コロナ融資の借り換えとは?メリットについて紹介!

新型コロナウイルスの影響により、経営が悪化してコロナ融資を利用した方は多いでしょう。そのなかには、経営状況が回復せず、返済に困っている方もいるのではないでしょうか。

コロナ融資の返済に悩んでいる方におすすめなのが、コロナ融資の借り換えです。今回はコロナ融資の借り換えとは何か、メリットとあわせて解説します。

コロナ融資とは

「コロナ融資」とは、新型コロナウイルスが流行した影響により、資金繰りが厳しくなった事業者を支援するための事業資金貸付制度です。

特徴として、利子補給により3年間は「実質無利子」で借入れが可能であり、保証も信用保証協会が行うため無担保で融資を受けることができます。

売上激減などで苦しい状況に追い込まれた事業者が多く利用した融資制度であり、返済までの据置期間も「最長5年」で設定できるなど、資金繰りを乗り越えるきっかけになったケースも少なくありません。

しかし据置期間終了までの間に業績を回復させたくても、長引くコロナ禍で多くの事業者が完全回復に至っていないといえます。

コロナ融資により資金繰り悪化は乗り越えられたとしても、猶予期間終了後に返済できず窮地に追い込まれるケースが増えることが懸念されています。

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コロナ融資の返済開始時期

実質無利子・無担保で借入れができるコロナ融資ですが、すでに約7割の事業者が返済開始に至っているようです。

そして2023年7月から2024年4月にかけて、残りの事業者の据置期間も終了し、「元金返済」が始まるとされています。

コロナ禍が長引いたことだけでなく、ロシアのウクライナ侵攻や原油・物価の高騰に円安など、様々なことが影響し十分に業績が回復していない事業者は少なくありません。

その状況でコロナ融資の返済が始まることに、不安を感じている事業者も多いといえますが、もし返済が厳しいのであれば「同額借り換え」で据置期間(返済猶予期間)を延ばすことを検討しましょう。

ただしコロナ融資は、借入先が日本政策金融公庫と民間銀行のどちらかにより、活用できる借り換え制度は異なるため注意が必要です。

公庫融資借換特例制度とは

公庫融資借換特例制度」とは、事業者の日本政策金融公庫から受けた融資について特別に借り換えを可能とする制度です。

経済的環境や社会的な要因などで資金繰り難に陥っている場合、日本政策金融公庫に同額借り換えを依頼してみましょう。

公庫融資借換特例制度は日本政策金融公庫で受け皿として用意されている制度であるため、想定していたよりもスムーズに借り換えに応じてもらえる可能性があります。

利用限度額は適用した特別貸付制度の貸付限度額で、返済期間は適用した特別貸付制度により異なりますが、新型コロナウイルス感染症特別貸付であれば20年以内(うち据置期間5年以内)となっています。

また、公庫借換特例制度で借り換え可能であるのは政策金融公庫からの融資に限定されていますが、コロナ融資といわれる「新型コロナウイルス感染症特別貸付」だけではなく次の融資も対象です。

  • セーフティネット貸付制度の経営環境変化対応資金および金融環境変化対応資金
  • 東日本大震災復興特別貸付
  • 令和元年台風第19号等特別貸付
  • 令和2年7月豪雨特別貸付
  • 企業再生貸付制度の事業再生
  • 企業再建支援資金(一部の対象およびシンジケートローン特例を除く)
  • 企業活力強化貸付制度の事業承継・集約・活性化支援資金
  • 新型コロナウイルス感染症特別貸付
  • 新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付
  • 挑戦支援資本強化特別貸付

さらに詳しく公庫融資借換特例制度について、次の2つを説明していきます。

  1. 公庫融資借換特例制度のメリット
  2. 公庫融資借換特例制度の注意点

公庫融資借換特例制度のメリット

「公庫融資借換特例制度」は、資金繰りが困難な状況において、事業者が自助努力で再建を支援するための支援をする制度です。

コロナ融資の返済が厳しい場合にも活用したい制度といえますが、そのメリットとして次の3つが挙げられます。

  1. 据置期間を延長できる
  2. 信用格付けを落とさない
  3. 資金繰りが安定する

それぞれのメリットについて説明していきます。

据置期間を延長できる

公庫融資借換特例制度を活用することで、据置期間を「延長」することができます。

貸付ごとに返済期間は異なりますが、新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付の返済期間は20年・15年・10年・7年・5年1か月となっています。

