中小企業にとって合理的に資金を調達することができる方法とは何か、考えたときに候補として挙がるのは銀行融資ではありません。
資金調達方法としては、銀行などの借り入れの利用が一般的となっている中で、ファクタリングが近年注目を集めています。
そこで、ファクタリングとはどのような資金の調達方法なのか、わかりやすく解説します。
中小企業経営者向け!

目次
ファクタリングとは
ファクタリングで資金を得るために用いられるのは、中小企業などが多く保有している売掛債権です。
売掛債権である売掛金をファクタリングを専門に扱う業者などに譲渡し、本来の入金期日よりも前に現金化します。
ファクタリングというサービス名のもととなった「fact(ファクト)」という言葉は、日本語に訳すと原因や要因、要素という意味です。
また、仲介や問屋という意味でも使用されているため、資金を調達する仲介としての立場をあらわす名称がつけられたと考えられます。
資金調達に売掛債権を活用する理由
売掛債権の1つである売掛金は、商品やサービスなどを販売・提供した際に発生する未収の代金を請求する権利です。
日本の商取引は信用取引により成り立っています。
多くの場合、商品やサービスと引き換えにその場で現金による支払いが行われるのではなく、後に請求して支払ってもらう掛け取引が主流です。
ただ、商品やサービスを販売・提供してからその代金が入金されるまでの期間が長くなると、その間に発生する従業員の給料や仕入れ代金に充てる資金が不足してしまいます。
このタイムラグ期間中に発生するのが売掛債権であり、その期間を前倒しして回収する仕組みがファクタリングです。
事業継続に必要なお金を、スムーズに調達できる方法といえるでしょう。
ファクタリングの仕組みと流れ
ファクタリングの流れは、以下のとおりです。
- 掛け取引により発生した売掛金をファクタリング会社に譲渡
- 売掛金を買い取ったファクタリング会社から手数料分以外の買取代金が入金される
- 後日、売掛先からファクタリング会社に本来の売掛金代金が入金される
本来は1か月や2か月、場合によっては半年や1年先という売掛金の入金を待たず、先に代金を受け取ることができます。
ファクタリングの主な流れは上記の3つですが、取引を利用者とファクタリング会社の2社間で行うのか、それとも売掛先も含めた3社間によるものかによって流れが異なってきます。
3社間ファクタリング
利用者とファクタリング会社、売掛先の3社が契約を結ぶ形でファクタリングが行われます。
売掛先は本来なら利用者に支払うはずだった売掛金を、ファクタリング会社に直接支払います。
そのため売掛金の譲渡について、売掛先に同意してもらう必要です。
しかし、この売掛先対する債権譲渡の通知により、利用者は資金繰りが悪化していると勘ぐりを入られることに懸念をあらわす傾向がみられます。
まだ十分に周知されていないファクタリングというサービスを利用することを売掛先に知られることは、その後の取引に影響を及ぼすと考えるケースもあります。
ただ、3社間ファクタリングは2社間ファクタリングよりも売買手数料が安く設定されるため、費用をかけずに資金を調達したいなら3社間を選ぶとよいでしょう。
2社間ファクタリング
2社間ファクタリングは3社間のように売掛先に対する通知は行われません。
売掛先に内緒でファクタリングを利用したいなら2社間ファクタリングを選ぶことになります。
ただし売掛先への通知が行われないということは、ファクタリング会社が回収する売掛金の代金は、一旦利用者に入金されます。
売掛先から入金された売掛金の代金を、そのまま利用者からファクタリング会社に横流す形で渡さなければなりません。
しかしこの流れにより、ファクタリング会社は売掛金を使い込まれてしまうリスクを抱えます。
その分、3社間よりも高い売買手数料が設定されると理解しておきましょう。
ファクタリングの種類
ファクタリングには以下の種類があります。
- 買取ファクタリング 2社間ファクタリングと3社間ファクタリングなどを選ぶことができる
- 診療報酬債権ファクタリング クリニックや病院、介護施設などの診療報酬を対象としたファクタリング
- 保証ファクタリング 売掛債権の買い取りではなく保証するファクタリング
- 国際ファクタリング 対象が輸出先の海外企業に対する支払いであるファクタリング
業界によって適したファクタリングの形は異なりますので、円滑な資金調達のために最も合う方法を選ぶようにしてください。
急な出費に対応しやすい方法
ファクタリングは、売掛金をファクタリング会社に譲渡して資金を調達する方法です。
融資を受けることと違って、利用者ではなく売掛先の信用力が審査で重視されるなど、柔軟な対応が魅力といえます。
利用するファクタリングの種類や業者によっては、即日現金化も可能となるため、急な出費にも対応しやすい方法です。
ただ、利用するにあたり売買手数料が発生しますので、売掛債権額をそのまま前倒しで受け取れるわけではないことは理解しておきましょう。
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