ゼロゼロ融資とは?利用企業の今後の注意点や返済のポイント

ゼロゼロ融資は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い大きな打撃を受けた中小企業向けに、政府が利子補給などを行うことで無利子・無担保で融資を行う制度でした。

コロナ禍で苦境に立たされた多くの企業を救済してきましたが、経済の正常化を受けて2022年9月に制度は終了済みです。足元は、ゼロゼロ融資を受けた企業の返済対応が課題となっています。

この記事ではゼロゼロ融資の基本的な特徴と足元の状況、うまく返済を進めるための有効な対策について紹介します。ゼロゼロ融資を利用してきたという企業の経営者や財務担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

ゼロゼロ融資とは?


ゼロゼロ融資とは、新型コロナウイルス感染症の影響によって経営が困難になった中小企業・小規模事業者を支援する目的で、金利0%かつ無担保で借り入れができる融資制度のことです。具体的には政府の利子補給などを行うことで実質無担保・無利子を達成してきました。

危機的状況に陥った多くの企業を救済する役割を果たしてきましたが、2022年9月に、経済の正常化が進んだことを背景に借入制度は終了しています。

ゼロゼロ融資ができた背景

新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限や工場などの稼働停止などを背景に、多くの企業が厳しい状況に置かれました。具体的には顧客の減少や仕入れ値の高騰、品不足などを通じて、企業にとって大きな打撃となったのです。

特に、もともと大企業と比べて経営基盤が弱い傾向にある中小企業の中は多くの企業が倒産や、それに近い状態に陥ることに。政府は新型コロナによる打撃を軽減する目的で、中小企業・小規模事業者への融資支援策として「ゼロゼロ融資」をしました。

同制度のもとでは、金利・手数料が無料で借り入れができるため、困難な状況の企業の資金繰りを改善し、倒産を防ぐ効果を果たしました。

ゼロゼロ融資の仕組み

ゼロゼロ融資の直接の資金の出し手は複数あったため、制度により若干条件は違いますが、全体としての制度は以下の通りです。

  • 限度額は個人事業主など小規模事業者で6,000万円、中小企業は3億円
  • 公的機関が融資から3年間利子を負担するため、実質的には無利子
  • 借入に担保は不要
  • 元本の80%もしくは全額を信用保証協会が保証

当面の期間無利子となるため、資金に余裕のない企業でも返済がしやすく、また信用保証協会の保証がつくため安心して借入ができる制度でした。ただし、制度は2020年から始まっているため、開始直後に制度を利用した企業は、2023年中から利子負担が発生することになります。

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ゼロゼロ融資の種類


ゼロゼロ融資は日本政策金融公庫や民間の金融機関を通じて、複数の制度によって運営されていました。

利子補給の時期が終わった後は返済期間や負担する利率が制度や金融機関により異なります。ゼロゼロ融資を利用している企業においては、利子負担が発生する前に、借入条件を再確認しておきましょう。

新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫版)

日本政策金融公庫がおこなっていた融資制度で、主にコロナ禍で売上が減少した企業に対して、設備投資や運転資金を融資する制度でした。返済期間は最長20年で、限度額は8,000万円です。据置期間が5年あるため、利子補給が終了する3年間を経過した後も、5年が経過するまでは利子のみを負担すれば良い形となります。

新型コロナウイルス感染症対応資金

主に各自治体が提供していた制度で、実務的には銀行など民間金融機関で申し込むことで利用できるものでした。運転資金や設備資金が対象で、実質的に無利子・無担保となるほか、最大5年間の元本の据置期間が設定されています。

新型コロナウイルス感染症特別貸付(商工組合中央金庫版)

商工組合中央金庫(通称「商工中金」)が提供していた制度です。こちらも売上が直近1か月で前年もしくは前々年同月比15%以上(小規模事業者の場合)減少した企業が対象でした。

実質無利子となるのは1億円まででしたが、融資全体の上限は3億円で、また他の金融機関の借入も累計した残高で20億円という条件もありました。1億円を超える部分も0.9%の独自の利子補給制度がありました。最長の貸出期間は設備投資目的が20年(据置期間5年)、運転資金が15年(据置期間5年)です。

セーフティネット貸付

セーフティネット貸付は日本政策金融公庫が提供している制度で、コロナ以外の経営状況の悪化にも対応しているものですが、ゼロゼロ融資の制度が終了までは、コロナによる経営環境の悪化に対しては利子補給がおこなわれていました。限度額は中小企業向けの場合で7.2億円ですが、利子補給は中小企業の場合で3億円の部分までです。