コロナ融資(新型コロナウイルス感染症特別貸付)の場合、返済期間20年以内で据置期間5年以内であるため、借り換えにより据置期間を引き延ばすことが可能です。

信用格付けを落とさない

公庫融資借換特例制度を活用しても、「信用格付け」を落とすことはありません。

本来、毎月の返済額を減らすために金融機関に「リスケジュール」を交渉すると、貸し付け条件変更により信用格付けは落ちてしまいます。

そのため新規で借入れしたくても、リスケジュールを依頼した金融機関の審査には通らなくなると考えられます。

しかし公庫融資借換特例制度の借り換えであれば、毎月の返済負担額を減らした場合でも信用格付けに影響しないことがメリットです。

資金繰りが安定する

公庫融資借換特例制度を活用することで、資金繰り「安定」につなげることができます。

新型コロナウイルスの感染対策挑戦支援資本強化特別貸付の利率は、業績に連動して設定されるため、たとえば利益が出ていない赤字企業であれば利率を引き下げることが可能です。

さらに無担保・無保証人・期限一括返済であるため、最終期限まで利子のみ支払えば問題ないことから、資金繰り安定につながることでしょう。

公庫融資借換特例制度の注意点

日本政策金融公庫から借りたコロナ融資の返済が厳しいときでも、公庫融資借換特例制度で借り換えることで、資金繰り難を逃れることができる可能性はあります。

ただし次の2つには注意した上での活用が必要です。

  1. 金利が高くなる場合がある
  2. 中小企業事業のみ対象

それぞれの注意点について説明していきます。

金利が高くなる場合がある

公庫融資借換特例制度を活用することで、「金利」が高くなる場合もあります。

新型コロナウイルス感染症特別貸付を以前借りた「タイミング」により、借り換えで金利が上がる可能性があるため、日本政策金融公庫に事前に相談したほうが安心です。

中小企業事業のみ対象

公庫融資借換特例制度は、「中小企業事業」のみが対象であるため、個人事業主が利用する「国民生活事業」は対象になりません。

「国民生活事業」の場合、借り換えを希望する旨を日本政策金融公庫に伝え、通常の融資を申し込むことになります。

コロナ借換保証とは

コロナ借換保証」とは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、借金が増えてしまい資金繰り難に陥った事業者を支援するための制度です。

公庫融資借換特例制度は日本政策金融公庫から借りた融資に限定されるため、民間の銀行から借りたコロナ融資は対象ではありません。

しかしコロナ借換保証であれば、民間の銀行などから借りたコロナ融資や、他の保証付融資からの借り換え、事業再構築など「前向き投資」で必要とする資金需要にも対応できます。

コロナ借換保証制度の対象となるには、以下に該当し、経営行動に係る計画を策定した中小企業です。

  • セーフティネット保証4号(SN4号)の認定を受けている中小事業者
  • セーフティネット保証5号(SN5号)の認定を受け、次のいずれかに該当する中小事業者
    ①売上高等減少率が15%以上
    ②売上高等減少率が15%未満であるものの、最近1か月間に対応する前年同月の売上高が令和2年1月29日時点の直近月平均売上高などと比較して15%以上減少している
  • 次のいずれかに該当する中小事業者
    ①最近1か月間の売上高が前年同月の売上高と比較して15%以上減少している
    ②最近1か月間の売上高が前年同月の売上高と比較して5%以上減少し、かつ前年同月の売上高が令和2年1月29日時点における直近の決算の月平均売上高等と比較して15%以上減少している

コロナ借換保証の保証限度額は1億円で、保証期間10年以内・据置期間5年以内となっています。

特徴的なのは借り換えの際に必要となる事業者が負担する保証料が「0.2%等」であるといえるでしょう。

100%保証の融資については100%保証での借り換えできますが、「経営行動計画書」の作成や金融機関の継続的な「伴走支援」が必要となります。

コロナ借換保証についてさらに詳しく、次の2つについて説明していきます。

  1. コロナ借換保証のメリット
  2. コロナ借換保証の注意点

コロナ借換保証のメリット

新型コロナウイルス感染症の影響により、コロナ対応として実施されたコロナ融資の返済が厳しくても、コロナ借換保証を活用すれば業績回復までの資金繰りを安定させることができます。

