向上・賃金向上に活用できます。

運送業のIT導入補助金で採択された事例は以下のとおりです。

  • 船舶のリモート環境整備において船上オフィス効率化
  • 送迎バス管理業務DX化による管理スタッフ業務の改革
  • 売上集計処理短縮に向けた販売管理システム導入

どの業種でもITを導入することは欠かせないといえますが、実際のところデジタル化を進めたくても資金がない悩みを抱えていることもあるでしょう。

このような場合でも、IT導入補助金なら活用しやすいといえます。

IT導入補助金2023は以下の種類がありますが、2023年8月1日以降の内容は次のとおりです。

通常枠(A・B類型)(対象:業務のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入) ・A類型 補助率2分の1以内 補助額5万円~150万円未満
・B類型 補助率2分の1以内 補助額150万円~450万円以内
デジタル化基盤導入枠・複数社連携IT導入類型(対象:会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトに補助対象を特化し、複数の中小企業・小規模事業者が連携しITツールを導入し生産性向上を図る取り組みへ対応) ・ソフトウェア等 補助率4分の3以内 補助額下限なし~50万円以内
補助率3分の2以内 補助額50万円~350万円以内
・ハードウェア 補助率2分の1以内 補助額30万円以内
※ 複数社連携IT導入類型の場合には、補助対象が「基盤導入経費」に加えて「消費動向等分析経費」と「参画事業者の取りまとめに係る事務費・専門家費」までに拡大
セキュリティ対策推進枠(対象:サイバーインシデントを防止するセキュリティ対策強化支援) ・補助率 サービス利用料の2分の1以内 補助額5万円~100万円以内
商流一括インボイス対応類型(対象:インボイス制度に対応し受発注機能を有するITツール導入、取引関係における受注者である中小企業・小規模事業者等に対して当該ITツールを無償で利用させる場合) ・中小企業・小規模事業者等 補助率3分の2以内 補助額下限なし~350万円以内
・その他の事業者等 補助率2分の1以内 補助額下限なし~350万円以内

脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金

2050年カーボンニュートラルおよび2030年温室効果ガス削減目標(2013年度比47%減)を達成させるためにも、商用車を電動化することは欠かせないといえます。

そこで設けられた制度が「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金」であり、トラックやタクシーなど商用車両を電動化することに対する補助金を支給しています。

特に運送業では日々、日本全国を数えきれないほどのトラックを走らせています。

このトラックの電動化導入を加速させることによって、価格低減による産業競争力強化・経済成長・温室効果ガスの排出削減が実現されると考えられます。

  • 補助対象事業者 国で定める目標(目安)等に準じる非化石エネルギー自動車の導入計画を設定している貨物自動車運送事業者など
  • 補助対象車両 予め環境省の事前登録を受けたBEV(電気自動車)・PHEV(プラグインハイブリッド車)・FCV(燃料電池自動車)の新車トラック
  • 受付期間 令和5年4月3日~令和6年1月31日
  • 予算額 約126億円
  • 申請台数 制限なし(予算により抽選となる可能性あり)

予算規模が大きいことと、申請期限まで時間があることがメリットですが、予算により抽選になるとされているためその点は注意してください。

エイジフレンドリー補助金

高齢者を含む労働者が安心して働くことができるために設けられた制度が「エイジフレンドリー補助金」です。

運送業でも高年齢労働者を雇用していることはあるでしょうが、労働災害防止対策やコラボヘルスなど労働者の健康保持増進に向けた取り組みを行っている事業者であれば補助の対象となります。

具体的に対象となるのは、労災保険加入している中小事業者であり、労働者(高年齢労働者の労災防止対策コースは60歳以上の高年齢労働者)を常時1名以上雇用している事業者です。

エイジフレンドリー補助金」は以下の2つのコースがあり、それぞれ補助率と上限額が異なります。

高年齢労働者の労働災害防止コース(対象:高年齢労働者が安全に働けるように高年齢労働者にとって危険な場所や負担の大きい作業を解消する取り組みに対する補助) ・補助率2分の1 上限額100万円
コラボヘルスコース(コラボヘルスなどの労働者の健康保持増進のための取り組みに対する補助) ・補助率4分の3 上限額30万円

なお、「エイジフレンドリー補助金」の受付期間は令和5年6月12日(月)から令和5年10月末日までとなっているため、期限に注意してください。

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金

「一般財団法人環境優良車普及機構(LEVO)」では、環境省の令和5年度「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業)」を活用し、中小運送業者の燃費性能の高い低炭素型ディーゼルトラック導入を支援・促進する事業を実施しています。

