ファクタリングは通帳なしでも利用できるのか、気になる経営者の方もいるのではないでしょうか。
ファクタリング利用においては、ファクタリング会社に求められる必要書類を提出する必要があります。
そこで、ファクタリング利用時に通帳なしでも利用できるのか、審査の際通帳にどんな役割があるのか、必要書類についても詳しく解説していきます。
ぜひご一読いただき、ファクタリング利用時のご参考になれば幸いです。
目次
ファクタリング審査で通帳が必要になる理由
結論、ファクタリング利用時に通帳がないと利用することは難しいです。
ファクタリングを利用するとき、ファクタリング会社から主要銀行で開設している口座の履歴を提出するように求められます。
審査を行うときに必要になりますが、その理由として次の3つが挙げられます。
- 売掛金の存在の確認
- 売掛先との継続取引の有無の確認
- 売掛先の支払能力の確認
なぜ通帳が必要なのか、それぞれ詳しく説明していきます。
売掛金の存在の確認
ファクタリング会社が銀行口座の通帳履歴を確認する理由として、実在しない売掛金を持ち込まれる架空債権による詐欺リスクを防ぐことが挙げられます。
残念ながら、存在しない架空債権を提出する利用者も存在するのです。
存在しない架空債権を買い取ってしまうと、ファクタリング会社は期日に売掛金を回収することはできず、大きな損失を被ることになるからです。
また、すでに別のファクタリング会社に売却済の売掛金を持ち込まれる二重譲渡や、倒産予定の売掛金と共謀しファクタリング後に倒産する計画倒産など、ファクタリング会社を騙そうとする詐欺行為は様々です。
そのため本当に売掛金が存在しているのか、その実績や履歴を通帳で確認しています。
売掛先との継続取引の有無の確認
過去数か月分の入出金履歴を通帳から確認することにより、売掛先から遅れずに支払いがあったのか、継続して取引が行われているのかを把握することができ、ファクタリング会社は未回収リスクを低くすることができます。
売掛先との基本契約書や、売掛金の発生を示す請求書に加え、銀行口座の通帳があれば債権が本当に存在することも証明することができるでしょう。
基本契約書や請求書などは偽造しようと思えば簡単にできますが、銀行口座の通帳を偽造することは簡単とはいえないため、架空債権でないことの強力な裏付けとなります。
売掛先の支払能力の確認
銀行口座の通帳なしでは、売掛先の支払い状況を確認することはできません。
仮に売掛先との間で決めた支払期日が月末だったのに、入金はいつも次をまたいでしまっているという場合、支払能力が疑われます。
その確認のためにも、売掛先からいつ入金があったのか銀行口座の通帳を閲覧することが必要となります。
なお、毎回入金期日までに支払いができていない売掛先の債権では、支払い能力が低いと判断され審査に通らない可能性が高いので、留意しておきましょう。
通帳以外のファクタリング必要書類
ファクタリングを利用するときには、通帳以外にもファクタリング会社から提出してほしいと求められたり、指定される書類がいくつかあります。
ファクタリング会社によって必要書類は異なりますが、一般的に共通しているのは次の6つです。
- 決算書(確定申告書)
- 請求書
- 基本契約書
- 身分証明書
- 商業登記簿謄本
- 印鑑証明書
それぞれ説明していきます。
①決算書(確定申告書)
ファクタリングを利用するときには、法人であれば直近2~3期分の決算書、個人事業主の場合も同期間の確定申告書を準備しておきましょう。
決算月が半年程度前の場合、直近の試算表の提出も求められることがあります。
ファクタリングで決算書や確定申告書の提出を求められる理由は、売掛債権をどのくらい保有しているか、売掛先の事業規模などの情報を得たいからです。
銀行融資の審査のときに重視される項目とは違った部分を確認されますが、財務状況なども確認されないわけではなく、特に2社間ファクタリングでは利用者が回収した売掛金を使い込んでしまうほど困窮していないか確認をされるでしょう。
②請求書
ファクタリング会社が買い取るのは売掛金ですが、売掛先に対し発行した請求書が必要です。
売掛債権の存在を証明するための書類であり、請求書はファクタリング利用では必ず求められることになる「成因資料」といえます。
ファクタリング利用が可能となる売掛金は、売掛先に対し請求済で、支払額や支払期日が確定している「確定債権」に限定されます。
そのため売却する売掛金が確定債権であることを証明するためにも請求書が必要ですが、請求書がない場合には複数の成果資料で対応可能とするか、ファクタリング会社によって異なります。