民間銀行からコロナ融資を受けた事業者で、返済負担が重いと感じているときには利用したい制度といえますが、コロナ借換保証を活用するメリットは主に次の4つです。

  1. 一般融資にも適用できる
  2. 据置期間を延長できる
  3. 保証料が割安
  4. 利益率減少でも利用できる

それぞれのメリットについて説明していきます。

一般融資にも適用できる

コロナ借換保証のメリットとして、「一般融資」にも適用できることが挙げられます。

民間のコロナ融資の上限は6千万円でしたが、コロナ借換保証の補償限度額は1億円であるため、コロナ融資を超えて通所の融資にも適用できることを意味します。

コロナ融資で6千万円借入れしており、通常の融資でも4千万円借りているのなら、2つの融資合計1億円を借換制度の対象にすることもできます。

据置期間を延長できる

コロナ借換保証のメリットとして、据置期間を「延長」できることが挙げられます。

コロナ融資の返済開始時期が2023年7月から2024年4月に集中することが予想されていますが、返済が始まると資金ショートリスクが上がる事業者も少なくありません。

しかしコロナ借換保証の保証期間は10年以内、据置期間5年以内であるため、さらに返済開始までの時期を延ばすことができます。

保証料が割安

コロナ借換保証のメリットとして、保証料が「割安」であることが挙げられます。

金融機関からお金を借りるときには「保証料」を負担することが必要ですが、通常であれば0.85%前後です。

しかしコロナ借換保証の保証料は、「0.2%等」となっておりかなり割安といえます。

なお、「0.2%」ではなく「0.2%等」でるのは、満たす利用要件によって割合が変わるからです。

売上または利益率の減少が5%以上で、セーフティネット4号または5号の認定取得の要件を満たす場合には「0.2%」が適用されます。

しかし売上または利益率の減少が5%以上という要件のみの場合には、「0.2%~1.15%」となるため注意しましょう。

利益率減少でも利用できる

コロナ借換保証のメリットとして、利益率減少でも利用できることが挙げられます。

事業者の中には、売上は減少していなくても、物価高などの影響で「利益率」は低下しているという場合もあるでしょう。

コロナ借換保証では、仮に売上減少の要件を満たさなくても、利益率が低下していれば対象となります。

従来までの信用保証協会の保証料を大幅に引き下げる「伴走支援型特別保証制度」は前年同月比売上が「20%以上」減少していなければ利用できませんでした。

しかしコロナ借換保証では、20%以上減少ではなく「5%以上」減少していれば利用できるなど、要件が緩和されています。

さらに利益率の減少についても、「売上高総利益率」と「売上高営業利益率」のいずれかが要件を満たしていれば問題ありません。

コロナ借換保証の注意点

コロナ借換保証で資金繰り改善を図る場合、次の2つには注意した上で検討しましょう。

  1. 売上または利益率減少が必要
  2. 経営行動計画書と伴走支援が必須

それぞれの注意点について説明します。

売上または利益率減少が必要

コロナ借換保証で資金繰り改善を図る場合、売上または利益率が減少していることが必要です。

直近の売上とコロナ前の売上を比べたときに、5%以上売上が減少しているなどの要件を満たさなければ利用できません。

経営行動計画書と伴走支援が必須

コロナ借換保証で資金繰り改善を図る場合、経営行動計画書と金融機関の伴走支援が必須となります。

金融機関による伴走支援とは、試算表や決算書を提出し金融機関と面談の上、融資申し込み後に経営行動計画書を作成します。

経営行動計画書には、現状・財務分析・事業を回復・改善させるために行う具体的なアクションなどを記載することが必要になります。

面談のもとで作成した経営行動計画書をもとに金融機関が審査を行い、自治体や保証協会に金融機関から問い合わせが入り、最終的に融資が実行されるという流れです。

融資が実行されれば終わりではなく、借り換え後も金融機関による継続した伴走支援が続きます。

伴走支援については、原則、5年間に渡り四半期ごとに計画の進捗状況を確認するなど、収益を改善させるまでの支援が続くことになります。