補助の対象となるのは、次のいずれかの事業者です。

トラック運送事業者(資本金3億円または従業員数300人以下の中小運送事業者)
上記の運送事業者に車両をリースする事業者

補助の対象となる車両は、

  • 車両総重量3.5t超の事業用車両(緑ナンバー)
  • 新車で令和5年4月3日から令和6年1月31日までに新車新規登録された車両
  • 平成27年度重量車燃費基準を大型車は+5%以上、中型車及び小型車は+10%以上達成した車両

とされ、1事業者4台まで申請できます。

補助額は燃料基準や廃車有無によって異なり、たとえば12トン超の大型トラックの場合、2015年度燃料基準がプラス10%以上で基準額は廃車有75万円・廃車なしで50万円となっています。

運送業向けの助成金

 

助成金は主に人材の雇用・育成や定年の延長・廃止、介護・育児休暇制度を充実することへ取り組む事業者に対し支給される制度です。

通年申請できることが多く、業種や従業員数など要件を満たせばほぼ支給されるため、難易度は比較的低いといえるでしょう。

ハローワークなどを通して業種を問わず申請しやすい助成金を活用するとよいですが、運送業が注目したいのは「トラック協会」が会員企業に対し行う助成金制度です。

運送業は労働者を雇用機会が多いため、目的に合わせた助成金を上手に活用したいと考えられますが、運送会社や運送事業で構成されている団体のトラック協会による助成制度はより活用しやすいといえます。

全日本トラック協会に加入している運送業が活用できる助成制度は以下のとおりです。

  1. 安全装置等導入促進助成事業
  2. ドライバー等安全教育訓練促進助成制度
  3. トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」スクリーニング検査助成事業
  4. 血圧計導入促進助成事業
  5. 環境対応車導入促進助成事業
  6. アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業
  7. 若年ドライバー確保のための運転免許取得支援助成事業
  8. 中小企業大学校講座受講促進助成制度
  9. 自家用燃料供給施設整備支援助成事業
  10. 自動点呼機器導入促進助成事業
  11. 「働きやすい職場認証制度」認証取得費助成事業

それぞれどのような制度か簡単に説明していきます。

安全装置等導入促進助成事業

安全装置等導入促進助成事業」では、事業用トラックの交通事故をゼロにすることを目指すため、安全運行に役立つ以下の装置導入の普及を図る支援を行っています。

  • 後方視野確認を支援するバックアイカメラ
  • 側方視野確認を支援するサイドビューカメラ
  • 飲酒運転を防止するアルコールインターロック装置
  • IT機器を活用した遠隔地での点呼に使用する携帯型アルコール検知器
  • 車輪脱落事故の防止を図るトルク・レンチ

対象となる装置ごとに、機器取得価格の2分の1までが補助対象となりますが、上限2~4万円です。

ドライバー等安全教育訓練促進助成制度

「ドライバー等安全教育訓練促進助成制度」では、全日本トラック協会指定の研修施設に、⾃社のトラックドライバーまたは安全運転管理者等を派遣して所定の研修を受講させたときの費⽤の全部または⼀部を助成しています。

助成金額は一般研修が1泊2日で1万円、特別研修は2泊3日で受講料の7割助成(Gマーク認定事業所の場合は全額助成)されます。

トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」スクリーニング検査助成事業

トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」スクリーニング検査助成事業では、トラックドライバーの睡眠の質を確認するためのスクリーニング検査に対し助成しています。

過労や寝不足による居眠り運転で交通事故が起きることを防ぎ、安全性向上と健康を促進するための事業といえます。

助成対象となる検査は、指定検査・医療機関が実施しているSASスクリーニング検査のうち健康保険が適用されない第1次検査と第2次検査であり、助成される金額は以下のとおりです。

  • 第1次検査費用の半額(上限1人あたり500円)
  • 第2次検査費用の半額(上限1人あがり2千円)
  • 第1次検査及び第2次検査を同時に実施している場合は合計費用の半額(上限1人あたり2千500円)

血圧計導入促進助成事業

血圧計導入促進助成事業」は、ドライバーの過労死や健康起因事故につながる脳・心臓疾患発症を起こす高血圧を予防するための事業です。

高血圧予防には血圧測定が重要であるため、血圧計を普及させ乗務前点呼で活用されるように、機能の高い血圧計導入に向けた助成をしています。

助成の対象となる機器は、管理医療機器かつ特定保守管理医療機器である業務用の全自動血圧計で、機器取得費用の2分の1(上限5万円)が支給されます。

環境対応車導入促進助成事業

環境対応車導入促進助成事業」では、温室効果ガスの排出削減と地球環境保全を図ることを目的とした事業で、環境対応車を導入する際の必要経費の一部が助成されます。

対象となるのは、車両総重量2.5トン超の要件を満たす車両で、令和5年4月3日から令和6年3月8日の間に新車新規登録を完了する車両です。

たとえば天然ガス自動車(新車)で、車両総重量12トン超のトラックであれば100万円が助成されます。

アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業

アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業」では、アイドリングストップ励行を支援するために、アイドリングストップ支援機器を取得する費用の一部を助成しています。