また、ファクタリング会社によっては付随する注文書・発注書・納品書などの提出を求められることもあります。
③基本契約書
売掛先との基本契約書は、売掛債権の存在を証明できる書類の1つです。
基本契約書を交わしていないケースもあるでしょうが、交わしている場合には提出したほうが審査はスムーズに進みます。
利用者と売掛先との間で取引が存在することや実態を確認できる資料が基本契約書であり、いつからどのような取引が行われているのか証明することができます。
請求書と照合することで、請求内容の整合性も証明できるなど、提出したほうがよい書類といえるでしょう。
④身分証明書
必要書類として特に明記していないファクタリング会社も少なくありませんが、基本的に個人や法人に関係なく、代表者の免許証・パスポート・マイナンバーカード・住民基本台帳カードなどの本人確認書類が必要です。
中小企業がファクタリングを利用するときには、法人の代表者本人が契約します。
仮に第三者が代表者になりすまして契約すると、売掛金を回収できないなどファクタリング会社のリスクが高まり、リスク回避のためにも身分証明書を求められると理解しておいてください。
⑤商業登記簿謄本
中小企業など法人がファクタリングを利用するときには、商業登記簿謄本を提出するように求められることもあります。
会社の所在地や資本金など、法人の基本情報が記載されている書類のため、ファクタリング申し込みの際の申請内容に誤りがないか確認するためにも求められます。
必要な場合、法務局で取得を行いましょう。また、個人事業主の場合、受領印のある開業届の控えなどを求められる可能性もあります。
⑥印鑑証明書
ファクタリング契約書に実印を押すときには印鑑証明書も提出が必要となります。
印鑑証明書は登録されている印鑑が実印であることを証明する書類のため、実印と印鑑証明書はワンセットと考えておいてください。
こちらも法務局にて取得を行いましょう。前述した商業登記簿謄本とセットで取得しておくと良いでしょう。
通帳なしでファクタリング利用が難しくなる理由
ファクタリングで通帳が必要になる理由を説明しましたが、通帳なしではファクタリング審査に通過することが困難になると考えられます。
ファクタリング会社によって提出が必要になる書類は若干異なるため、通帳なしでも対応可能とされるケースもあるでしょうが、スムーズな資金調達を可能とするファクタリングのメリットが活かされなくなる可能性があるでしょう。
一般的に通帳なしでファクタリング利用が難しくなる理由として次の2つが挙げられます。
- 提出する書類が増える
- 審査に時間がかかる
それぞれ説明していきます。
提出する書類が増える
通帳なしでファクタリングの申し込みを行っても、通帳で確認できる項目を別の書類で把握できるように準備することが必要になります。
そのためファクタリング会社に提出する書類が増えることは避けられないでしょう。
現金取引の事業者などは通帳を提出できないケースもあるでしょうが、別途提出した書類が偽造ではないことも証明しなければならないため、提出書類の量はかなり増えます。
準備できない場合、ファクタリング会社からの理解を得ることは容易とはいえないため、通帳なしではファクタリング利用は厳しくなると理解しておいたほうがよいといえます。
審査に時間がかかる
ファクタリングを利用するときに通帳を準備しなかった場合、他に求められた必要書類を揃えたとしても審査に時間がかかってしまいます。
そもそも審査に通過することが難しくなり、通過した場合でも条件が厳しくなる可能性は否定できません。
本来、ファクタリングは審査が柔軟で資金調達までのスピードがはやいことが大きなメリットですが、そのどちらも通帳がないことで失うことになると留意しておいてください。
まとめ
ファクタリングは、売掛金の入金までの間の資金繰りを改善しやすくなることがメリットです。
通帳なしでファクタリングを利用したい経営者もいると思いますが、ファクタリング会社に求められた場合には提出するようにしましょう。
仮に通帳なしで対応してもらえる場合でも、審査に時間がかかったり提出書類が増えたりと、すぐに売掛金を売却し現金化したいという状況をクリアできなくなる可能性があります。
オンライン完結型のファクタリングサービスだと、通帳なしで対応している場合もありますが、少額限定などが多いため資金調達希望額によって利用を判断するべきでしょう。
何らかの事情で通帳が準備できないけれど、ファクタリングを利用して資金を調達したいと考えている場合には、一度PMGまで気軽にご相談いただければと思います。