自社のみで判断するのではなく、金融機関も確認作業に加わることや、「PDCA」を回すことにより業績を改善させるスピードをはやめることにつながるでしょう。

また、5年間は金融機関と継続して事業の環境や業績などに関して、話し合い確認する作業が続くため、理解を深め信頼関係を構築することも期待できるといえます。

コロナ借換保証の手続きの流れ

コロナ借換保証の手続きの流れは、以下のとおりです。

  1. 経営行動計画書を作成する
  2. 金融機関が認定申請や保証審査を依頼
  3. 継続的な伴走支援が開始する

それぞれ詳しく解説します。

経営行動計画書を作成する

コロナ借換保証を申し込む際は、経営行動計画書が必要です。経営行動計画書には、以下の項目を記載します。

  • 資金の用途
  • 事業の将来的な目標
  • 収支計画
  • 返済計画

中小企業庁が経営行動計画書のサンプルを公開しています。計画書の書き方がわからない場合は、経営行動計画書サンプルを参考にしてください。

金融機関が認定申請や保証審査を依頼

経営行動計画書を作成したら、金融機関に申し込みを行いましょう。申し込みを受けた金融機関は、融資の与信審査(取引先が代金を払ってくれるかを確認する審査)を実施します。

金融機関は審査に問題がなければ、必要書類を準備して以下の申請を行います。

・市区町村へセーフティネット保証の認定申請
・保証協会へ経営行動計画書の提出と保証審査の申請

保証審査によって融資が認められた場合は、必要な資金を調達できます。

継続的な伴走支援が開始する

必要な資金を調達したら、経営計画書に基づいて目標達成に向けた取り組みを行いましょう。融資してくれた金融機関からは、5年間の継続的な伴走支援が受けられます。

その期間内で事業の黒字化や業績回復を行わなければいけません。

コロナ借換保証が利用できない場合

コロナ借換保証は要件を満たさなければ利用できません。利用できない場合は、以下の方法で資金調達を検討してみてください。

  1. ファクタリング
  2. 助成金・補助金
  3. クラウドファンディング
  4. 資産の売却

それぞれ詳しく解説します。

ファクタリング

ファクタリングとは売掛金を売却して現金化を図って資金調達を行う方法です。借入ではないため融資が発生しないのが特徴です。

もちろん、調達した資金を返済する必要もありません。回収に困っている売掛金がある場合は、ぜひファクタリングの利用を検討してください。

助成金・補助金

国や地方自治体からの助成金や補助金を利用するのもおすすめです。返済する必要がないため、事業に失敗した場合でも、負債を抱える心配はありません。

しかし、条件は厳しく、審査に時間がかかる点には注意しましょう。すぐに資金調達をしたい場合には不向きです。

長期的に資金が必要な場合においては、積極的に活用したい制度といえるでしょう。

クラウドファンディング

クラウドファンディングで支援を募るのもおすすめの方法です。リターンの内容や事業次第では、莫大な資金を調達できる可能性もあります。

支援の対価としてリターンを行うため、調達した資金を返済する必要はありません。一方で、知名度がないとクラウドファンディングが成立しないケースも多いです。

SNSの運用に力を入れている方であれば、十分に成功する可能性はあるでしょう。

資産の売却

自社ビルを保有している場合は、売却することで資金調達ができます。不動産以外にも車や有価証券などの資産を売却するのもおすすめです。

売却できる資産がない場合は、事務所の移転を検討してみましょう。家賃が少ないビルに事務所を移転できれば、経費の削減になり、資金繰りの悪化を抑制できるかもしれません。

まとめ

コロナ借換保証を利用すれば、返済を猶予してもらえます。しかし、要件は厳しく、利用できないケースも多いです。

コロナ融資の返済で資金繰りが悪化した場合は、他に資金調達できる方法がないか確認しましょう。ファクタリングの利用を検討している場合は、ぜひPMGにご相談ください。

PMGは初めてファクタリングを行う方に対しても、丁寧にサポートを行っています。ファクタリングに関して不明点がある場合は、ぜひPMGにお問い合わせください。