返済期間が設備投資で15年以内(据置期間3年以内)、運転資金で8年以内(据置期間は同じ)でした。

ゼロゼロ融資の現状と注意点


新型コロナウイルス感染症の影響で不振に陥っていた多くの中小企業を救済したゼロゼロ融資ですが、制度自体は2022年9月で終了しましたので、2023年現在では同制度のもと無利子・無担保で借り入れることはできません。また、融資から3年が経過したものから、利子負担が発生し始めるため、予め資金計画を建てておく必要があります。

ゼロゼロ融資は2022年9月で終了

ゼロゼロ融資は、2022年9月30日までの申込分までが対象です。つまり、今後新たに融資を受けることはできません。また、制度の終了タイミングとは別に、融資から3年後には利子負担が発生することに。利払いが始まる時期は融資をおこなった時期により異なるため、利子補給がおこなわれる期間をそれぞれ把握しておかなければなりません。

今後はゼロゼロ融資を返済して行くことに

ゼロゼロ融資は長期間借り入れられるものも多く、中には10年単位の返済期間となる契約も。20年程度の融資契約を結んだ場合には、繰り上げ返済などをしない限りは2040年代まで返済が続きます。

2023年~2025年ごろ(融資開始時期による)から、まず利払いが始まるため、返済計画を立てて、資金を準備しておかなければいけません。

ゼロゼロ融資の返済状況

2022年8月時点の帝国データバンクの調査によると、新型コロナ関連融資を現在借りている企業のうち、約7割が返済を開始しています。

ただし、返済を始めたばかりの企業が多く、融資の返済状況は「5割以上返済」が13.3%にとどまり、「3割未満返済」が42.3%を占めています。また、未返済・今後返済開始が32.6%に達し、今後返済がさらに本格化してくる様子がうかがえます。

返済見通しでは、85.5%が「条件通り全額返済できる」と考えていますが、12.2%は「返済に不安を感じている」と回答。今後返済が本格化する中で、ゼロゼロ融資の返済が財務の悪化要因となる企業が出てくる可能性も懸念されます。

2023年後半から返済が本格化

中小企業庁の見通しでは2023年7月〜2024年4月にかけて、返済開始が集中する見込みです。(参照:日本経済新聞「中小企業、ポストコロナの出口戦略 企業信用調査マンの目」)一方で、旅行業やホテル業、飲食業などの複数の分野では、まだまだ回復は途上で、業績が伸び悩んでいる借り手も少なくありません。本業から得られる収入でスムーズに返済していけるのであれば問題ありませんが、返済開始が厳しいという場合には何らかの対策が必要になります。

ゼロゼロ融資の返済を進める上でのポイント


新型コロナウイルス感染症の影響を受け、多くの企業がゼロゼロ融資を活用しています。利子補給の期間や据置期間が終了したあとは、各社が利払いや元本返済に対応していかなければなりません。ここからは、ゼロゼロ融資の返済をスムーズに進める上でのポイントを紹介します。

返済計画を立てる

返済をスムーズに進める上では、まず第一に返済計画を立てましょう。返済金額や返済期間を明確にしたうえで、現在の財務状況を把握し返済計画を立ててください。

無理のない返済スケジュールを作成できる場合は、ひとまずは問題ありません。資金に余裕があるなら、事業投資や設備投資を通じてビジネス基盤を強固にして、確実に計画通り売上が上がるよう環境を整えるのも一案です。

もし正常なサイクルでの返済が難しい時には、この後紹介する資金繰り・財務の改善や金融機関との交渉、借り換え方法の模索などをおこなう必要があります。

資金繰り・財務状況の改善

資金繰りを改善すれば、ゼロゼロ融資の返済をスムーズに進められるようになるでしょう。

売上増加やコスト削減に伴う利益率の改善、資産売却や債務返済を通じた現金比率や自己資本比率の改善などが考えられます。必要に応じて休眠状態の資産売却等によりバランスシートを縮小させるのも有効な手だてです。期限や借入条件を踏まえて、返済する債務に優先順位を付けながら、計画的に対応していきましょう。

返済条件を交渉する

自社だけでは対処のしようがない場合には、金融機関に返済条件の交渉を行いましょう。自社の財務状況や業績などを正確に把握したうえで、金融機関に対して説明し、返済計画の変更や金利の引き下げなどを交渉してみてください。

金融機関にとっては最終的に利払い+元本返済が滞りなく終了するかが大切なので、今後の業績改善や財務改善の計画を正確に説明し「今は無理でも一定期間経過後はしっかり返済できる」ことを示しましょう。また、自社の中では返済を進めるためにできる限りの対処はしたことをアピールすることも大切です。

返済条件の交渉においては、コンサルタントなどの専門家に相談することも有効です。財務アドバイザーなどの専門家は、財務状況や業績を分析し、金融機関との交渉に臨むことができます。