対象となる機器は、トラックドライバーが休憩や荷待ちの際にエンジンを停止するとき、相当時間連続して使用できる次の車載用冷暖房機器です。

  • エアヒータ
  • 車載バッテリー式冷房装置

助成額は機器取得価格の2分の1以内(上限6万円)となっています。

若年ドライバー確保のための運転免許取得支援助成事業

若年ドライバー確保のための運転免許取得支援助成事業」では、若年労働者を新しくドライバーとして採用したときの特例教習受講および準中型免許取得に対する支援を行っています。

助成の対象となるのは、事業者が負担した以下の教習または準中型免許取得のための指定教習所等でかかる費用です。

特例教習の講習
準中型免許のうち、準中型免許の新規取得(普通免許取得後の取得含む)または5トン限定準中型免許の限定解除

なお、助成の条件や助成額、申請方法などの詳細は所属している都道府県トラック協会にお問い合わせてください。

中小企業大学校講座受講促進助成制度

中小企業大学校講座受講促進助成制度」では、運送事業者の経営基盤向上を図ることを支援しています。

経営者や管理者が「中小企業大学校」各校で実施される経営戦略などの講座を受講した際に助成金が支給されますが、中小企業大学校とは独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する人材養成機関です。

全国に9校設置されており、中小企業を養成する高度で実践的な研修などが行われています。

事業の予算は580万円とされており、対象となるのは資本金3億円以下または従業員300人以下の中小企業経営者と後継者、管理者の方です。

自家用燃料供給施設整備支援助成事業

燃料費対策の一環として実施されているのが「自家用燃料供給施設整備支援助成事業」です。

指定数量(千リットル以上)の軽油専用タンク設置を伴う自家用燃料供給施設の新設・増設・増設を伴う代替を行い、令和5年4月1日から令和6年2月29日までに市町村または地区消防組合などの消防により、危険物取扱所の「完成検査済証の交付」を受けて設備の支払いを完了するものが対象となります。

助成される金額は、軽油タンク新設(設置1か所分のみ)100万円、軽油タンク増設または増設を伴う代替は30万円です。

自動点呼機器導入促進助成事業

自動点呼機器導入促進助成事業」では、中小の運送事業者における輸送の安全確保で欠かせない運行管理において、安全性向上・労働環境改善・人手不足解消に向けた自動点呼機器導入の費用の一部を助成しています。

助成される金額は、対象となる自動点呼機器の導入費用です。

周辺機器やセットアップ費用、契約期間中のサービス利用料などを含み、上限は10万円とされています。

なお、当該年度内の申請台数はそれぞれの協会1事業者あたり1台分が上限とされていますが、所属する協会域内で安全性優良事業所(Gマーク事業所)を有している事業者であれば2台分(上限20万円)まで可能です。

「働きやすい職場認証制度」認証取得費助成事業

「働きやすい職場認証制度」認証取得費助成事業は、ドライバー不足に対応するための支援を行っています。

国が創設している「働きやすい職場認証制度(運転者職場環境良好度認証制度)」の認証を新規また継続で申請したときの費用の一部が助成されますが、助成対象となるのは事業者の負担した以下の費用の一部です。

  • 新規認証取得(上位認証取得を含む)にかかる審査料・登録料
  • 同位認証継続にかかる審査料・登録料

なお、前年度(令和4年度)認証取得分も助成の対象であり、助成額は新規認証取得が上限3万円、同位認証継続は上限2万円となっています。

まとめ

助成金と補助金は、どちらも政策などに沿った取り組みを支援する制度です。

対象となる事業であることはもちろんのこと、期間内に申請することが必要になります。

注意しておきたいことは、助成金と補助金のどちらも事業を実施した期間内に実際に支払った諸経費であることです。

銀行から融資を受けるときのように、余分に資金調達できる制度ではなく、さらに補助金では実施した期間から1日でもずれて発生した諸経費は対象になりません。

設備投資したくても、実際に着手できるのは助成金や補助金を申請してから採択・交付決定を受けて、事業の実施期間が決まってからです。

そして助成金と補助金はどちらも申請してから手元に支給されるまで時間がかかり、実際に事業を実施してからの精算払いとなっています。

運送事業者は資金繰りなどに悩むことが多いといえますが、助成金や補助金を運転資金に充てたくても、経費として使用した費用が後払いで支払われる制度であることを留意しておく必要があります。

後日、実際に支払った費用の一部が支給されることになるため、助成金や補助金の資金調達においては支給されるまでのつなぎ資金を準備することも忘れないようにしてください。