借り換えを検討する

ゼロゼロ融資の返済において、借り換えは重要な選択肢の1つです。借り換えとは、現在の借入金を別の金融機関からの融資で返済し、新たな借入金で資金調達することです。

注意しなければならないのは、ゼロゼロ融資の新たな利用はもうできないため、借り換えしたときには一定程度の利息が発生します。もともとの融資の利息がゼロだった時から比べれば利払いコストは増大するため、不用意な借り入れはかえって企業経営を圧迫しかねません。さらに、借り換えのために付帯的な事務手数料などが負担となる場合もあります。 

また、借り換えでは信用情報に関する審査を受けて、通過しなければなりません。すでにゼロゼロ融資による既存債務がある状態なので、そもそも返済が危ぶまれるほど経営状態が厳しい企業の場合は、審査落ちするリスクにも留意が必要です。

ゼロゼロ融資の借り換えに有効な制度


ゼロゼロ融資の返済が始まるにあたり、早めに対策を立てる必要があります。通常の金融機関からの借り換えでの対応が難しい場合には、補助金や助成金を活用、および中小企業庁が各都道府県と連携して提供する、伴走型資金支援の借り換え保証制度の活用を検討しましょう。

補助金や助成金の活用

ゼロゼロ融資以外の補助金・助成金の活用を考えてみるのも有効な選択肢の一つです。コロナ禍にかかわらず、中小企業に支援をおこなう補助金・助成金は多数あります。

経営上状況の悪化とは直接関係のない事項が支給要件となっているものでも、自社の事業状況や規模、これから想定している事業投資などを踏まえて、利用できる制度があるケースも少なくないため、適用できる補助金・助成金を調べてみましょう。経済産業省が設けている「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」で給付金や補助金、資金繰りの相談をするのも有効です。

コロナ借換保証制度の利用

中小企業庁は、2023年1月10日からゼロゼロ融資の借り換え保証制度を開始しています。同制度を活用すれば、借り換え時に信用保証協会から保証を受ける際の保証料を大幅に減免できます。

保証限度額は1億円で、保証期間が最長10年、元本返済の猶予期間は最大5年となっています。売上高もしくは利益率の減少、経営行動計画書の作成・提出など、利用するにはいくつか条件がありますが、適用できれば資金繰りの改善が見込めます。

ゼロゼロ融資の返済対策にファクタリングもおすすめ


新型コロナウイルスの影響により、多くの企業が融資を受けています。しかし、返済計画通りに返済できない場合、追加融資を受けたり、融資を借り換えたりすることができません。このような状況にある場合、ファクタリングは返済対策のひとつとして有効です。

ファクタリングとは?

ファクタリングは、企業が持つ売掛金(未回収債権)をファクタリング会社に譲渡し、現金化することです。売掛債権と引き換えに迅速に現金を受け取り、返済に充てることができます。売掛債権の譲渡なので、新たに調達した資金の返済は不要なため、借金を増やすことはありません。また、信用力の高い債権を保有していれば、自社の財務状況や経営状況が思わしくなくとも資金調達ができる可能性が高いのも特徴です。

ただし、ファクタリングには手数料が発生するため、資金調達にかかるコストをふまえて検討する必要があります。また、ファクタリングの形態によってはファクタリング利用の事実が取引先に伝わる場合も。その場合、経営状況が思わしくないことが取引先に伝わり、取引関係に影響が出るリスクも。こうしたコストやリスクも踏まえたうえで、ファクタリング利用の是非やファクタリングのスキームを検討しましょう。

ゼロゼロ融資の返済資金をファクタリングでおこなうメリット

ゼロゼロ融資をファクタリングを活用して返済するメリットは多くあります。まず、迅速な現金化が可能です。売掛金をファクタリング会社に譲渡することで、現金を短期間で手に入れることができ、キャッシュフローの改善につながります。これによって、返済期日までに現金を調達する必要がなくなり、企業の経営計画を立てやすくなります。

また、ファクタリングは借入金と異なり、負債として企業のバランスシートには計上されません。ファクタリングで調達した現金で負債を返済すれば、バランスシートの圧縮や財務改善につながります。

さらに、償還請求権なしのファクタリングを利用すれば、売掛債権の資金回収リスクをファクタリング会社に移転できます。債権の不渡りに伴い一段と資金繰りが悪化するリスクを回避できるのです。

ゼロゼロ融資対応にファクタリングを活用するならPMGがおすすめ


ゼロゼロ融資返済のための資金調達ならPMGのファクタリングがおすすめです。PGMは法人中心にサービスを提供しているファクタリング会社であるため、事業状況などを踏まえて、スムーズな資金調達が可能です。

売掛債権が手元にあれば、自社の経営環境が思わしくなくとも資金調達を行なってゼロゼロ融資の返済を進められるでしょう。同社は2社間・3社間双方を合わせて年間で6000件ほどの契約を行なっているなど経験も豊富で、安心して相談できます。

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